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第二章 王立学院中等部一年生
78 学院祭一般公開日①
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Side:アシェル13歳 冬
学院祭三日目の一般公開初日。
中等部一年の模擬店、執事喫茶は未だかつてない熱気に包まれていた。
「アン兄様、来て下さったんですね。」
入り口で紫の旗が上がり、向かった先にはアレリオンとアルフォードが立っていた。
夏休み以来の長兄に近づくと、アルフォードがいつもしてくれるようにギュッと抱きしめられ、お互いにチュッと頬にキスをする。
受付待ちの待機列が異様な熱気と歓声に包まれる。
「うん。アルからアシェが頑張ってるって聞いたからね。案内してくれるかい?」
「ええ、もちろんです。」
キスを合図にアレリオンから離れたアシェルは、区切り代わりに一礼して二人の兄を席まで案内する。
「メニュー札を頂きますね。アン兄様は研究発表を見に行かれましたか?なかなか楽しかったですよ。」
そう話しながら、担当者にメニュー札を後ろ手に渡す。
「アルを捕まえて、真っ先にアシェに会いに来たんだ。アシェのお勧めなら行かないとだね。」
にっこりとアレリオンがアシェルに笑いかけ、その言葉にアルフォードも笑顔で言葉を重ねる。
「アシェは初日に薬草学と錬金術の合同発表を、これでもかってくらい堪能してたからな。あの後、発表者達がかなり感動してたけど、兄上が行けば更に喜ばれそうだな。」
「だってアン兄様は凄いですもん。少々お待ちくださいね。」
ぺこりと礼をして、厨房へワゴンを取りに行く。
先程から担当者の一人が、紫旗に反応してエスコートしていた。
つまりは。
「アシェル様。お兄様方とゆっくりお話になってくださいませね。」
近づいてきたカナリアが素晴らしい微笑みでそう言った。
「やっぱり。マリクの時と同じでしょ?」
「お客様が喜んでくださるから、いいのですよ。」
「まぁそれもそうだね。じゃあ、少しお兄様達と話させてもらうね。」
「えぇ、楽しんでくださいませ。」
カナリアに見送られ、厨房からワゴンを押して出る。
「お待たせいたしました。少しだけお兄様達とゆっくりしていいよ、って言ってもらってきました。」
そう言いながら、注文の品をサーブしていく。
「凄い熱気だもんな。生徒会メンバーが、行くタイミングがないって嘆いてたよ。」
「今年は特に大変みたいだね。体調は大丈夫かい?アシェも大変だったみたいだね、お疲れ様。」
二人の兄が座るテーブルの傍に立ったまま、アシェルは笑顔で返事をする。
「いいえ、事故……と言うよりも、事件が起こってしまったのはいけないことですが、対応自体は苦になりませんでしたよ。それに、メイディー家の一員として対応に当たるのは当然のことです。」
「ふふ、そうだね。ところで……あのサービスはアシェもやってるのかな?」
そう言ってアレリオンの視線が、シオンとビエナート伯子息を見つめる。
そこにはケーキを食べさせてもらうショタが二人いた。
上手くおねだりして、美味しそうなケーキを食べさせてもらっている。
「……僕は、お嬢様たちには食べて頂く側です。」
「うん。それは僕達ならアシェに食べさせてあげても良いってことだよね。……おいで?」
アシェルの口にしなかった言葉を汲み取ったアレリオンが腕を広げた。
そこにアシェルはちょこんと座って抱き締められる。
いつものように歓声が上がるが、連日のことなのでありふれたBGMになってしまっている。
「やっぱりアシェは可愛いね。実は、こういうサービスをしてるって聞いてたんだよね。」
にこにこと笑いながら、アレリオンがフォークでチョコレートケーキを差し出してくる。
それをパクっとありがたく食べさせてもらう。
ほろ苦い甘さが口に広がった。
「んっ……だから、アン兄様もアル兄様も、僕の好きなケーキ選んだんですね?メニュー見た時に、少し好みと違うから不思議に思ったんですよ。」
「そーいうこと。ほら、アシェこっちも、あーん。」
「あーん。……うん、こっちも美味しいです。」
アルフォードのケーキはレモンケーキで、さっぱりとした甘さが口の中に広がった。
その後も、二人の兄は嬉しそうにアシェルの口にケーキを運んでくれる。
「ねぇ、僕ばっかり食べてたら、お兄様達の分が無くなってしまいますよ?」
「アシェに食べて貰おうと思って頼んだから、気にしなくて良いんだよ。それより、さっきからあのご令嬢を観ているね。僕達と一緒に居るのに他の子が気になるの?寂しいな。」
アレリオンはそう言いながらアシェルを抱き締める力を強め、耳元にリップ音を立ててキスをする。
「もう、アン兄様分かって言ってるでしょ?そのご令嬢が良いよって言ってくれてるから、僕はココに居れるんですよ。僕だってお兄様達と一緒に居る時は、周りを気にせずゆっくりしたいです。」
少し拗ねたようなアシェルに、二人の兄は慈愛の籠った暖かい微笑みを向ける。
「じゃあ、アシェの仕事を邪魔しないように、あんまり長居できないな。頑張ってる姿が見れて良かったよ。でも、困ったら俺のところに来いよ?」
「そうだね。あまり長いこと居ても、他の方の迷惑にもなるだろうしね。久しぶりに会えて良かったよ。しっかり学院祭を楽しんでね。」
そう言って緩んだアレリオンの腕から抜け出す。
優しい温もりから離れるのは少し寂しい。
「ありがとうございます。アン兄様にたっぷり充電してもらったので、頑張れます。お兄様達も学院祭を楽しんでくださいね。」
そう言ってぺこりと頭を下げ、初期位置の壁際に立ちに行く。
兄達はもうそろそろ移動するだろう。
やはりと言うべきか、そこには暇そうな執事役が勢ぞろいだ。
「聞いてはいたけど、アシェル君の一番上のお兄さんはなんていうか……凄いですね。」
「うん、アン兄様はいつも優しいし、今はお医者様として頑張ってるんだよ。って、イザーク君なら知ってるか。」
イザークのかけた言葉に答えるアシェルに、幼馴染達は多分意味が違うぞ、と心の中で突っ込みを入れる。
イザークが言った凄いは恐らく、アシェルのようなセリフをさらっと吐くことや、人前でも何の躊躇いもなくアシェルを膝に抱え、抱きしめたことを言っているはずだ。
ソレがメイディー家の平常運転なのだが、見慣れない人からすると凄い光景だろう。
あとはそれを素直に受け、甘えているようなアシェルの姿が珍しいというのもあるだろう。
「お兄さんだったら、アシェル様はあーんってしてもらうんですね。いいなぁ。あ、でも僕は、アシェル様にあーんってして欲しいです。アシェル様でお腹いっぱいにして欲しいな。」
「ふふ、シオン君は可愛いからシてあげてもいいけど、約束はできないかな。僕でお腹いっぱいになるのは、僕をその気にさせれたらだね。」
「えー。アシェル様ってなかなかその気になってくれないじゃないですかぁ。僕、これでも頑張ってるんですよ?たまにはご褒美欲しいなぁ。」
「ふふ、わがままな子だね。じゃあ今日だけサービス。」
拗ねたように頬を膨らませ、可愛い武器を全面に押し出しておねだりするシオン。
その頭を軽く引き寄せて、おでこにチュッとキスした。
これにも歓声が上がる。
普段ならしないが、シオンへではなくお客様へのサービスだ。
「これで我慢してね?」
「えへへ、これだけでも嬉しいです。」
ほわっと頬に赤みをさした顔が嬉しそうに笑った。
引き寄せた手をシオンの頭から話すと同時に、後ろからグイっと腰を引かれ、その腕に抱かれる。
明らかにシオンを巻き込んでしまわないように配慮されたタイミングだ。
「もう少し考えて発言しろ。」
不機嫌さを隠すつもりのないアークエイドの声に、アシェルは反論する。
「ちゃんと考えて言ってるよ?約束もしてないし、おかしなことは言ってないはずだけど。」
「アレをおかしくないと?」
「アークが邪推しすぎなだけだよ、きっと。」
悪戯っぽく笑って、不確定な言葉でアシェルは答える。
アシェルもシオンも、観客の反応を楽しみながら言葉で遊んでるだけだ。
じゃないと、真昼間からこんなところで匂わせるような発言をしたりしない。
返事はなく、ジトっとした眼で見られてから、その腕から解放される。
「あと……僕は抱き寄せられるより、抱き寄せる方が良いかな。いつもいつも、僕より背が高いからって。せめて腕を引くくらいにしてくれる?コレ、恥ずかしいでしょ?」
解放してくれた温もりに向き直り、アークエイドの腰と頭に手を添え抱き寄せた。
アークエイドの方が背が高いのが気に入らないが、こればかりは仕方ない。
そのままおでこをくっつけ、唇が触れあいそうな距離で笑えば、眼鏡の奥のサファイアブルーの瞳が動揺で揺れる。
人のことは当たり前のように引き寄せる癖に、アークエイドは反対にされると分かりやすいくらい照れたり動揺したりするのだ。
その辺りが初心だなと思えて、楽しいのだが。
「……アシェは恥ずかしがってないだろ。」
「アークは恥ずかしいみたいだね。」
ぼそりと呟かれた言葉にくすくすと笑いながら、アークエイドを解放してあげる。
表情はいつもの無表情と変わりないように見えるが、耳がほんのり赤く染まっている。
執事喫茶の教室の熱気と歓声が凄まじいことになっている。
「仲いーねー。」
「アレは仲が良いで済ませていいのか……?」
「いーんじゃない?」
マリクは楽しそうに言っているが、エラートは困惑気味だ。
「エト、アレはアシェが遊んでるだけだから、気にするだけ無駄だと思うよ。」
「お客様へのリップサービスの延長だよな、アレって。」
「巻き込まれたアークが不憫だがな。」
ノアールの説明でエラートは納得したようだ。
そうやってじゃれていると、また色付きの旗が上がりだし、仕事の時間がやってくる。
この日も大盛況なまま、執事喫茶は早い時間に完売となったのだった。
王立学院には貴族や豪商の子供達が通っており、普段は塀と門に阻まれ、中の様子を知ることが出来ない。
そんな王立学院が年に一度だけ、この学院祭の行われる四日間だけは、誰でもその敷地内に入ることが出来る。
お祭りを楽しみに来る人はもちろん。中には一目貴族を観ようと物見遊山に来る者、なんとか顔見知りになれないかと狙っている者。そして好物件の目に留まろうとする者。
色々な人物が、年齢、性別、身分を問わずに溢れていた。
そんないつもと違う学院の熱気に、アシェル達は移動しながら自然と無言になる。
「そんなにわたくし達が珍しいのかしら?確かに執事服とメイド服の集団だから目立つけど。流石に落ち着かないわね。」
リリアーデがなんとか話題を、と口にしたが、いつもの様な返事は返ってこない。
食事にしようと商店街エリアに向かっているのだが、不躾な好奇心の瞳が遠慮なく注がれている。
その中には唯一の女性であるリリアーデに注がれる、アシェルの嫌な視線も混じっている。
「あ、あの。皆様、良かったら一緒に学院祭を周っていただけませんか?是非、お勧めを教えてください!」
アシェル達が不機嫌であることを知らない、町娘風の三人が話しかけてくる。
「あら、ごめ——。」
「こんにちは、可愛らしいレディ達。王立学院の学院祭に来たのは初めてなのかな?」
リリアーデが対応しようとしたのを遮って、アシェルは優しい微笑みで返事を返す。
それだけで少女達はきゃあと、頬を染めながら嬉しそうに話してくる。
「そうなんです!だから、どこから見たらいいのか分からなくて。それに、お兄さん達と一緒に周れたら楽しいだろうなって。」
駄目ですか?と、眉を下げ上目遣いにアシェルを見つめてくる。
声をかけてきたこの少女が、三人の中でリーダー的な存在なのだろう。
(わざわざ胸まで寄せて……。そんな表情してるけど、断られるなんて考えてないよね。さっきからリリィを馬鹿にしてるその瞳が、自信たっぷりすぎるんだよ。)
きっと今までもこうやって、色仕掛けに近い形で美人な顔立ちを武器に男達を引っかけてきたのだろう。
「ふふ、君達にそう言ってもらえるのは嬉しいな。レディのお誘いに乗りたいところだけど……ごめんね。私達は、この後やらなくてはいけない事があってね。今はほんの少しだけ出来た自由時間なんだ。」
さも残念です、というように眉を下げ声の色を変える。
そして胸を寄せながらお願いポーズで組まれている両手を、そっと自分の両手で包み込んだ。
「勇気を出して声を掛けてくれたのにごめんね。出来れば一緒に周ってあげたかったけれど……もし今から見に行くのなら、第三演習場に行くといいと思うよ。この時間にやってる催し物の中で、私のお勧めなんだ。私達は見たくても見に行けないかもしれないから、代わりに楽しんできてほしいな。……ね、私から君へのお願いだよ。」
急に手に触れられたことに頬を染める姿に、トドメとばかりに最後の一言を耳元で囁き、その少女から離れる。
茹蛸のように真っ赤になった顔がそこにはあった。
男を引っかけ慣れてそうだと思ったが、こういう気障な行為には免疫がなかったらしい。
押すばかりで押され慣れてないのだろう。
「……お、お願い……第三演習場に行ってみますね。もし時間が出来たら、私達と周ってくださいね。」
「えぇ、レディ達と周るための時間が出来ればね。」
そんな時間が出来ることはないけど、とアシェルの心の中で呟かれたなどと知らず、少女はパァァと表情を明るくして、別れを告げ去っていった。
連れの二人もキャイキャイ言いながら三人で歩いていく。
本当に第三演習場に行くようだ。
「大丈夫か?」
短くアークエイドに聞かれ、アシェルは微笑んだ。
「大丈夫だよ。声かけてくるだけ可愛いものだし。」
ちょっと優しくサービスしてあげれば、先程までリリアーデに向けていた瞳などなかったかのようにコロッと態度を変えるのだ。
「それよりやっぱり僕らは目立つみたいだから、別行動の方が良さそうだよ。と言っても、もうあまり周りたいところもないだろうけど。」
初日から思いのほか自由時間が出来たので、混み合ってない最初の二日間で目ぼしいところは周ってしまっている。
寮に引きこもってしまっても良いのだが、それだとアークエイドとノアールが生徒会の仕事にならないのでぶらつくことにしただけだ。
「リリィはデュークと二人きりでゆっくりしなよ。いつも僕らと一緒だし、こういうイベントの時くらい婚約者らしいことでもしたらいいんじゃない?静かなところでゆっくりとさ。」
初日に二人で模擬店を周っていたことは棚に上げて、尤もらしい理由を付ける。
イザベルがいればまた違ったのかもしれないが、今のリリアーデの状況は、周囲の女性からすれば面白くないだろう。
顔面偏差値の高い男達に囲まれた女が一人、ちやほやされているとでも思われていそうだ。
昨日までは王立学院生だけしかいなかったので、アシェル達の集まりは当たり前のように受け入れられていたが、今は違う。
普段を知らないからこそ、相手のことを知らないからこそ、妬み蔑むのだ。
「そうかしら?まぁでも、別行動するならわたくしはデュークとペアになるわよね。分かったわ。こんな大所帯じゃ目立っちゃうものね。でも、アシェも無茶はしちゃ駄目よ?さっきの子達は聞き訳が良かったけど、わがままな子だっているんだからね。」
「心配してくれるの?ありがとう。」
「当たり前でしょう、友達なんだから。さ、デューク、行きましょ。まずはご飯食べないとね。」
そう言ってリリアーデは歩き出す。
「リリィ、ちょっと待て。あぁもう!いいか、アシェ。リリィと同じこと言うけど、無茶はするなよ。」
「はいはい。置いていかれるよ?」
リリアーデは何か気になる出店を見つけたのか、一直線にどこかへ向かっている。
デュークは慌ててそれを追いかけて行った。
リリアーデに向けられていた、不躾で不快な視線が無くなったことを感じる。
デュークとだけ一緒ならば、あの二人は婚約者ではなくちゃんと兄妹に見えるはずだ。
「さ、僕らはどこに行く?さっさと移動しないと、ラストダンスのお誘いばりに声かけられそうなんだよね。」
先程までの不愉快な視線が無くなったのはいいが、今度は獲物を狙う肉食獣のような視線を感じる。
グダグダしているより、移動しているほうが被害に合わなくて済みそうだ。
その女性達からの視線は、幼馴染達も感じているらしい。
「ご飯……よりも、ここを離れたいよね。」
「皆で生野菜かじろうぜ。流石に調理は出来ないしさ。」
「たまにはいーねー。」
「じゃあ昼飯はそれだな。で、どこで食べる?別行動にせよ何にせよ、まずは移動しないとだろ。」
「アシェの次兄のところに行こう。今は第三演習場に居るはずだ。」
アークエイドの案に、結局アシェル達も第三演習場に向かうことになった。
アルフォードが居るのは一般人の居る観客席ではなく、学生しか入れないようにしているエリアなので、皆で押しかけてもゆっくりできるだろう。
でも一つだけ、アークエイドに確認しておかないといけない事がある。
「ねぇ、アーク。今日はアン兄様、一人で来てたのかな?」
「だと思うぞ。執事喫茶なんて、一人じゃ入りにくくて次兄と一緒に来たんだろ。」
「ふふ、そっか、そうだよね。……アル兄様のところでは静かにしててね。」
「それは俺じゃなくて、あいつらだろ。」
そんなアークエイドの言葉には答えず、アシェルはただ微笑んだ。
学院祭三日目の一般公開初日。
中等部一年の模擬店、執事喫茶は未だかつてない熱気に包まれていた。
「アン兄様、来て下さったんですね。」
入り口で紫の旗が上がり、向かった先にはアレリオンとアルフォードが立っていた。
夏休み以来の長兄に近づくと、アルフォードがいつもしてくれるようにギュッと抱きしめられ、お互いにチュッと頬にキスをする。
受付待ちの待機列が異様な熱気と歓声に包まれる。
「うん。アルからアシェが頑張ってるって聞いたからね。案内してくれるかい?」
「ええ、もちろんです。」
キスを合図にアレリオンから離れたアシェルは、区切り代わりに一礼して二人の兄を席まで案内する。
「メニュー札を頂きますね。アン兄様は研究発表を見に行かれましたか?なかなか楽しかったですよ。」
そう話しながら、担当者にメニュー札を後ろ手に渡す。
「アルを捕まえて、真っ先にアシェに会いに来たんだ。アシェのお勧めなら行かないとだね。」
にっこりとアレリオンがアシェルに笑いかけ、その言葉にアルフォードも笑顔で言葉を重ねる。
「アシェは初日に薬草学と錬金術の合同発表を、これでもかってくらい堪能してたからな。あの後、発表者達がかなり感動してたけど、兄上が行けば更に喜ばれそうだな。」
「だってアン兄様は凄いですもん。少々お待ちくださいね。」
ぺこりと礼をして、厨房へワゴンを取りに行く。
先程から担当者の一人が、紫旗に反応してエスコートしていた。
つまりは。
「アシェル様。お兄様方とゆっくりお話になってくださいませね。」
近づいてきたカナリアが素晴らしい微笑みでそう言った。
「やっぱり。マリクの時と同じでしょ?」
「お客様が喜んでくださるから、いいのですよ。」
「まぁそれもそうだね。じゃあ、少しお兄様達と話させてもらうね。」
「えぇ、楽しんでくださいませ。」
カナリアに見送られ、厨房からワゴンを押して出る。
「お待たせいたしました。少しだけお兄様達とゆっくりしていいよ、って言ってもらってきました。」
そう言いながら、注文の品をサーブしていく。
「凄い熱気だもんな。生徒会メンバーが、行くタイミングがないって嘆いてたよ。」
「今年は特に大変みたいだね。体調は大丈夫かい?アシェも大変だったみたいだね、お疲れ様。」
二人の兄が座るテーブルの傍に立ったまま、アシェルは笑顔で返事をする。
「いいえ、事故……と言うよりも、事件が起こってしまったのはいけないことですが、対応自体は苦になりませんでしたよ。それに、メイディー家の一員として対応に当たるのは当然のことです。」
「ふふ、そうだね。ところで……あのサービスはアシェもやってるのかな?」
そう言ってアレリオンの視線が、シオンとビエナート伯子息を見つめる。
そこにはケーキを食べさせてもらうショタが二人いた。
上手くおねだりして、美味しそうなケーキを食べさせてもらっている。
「……僕は、お嬢様たちには食べて頂く側です。」
「うん。それは僕達ならアシェに食べさせてあげても良いってことだよね。……おいで?」
アシェルの口にしなかった言葉を汲み取ったアレリオンが腕を広げた。
そこにアシェルはちょこんと座って抱き締められる。
いつものように歓声が上がるが、連日のことなのでありふれたBGMになってしまっている。
「やっぱりアシェは可愛いね。実は、こういうサービスをしてるって聞いてたんだよね。」
にこにこと笑いながら、アレリオンがフォークでチョコレートケーキを差し出してくる。
それをパクっとありがたく食べさせてもらう。
ほろ苦い甘さが口に広がった。
「んっ……だから、アン兄様もアル兄様も、僕の好きなケーキ選んだんですね?メニュー見た時に、少し好みと違うから不思議に思ったんですよ。」
「そーいうこと。ほら、アシェこっちも、あーん。」
「あーん。……うん、こっちも美味しいです。」
アルフォードのケーキはレモンケーキで、さっぱりとした甘さが口の中に広がった。
その後も、二人の兄は嬉しそうにアシェルの口にケーキを運んでくれる。
「ねぇ、僕ばっかり食べてたら、お兄様達の分が無くなってしまいますよ?」
「アシェに食べて貰おうと思って頼んだから、気にしなくて良いんだよ。それより、さっきからあのご令嬢を観ているね。僕達と一緒に居るのに他の子が気になるの?寂しいな。」
アレリオンはそう言いながらアシェルを抱き締める力を強め、耳元にリップ音を立ててキスをする。
「もう、アン兄様分かって言ってるでしょ?そのご令嬢が良いよって言ってくれてるから、僕はココに居れるんですよ。僕だってお兄様達と一緒に居る時は、周りを気にせずゆっくりしたいです。」
少し拗ねたようなアシェルに、二人の兄は慈愛の籠った暖かい微笑みを向ける。
「じゃあ、アシェの仕事を邪魔しないように、あんまり長居できないな。頑張ってる姿が見れて良かったよ。でも、困ったら俺のところに来いよ?」
「そうだね。あまり長いこと居ても、他の方の迷惑にもなるだろうしね。久しぶりに会えて良かったよ。しっかり学院祭を楽しんでね。」
そう言って緩んだアレリオンの腕から抜け出す。
優しい温もりから離れるのは少し寂しい。
「ありがとうございます。アン兄様にたっぷり充電してもらったので、頑張れます。お兄様達も学院祭を楽しんでくださいね。」
そう言ってぺこりと頭を下げ、初期位置の壁際に立ちに行く。
兄達はもうそろそろ移動するだろう。
やはりと言うべきか、そこには暇そうな執事役が勢ぞろいだ。
「聞いてはいたけど、アシェル君の一番上のお兄さんはなんていうか……凄いですね。」
「うん、アン兄様はいつも優しいし、今はお医者様として頑張ってるんだよ。って、イザーク君なら知ってるか。」
イザークのかけた言葉に答えるアシェルに、幼馴染達は多分意味が違うぞ、と心の中で突っ込みを入れる。
イザークが言った凄いは恐らく、アシェルのようなセリフをさらっと吐くことや、人前でも何の躊躇いもなくアシェルを膝に抱え、抱きしめたことを言っているはずだ。
ソレがメイディー家の平常運転なのだが、見慣れない人からすると凄い光景だろう。
あとはそれを素直に受け、甘えているようなアシェルの姿が珍しいというのもあるだろう。
「お兄さんだったら、アシェル様はあーんってしてもらうんですね。いいなぁ。あ、でも僕は、アシェル様にあーんってして欲しいです。アシェル様でお腹いっぱいにして欲しいな。」
「ふふ、シオン君は可愛いからシてあげてもいいけど、約束はできないかな。僕でお腹いっぱいになるのは、僕をその気にさせれたらだね。」
「えー。アシェル様ってなかなかその気になってくれないじゃないですかぁ。僕、これでも頑張ってるんですよ?たまにはご褒美欲しいなぁ。」
「ふふ、わがままな子だね。じゃあ今日だけサービス。」
拗ねたように頬を膨らませ、可愛い武器を全面に押し出しておねだりするシオン。
その頭を軽く引き寄せて、おでこにチュッとキスした。
これにも歓声が上がる。
普段ならしないが、シオンへではなくお客様へのサービスだ。
「これで我慢してね?」
「えへへ、これだけでも嬉しいです。」
ほわっと頬に赤みをさした顔が嬉しそうに笑った。
引き寄せた手をシオンの頭から話すと同時に、後ろからグイっと腰を引かれ、その腕に抱かれる。
明らかにシオンを巻き込んでしまわないように配慮されたタイミングだ。
「もう少し考えて発言しろ。」
不機嫌さを隠すつもりのないアークエイドの声に、アシェルは反論する。
「ちゃんと考えて言ってるよ?約束もしてないし、おかしなことは言ってないはずだけど。」
「アレをおかしくないと?」
「アークが邪推しすぎなだけだよ、きっと。」
悪戯っぽく笑って、不確定な言葉でアシェルは答える。
アシェルもシオンも、観客の反応を楽しみながら言葉で遊んでるだけだ。
じゃないと、真昼間からこんなところで匂わせるような発言をしたりしない。
返事はなく、ジトっとした眼で見られてから、その腕から解放される。
「あと……僕は抱き寄せられるより、抱き寄せる方が良いかな。いつもいつも、僕より背が高いからって。せめて腕を引くくらいにしてくれる?コレ、恥ずかしいでしょ?」
解放してくれた温もりに向き直り、アークエイドの腰と頭に手を添え抱き寄せた。
アークエイドの方が背が高いのが気に入らないが、こればかりは仕方ない。
そのままおでこをくっつけ、唇が触れあいそうな距離で笑えば、眼鏡の奥のサファイアブルーの瞳が動揺で揺れる。
人のことは当たり前のように引き寄せる癖に、アークエイドは反対にされると分かりやすいくらい照れたり動揺したりするのだ。
その辺りが初心だなと思えて、楽しいのだが。
「……アシェは恥ずかしがってないだろ。」
「アークは恥ずかしいみたいだね。」
ぼそりと呟かれた言葉にくすくすと笑いながら、アークエイドを解放してあげる。
表情はいつもの無表情と変わりないように見えるが、耳がほんのり赤く染まっている。
執事喫茶の教室の熱気と歓声が凄まじいことになっている。
「仲いーねー。」
「アレは仲が良いで済ませていいのか……?」
「いーんじゃない?」
マリクは楽しそうに言っているが、エラートは困惑気味だ。
「エト、アレはアシェが遊んでるだけだから、気にするだけ無駄だと思うよ。」
「お客様へのリップサービスの延長だよな、アレって。」
「巻き込まれたアークが不憫だがな。」
ノアールの説明でエラートは納得したようだ。
そうやってじゃれていると、また色付きの旗が上がりだし、仕事の時間がやってくる。
この日も大盛況なまま、執事喫茶は早い時間に完売となったのだった。
王立学院には貴族や豪商の子供達が通っており、普段は塀と門に阻まれ、中の様子を知ることが出来ない。
そんな王立学院が年に一度だけ、この学院祭の行われる四日間だけは、誰でもその敷地内に入ることが出来る。
お祭りを楽しみに来る人はもちろん。中には一目貴族を観ようと物見遊山に来る者、なんとか顔見知りになれないかと狙っている者。そして好物件の目に留まろうとする者。
色々な人物が、年齢、性別、身分を問わずに溢れていた。
そんないつもと違う学院の熱気に、アシェル達は移動しながら自然と無言になる。
「そんなにわたくし達が珍しいのかしら?確かに執事服とメイド服の集団だから目立つけど。流石に落ち着かないわね。」
リリアーデがなんとか話題を、と口にしたが、いつもの様な返事は返ってこない。
食事にしようと商店街エリアに向かっているのだが、不躾な好奇心の瞳が遠慮なく注がれている。
その中には唯一の女性であるリリアーデに注がれる、アシェルの嫌な視線も混じっている。
「あ、あの。皆様、良かったら一緒に学院祭を周っていただけませんか?是非、お勧めを教えてください!」
アシェル達が不機嫌であることを知らない、町娘風の三人が話しかけてくる。
「あら、ごめ——。」
「こんにちは、可愛らしいレディ達。王立学院の学院祭に来たのは初めてなのかな?」
リリアーデが対応しようとしたのを遮って、アシェルは優しい微笑みで返事を返す。
それだけで少女達はきゃあと、頬を染めながら嬉しそうに話してくる。
「そうなんです!だから、どこから見たらいいのか分からなくて。それに、お兄さん達と一緒に周れたら楽しいだろうなって。」
駄目ですか?と、眉を下げ上目遣いにアシェルを見つめてくる。
声をかけてきたこの少女が、三人の中でリーダー的な存在なのだろう。
(わざわざ胸まで寄せて……。そんな表情してるけど、断られるなんて考えてないよね。さっきからリリィを馬鹿にしてるその瞳が、自信たっぷりすぎるんだよ。)
きっと今までもこうやって、色仕掛けに近い形で美人な顔立ちを武器に男達を引っかけてきたのだろう。
「ふふ、君達にそう言ってもらえるのは嬉しいな。レディのお誘いに乗りたいところだけど……ごめんね。私達は、この後やらなくてはいけない事があってね。今はほんの少しだけ出来た自由時間なんだ。」
さも残念です、というように眉を下げ声の色を変える。
そして胸を寄せながらお願いポーズで組まれている両手を、そっと自分の両手で包み込んだ。
「勇気を出して声を掛けてくれたのにごめんね。出来れば一緒に周ってあげたかったけれど……もし今から見に行くのなら、第三演習場に行くといいと思うよ。この時間にやってる催し物の中で、私のお勧めなんだ。私達は見たくても見に行けないかもしれないから、代わりに楽しんできてほしいな。……ね、私から君へのお願いだよ。」
急に手に触れられたことに頬を染める姿に、トドメとばかりに最後の一言を耳元で囁き、その少女から離れる。
茹蛸のように真っ赤になった顔がそこにはあった。
男を引っかけ慣れてそうだと思ったが、こういう気障な行為には免疫がなかったらしい。
押すばかりで押され慣れてないのだろう。
「……お、お願い……第三演習場に行ってみますね。もし時間が出来たら、私達と周ってくださいね。」
「えぇ、レディ達と周るための時間が出来ればね。」
そんな時間が出来ることはないけど、とアシェルの心の中で呟かれたなどと知らず、少女はパァァと表情を明るくして、別れを告げ去っていった。
連れの二人もキャイキャイ言いながら三人で歩いていく。
本当に第三演習場に行くようだ。
「大丈夫か?」
短くアークエイドに聞かれ、アシェルは微笑んだ。
「大丈夫だよ。声かけてくるだけ可愛いものだし。」
ちょっと優しくサービスしてあげれば、先程までリリアーデに向けていた瞳などなかったかのようにコロッと態度を変えるのだ。
「それよりやっぱり僕らは目立つみたいだから、別行動の方が良さそうだよ。と言っても、もうあまり周りたいところもないだろうけど。」
初日から思いのほか自由時間が出来たので、混み合ってない最初の二日間で目ぼしいところは周ってしまっている。
寮に引きこもってしまっても良いのだが、それだとアークエイドとノアールが生徒会の仕事にならないのでぶらつくことにしただけだ。
「リリィはデュークと二人きりでゆっくりしなよ。いつも僕らと一緒だし、こういうイベントの時くらい婚約者らしいことでもしたらいいんじゃない?静かなところでゆっくりとさ。」
初日に二人で模擬店を周っていたことは棚に上げて、尤もらしい理由を付ける。
イザベルがいればまた違ったのかもしれないが、今のリリアーデの状況は、周囲の女性からすれば面白くないだろう。
顔面偏差値の高い男達に囲まれた女が一人、ちやほやされているとでも思われていそうだ。
昨日までは王立学院生だけしかいなかったので、アシェル達の集まりは当たり前のように受け入れられていたが、今は違う。
普段を知らないからこそ、相手のことを知らないからこそ、妬み蔑むのだ。
「そうかしら?まぁでも、別行動するならわたくしはデュークとペアになるわよね。分かったわ。こんな大所帯じゃ目立っちゃうものね。でも、アシェも無茶はしちゃ駄目よ?さっきの子達は聞き訳が良かったけど、わがままな子だっているんだからね。」
「心配してくれるの?ありがとう。」
「当たり前でしょう、友達なんだから。さ、デューク、行きましょ。まずはご飯食べないとね。」
そう言ってリリアーデは歩き出す。
「リリィ、ちょっと待て。あぁもう!いいか、アシェ。リリィと同じこと言うけど、無茶はするなよ。」
「はいはい。置いていかれるよ?」
リリアーデは何か気になる出店を見つけたのか、一直線にどこかへ向かっている。
デュークは慌ててそれを追いかけて行った。
リリアーデに向けられていた、不躾で不快な視線が無くなったことを感じる。
デュークとだけ一緒ならば、あの二人は婚約者ではなくちゃんと兄妹に見えるはずだ。
「さ、僕らはどこに行く?さっさと移動しないと、ラストダンスのお誘いばりに声かけられそうなんだよね。」
先程までの不愉快な視線が無くなったのはいいが、今度は獲物を狙う肉食獣のような視線を感じる。
グダグダしているより、移動しているほうが被害に合わなくて済みそうだ。
その女性達からの視線は、幼馴染達も感じているらしい。
「ご飯……よりも、ここを離れたいよね。」
「皆で生野菜かじろうぜ。流石に調理は出来ないしさ。」
「たまにはいーねー。」
「じゃあ昼飯はそれだな。で、どこで食べる?別行動にせよ何にせよ、まずは移動しないとだろ。」
「アシェの次兄のところに行こう。今は第三演習場に居るはずだ。」
アークエイドの案に、結局アシェル達も第三演習場に向かうことになった。
アルフォードが居るのは一般人の居る観客席ではなく、学生しか入れないようにしているエリアなので、皆で押しかけてもゆっくりできるだろう。
でも一つだけ、アークエイドに確認しておかないといけない事がある。
「ねぇ、アーク。今日はアン兄様、一人で来てたのかな?」
「だと思うぞ。執事喫茶なんて、一人じゃ入りにくくて次兄と一緒に来たんだろ。」
「ふふ、そっか、そうだよね。……アル兄様のところでは静かにしててね。」
「それは俺じゃなくて、あいつらだろ。」
そんなアークエイドの言葉には答えず、アシェルはただ微笑んだ。
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