氷の王子様と微笑みの男装令嬢

芯夜

文字の大きさ
261 / 313
第四章 王立学院中等部三年生

260 ムーランの気持ち②

しおりを挟む
Side:アシェル14歳 秋



たっぷりと舌を絡めて濃厚なキスを続けると、弱点への愛撫も合わさってアシェルの表情が蕩け始める。

流石に応接間で致すわけにはいかないと、アークエイドがアシェルを抱えたまま移動しようとした時。

コンコンと扉が叩かれた。
インターホンの呼び出し音ではなく扉が叩かれたことから、このオートロックエリアに自由に出入りできる人間の来訪だという事が分かる。

「っふ、んんぅ……。ベル……かな?でもちゃんとお休みって言ったし、誰だろ。」

今にでも蕩けた表情で更なるおねだりをしてくれそうだったアシェルは、いつものキリっとした表情に戻り腕の中をするりと抜け出した。

正に今から、というところでお預けを食らったアークエイドは不機嫌になる。
アシェルには、夜間の来訪者を無視するという選択肢は無いらしい。

「どちら様?」

「アシェル、わたくし。ムーランよ。今良いかしら?わたくし一人なんだけれど。」

聞こえてきたのはムーランの声だった。

念のため『探査魔法サーチ』を使うと、確かに扉の向こうにはムーランが一人で立っている。
少しだけ離れた位置にクーフェが立っているのだが、モーリスの護衛は大丈夫なのだろうか。そして護衛には気付いていないのだろう。

「ムーラン嬢?いらっしゃい。どうしたの?こんな時間にレディの一人歩きは危ないよ。」

「アークエイド様がいらしてるでしょう?明日だと二人で出掛けているかもしれないと思っ……。」

扉を開け部屋の中へ入るように促すと、夜の来訪の理由を言ったムーランは途中で言葉を詰まらせ、青灰色の肌を赤く染める。

そういえば盛り上がったアークエイドを放置したままだったと視線をやるも、既に熱は引いているのかテントを張っている訳でも無い。

首を傾げながらも廊下に視線をやり、隠れてついてきているクーフェも部屋の中へ迎え入れる。

部屋の中へ通されたムーランは、ソファの向かい側に座る。

ムーランの紅茶を淹れる間も、赤く染めた頬のまま。視線だけがチラチラと飛んでくる。

二人とも寝支度を済ませたとは言えない、所謂室内着だ。
それなのに情事の後を匂わせるたっぷりと付けられた所有印に、そう言うものがあるとは知っているものの、所有印を初めて目にしたムーランは照れていた。
それに、当たり前のようにアークエイドがアシェルを膝の上に乗せたことにも。

アスラモリオン帝国の感覚では人前でイチャつくことも、情事を匂わせるような証拠を見せることもない。
これは国による感性の違いだとムーラン自身に言い聞かせていると、明らかに不機嫌なアークエイドの視線が飛んでくる。

「その……お邪魔だったかしら?」

おずおずと告げたムーランの言葉に、アシェルは首を振る。

「僕のことを気遣ってこの時間に来てくれたんでしょ?気にしないで。それよりも……こんな格好でごめんね。ねぇ、アーク。僕、普通に座れるんだけど?」

「嫌だ。」

アシェルのいつもと変わらない微笑みに安堵するも、睨むようなアークエイドの視線が怖い。

だが、ムーランはアシェルに用事があって来たのだ。
それを済まさないことには帰れない。

そのためにわざわざ王宮を抜け出して、一人でここまでやってきたのだ。

「その……アシェルはわたくしたちのこと。アスラモリオンのしたこと。やっぱり怒っているかしら?」

どこか沈んだ表情で問われた言葉に、アシェルは首を傾げた。

そりゃあ怒っていたかいなかったかと言われれば、怒っていた。
でもそれはアークエイドに無理を強いたことに対してであり、既に済んだことだ。

アベルはアーロン皇帝を殴らせて貰ったし、アシェルはきっちり慰謝料請求をした。
話はそれで終わったのだ。

「なんとも思っていなかった訳じゃないけど。もう終わった事でしょ?終わったことをどうこう思ったりしないよ。」

「そう……本当にごめんなさい。それで……。」

次の言葉を言い淀むムーランを、急かしもせずじっと待つ。

「……わたくしは、まだアシェルの友人だと思って良いのかしら?」

「……?僕はそう思ってるけど??」

「ほ、本当に?わたくし、まだアシェルの友達で良いの??」

「むしろ、僕の方こそ良いの?その……アークのこと……。」

アシェルはムーランさえ良ければ友人で居たいと思っている。
だが、アシェルはムーランの恋敵だ。

「アークエイド様のことは、今でも好きよ。でも、それとこれとは別だわ。アシェルは……わたくしの初めての友人なのよ。アシェルが女性だって聞いた時は驚いたけれど、女性だったら遠慮なくお茶会へのお誘いも出来るわ。それにその……友達と……手を繋いでお買い物とか行ってみたかったの。国では色々と制限があって難しいけれど……こっちなら誰にも咎められないから。」

何処の国も王族・皇族には制限が付き纏うらしい。

春先の買い物を思い出して少しだけ怖気づきそうになるが、ムーランの願いはとても細やかで可愛い願望だ。
どんなに買い物時間が長かったとしても、叶えてあげたいと思う。

「それくらいいくらでも付き合うよ。……良いよね?」

そういえば、手を繋ぐというのはアークエイドの言う誰彼構わず身体を重ねるなという条件に入ってしまうのだろうか。

所謂エッチなことにならなければ良いのではないかと思うが、それはあくまでもアシェルの認識である。
アークエイドがどこまでを許可するのか、確認は必要だろう。

アシェルがアークエイドに確認を取ったことで、ムーランの視線まで飛んでくる。

いくら女装でアシェルが出掛けたとしても、相手が女性であれば男前なエスコートをすることは目に見えている。
そうなってくると、ムーランがアシェルに惚れないとは言い切れないのだ。

イベントと称して女性と遊びまくっていたことから、アシェルは女性の方が好きなのではないかと思ってしまう節もある。
妊娠のリスクを避けて遊んでいたと言われてしまえばそれまでだが、それだけで欲求不満の解消に同性を相手に選ぶものだろうか。

本当はダメだと言ってしまいたいが、アシェルとムーランの不安そうな視線が痛い。

「……手はムーラン嬢とだけなら。それと買い物は二人っきりじゃなく、リリィも連れて行ってくれ。その条件が飲めるならだ。」

てっきりアークエイドが付いてくるというのかと思ったら、そうではないらしい。

「お誘いして……来ていただけるかしら?」

アークエイドとしては精一杯譲歩したのに、ムーランの表情が曇る。

「さぁな。だが、買い物ならアシェよりリリィの方が詳しいだろ。」

「確かに僕はどこのお店が良いとかって分からないから……。大丈夫だよ、ムーラン嬢。リリィが戻ってきたら僕から聞いてあげる。リリィだって、ムーラン嬢が悪い訳じゃないことを知ってるはずだもの。きっと一緒にお出かけしてくれるよ。」

「そうだと良いのだけれど……。ううん。わたくしからもしっかりお願いしてみるわ。わたくしの為に時間を取ってくれてありがとう。そろそろ帰らないと、流石に抜け出してきたのがバレそうだから戻るわ。……この時間にアシェルのところに来たのは、モーリスには内緒にしてちょうだいね。モーリスってば細かいところで煩いから、きっと怒られちゃうと思うの。」

ムーランからの用事はこれだけだったのだろう。
サッと立ち上がったムーランは優雅にお辞儀をして、王宮へ戻るために扉へと向かった。

ムーランはバレていないと思っているようだが、クーフェがしっかり付いてきている。
これでモーリスが知らないということは無いだろう。

アークエイドの上から抜け出したアシェルはムーランを見送って、見送る扉から出ようとするクーフェに小さく声を掛ける。

「ムーラン嬢はああ言ってるから、咎めないであげてって伝えておいて。」

返事は無かったがアシェルが観えているのを前提に、クーフェは一つ頷きを返してくれた。



突如として現れた訪問者は居なくなり。またアークエイドと二人っきりになる。

アークエイドの隣に座ったのに、やっぱり膝の上に抱えられた。

「ムーラン嬢はああ言っていたが、護衛は付いていたんだろ?」

「うん。クーフェ殿が。」

「はぁ……どのルートを通ったのか知らないが、賓客が王宮を簡単に出入り出来るわけないだろ。警備に確認されたモーリス殿が、根回しでもしてくれたんだろうな。……ダニエルを呼んでも良いか?報告は入れたほうが良いだろうが、折角泊まりに来たのに戻りたくない。」

「僕は構わないよ?」

でもどうやって呼ぶのだろうかと考えていると、アークエイドは『ストレージ』から一つの魔道具を取り出した。

その魔道具に魔力が通ると、チカチカと赤い光が明滅を始める。

アシェルの作ったサーバントベル代わりの魔道具のように、子機と親機があって対になるものに信号を飛ばしているのだろうか。

アシェルが興味深げに覗き込むからなのか、アークエイドが説明してくれる。

「これは緊急用の連絡手段だ。と言っても、籠める魔力量で光る間隔が変わる。今は最低限しか籠めてないからゆっくりと光ったり消えたりだが。もっと激しく明滅もするし、命に関わるような時なら光ったままになるように魔力を籠める。そうすると近衛の持っている魔道具が反応して、呼び出していることと、呼び出した人間がどの方向に居るのかが分かるようになる。まぁ、普通は近衛が付いてくるから、滅多に使うことは無いがな。」

王族なのだから、普通は何処に行くにしても近衛騎士が付き従っているだろう。

普段から近衛騎士を巻いたり置いてくるような王族は、アークエイド位なものではないかと思う。
学院生活はそれまでのメイディーの過剰な警戒の被害に合わせないためと、幼馴染であるアシェル達が近くに居ることが前提で護衛を連れてこなかったらしいが。

魔道具を使って5分と経たない内に、部屋の扉が叩かれた。

王宮から来たのだとしたら、身体強化も駆使して全力疾走だったのではないだろうか。

アシェルが声を掛ける前に、扉の向こうから口上が聞こえる。

「夜分遅くに失礼いたします、アシェル殿。アークエイド殿下に呼ばれて参りました。近衛騎士2名です。」

名乗りはしなかったが、その声はダニエルのもので間違いないだろう。

「どうぞ。」

扉を開けて招き入れれば、もう一人の白騎士はここ半年のアークエイドの護衛シフトに入っていた近衛騎士だった。

入り口前に敬礼をして立った二人に、アークエイドは労いの言葉をかけてから用件を続ける。

「先程までムーラン皇女がこちらに来ていた。本人は忍びで出てきたと思っていたようだが、把握しているよな?」

「もちろんです。モーリス殿下に確認を取り、護衛を付けたので騒ぎにはしないで欲しいと言われております。」

「そうか。目的はアシェに会いに来ることだったようだ。つい先ほど戻ると言っていたし、程なくして王宮に着くだろう。内容としても、まぁお忍びでという気持ちも分からないでもない。なるべく穏便に済ませてやってくれ。他に変な動きは無いんだよな?」

「畏まりました。えぇ。アスラモリオンの使者の一部は残っていますが、それも皇子殿下と皇女殿下が学院にお戻りになるまでのようですし。特に不穏な動きも、新たな襲撃も起きておりません。」

「分かった。アーロン皇帝陛下は全てが終わったと言っていたが、周囲がそう思っているかは分からない。引き続き目は光らせておけ。」

「お言葉のままに。」

必要事項の伝達を終えたアークエイドが手を払い、用件の済んだダニエル達はアシェルに挨拶をして出て行く。

「……僕が聞いていい内容だったの?っていうか、まだ何かありそうなの??」

「あくまでも可能性があるだけで兆候はない。ただ、何かあってからじゃ遅いから、念のため警戒している程度だ。本人たちじゃなく、外野が賑やかになる可能性もあるしな。どんな賓客が泊っても、同様に注意することになる。アスラモリオンが特別という訳じゃない。」

「そっか。これ以上余計なことが起きないと良いね。」

「普通は起きないんだがな。」

「何だかんだで良い時間になっちゃったね。お風呂に入って寝よっか。」

皆で夕飯を食べていた時は、夕食が遅くなるので必然的に寝る時間も遅くなっていた。
しかしアシェルは夕食を食べてお風呂に入ったら、イザベルが納得いくまで全身のケアをされた後寝台に直行だ。

ケアの時間が長いが邸に居ると普段から21時。遅くても22時までには寝台に入っていた。
家族が休日で夕飯が早いときなど、20時には既に寝台の中である。
その限りではないのは、実験に夢中になって錬金小屋や実験室に籠っている時くらいだ。

アシェルが何も無ければ早々に寝台に入ることを知っているアークエイドは、それに同意を示しつつ。
それでもイチャイチャを邪魔されたことを心残りに思いながら、シャワーを済ませたのだった。

寝台に入ってもあの甘ったるい空気が復活することは無く、アークエイドの唇におやすみのキスをしたアシェルは、相変わらず秒で寝入るのだった。

愛しいアシェルの寝顔を見ながら、中途半端で放置されていたアークエイドが悶々とした夜を過ごしたのは言うまでもないことである。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 【ご報告】 2月28日より、第五章の連載を再開いたします。毎週金・土・日の20時に更新予定です。 また、誤字脱字の修正および一部表現の見直しを行いました。ただし、記載内容の趣旨に大きな変更はございません。 引き続きよろしくお願いいたします。

ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました

大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――

拾った年上侯爵が甘え上手すぎて、よしよししてたら婚約することになりました

星乃和花
恋愛
⭐︎火木土21:00更新ー本編8話・後日談8話⭐︎ 王都の市場で花屋をしているリナは、ある朝―― 路地裏で倒れている“美形の年上男性”を拾ってしまう。 熱で弱っているだけ……のはずが、彼はなぜか距離が近い。 「行かないで」「撫でて」「君がいると回復する」 甘えが上手すぎるうえに、褒め方までずるい。 よしよし看病してあげていたら、いつの間にか毎日市場に現れるようになり、 気づけば花屋は貴族の面会所(?)になっていて―― しかも彼の正体は、王都を支える侯爵家の当主だった!? 「君は国のために必要だ(※僕が倒れるから)」 年上当主の“甘え策略”に、花屋の心臓は今日ももたない。 ほのぼの王都日常コメディ×甘やかし捕獲ラブ、開幕です。

世間知らずな山ごもり薬師は、××な騎士団長の性癖淫愛から逃げ出せない

二位関りをん
恋愛
平民薬師・クララは国境沿いの深い山奥で暮らしながら、魔法薬の研究に没頭している。招集が下れば山を下りて麓にある病院や娼館で診察補助をしたりしているが、世間知らずなのに変わりはない。 ある日、山の中で倒れている男性を発見。彼はなんと騎士団長・レイルドで女嫌いの噂を持つ人物だった。 当然女嫌いの噂なんて知らないクララは良心に従い彼を助け、治療を施す。 だが、レイルドには隠している秘密……性癖があった。 ――君の××××、触らせてもらえないだろうか?

【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております

紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。 二年後にはリリスと交代しなければならない。 そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。 普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…

大金で買われた少女、狂愛の王子の檻で宝石になる ―無自覚な天才調合師は第二王子の婚約者(虫除け)を演じることになりました―

甘塩ます☆
恋愛
「君を金貨三十枚で買ったのは、安すぎたかな」 酒浸りの父と病弱な母に売られた少女・ユナを救ったのは、国中から「放蕩王子」と蔑まれる第二王子・エルフレードだった。 ​「虫除けの婚約者になってほしい」というエルの言葉を受け、彼の別邸で暮らすことになったユナ。しかし、彼女には無自覚の天才調合師だった。 ​ユナがその才能を現すたび、エルの瞳は暗く濁り、独占欲を剥き出しにしていく。 「誰にも見せないで。君の価値に、世界が気づいてしまうから」 ​これは、あまりに純粋な天才少女と、彼女を救うふりをして世界から隠し、自分の檻に閉じ込めようとする「猛禽」な王子の物語。

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる

しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。 いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに…… しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...