死んだ幼なじみに会うため悪魔を召喚?!異世界に連行されて、四大霊剣を全入手!→そして龍・精霊・天使・神をも従える物語!

パイポ・シューリガン

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第1部 エド・ホード

第16話 邪槍グングニル VS 風の霊剣

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 ホテルの外には、高級そうなガラス張りの店が並んでいた。おしゃれな服やカバンやアクセサリーのお店。きらきらと光る街の明かりが、次第に濃くなっていく闇と反対に、その輪郭をはっきりとさせた。夏の夜風に吹かれたヤシが、さわさわと音を立てて揺れている。僕たちは水路ごとに隔たれた専門店街を、ときおり小さな橋を渡りながら歩いて回った。

「こんな景色、はじめて見たよ」
 僕はなんだか特別な気持ちになって言った。

「ちょろいもんだなー」
 カミラは得意げに僕の服を選び、生活に必要なものを見繕ってくれた。心配していた会計は、彼女が学生証ひとつで解決した。なんでもラベラーズの特待生には、毎月、使いきれないほどのポイントが付与されるらしい。ここら一帯での買い物は、だいたいそれでまかなえるという。エドも入学したら返してよね、とカミラは笑った。

 大量に買った服をコインロッカーに押し込むと、「まだいいでしょう?」と小首をかしげるカミラに連れられるまま、夜の海に向かった。なんでも穴場のビーチらしく、少し距離はあったものの、着いてみるとほとんど人影がなかった。
 
 僕らは裸足になって渚に立ち、水をかけ合うとそれが乾くまで、と理由をつけて、お互いのことを話し合った。カミラはかなり個人的なことまで話してくれた。きっと心を開くのが上手なんだろう。カミラには五つ歳の離れた優秀なお姉さんがいたが、六年前に死んでしまったらしい。彼女はなかば無意識のうちに、そのお姉さんの代わりを果たそうとしているみたいだった。
「もっと頑張らなくちゃ」
 としきりに言い聞かせるみたいに呟いていたから。

 僕もリテアのことを話した。いまだに罪悪感が消えないこと。毎日のように夢に見ること。カミラは海を眺めたまま、私たちは似てるかもしれないね、と言った。

「どういう意味?」
「二人とも大切な人を亡くしてる。親にはきちんと愛されたのに、それを上手く受け取れなかった」
 僕はカミラの横顔を覗いた。同い年のはずなのに、妙に大人に思えたから。
「出会った記念に、いいものを見せてあげる」
 
 カミラはすくっと立ちあがると、青い石のネックレスを触って、小さな声で何かを唱えた。その瞬間に海風は凪いで、代わりに青や緑のやわらかい光が、オーロラのように夜空を走った。水平線からカーテンが揺れるみたいに、僕らのほうへ吹いてくる。

「綺麗……いったい何をしたの?」
 思わず正面に回って尋ねると、カミラは嬉しそうに笑って、魔法だよ、と言った。次の瞬間に海は割れて、真っ赤な炎のような落雷が、あらわにった海底に落ちた。花火みたいな爆音が、光とともに響き渡る。
「すごい!」
「……待って、違う!」

 カミラはあわてたように大声を出した。

「……何?」
「これは私じゃない!」

 ――

 海の割れ目の一本道、地の果てのさらに先から、邪悪な声が聞こえてきた。
「バリアムだ」
「何?」
「バリアム公爵だよ!」
 
 カミラは叫ぶように言うと、ネックレスを触って何かを唱えはじめた。

「……反逆の民に引導を告げ、悪しき業火に吹きさらせ。創世の風、熾天使のごとく」

 ――! 

「黙れ手負いが! その状態で、この私を倒せるとでも?」

 カミラの首飾りが長い片手剣に変わる。

「神を讃える銀の風よ! フラガハラ!」

 ――

 海の裂け目から、燃え盛る槍が飛んでくる。光る逆風とかち合って、火球のように大きく燃えた。

「……エド、逃げて」

 カミラが苦しげな声を出す。

 ――

 「……エド、早く」

 そのとき、使、とまた誰かの声が聞こえた。バリアム公爵とはべつの誰か。エルクたちの恐れを感じる。僕はリテアのことを考えていた。宇宙のことを考えていた。目を閉じ、開いて、息を整える。カミラの腕に両手を重ねた。



 自分ではない誰かが唱えた。僕はそう感じていた。吹きつける風が唸りをあげて、神速の槍を押し返した。割れるような海鳴りとともに、バリアム公爵の絶叫が響く。暗闇が戻り、海の割れ目が閉じると同時に、カミラは地面に崩れ落ちた。名前を呼んで揺すっても、目を覚まさないばかりかぴくりともしない。僕は彼女を担ぎあげると、助けを求めて街へ走った。
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