心壊の収納士〜俺は全てを許さない〜

けい

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そんなジークの思惑。
そしてその通りに事は運ぶ。
ジークの視線の先。
丁度、ジークが通ってきた道。
そこを進み、こちらに向かう人影。それをジークはその目に捉える。

数は一人。
体格は岩のように大きい。
坊主頭に、丸太のように太い腕。
見るからに柄の悪い見た目。

だが、ジークは恐れない。
いや恐るるに値しない。

そして、ジークの視線の先にその男【ザール】は現れる。

「おいッ、てめぇがジークか!?」

「……」

響いた怒声。
それに反応を返さず、ジークは風に髪を揺らすのみ。

「俺は剛腕のザール。アレン様の傭兵にしてッ、最強の拳を持つ者だ!!」

鼻息荒く、声を轟かせるザール。
ジークとザールとの距離。
それはおよそ、数十歩分。

「なんだよッ、おい!! こっちは自己紹介をしたってのにてめぇはナシかよ!?」

「……」

「ちッ、舐めやがって」

舌打ちをし、ザールは拳を鳴らす。

「なら見せてやる!! 俺の強さをな!!」

叫び、ザールはその場で拳を撃ちつける。
地面に向け。渾身の力を込めて。

瞬間。
地が揺れ、草原全体が揺れる。

「どうだッ、見たか!? これが俺の力だ!!」

「この拳ひとつッ、それで俺はアレン様直属の傭兵団に入ることができた!!」

誇らしげに笑い。
悠々とジークの元へと歩み寄っていくザール。
その姿を見つめ、ジークもまたザールとの距離を詰めていく。

ザールに対する、恐れ。
そんなものジークの顔には宿っていない。
あるのは、ただひとつ。

「もう一匹」

混じり気のない殺気のみ。

そして二人は相対する。
数歩の間。
その距離感で二人は佇み、互いを見る。

ザールはジークを見下ろし、ジークはザールを見上げる格好で。

先手を打つのは、ザール。

「一撃だッ、一撃で決めてやる!!」

拳。
それを振り上げ、ジークへと振り下ろさんとするザール。
地面を殴るだけで地震を起こす、拳。
それを人間が受けたならひとたまりもない。
しかし、それは受ければの話。

「収納する。あんたの拳を」

「!?」

闇に包まれる、ザールの拳。
手首から上。
それが消滅し、ザールは絶叫する。

「なッ、なにが起こってーーッ」

「アレン様直属の傭兵団、か。笑わせてくれるな……おい」

吐き捨て、【収納物】からジークはザールの拳を取り出す。

そしてそれを自身の拳へと変換しーー

メキッ

容赦なく。
ジークはザールの腹に、その拳を叩き込むのであった。
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