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第三章 王立学院中等部二年生
173 スタンピードに備える①
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Side:アシェル13歳 秋
結局メイディーへの追加発注があり、学院に戻れたのは終業式の日だった。
これは戻ったと言っていいのだろうか。
冒険者ギルドの様子を時々確認しに行っているらしいエラートとマリクによると、もういつスタンピードが起こってもおかしくないらしく、冒険者へは待機命令が出ているそうだ。
王都に自宅を持つ者は自宅に、そうでない者は宿に泊まっている。
ダンジョンへも入れず収入が無くなる彼らには、荷運びなど簡単な仕事が斡旋されるのと、国庫負担で宿代と食事代代わりのチケットが配布されているらしい。
これは冒険者ギルドで、冒険者タグを提示することで貰えるそうだ。
いつもはすぐに領地に帰る辺境組だが、リリアーデとデュークはスタンピードに備えて残るらしい。許可も取っているとのことだ。
ノアールとエトワールは申し訳なさそうにしながらも、陸と海両方を守らなければいけないアスノーム領は常に人手不足らしく、領地へと帰っていった。
アシェルはもう嫌になる程邸に居たので、夏休みは寮で過ごすと伝えてある。
緊急クエストが発令した時に、自宅からより冒険者ギルドが近いのも理由だ。
夏休み初日の今日は、王都組の【宵闇のアルカナ】と、リリアーデとデュークで冒険者ギルドを訪れていた。
ビースノート帝国にランクアップに行っていた【朱の渡り鳥】が戻ってきているらしいことと、緊急クエスト発生時の注意事項を聞いたり、合同パーティーで緊急クエストを受ける場合は、事前に申請してほしいと言われているからだ。
それならと【朱の渡り鳥】と待ち合わせをしている。
アシェルはいつもの亜麻色の髪と葡萄色の瞳の冒険者スタイルで、冒険者ギルドの扉を潜る。
「アシェルさん、お久しぶりです。」
「久しぶり、トーマ。それにガルド達も。無事ランクアップは出来た?」
入ってきたアシェル達を見つけたトーマが、走り寄ってきて挨拶をしてくれる。
邪魔にならないようにスカスカの飲食スペースで、長方形のテーブルを二つくっつけて囲む。
いつもは人の多い冒険者ギルドも人がまばらだ。
ほとんど職員ばかりなのではないだろうか。
「出来たに決まってるだろ。出来てなかったら帰ってきてねぇよ。」
「それより、はじめましての方ですよね?女性の方はローブを着てらっしゃるので、魔法使いの方ですか??」
ガルドが軽口を叩くのをグイっと押しやって、魔法が大好きなアーニャがリリアーデにきらきらとした視線を向けている。
「そうだね、紹介するよ。……と言いたいところだけど、二人の登録名知らないや。自己紹介でも良い?」
恐らくデュークはそのままだが、リリアーデの登録名が分からない。
アークエイドのように愛称を登録している可能性があるのだ。
アシェルの言葉に、双子は顔を見合わせる。
「ねぇ、アシェ。知らないだけかもだけれど、この子達、私達の眼の色を見ても驚いていないわよね。もしかして知ってるの?」
シルコットの双子はどちらも魔道具を使っていないので、瞳の色は直系色のエメラルドグリーンのままだ。
一応言葉を濁したリリアーデの問いに、アシェルは頷く。
「うん。僕らの素性はトーマが言い当てたから。【朱の渡り鳥】は皆知ってるよ。」
「そうなんだ、じゃあ、私達が自己紹介したからバレるってことはないわね。私はリリアーデ・シルコット。登録はリリアーデでしてるんだけど、戦闘中にリリアーデは長いから、リリィで良いわ。」
「リリィの双子の弟で婚約者のデューク・シルコットだ。これでも僕達は、エルマン大森林で何度もスタンピードを経験している。少しは役に立てると思う。」
デュークの双子の弟なのに婚約者という単語に、ガルド達が首を傾げている。
トーマだけが訳知り顔だ。
「ふふ、リリィは“授け子”だから、血縁者との婚姻は出来るんだよ。リリィに手を出しちゃダメだからね?」
「あぁ、そういうことか。婚約者が居る、それもシルコットって上位貴族だろ。身分違いすぎるし、出す訳ねぇだろ。俺は【朱の渡り鳥】のリーダーを務めるガルドだ。よろしくな。今はパーティーの盾役だ。」
割と気軽に喋りあうアシェルとガルドに、双子は僅かに驚きを見せる。
冒険者活動中のアシェルは割とフランクな喋り方だが、それでも一線を引いたようなことを言うところしかみたことがない。
「俺はジンだ。剣士でアタッカーだ。礼儀なんて分からないが、よろしく頼む。」
「冒険者なんだから、そんなの気にしなくて良いのよ。冒険者に身分は関係ない、でしょ?」
「そう言ってもらえると助かるわ。私はユウナよ。弓で援護をしてるわ。」
「私はアーニャと言います。魔法使いです。是非リリィさんからも、魔法のお話を聞けたらと思います。」
相変わらずアーニャは魔法大好きだ。
リリアーデも「私が話せることなら。」と微笑んでいる。
「僕はトーマと言います。元サポーターですが、アシェルさんに色々教えてもらったので、今は斥候兼サポーターをしています。よろしくお願いします。」
トーマは礼儀正しくぺこりと頭を下げた。
「アシェが?」
デュークから疑問符のついた視線が飛んでくる。
「うん、前に僕ら【宵闇のアルカナ】と合同でクエストした時に、二人にストレージと解除、それからトーマには探査魔法の使い方を教えてあげたよ。サポーターをしてる時のトーマは無意識に身体強化を使ってる魔力持ちだったから、元から素質はあったんだ。」
「ガルド達の戦闘スタイルは、俺達と同じような感じだぜ。俺達がその方が良いって教えたんだけどよ。」
「そーそー。皆筋が良かったから、実力はそれなりにあると思ってもらっていいよー。」
エラートとマリクまで何か教えていたのかと、デュークが眼を丸くした。
今日は双子の驚くことばかりだ。
「トーマはアシェのお気に入りだ。アシェの為に、合同クエスト中だけ稽古をつけてやっただけだ。」
アークエイドの補足に、立ち上がったデュークがグイっとアークエイドの腕を掴んで、壁際へと連れていかれる。
「お気に入りってどういうことだ?惚れてるとかそういうことか?」
小さな声で心配そうにデュークは言うが、アークエイドは首を振る。
「恋愛的なものじゃない。でも、あのアシェが初めて会った時から、世話を焼いてる。きっと冒険者だったら、間違いなくトーマを拾っていたと思う。確かにアシェが気に入るだけあってよく気も効くし、サポーターとして優秀な人材だ。それに、さっきの双子で婚約者発言にも、トーマだけ困惑してなかっただろ。」
「あぁ、確かに……。なるほど、そういうところがアシェに気に入られたのか。」
「一番は眼らしいけどな。初めて会った時から今まで、一度もアシェの嫌な眼を向けられたことが無いらしい。ガルド達はトーマが居て、彼らも良い奴らだったから仲が良いみたいだ。」
「そうか……とりあえず、僕が心配しているような状態じゃないんだな?」
「あぁ。アシェは未だに“特別な好き”が分からないままらしいからな。トーマの方も、特別な感情は無いように見える。」
「いきなり引っ張ってきて悪かったな。」
ギルドの片隅でこそこそと相談していた二人が戻ってくる。
「もう、いきなり二人で内緒話したら、相手に悪いでしょ。」
「すまない。」
「悪かった。」
「とりあえず、話を進めましょう。私達三組のパーティーで、スタンピードに対応する、ってことで良いのよね?」
リリアーデの確認に、アシェルは頷く。
「うん。スタンピードの経験は無いけど、僕らのバランスはとてもいいと思うんだ。タンク役のエトとガルド。近接アタッカーのデュークとマリクとジン。中距離アタッカーのユウナ。遠距離アタッカーのリリィとアーニャ。近距離から遠距離まで、状況に合わせて戦闘スタイルを変えられる僕とアーク。そして戦いやすいようにサポートをしてくれるトーマ。」
「僕はサポートで良いんですか?」
「スタンピードは長時間に及ぶんだよね?」
アシェルが確認すれば、双子が頷いてくれる。
「最低でも、大体2~3日は続くと思ってもらった方が良いわ。長いと一週間くらいかしら。」
「第一波は足の速さの加減で、ある程度種族がまとまってやってくるが、途中からは入り混じることになる。戦うことはもちろんだが、如何に補給と休憩を挟みながら戦えるかは重要だ。」
「ってわけで、トーマは結構大事なポジションだよ。基本的には食事の用意と、備蓄のポーション管理。あとは、三の森の毒持ちは分かるよね?解毒剤は大方トーマに預けておくから、毒を貰った人が居たら届けて飲ませてあげて。」
「なるほど、分かりました。頑張りますね。」
トーマなら足も速いし、戦況を見極めるのも上手だ。
きっと上手くサポートに回ってくれるだろう。
「アシェのバフは貰えるのか?あれがあるとないとじゃ、一回で対応できる数が変わるぞ。」
「安心して、それはちゃんと常に切れないようにかけてあげるから。」
エラートがほっと胸を撫で下ろす。
タンク役が二人なので若干心許ないが、火力は十分なのでどうにか交代で凌いでもらいたい。
「仮眠って取れるかなー?」
「取れるかじゃなくて、取らなきゃダメよ。効率が落ちちゃうわ。」
「小さな結界を用意して、その中で座って仮眠するのがベストだな。大きな結界だと、維持とかけ直す魔力が無駄だ。」
「かけ直しが要らない結界があればいい?」
「……そんなこと出来るのか?」
「うん。術式次第だけど、最初にエトからたっぷり魔力を吸っていいなら、そこだけは絶対守れるくらい強力なものも作れるよ。」
にっこりと笑ったアシェルに、エラートがうげぇと顔をしかめた。
「また俺か……確かに適任なのは俺だけどよ。」
「頑張れ。」
「頑張ってー。エトなら出来るー。」
「……一体何したんだ?」
エラートを慰めるアークエイドとマリクに、デュークが首を傾げる。
「前に実験を兼ねて、エトの魔力をたっぷり使った結界を張ったんだよ。範囲と効果次第だけど、あそこまで豪華に魔力を使わなくて良いのにするから、安心して。」
「三割以下にはしないでくれよ?あれすっげぇ怠いし、頭痛かったんだから。」
「じゃあ最大で半分くらい貰おうかな。それならその後に身体強化やストレージを使っても、魔力枯渇の副作用は出ないでしょ?」
「あーうん、それなら多分大丈夫だ。」
「どれくらいの広さで、効果は何が欲しい?結界そのものは解除をかけない限り、一週間は保つようにしておくよ。」
うきうきと『ストレージ』からメモ用紙と万年筆を準備すれば、双子が必要なものを述べてくれる。
「出来れば小さい弱い奴は入れないくらいの結界に、防音と気配遮断は最低限欲しいわね。声もだけれど、やっぱり食事の匂いなんかがすると、魔物が寄ってきやすくなるから。」
「広さ的には救護スペースと、仮眠、食事の準備とそれを摂るだけのスペースが欲しい。救護スペースは、最低限二人が横になれて、左右から処置できるくらいだ。出来れば救護用に仕切りかテントが欲しい。」
「それならそこまで魔力を使わなくて済みそうだね。【朱の渡り鳥】用に作った奴みたいに、弱めの認識阻害を付けて、防音も叫べば外まで聞こえるようにしておこうか。きっちり防音しちゃうと、何かあった時に結界の外に出ないといけないから。」
そこまで難しい術式は要らないし、今までの分の応用でいけそうだ。
さらさらとメモした用紙を皆に見せるために、くっつけたテーブルの真ん中寄りに持っていく。
万年筆で大体の術式の位置を指し示しながら、今回作る予定の結界スクロールの説明をする。
「結界の説明するから、質問とか変更してほしいところがあれば後で教えてね。基本の結界強度は魔素を持つ小型の魔物……一応今回は、普段の三の森レベルでのホーンラビットやゴブリン程度までの個体なら弾けるようにするね。まぁ、三の森では滅多に出ないから、瘴気の目安くらいに考えてね。次に市販のにもついてる気配遮断。これは匂いや気配を消すのは一緒だよ。次に防音。普通の会話は結界の外に漏れないけど、叫べば外には通るレベルで、少し弱めの防音予定。次が認識阻害と幻惑。完全に解らなくなるような感じじゃなくて、そこにキャンプがあるって分かってれば問題なく視認出来るけど、何も知らないと知らず知らずのうちに避けて通ってしまう感じにするよ。だからキャンプの結界を張る時は、皆中に居てね。もし外に居たら、誰かキャンプの位置を知っている人と結界の中に入らないと休憩出来なくなるから。最後に広さだけど……一応少し大き目まで対応できるようにしておくよ。想定範囲より小さい分には問題ないから。大体総面積は、大講堂2つ分くらいが最大かな。四隅のマークと魔石を置くのは一緒で、クズ魔石を使って、エトの魔力の大体3割くらいを強制的に吸う感じにしてる。魔道具と一緒で、魔力を流し始めるだけで良いから。リリィなら……2割も要らないんじゃないかな。一週間丁度で魔力が切れるけど、日数を追加したかったらスクロールにもう一度魔力を通してくれたら、不足分だけ吸うから。面積が大きすぎたら、そもそも魔力を吸わないよ。予定より早く切り上げる時には解除で消せる。……以上、何か質問とかある?」
しっかりと用紙の上にペン先を隈なく移動させ、全員を見渡す。
「俺達はパスだ。魔法のこと言われてもさっぱりわかんねぇ。」
ガルドが早々に白旗を上げる。
「最大範囲が広すぎないか?確かに大は小を兼ねるが……。」
「そうね、それに割と魔力を持っていくわ。もう少し小さい範囲でも良いんじゃないかしら?」
デュークとリリアーデだけが意見をくれるが、その他は沈黙を守っている。
アシェルは『ストレージ』から見本にするための、普段使いの結界の術式を刻んだ粘土板を取り出す。
「僕が作る結界スクロールは、使い捨てじゃないんだよね。こんな感じで、割れなければ何度でも使えるんだ。流石に今回僕らだけでそんなに広い範囲は要らないけど、スタンピードが終わったらスクロールはリリィ達にあげようかと思って。領地で使うなら、私兵や救護隊の規模にもよるけど、大は小を兼ねた方が便利でしょ?総面積さえ超えてなければ、横長でも良いし。きっと魔石も豊富だろうから、大き目の魔石を使えば魔力持ちは結界を張れると思うよ。使いつぶして良いなら平民でもマナポーション飲ませて、何人かで満タンまで魔力を注げば良いだけだから、緊急時のキャンプ設営にも使えるね。」
「領地で……確かにそれは嬉しい申し出だけれど……。これだけ色々効果が付いてると、どれだけお礼を渡して良いのか分からないわ。」
「リリィの言う通りだ。使い捨てではないし、認識阻害と幻惑までついてるんだろう?悪用されたらどうするつもりだ?」
「お礼なんて要らないよ。領地に帰らずに緊急クエストに参加してくれる二人に、王都組からの報酬だと思ってもらったら。あと、その二つがあっても分かる人には分かるようになってるから、悪用は出来ないと思うよ。それに、作るのはほとんどタダだしね。これで問題なさそうなら、作り始めちゃって良いかな?」
双子が悩むのが内容ではなく、お礼や利用する人間についてなら、内容は問題ないということで良いだろう。
そわそわと『ストレージ』から専用の釉薬入りのペンを取り出したアシェルを見て、王都組は苦笑する。
新しいものに取り掛かるアシェルは、いつも瞳をキラキラと輝かせて楽しそうにしている。
そして、これはもう新しい結界スクロールを作るのは、確定事項になっているようだ。
「アシェが新しい術式の組み合わせを、作って試したいそうだ。」
「当日ぶっつけ本番かなー。」
「これ、本当に理論値で魔力を吸えたか、確認されるんだろうなぁ……。」
「本当に良いのかしら?」
「僕ら的には嬉しい申し出なんだが……。」
「ってことは、もう作っても良いよね。」
さっさと『土魔法』で粘土板にするための粘土を作り出し、アシェルは上機嫌に粘土をこね始める。
アシェルが適当な感覚で焼いても割れず、扱いやすい粘土を出すまでに何度も試行錯誤したが、最近ではこれだ!という粘土を出せるようになっている。実験と一緒だ。
「アシェルさんは本当に魔法がお好きですね。すぐに術式を組めるなんて、羨ましすぎます。」
「僕らにくれた結界スクロールもネックレスも、直ぐに作ってくださいましたものね。」
アーニャとトーマが、首元のガラス球を触りながら言う。
アシェルに貰ったストレージに丁度いい魔力量のみで光るガラス玉は、二人のお守り代わりになっていた。
二人とも毎晩寝る前にしっかり練習をして、感覚を忘れないようにしている。
双子はアシェルが贈り物をしていることにも驚く。
アークエイドの言う通り、本当にこのトーマという少年はアシェルのお気に入りなのだろう。
そこへ不意に、聞き慣れた第三者の声がかかった。
結局メイディーへの追加発注があり、学院に戻れたのは終業式の日だった。
これは戻ったと言っていいのだろうか。
冒険者ギルドの様子を時々確認しに行っているらしいエラートとマリクによると、もういつスタンピードが起こってもおかしくないらしく、冒険者へは待機命令が出ているそうだ。
王都に自宅を持つ者は自宅に、そうでない者は宿に泊まっている。
ダンジョンへも入れず収入が無くなる彼らには、荷運びなど簡単な仕事が斡旋されるのと、国庫負担で宿代と食事代代わりのチケットが配布されているらしい。
これは冒険者ギルドで、冒険者タグを提示することで貰えるそうだ。
いつもはすぐに領地に帰る辺境組だが、リリアーデとデュークはスタンピードに備えて残るらしい。許可も取っているとのことだ。
ノアールとエトワールは申し訳なさそうにしながらも、陸と海両方を守らなければいけないアスノーム領は常に人手不足らしく、領地へと帰っていった。
アシェルはもう嫌になる程邸に居たので、夏休みは寮で過ごすと伝えてある。
緊急クエストが発令した時に、自宅からより冒険者ギルドが近いのも理由だ。
夏休み初日の今日は、王都組の【宵闇のアルカナ】と、リリアーデとデュークで冒険者ギルドを訪れていた。
ビースノート帝国にランクアップに行っていた【朱の渡り鳥】が戻ってきているらしいことと、緊急クエスト発生時の注意事項を聞いたり、合同パーティーで緊急クエストを受ける場合は、事前に申請してほしいと言われているからだ。
それならと【朱の渡り鳥】と待ち合わせをしている。
アシェルはいつもの亜麻色の髪と葡萄色の瞳の冒険者スタイルで、冒険者ギルドの扉を潜る。
「アシェルさん、お久しぶりです。」
「久しぶり、トーマ。それにガルド達も。無事ランクアップは出来た?」
入ってきたアシェル達を見つけたトーマが、走り寄ってきて挨拶をしてくれる。
邪魔にならないようにスカスカの飲食スペースで、長方形のテーブルを二つくっつけて囲む。
いつもは人の多い冒険者ギルドも人がまばらだ。
ほとんど職員ばかりなのではないだろうか。
「出来たに決まってるだろ。出来てなかったら帰ってきてねぇよ。」
「それより、はじめましての方ですよね?女性の方はローブを着てらっしゃるので、魔法使いの方ですか??」
ガルドが軽口を叩くのをグイっと押しやって、魔法が大好きなアーニャがリリアーデにきらきらとした視線を向けている。
「そうだね、紹介するよ。……と言いたいところだけど、二人の登録名知らないや。自己紹介でも良い?」
恐らくデュークはそのままだが、リリアーデの登録名が分からない。
アークエイドのように愛称を登録している可能性があるのだ。
アシェルの言葉に、双子は顔を見合わせる。
「ねぇ、アシェ。知らないだけかもだけれど、この子達、私達の眼の色を見ても驚いていないわよね。もしかして知ってるの?」
シルコットの双子はどちらも魔道具を使っていないので、瞳の色は直系色のエメラルドグリーンのままだ。
一応言葉を濁したリリアーデの問いに、アシェルは頷く。
「うん。僕らの素性はトーマが言い当てたから。【朱の渡り鳥】は皆知ってるよ。」
「そうなんだ、じゃあ、私達が自己紹介したからバレるってことはないわね。私はリリアーデ・シルコット。登録はリリアーデでしてるんだけど、戦闘中にリリアーデは長いから、リリィで良いわ。」
「リリィの双子の弟で婚約者のデューク・シルコットだ。これでも僕達は、エルマン大森林で何度もスタンピードを経験している。少しは役に立てると思う。」
デュークの双子の弟なのに婚約者という単語に、ガルド達が首を傾げている。
トーマだけが訳知り顔だ。
「ふふ、リリィは“授け子”だから、血縁者との婚姻は出来るんだよ。リリィに手を出しちゃダメだからね?」
「あぁ、そういうことか。婚約者が居る、それもシルコットって上位貴族だろ。身分違いすぎるし、出す訳ねぇだろ。俺は【朱の渡り鳥】のリーダーを務めるガルドだ。よろしくな。今はパーティーの盾役だ。」
割と気軽に喋りあうアシェルとガルドに、双子は僅かに驚きを見せる。
冒険者活動中のアシェルは割とフランクな喋り方だが、それでも一線を引いたようなことを言うところしかみたことがない。
「俺はジンだ。剣士でアタッカーだ。礼儀なんて分からないが、よろしく頼む。」
「冒険者なんだから、そんなの気にしなくて良いのよ。冒険者に身分は関係ない、でしょ?」
「そう言ってもらえると助かるわ。私はユウナよ。弓で援護をしてるわ。」
「私はアーニャと言います。魔法使いです。是非リリィさんからも、魔法のお話を聞けたらと思います。」
相変わらずアーニャは魔法大好きだ。
リリアーデも「私が話せることなら。」と微笑んでいる。
「僕はトーマと言います。元サポーターですが、アシェルさんに色々教えてもらったので、今は斥候兼サポーターをしています。よろしくお願いします。」
トーマは礼儀正しくぺこりと頭を下げた。
「アシェが?」
デュークから疑問符のついた視線が飛んでくる。
「うん、前に僕ら【宵闇のアルカナ】と合同でクエストした時に、二人にストレージと解除、それからトーマには探査魔法の使い方を教えてあげたよ。サポーターをしてる時のトーマは無意識に身体強化を使ってる魔力持ちだったから、元から素質はあったんだ。」
「ガルド達の戦闘スタイルは、俺達と同じような感じだぜ。俺達がその方が良いって教えたんだけどよ。」
「そーそー。皆筋が良かったから、実力はそれなりにあると思ってもらっていいよー。」
エラートとマリクまで何か教えていたのかと、デュークが眼を丸くした。
今日は双子の驚くことばかりだ。
「トーマはアシェのお気に入りだ。アシェの為に、合同クエスト中だけ稽古をつけてやっただけだ。」
アークエイドの補足に、立ち上がったデュークがグイっとアークエイドの腕を掴んで、壁際へと連れていかれる。
「お気に入りってどういうことだ?惚れてるとかそういうことか?」
小さな声で心配そうにデュークは言うが、アークエイドは首を振る。
「恋愛的なものじゃない。でも、あのアシェが初めて会った時から、世話を焼いてる。きっと冒険者だったら、間違いなくトーマを拾っていたと思う。確かにアシェが気に入るだけあってよく気も効くし、サポーターとして優秀な人材だ。それに、さっきの双子で婚約者発言にも、トーマだけ困惑してなかっただろ。」
「あぁ、確かに……。なるほど、そういうところがアシェに気に入られたのか。」
「一番は眼らしいけどな。初めて会った時から今まで、一度もアシェの嫌な眼を向けられたことが無いらしい。ガルド達はトーマが居て、彼らも良い奴らだったから仲が良いみたいだ。」
「そうか……とりあえず、僕が心配しているような状態じゃないんだな?」
「あぁ。アシェは未だに“特別な好き”が分からないままらしいからな。トーマの方も、特別な感情は無いように見える。」
「いきなり引っ張ってきて悪かったな。」
ギルドの片隅でこそこそと相談していた二人が戻ってくる。
「もう、いきなり二人で内緒話したら、相手に悪いでしょ。」
「すまない。」
「悪かった。」
「とりあえず、話を進めましょう。私達三組のパーティーで、スタンピードに対応する、ってことで良いのよね?」
リリアーデの確認に、アシェルは頷く。
「うん。スタンピードの経験は無いけど、僕らのバランスはとてもいいと思うんだ。タンク役のエトとガルド。近接アタッカーのデュークとマリクとジン。中距離アタッカーのユウナ。遠距離アタッカーのリリィとアーニャ。近距離から遠距離まで、状況に合わせて戦闘スタイルを変えられる僕とアーク。そして戦いやすいようにサポートをしてくれるトーマ。」
「僕はサポートで良いんですか?」
「スタンピードは長時間に及ぶんだよね?」
アシェルが確認すれば、双子が頷いてくれる。
「最低でも、大体2~3日は続くと思ってもらった方が良いわ。長いと一週間くらいかしら。」
「第一波は足の速さの加減で、ある程度種族がまとまってやってくるが、途中からは入り混じることになる。戦うことはもちろんだが、如何に補給と休憩を挟みながら戦えるかは重要だ。」
「ってわけで、トーマは結構大事なポジションだよ。基本的には食事の用意と、備蓄のポーション管理。あとは、三の森の毒持ちは分かるよね?解毒剤は大方トーマに預けておくから、毒を貰った人が居たら届けて飲ませてあげて。」
「なるほど、分かりました。頑張りますね。」
トーマなら足も速いし、戦況を見極めるのも上手だ。
きっと上手くサポートに回ってくれるだろう。
「アシェのバフは貰えるのか?あれがあるとないとじゃ、一回で対応できる数が変わるぞ。」
「安心して、それはちゃんと常に切れないようにかけてあげるから。」
エラートがほっと胸を撫で下ろす。
タンク役が二人なので若干心許ないが、火力は十分なのでどうにか交代で凌いでもらいたい。
「仮眠って取れるかなー?」
「取れるかじゃなくて、取らなきゃダメよ。効率が落ちちゃうわ。」
「小さな結界を用意して、その中で座って仮眠するのがベストだな。大きな結界だと、維持とかけ直す魔力が無駄だ。」
「かけ直しが要らない結界があればいい?」
「……そんなこと出来るのか?」
「うん。術式次第だけど、最初にエトからたっぷり魔力を吸っていいなら、そこだけは絶対守れるくらい強力なものも作れるよ。」
にっこりと笑ったアシェルに、エラートがうげぇと顔をしかめた。
「また俺か……確かに適任なのは俺だけどよ。」
「頑張れ。」
「頑張ってー。エトなら出来るー。」
「……一体何したんだ?」
エラートを慰めるアークエイドとマリクに、デュークが首を傾げる。
「前に実験を兼ねて、エトの魔力をたっぷり使った結界を張ったんだよ。範囲と効果次第だけど、あそこまで豪華に魔力を使わなくて良いのにするから、安心して。」
「三割以下にはしないでくれよ?あれすっげぇ怠いし、頭痛かったんだから。」
「じゃあ最大で半分くらい貰おうかな。それならその後に身体強化やストレージを使っても、魔力枯渇の副作用は出ないでしょ?」
「あーうん、それなら多分大丈夫だ。」
「どれくらいの広さで、効果は何が欲しい?結界そのものは解除をかけない限り、一週間は保つようにしておくよ。」
うきうきと『ストレージ』からメモ用紙と万年筆を準備すれば、双子が必要なものを述べてくれる。
「出来れば小さい弱い奴は入れないくらいの結界に、防音と気配遮断は最低限欲しいわね。声もだけれど、やっぱり食事の匂いなんかがすると、魔物が寄ってきやすくなるから。」
「広さ的には救護スペースと、仮眠、食事の準備とそれを摂るだけのスペースが欲しい。救護スペースは、最低限二人が横になれて、左右から処置できるくらいだ。出来れば救護用に仕切りかテントが欲しい。」
「それならそこまで魔力を使わなくて済みそうだね。【朱の渡り鳥】用に作った奴みたいに、弱めの認識阻害を付けて、防音も叫べば外まで聞こえるようにしておこうか。きっちり防音しちゃうと、何かあった時に結界の外に出ないといけないから。」
そこまで難しい術式は要らないし、今までの分の応用でいけそうだ。
さらさらとメモした用紙を皆に見せるために、くっつけたテーブルの真ん中寄りに持っていく。
万年筆で大体の術式の位置を指し示しながら、今回作る予定の結界スクロールの説明をする。
「結界の説明するから、質問とか変更してほしいところがあれば後で教えてね。基本の結界強度は魔素を持つ小型の魔物……一応今回は、普段の三の森レベルでのホーンラビットやゴブリン程度までの個体なら弾けるようにするね。まぁ、三の森では滅多に出ないから、瘴気の目安くらいに考えてね。次に市販のにもついてる気配遮断。これは匂いや気配を消すのは一緒だよ。次に防音。普通の会話は結界の外に漏れないけど、叫べば外には通るレベルで、少し弱めの防音予定。次が認識阻害と幻惑。完全に解らなくなるような感じじゃなくて、そこにキャンプがあるって分かってれば問題なく視認出来るけど、何も知らないと知らず知らずのうちに避けて通ってしまう感じにするよ。だからキャンプの結界を張る時は、皆中に居てね。もし外に居たら、誰かキャンプの位置を知っている人と結界の中に入らないと休憩出来なくなるから。最後に広さだけど……一応少し大き目まで対応できるようにしておくよ。想定範囲より小さい分には問題ないから。大体総面積は、大講堂2つ分くらいが最大かな。四隅のマークと魔石を置くのは一緒で、クズ魔石を使って、エトの魔力の大体3割くらいを強制的に吸う感じにしてる。魔道具と一緒で、魔力を流し始めるだけで良いから。リリィなら……2割も要らないんじゃないかな。一週間丁度で魔力が切れるけど、日数を追加したかったらスクロールにもう一度魔力を通してくれたら、不足分だけ吸うから。面積が大きすぎたら、そもそも魔力を吸わないよ。予定より早く切り上げる時には解除で消せる。……以上、何か質問とかある?」
しっかりと用紙の上にペン先を隈なく移動させ、全員を見渡す。
「俺達はパスだ。魔法のこと言われてもさっぱりわかんねぇ。」
ガルドが早々に白旗を上げる。
「最大範囲が広すぎないか?確かに大は小を兼ねるが……。」
「そうね、それに割と魔力を持っていくわ。もう少し小さい範囲でも良いんじゃないかしら?」
デュークとリリアーデだけが意見をくれるが、その他は沈黙を守っている。
アシェルは『ストレージ』から見本にするための、普段使いの結界の術式を刻んだ粘土板を取り出す。
「僕が作る結界スクロールは、使い捨てじゃないんだよね。こんな感じで、割れなければ何度でも使えるんだ。流石に今回僕らだけでそんなに広い範囲は要らないけど、スタンピードが終わったらスクロールはリリィ達にあげようかと思って。領地で使うなら、私兵や救護隊の規模にもよるけど、大は小を兼ねた方が便利でしょ?総面積さえ超えてなければ、横長でも良いし。きっと魔石も豊富だろうから、大き目の魔石を使えば魔力持ちは結界を張れると思うよ。使いつぶして良いなら平民でもマナポーション飲ませて、何人かで満タンまで魔力を注げば良いだけだから、緊急時のキャンプ設営にも使えるね。」
「領地で……確かにそれは嬉しい申し出だけれど……。これだけ色々効果が付いてると、どれだけお礼を渡して良いのか分からないわ。」
「リリィの言う通りだ。使い捨てではないし、認識阻害と幻惑までついてるんだろう?悪用されたらどうするつもりだ?」
「お礼なんて要らないよ。領地に帰らずに緊急クエストに参加してくれる二人に、王都組からの報酬だと思ってもらったら。あと、その二つがあっても分かる人には分かるようになってるから、悪用は出来ないと思うよ。それに、作るのはほとんどタダだしね。これで問題なさそうなら、作り始めちゃって良いかな?」
双子が悩むのが内容ではなく、お礼や利用する人間についてなら、内容は問題ないということで良いだろう。
そわそわと『ストレージ』から専用の釉薬入りのペンを取り出したアシェルを見て、王都組は苦笑する。
新しいものに取り掛かるアシェルは、いつも瞳をキラキラと輝かせて楽しそうにしている。
そして、これはもう新しい結界スクロールを作るのは、確定事項になっているようだ。
「アシェが新しい術式の組み合わせを、作って試したいそうだ。」
「当日ぶっつけ本番かなー。」
「これ、本当に理論値で魔力を吸えたか、確認されるんだろうなぁ……。」
「本当に良いのかしら?」
「僕ら的には嬉しい申し出なんだが……。」
「ってことは、もう作っても良いよね。」
さっさと『土魔法』で粘土板にするための粘土を作り出し、アシェルは上機嫌に粘土をこね始める。
アシェルが適当な感覚で焼いても割れず、扱いやすい粘土を出すまでに何度も試行錯誤したが、最近ではこれだ!という粘土を出せるようになっている。実験と一緒だ。
「アシェルさんは本当に魔法がお好きですね。すぐに術式を組めるなんて、羨ましすぎます。」
「僕らにくれた結界スクロールもネックレスも、直ぐに作ってくださいましたものね。」
アーニャとトーマが、首元のガラス球を触りながら言う。
アシェルに貰ったストレージに丁度いい魔力量のみで光るガラス玉は、二人のお守り代わりになっていた。
二人とも毎晩寝る前にしっかり練習をして、感覚を忘れないようにしている。
双子はアシェルが贈り物をしていることにも驚く。
アークエイドの言う通り、本当にこのトーマという少年はアシェルのお気に入りなのだろう。
そこへ不意に、聞き慣れた第三者の声がかかった。
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