心壊の収納士〜俺は全てを許さない〜

けい

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ココネの亡骸。
それを飲み込み、満足げに鳴き声を響かせる雷竜。
その雷竜に、ジークは声をかける。

「また、呼ぶ」

ジークの声。
それに頷き、雷竜は空へと飛翔。
空高くへと飛び去っていく。

それを見届け、ジークは手のひらを地につける。
そして、呟いた。

「俺の故郷をココに。廃れた村を取り出す」

【収納物】
 廃れた村×1

脳内に浮かぶその言葉。
それに意を表明し、ジークは村を取り出す。

轟く、地響き。
大地が振動し、文字通りジークは【廃れた村】をソコに取り出す。
焼けこげた家屋。
枯れた井戸。
朽ちた風車。
そして、散らばった黒く焦げた骨。

ジークの視界。
そこに広がる、変わり果てた故郷の姿。

「元に、戻す。俺が必ず」

呟かれる、ジークの声。

「まずは建物から、はじめよう。建物を建てるには、建築の知識が必要だ。街に行こう。建築の知識をもった人間を探しに。それが、終わったら。この故郷を壊滅させた奴等を、コロす」

建築知識とココネの魔力。
それがあれば、建築魔法を扱うことができる。

淡々と響く言葉。
そこには一切の感情も宿っていない。
双眸に蠢くは、闇。

風に揺らぐ、ジークのローブ。
そして歩みを進める、ジーク。
伸びるジークの影は揺らめく。
それはどこまで異様で、どこまでも深い闇に彩られていた。

~~~

「騎士団の派兵?」

「あぁ。なんでもあの森を抜けた先に化け物が現れたらしい」

「本当かよ!?」

「勇者様のおかげで世界が平和になったってのに……今度は化け物かよ」

「でよ。その化け物ってのはあのココネ様を殺したらしいぜ」

「う、うそだろ」

酒場。
そこで人々は【騎士団の派兵】の報せを肴にし口々に、議論を交わしていた。
その様子。
それを酒場の端で水の入ったコップ片手に見つめる、一人のフードを被った人物。

素性はわからない。
しかしその口元は固く結ばれ、なにかを押し殺しているかのようだった。

~~~

アレンの居る街とは違う街。
そこに、ジークはその姿を現していた。
賑やかな街並み。
行き交う人々。

その中で周囲を見渡す、ジーク。

っと、そこに。

「はいッ、はい!! この書物を解読できた人には特別にッ、あの建築人ディアナ様とパーティーが組めるよ!!
 魔法使いの知識ッ、それに自信がある人は奮ってご参加を!!」

そんな声が聞こえてくる。
ディアナ。
その名をジークは知っていた。

アレンに媚を売り、仕事を回してもらっていた建築人。
ジークのことを小馬鹿にし、「古臭い故郷」とジークの村をこきおろしていた建築人。

「ディアナ様とパーティー!?」

「あの一流建築人と!?」

「この前は確か……剣士を募集してたな。今回は魔法使いの知識ってことで魔法使いを募集してるんだな」

「旅にでも出るつもりか?」

ひそひそと響く、人々の声。
ジークはそれを聞き、その群れの中へと進んでいく。

そして。

「書物を。見せてくれ」

パーティー募集をかけていた老人。
その前に佇み、手のひらを差し出す。

パーティーを組むつもりなどさらさらない。
ジークの目的。
それはディアナの知識を収納し、帰らぬ人にすることなのだから。

「お兄さん。自信、あるのかい?」

「はやく。見せてくれ」

【収納物】
 ココネの魔法知識×999999

それを取り出し、ジークは己の瞳に闇を瞬かせる。

「お兄さん、あんた」

「はやく。見せてくれ」

「……っ」

「はやく、見せてくれ」

ジークに気圧され、老人は書物を出す。
ジークはそれを受け取りーー

ぱらぱらとめくり、ほんの数秒で解読してしまったのであった。
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