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第二章 王立学院中等部一年生
81 学院祭とキルルのお願い①
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Side:アシェル13歳 冬
王立学院祭の一般公開最終日。
今日の執事喫茶も大盛況のまま昼過ぎには終わりを迎え、残るは後夜祭だけとなった。
一般公開初日に人目を気にしていたアシェル達は、一般公開日二日目から今日までの三日間、【シーズンズ】の助っ人と共に学院祭を周っていた。
王都組の元にはイザベル、ユーリ、ミルルが。
辺境組の元にはティエリア、カナリアが。
それぞれパートナーが居るグループであるかのように振舞う為に、アシェルの要請に応じて協力してくれていた。
王都組の女性陣が3人なのは、頭数を揃えるのが難しかったせいでもある。
だが一番の理由は、アークエイドが明らかに王族のため、下手にパートナー役を用意しない方が良いと判断してのことだ。
まかり間違って、王族が婚約者以外と遊んでいるなんていう噂が立っては困る。
「はぁ、それにしても残念ですわ。ご一緒できるのが今日までなんて。」
サファイアブルーの瞳を物憂げに伏せて、ユーリがため息を吐く。
「普段は学年が違うから、授業も一緒に受けれないですもんねぇ。でも、この三日間を間近で観れたのは収穫です!もう今すぐにでも机に向かって——っ!」
今にも余計なことを口走りそうなミルルの唇に、人差し指を押し当てる。
サッと頬を染めたミルルがこれ以上口を開かないことを確認し、指を離したアシェルは微笑みかけた。
「それ以上は言っちゃダメって言ったよね。ご褒美あげれなくなっちゃうよ?」
「ごめんなさい。それは困ります!黙りますので!!」
「うふふ。あまりミルルさんを揶揄ってはいけませんよ、アシェル様。本人は初心なんですから。」
慌てて両手で口を覆ったミルルを、ユーリは楽しそうな表情で笑ってみている。
その二人をアシェルが微笑んでみている。
そんな中一人蚊帳の外のアークエイドが、アシェルにジトっとした視線を向けた。
「“ご褒美”ってなんだ?」
「学院祭の間、僕達の為に時間を使ってもらうのに、対価無しなんて失礼でしょう?」
「そう言うことを言ってるんじゃない。“ご褒美”の内容を言えと言ってるんだ。今度は何を約束したんだ。」
内容を言いたくなくて濁したことは分かったようで、具体的な質問に変えられた。
こんなちょっとしたやり取りも協力者の二人は楽しいようで、好奇心いっぱいの瞳がキラキラと輝いている。
ちなみにイザベルは傍観者に徹していた。
【シーズンズ】の活動についてはなんとなく知っているようだが、契約魔法を使ってまで見たいほどの興味はないらしい。
「何の話してるんだ?ほれ、目ぼしいものは買って来たぞ。」
「なんか面白い話ー?」
そこにそれぞれ屋台で買ったご飯をぶら下げたエラートとマリクが戻ってくる。
手提げ袋には、焼き鳥串に焼きトウモロコシ、焼きおにぎり。
あとはデザート枠なのであろう梅が枝餅のような焼いた餡子入りの餅と、回転焼きを買ってきたようだ。
「ユーリ嬢とミルル嬢の協力を仰ぐのに、アシェが何か“ご褒美”をあげるのを約束しているみたいでな。」
イザベルが二人から焼き鳥串の袋を受け取って開いてくれたので、その中から一つ選んで一口かじった。
問題がないことを確認して、食べかけのそれをアークエイドに手渡す。
「焼き鳥は皆さんどうぞ。他のは皆が食べ終わってからにするね。」
アシェルが許可を出すと、皆それぞれ焼き鳥串を取り食べ始める。
食べながら寮の四号棟の裏にある庭園へ向かう。
景色もなかなかで、ちょっとゆっくりするのに便利なスペースだ。
「へぇ、アシェが約束したんだ。そりゃ気になるな。」
「ごほーびってなんなの?」
「それを聞いてたんだ。」
三人から問われてしまう。
「協力してくれたご令嬢の言うことを一つだけ聞く、だよ。“ご褒美”の内容。あ、もちろん、僕に出来ることだけだからね?」
「おい、なんでそんな中身の決まってない約束してるんだ。もう少し考——。」
「もーやっぱりアークは怒るじゃないか。だから言いたくなかったんだよ。出来る事しかしないから大丈夫だって。」
アシェルはそう言いながら、全員が焼き鳥串を食べ終わりそうなのを見て、今度は焼きトウモロコシを味見する。
「これもいいよ。」
アシェルの言葉に合わせてトウモロコシが人の手に渡る。
アシェルもアークエイドに食べかけのトウモロコシを渡した。
「アークは心配性だねー。」
「アシェに出来ることなら良いんじゃねーの?」
二人の楽観的な言葉に、アークエイドは言い返すこともできずにぎゅっと握りこぶしを作る。
シオンとはキスする約束をしていた。
今回だって協力者がキスを望めば、恐らく当たり前のように与えてやるのだろう。
デート程度で済めばいいが、熱狂的なファンの場合、身体の関係を要求する場合だってあるのだ。
「アークエイド殿下はアシェル様が心配ですのね。うふふ、お望みのご要望でもよろしくてよ?」
可愛らしい笑顔を浮かべたユーリが、アシェルに腕を絡めるようにして体重をかけてくる。
移動中でなかったらしなだれかかっていたのだろう。
「ユーリ嬢!」
咎めるようなアークエイドの声を聴きながら、アシェルはユーリの腰に手を回す。
「ふふ、可愛いレディのお願いなら、なんでも聞いてしまいそうだよ。」
「アシェまで……!」
いつもより素直に感情を顕わにするアークエイドの姿に、ユーリと笑い合う。
きっとアークエイドには、二人がお互いに微笑み合っているように見えているのだろうが、アシェルもユーリもアークエイドの反応が楽しくて笑っているだけだ。
「ずっと思ってたけど、ユーリ先輩ってアシェに似たタイプだよな。」
「二人とも楽しそーだねー。」
「アークエイド様は、アシェル様とユーリ様に揶揄われていることに、気付いておられないようですけどね。」
「楽しそうですよね、眼福です!」
その様子を見守っていた外野の声に、アークエイドの耳が赤く染まった。
珍しく分かりやすい照れた姿だ。
「あらあら、バレてしまいましたねぇ。」
「だね。可愛い反応だったのに残念。」
「お前ら……!」
クスクスと笑うアシェルとユーリに、アークエイドは悔しそうな視線だけ寄越した。
するりとユーリが腕から離れたので、次は焼きおにぎりの味見をする。
「うん、香ばしくて美味しいね。これもいいよ。はい、アーク。」
皆がそれぞれ焼きおにぎりを手に取る中、アシェルはアークエイドの口元に食べかけの焼きおにぎりを差し出す。
アークエイドが受け取ろうと手を伸ばしたので、その手からひょいっと逃げた。
「僕がレディ達ばかりに構うから、寂しかったんでしょ?だから、あーん。」
「寂しい訳じゃないっ!」
クスクスと笑って焼きおにぎりを差し出すアシェル。
アークエイドは否定しながらも、耳を真っ赤にしたまま焼きおにぎりにパクッとかぶりついた。
「ふふ、素直じゃないなぁ。」
「……俺が食べるまで粘るつもりだっただ、んぐぅ。」
「正解。はい、残りもどうぞ。」
悔しそうに言うアークエイドの口に、残りの焼きおにぎりを押し付け、その手に持ったのを確認して手放した。
ふざけながら歩いていたので時間はかかったが、いつも寝室から見える庭園に辿り着く。
「アシェ、ご機嫌だねー。」
「うん、楽しいからね。」
「アシェル様に協力してくれている、二人の先輩も楽しそうですね。」
「ベルもなんとなくは知ってるでしょ?」
「つまりアークはファンサービスに巻き込まれたんだな。」
「“ご褒美”は別にあげるつもりだけど、とりあえずこの三日間付き合ってくれたお駄賃かな。」
庭園の片隅でユーリとミルルは顔を突き合わせて、何やらキャーキャーと盛り上がっている。
キャーキャー言ってるのはミルルだけだが。
「俺を巻き込むな。」
心無しかぐったりした様子のアークエイドに言われる。
「だって僕らのファンなんだもの。それに、僕は楽しいよ?」
「俺は楽しくない。」
「あ、皆の前で甘やかされるのが恥ずかしかった?それなら今度二人っき——。」
「そういうことじゃないっ!」
年相応の少年のように、感情を表情に出す珍しいアークエイドの姿に、幼馴染達は笑う。
ユーリが従姉ということもあってか、幼馴染以外が近くに居るのに、この三日間のアークエイドは比較的感情表現が豊かだ。
それをアシェルとユーリが面白がって、揶揄う姿がちょくちょく見かけられた。
そんな和やかな空気の中、アシェルの探査魔法に真っすぐにこちらに向かってくる反応がある。
学院祭の間、あまり人が来ない穴場ではあるが、たまに人が来ることはある。
だが一人で来るかと言われれば、それなら寮に戻るだろう。何より身のこなしが普通ではない。
「エト。アークの傍から離れないでね。」
スッと笑顔を引っ込めて冷たい瞳と声をしたアシェルに、場の雰囲気がピリッとしたものに変わる。
イザベルは先輩二人を呼び連れて、こちらに戻ってくる。
そんな張り詰めた空気の中、構えていたマリクが首を傾げた。
「あれ?かーさんの匂いな気がするー。」
「“気がするー”じゃないよ、バカ息子。母親の匂いくらいハッキリ判るでしょうに。」
アシェル達を刺激しないためか、少し離れたところから声がし、キルルの姿が見えるようになった。
その良く知る姿を見て、緊迫した空気が一瞬で霧散する。
「キルル様でしたか。すみません。」
誰が来たのか分からなかったアシェルが眉を下げる。
それを見ながら近づいてくるキルルは、良いの良いの、と手を振った。
「アシェルを見てると、学院時代のアベルを思い出すわね。メイディーらしいし、今日は先に攻撃されても文句言えない状態だったから良いのよ。」
そう言って、何故魔法で身を隠してきたのかを説明してくれる。
「これでも冒険者としてそこそこ名を挙げてるからね。こういう人が沢山いるところじゃ目立つのよ。普段は気にしないけど、あまり騒がれたくないときは困るわねぇ。」
「で、かーさんは何しに来たのー?俺達の出し物、もう終わっちゃったよー?」
「あぁ、別にマリクを見に来たわけじゃないよ。ちょっとお仕事のお話さ、アシェルにね。」
急に自分の名前が挙がったことに、今度はアシェルが首を傾げる。
「僕にですか?」
「そう。寮の食堂に談話室があるでしょう。そこで話を聞いてもらえるかしら?」
いまいち話の流れが見えないまま、その場に居た全員で顔を見合わせ、キルルに従って四号棟の食堂に移動したのだった。
談話室の使用申請を出して、そこに入る前にアシェルは梅が枝餅のようなものと、カスタードが入っていた回転焼きの味見だけしておく。
待ち時間に食べてもらうためだ。
「どっちもいいよ。でも、レンジがそこにあるし、温めたほうが美味しいかも。」
室内ならばと、『ストレージ』から皿を数枚取り出し置いておく。
アークエイドの分だけ一皿にまとめて、かじりかけを置いておいた。
「そういうところを見ると本当に懐かしいねぇ。さて、アシェルを借りていくよ。」
「じゃあ、話聞いてくるね。皆移動しても良いけど、アークだけは置いていってね。離れられると面倒だから。」
アシェルも一言言い残し、キルルの潜った談話室の扉を潜る。
そして、こじんまりとした小部屋の中の椅子に腰かける。
こじんまりといっても六畳くらいはありそうな部屋だ。
高位貴族から見たら狭く感じるだろうなと思う、アシェルにとっては程よく狭いシンプルな部屋である。
「皆の前で言えないお仕事の話とのことですが、内密な話ですか?それでしたら、私の方で防音をかけますが。」
椅子に座った瞬間に、先程までの微笑みからキリっとした表情に変わったアシェルに、キルルは笑みを浮かべた。
「えぇ、お願いできるかしら。」
「了承しました。空気を震わす音よ。風の囁きよ。我が言の葉を守り給え『防音』。これで外に音が漏れることはありません。」
「ありがとう。この辺りもしっかり教育されているのね。」
「跡継ぎではありませんが、メイディーの一員ですので。」
詠唱を短縮せずに口頭で使用するのは、相手にもきっちり魔法の使用を伝えるためだ。
それと同時に、最低限の強度を示すためでもある。
「じゃあ、さっそく本題に入りたいのだけれど……その前に。アシェル、貴女は今、好きな人か恋人はいるかしら?」
仕事の話だと聞いていたのに、いきなりキルルの口から出た世間話ともいえる言葉。
あまりにも唐突な話題にアシェルは面食らう。
「いませんが……それが仕事の話とどう関係が?」
「じゃあ、話を進めることが出来るわね。これでアークエイド殿下やあの兄弟を好きって言われたら、この話は無しにするところだったのだけど。」
その名前に共通する内容に、思い当たりのあるアシェルの眉がピクリと動く。
(あの兄弟って、もしかしなくてもミルトンの。でも、だとしたら……。)
アシェルがあの三人に手を出されたのは、どれも学院内で。
なんなら目撃者はアークエイドだけで、いずれも二人っきりの時に起きているはずだ。
一部の事情を知るイザベルが話したとも考えにくい。
アークエイドだけが全てを知っているが、それこそ他人に話したとは考えにくい。
「ふふ、あたしが知ってることが不思議って顔をしてるねぇ。アシェルが学院に入学してから、この依頼を出すかどうか迷ってたから、情報収集だけはしてたのよ。」
なんでもないことのように言うキルルに、アシェルの眉根が寄る。
「気付きませんでした。まさか密偵が居たなんて。」
「当たり前よ。別に殿下の情報収集をしていたわけじゃないし、一定以上の距離には近づかないようにさせていたからね。アシェルに気付かれないように、かなり気を使ってるわ。あぁ、もう居ないから大丈夫だからね。アベルとも相談して、気付かれないギリギリを狙ったんだから。今後の生活で、今日みたいに探査魔法を行使し続けるのは止めなさいよ。」
学院内でも警戒度を上げるべきだろうかと、悩んでいたことを見抜いたかのようにキルルが言う。
しかもその中に聞き流してはいけない名前があった。
「……お父様が、一枚かんでるんですか?」
「えぇ。じゃないと、アシェルに気付かれずに情報収集なんて無理よ。」
それなら本当にバレないギリギリを狙ったのだろう。
それを実現する密偵の実力もなかなかのものだが。
「……内容的に、どこまでご存知でしょうか。」
「アベルには、男として学院に通っているアシェルが、男にモテモテって事しか話してないわよ。あとは、ファンのご令嬢達と仲良くやってるってことくらいね。あたしが知ってることまでは言わない方が良いと思ったからね。一つアドバイスするなら——所有印は創傷治癒で消えるわよ?兄の方は、わざわざ消さずに残しているって思ったみたいだけれどね。」
悪戯っぽく笑ったキルルの表情と言葉に、かなり深いところまで知られていることを知る。
それにアベルには話していないだけだ。何も知らないとは思わない方が良いのかもしれない。
所有印の治療については、すっかり時間経過でしか消えないものだと思っていたが。
「くそっ、そうか。結局は内出血だから……気付かなかった。」
握りこぶしを作り悔しそうに表情を歪めるアシェルを、キルルは楽しそうに見ている。
「まぁ、色々と知っている、っていうのを前提に置いて手紙を読んで貰えるかしら。あたしとアベル、アンジーで話した内容と、仕事についてまとめてあるわ。もちろん、読んだうえで断ってもらっても結構よ。」
そう言ってキルルは、テイル家の家紋で封蝋がされた手紙を手渡してくる。
「お預かりします。」
手紙を受け取り、『ストレージ』から取り出したペーパーナイフでその口を開いた。
そして便箋に書かれている文字に目を通した。
王立学院祭の一般公開最終日。
今日の執事喫茶も大盛況のまま昼過ぎには終わりを迎え、残るは後夜祭だけとなった。
一般公開初日に人目を気にしていたアシェル達は、一般公開日二日目から今日までの三日間、【シーズンズ】の助っ人と共に学院祭を周っていた。
王都組の元にはイザベル、ユーリ、ミルルが。
辺境組の元にはティエリア、カナリアが。
それぞれパートナーが居るグループであるかのように振舞う為に、アシェルの要請に応じて協力してくれていた。
王都組の女性陣が3人なのは、頭数を揃えるのが難しかったせいでもある。
だが一番の理由は、アークエイドが明らかに王族のため、下手にパートナー役を用意しない方が良いと判断してのことだ。
まかり間違って、王族が婚約者以外と遊んでいるなんていう噂が立っては困る。
「はぁ、それにしても残念ですわ。ご一緒できるのが今日までなんて。」
サファイアブルーの瞳を物憂げに伏せて、ユーリがため息を吐く。
「普段は学年が違うから、授業も一緒に受けれないですもんねぇ。でも、この三日間を間近で観れたのは収穫です!もう今すぐにでも机に向かって——っ!」
今にも余計なことを口走りそうなミルルの唇に、人差し指を押し当てる。
サッと頬を染めたミルルがこれ以上口を開かないことを確認し、指を離したアシェルは微笑みかけた。
「それ以上は言っちゃダメって言ったよね。ご褒美あげれなくなっちゃうよ?」
「ごめんなさい。それは困ります!黙りますので!!」
「うふふ。あまりミルルさんを揶揄ってはいけませんよ、アシェル様。本人は初心なんですから。」
慌てて両手で口を覆ったミルルを、ユーリは楽しそうな表情で笑ってみている。
その二人をアシェルが微笑んでみている。
そんな中一人蚊帳の外のアークエイドが、アシェルにジトっとした視線を向けた。
「“ご褒美”ってなんだ?」
「学院祭の間、僕達の為に時間を使ってもらうのに、対価無しなんて失礼でしょう?」
「そう言うことを言ってるんじゃない。“ご褒美”の内容を言えと言ってるんだ。今度は何を約束したんだ。」
内容を言いたくなくて濁したことは分かったようで、具体的な質問に変えられた。
こんなちょっとしたやり取りも協力者の二人は楽しいようで、好奇心いっぱいの瞳がキラキラと輝いている。
ちなみにイザベルは傍観者に徹していた。
【シーズンズ】の活動についてはなんとなく知っているようだが、契約魔法を使ってまで見たいほどの興味はないらしい。
「何の話してるんだ?ほれ、目ぼしいものは買って来たぞ。」
「なんか面白い話ー?」
そこにそれぞれ屋台で買ったご飯をぶら下げたエラートとマリクが戻ってくる。
手提げ袋には、焼き鳥串に焼きトウモロコシ、焼きおにぎり。
あとはデザート枠なのであろう梅が枝餅のような焼いた餡子入りの餅と、回転焼きを買ってきたようだ。
「ユーリ嬢とミルル嬢の協力を仰ぐのに、アシェが何か“ご褒美”をあげるのを約束しているみたいでな。」
イザベルが二人から焼き鳥串の袋を受け取って開いてくれたので、その中から一つ選んで一口かじった。
問題がないことを確認して、食べかけのそれをアークエイドに手渡す。
「焼き鳥は皆さんどうぞ。他のは皆が食べ終わってからにするね。」
アシェルが許可を出すと、皆それぞれ焼き鳥串を取り食べ始める。
食べながら寮の四号棟の裏にある庭園へ向かう。
景色もなかなかで、ちょっとゆっくりするのに便利なスペースだ。
「へぇ、アシェが約束したんだ。そりゃ気になるな。」
「ごほーびってなんなの?」
「それを聞いてたんだ。」
三人から問われてしまう。
「協力してくれたご令嬢の言うことを一つだけ聞く、だよ。“ご褒美”の内容。あ、もちろん、僕に出来ることだけだからね?」
「おい、なんでそんな中身の決まってない約束してるんだ。もう少し考——。」
「もーやっぱりアークは怒るじゃないか。だから言いたくなかったんだよ。出来る事しかしないから大丈夫だって。」
アシェルはそう言いながら、全員が焼き鳥串を食べ終わりそうなのを見て、今度は焼きトウモロコシを味見する。
「これもいいよ。」
アシェルの言葉に合わせてトウモロコシが人の手に渡る。
アシェルもアークエイドに食べかけのトウモロコシを渡した。
「アークは心配性だねー。」
「アシェに出来ることなら良いんじゃねーの?」
二人の楽観的な言葉に、アークエイドは言い返すこともできずにぎゅっと握りこぶしを作る。
シオンとはキスする約束をしていた。
今回だって協力者がキスを望めば、恐らく当たり前のように与えてやるのだろう。
デート程度で済めばいいが、熱狂的なファンの場合、身体の関係を要求する場合だってあるのだ。
「アークエイド殿下はアシェル様が心配ですのね。うふふ、お望みのご要望でもよろしくてよ?」
可愛らしい笑顔を浮かべたユーリが、アシェルに腕を絡めるようにして体重をかけてくる。
移動中でなかったらしなだれかかっていたのだろう。
「ユーリ嬢!」
咎めるようなアークエイドの声を聴きながら、アシェルはユーリの腰に手を回す。
「ふふ、可愛いレディのお願いなら、なんでも聞いてしまいそうだよ。」
「アシェまで……!」
いつもより素直に感情を顕わにするアークエイドの姿に、ユーリと笑い合う。
きっとアークエイドには、二人がお互いに微笑み合っているように見えているのだろうが、アシェルもユーリもアークエイドの反応が楽しくて笑っているだけだ。
「ずっと思ってたけど、ユーリ先輩ってアシェに似たタイプだよな。」
「二人とも楽しそーだねー。」
「アークエイド様は、アシェル様とユーリ様に揶揄われていることに、気付いておられないようですけどね。」
「楽しそうですよね、眼福です!」
その様子を見守っていた外野の声に、アークエイドの耳が赤く染まった。
珍しく分かりやすい照れた姿だ。
「あらあら、バレてしまいましたねぇ。」
「だね。可愛い反応だったのに残念。」
「お前ら……!」
クスクスと笑うアシェルとユーリに、アークエイドは悔しそうな視線だけ寄越した。
するりとユーリが腕から離れたので、次は焼きおにぎりの味見をする。
「うん、香ばしくて美味しいね。これもいいよ。はい、アーク。」
皆がそれぞれ焼きおにぎりを手に取る中、アシェルはアークエイドの口元に食べかけの焼きおにぎりを差し出す。
アークエイドが受け取ろうと手を伸ばしたので、その手からひょいっと逃げた。
「僕がレディ達ばかりに構うから、寂しかったんでしょ?だから、あーん。」
「寂しい訳じゃないっ!」
クスクスと笑って焼きおにぎりを差し出すアシェル。
アークエイドは否定しながらも、耳を真っ赤にしたまま焼きおにぎりにパクッとかぶりついた。
「ふふ、素直じゃないなぁ。」
「……俺が食べるまで粘るつもりだっただ、んぐぅ。」
「正解。はい、残りもどうぞ。」
悔しそうに言うアークエイドの口に、残りの焼きおにぎりを押し付け、その手に持ったのを確認して手放した。
ふざけながら歩いていたので時間はかかったが、いつも寝室から見える庭園に辿り着く。
「アシェ、ご機嫌だねー。」
「うん、楽しいからね。」
「アシェル様に協力してくれている、二人の先輩も楽しそうですね。」
「ベルもなんとなくは知ってるでしょ?」
「つまりアークはファンサービスに巻き込まれたんだな。」
「“ご褒美”は別にあげるつもりだけど、とりあえずこの三日間付き合ってくれたお駄賃かな。」
庭園の片隅でユーリとミルルは顔を突き合わせて、何やらキャーキャーと盛り上がっている。
キャーキャー言ってるのはミルルだけだが。
「俺を巻き込むな。」
心無しかぐったりした様子のアークエイドに言われる。
「だって僕らのファンなんだもの。それに、僕は楽しいよ?」
「俺は楽しくない。」
「あ、皆の前で甘やかされるのが恥ずかしかった?それなら今度二人っき——。」
「そういうことじゃないっ!」
年相応の少年のように、感情を表情に出す珍しいアークエイドの姿に、幼馴染達は笑う。
ユーリが従姉ということもあってか、幼馴染以外が近くに居るのに、この三日間のアークエイドは比較的感情表現が豊かだ。
それをアシェルとユーリが面白がって、揶揄う姿がちょくちょく見かけられた。
そんな和やかな空気の中、アシェルの探査魔法に真っすぐにこちらに向かってくる反応がある。
学院祭の間、あまり人が来ない穴場ではあるが、たまに人が来ることはある。
だが一人で来るかと言われれば、それなら寮に戻るだろう。何より身のこなしが普通ではない。
「エト。アークの傍から離れないでね。」
スッと笑顔を引っ込めて冷たい瞳と声をしたアシェルに、場の雰囲気がピリッとしたものに変わる。
イザベルは先輩二人を呼び連れて、こちらに戻ってくる。
そんな張り詰めた空気の中、構えていたマリクが首を傾げた。
「あれ?かーさんの匂いな気がするー。」
「“気がするー”じゃないよ、バカ息子。母親の匂いくらいハッキリ判るでしょうに。」
アシェル達を刺激しないためか、少し離れたところから声がし、キルルの姿が見えるようになった。
その良く知る姿を見て、緊迫した空気が一瞬で霧散する。
「キルル様でしたか。すみません。」
誰が来たのか分からなかったアシェルが眉を下げる。
それを見ながら近づいてくるキルルは、良いの良いの、と手を振った。
「アシェルを見てると、学院時代のアベルを思い出すわね。メイディーらしいし、今日は先に攻撃されても文句言えない状態だったから良いのよ。」
そう言って、何故魔法で身を隠してきたのかを説明してくれる。
「これでも冒険者としてそこそこ名を挙げてるからね。こういう人が沢山いるところじゃ目立つのよ。普段は気にしないけど、あまり騒がれたくないときは困るわねぇ。」
「で、かーさんは何しに来たのー?俺達の出し物、もう終わっちゃったよー?」
「あぁ、別にマリクを見に来たわけじゃないよ。ちょっとお仕事のお話さ、アシェルにね。」
急に自分の名前が挙がったことに、今度はアシェルが首を傾げる。
「僕にですか?」
「そう。寮の食堂に談話室があるでしょう。そこで話を聞いてもらえるかしら?」
いまいち話の流れが見えないまま、その場に居た全員で顔を見合わせ、キルルに従って四号棟の食堂に移動したのだった。
談話室の使用申請を出して、そこに入る前にアシェルは梅が枝餅のようなものと、カスタードが入っていた回転焼きの味見だけしておく。
待ち時間に食べてもらうためだ。
「どっちもいいよ。でも、レンジがそこにあるし、温めたほうが美味しいかも。」
室内ならばと、『ストレージ』から皿を数枚取り出し置いておく。
アークエイドの分だけ一皿にまとめて、かじりかけを置いておいた。
「そういうところを見ると本当に懐かしいねぇ。さて、アシェルを借りていくよ。」
「じゃあ、話聞いてくるね。皆移動しても良いけど、アークだけは置いていってね。離れられると面倒だから。」
アシェルも一言言い残し、キルルの潜った談話室の扉を潜る。
そして、こじんまりとした小部屋の中の椅子に腰かける。
こじんまりといっても六畳くらいはありそうな部屋だ。
高位貴族から見たら狭く感じるだろうなと思う、アシェルにとっては程よく狭いシンプルな部屋である。
「皆の前で言えないお仕事の話とのことですが、内密な話ですか?それでしたら、私の方で防音をかけますが。」
椅子に座った瞬間に、先程までの微笑みからキリっとした表情に変わったアシェルに、キルルは笑みを浮かべた。
「えぇ、お願いできるかしら。」
「了承しました。空気を震わす音よ。風の囁きよ。我が言の葉を守り給え『防音』。これで外に音が漏れることはありません。」
「ありがとう。この辺りもしっかり教育されているのね。」
「跡継ぎではありませんが、メイディーの一員ですので。」
詠唱を短縮せずに口頭で使用するのは、相手にもきっちり魔法の使用を伝えるためだ。
それと同時に、最低限の強度を示すためでもある。
「じゃあ、さっそく本題に入りたいのだけれど……その前に。アシェル、貴女は今、好きな人か恋人はいるかしら?」
仕事の話だと聞いていたのに、いきなりキルルの口から出た世間話ともいえる言葉。
あまりにも唐突な話題にアシェルは面食らう。
「いませんが……それが仕事の話とどう関係が?」
「じゃあ、話を進めることが出来るわね。これでアークエイド殿下やあの兄弟を好きって言われたら、この話は無しにするところだったのだけど。」
その名前に共通する内容に、思い当たりのあるアシェルの眉がピクリと動く。
(あの兄弟って、もしかしなくてもミルトンの。でも、だとしたら……。)
アシェルがあの三人に手を出されたのは、どれも学院内で。
なんなら目撃者はアークエイドだけで、いずれも二人っきりの時に起きているはずだ。
一部の事情を知るイザベルが話したとも考えにくい。
アークエイドだけが全てを知っているが、それこそ他人に話したとは考えにくい。
「ふふ、あたしが知ってることが不思議って顔をしてるねぇ。アシェルが学院に入学してから、この依頼を出すかどうか迷ってたから、情報収集だけはしてたのよ。」
なんでもないことのように言うキルルに、アシェルの眉根が寄る。
「気付きませんでした。まさか密偵が居たなんて。」
「当たり前よ。別に殿下の情報収集をしていたわけじゃないし、一定以上の距離には近づかないようにさせていたからね。アシェルに気付かれないように、かなり気を使ってるわ。あぁ、もう居ないから大丈夫だからね。アベルとも相談して、気付かれないギリギリを狙ったんだから。今後の生活で、今日みたいに探査魔法を行使し続けるのは止めなさいよ。」
学院内でも警戒度を上げるべきだろうかと、悩んでいたことを見抜いたかのようにキルルが言う。
しかもその中に聞き流してはいけない名前があった。
「……お父様が、一枚かんでるんですか?」
「えぇ。じゃないと、アシェルに気付かれずに情報収集なんて無理よ。」
それなら本当にバレないギリギリを狙ったのだろう。
それを実現する密偵の実力もなかなかのものだが。
「……内容的に、どこまでご存知でしょうか。」
「アベルには、男として学院に通っているアシェルが、男にモテモテって事しか話してないわよ。あとは、ファンのご令嬢達と仲良くやってるってことくらいね。あたしが知ってることまでは言わない方が良いと思ったからね。一つアドバイスするなら——所有印は創傷治癒で消えるわよ?兄の方は、わざわざ消さずに残しているって思ったみたいだけれどね。」
悪戯っぽく笑ったキルルの表情と言葉に、かなり深いところまで知られていることを知る。
それにアベルには話していないだけだ。何も知らないとは思わない方が良いのかもしれない。
所有印の治療については、すっかり時間経過でしか消えないものだと思っていたが。
「くそっ、そうか。結局は内出血だから……気付かなかった。」
握りこぶしを作り悔しそうに表情を歪めるアシェルを、キルルは楽しそうに見ている。
「まぁ、色々と知っている、っていうのを前提に置いて手紙を読んで貰えるかしら。あたしとアベル、アンジーで話した内容と、仕事についてまとめてあるわ。もちろん、読んだうえで断ってもらっても結構よ。」
そう言ってキルルは、テイル家の家紋で封蝋がされた手紙を手渡してくる。
「お預かりします。」
手紙を受け取り、『ストレージ』から取り出したペーパーナイフでその口を開いた。
そして便箋に書かれている文字に目を通した。
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【ご報告】
2月28日より、第五章の連載を再開いたします。毎週金・土・日の20時に更新予定です。
また、誤字脱字の修正および一部表現の見直しを行いました。ただし、記載内容の趣旨に大きな変更はございません。
引き続きよろしくお願いいたします。
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