男好きな僕が異世界に転生するなんて!〜仕方が無いので好きな男と魔王を倒しに行きます。え?僕の残機は他人の命?〜

更新がとっても遅いで候

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始まりの王国

主人公、剣に慣れ始める

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「――はっ!」

乾いた音が響き、俺の剣が木人形に当たった。

「やったぁ! 当たった! ちゃんと狙ったところに当たったよ、アルヴァさん!」

嬉しくて思わず飛び跳ねそうになる。剣の訓練を始めた頃はまともに振ることすらできなかったのに、今では狙った場所に打ち込めるようになったんだ。

「ふむ、随分と形になってきましたね」

後ろからアルヴァさんの声がする。俺は得意げに胸を張った。

「えっへん! もうそろそろ一人前の剣士名乗ってもいいんじゃない?」

「それはまだ早いですね」

「えぇ~、ちょっとぐらい褒めてくれても……」

「ですが、確かに以前よりは大幅に成長しましたね」

「でしょでしょ! 最初の頃なんて剣を握るだけで……」

「腕が震えていましたね」

「ぐぅ…! アルヴァさん、そこは内緒! 内緒だからっ!」

俺は慌ててアルヴァさんの口を手で塞ごうとするが、軽くかわされてしまう。

「事実を言ったまでですよ?」

「事実でも言わなくていいことってあるの! あーもうっ! そんなこと言ってたら、俺がすごく強くなって、アルヴァさんより上手くなっちゃうからね!」

「それは楽しみですね」

アルヴァさんはクスッと笑っている。うぅ、またからかわれた……。

でも、確かに剣を振る感覚には慣れてきた。今まで腕の筋肉が悲鳴を上げていたのに、今日はそこまで辛くない。むしろ、剣を扱うのが楽しくなってきたかも。

「とはいえ、まだまだですね」

「えぇっ!? もう十分すごいと思うんだけど!」

「剣を振るのと、剣を“操る”のは違います」

アルヴァさんは俺の剣を軽く指で押し、構えを直す。

「まだ力が入りすぎています。そのせいで、動きが重くなっている」

「うぅ……力を抜けばいいってこと?」

「そうです。ただし、抜きすぎると剣が弾かれます。適度な力加減が大事ですよ」

「む、むずかしいよぉ……」

「では、見せてあげましょう」

シュッ――

次の瞬間、俺の頬をかすめる風。

気づいたときには、アルヴァさんの剣が木人形の首元でピタリと静止していた。

「うわぁ!? すごい! どうやって止めたの!?」

「剣を振るのではなく、操るのです」

「かっこいい……! 俺もああいう風にやりたい!」

「ならば、基礎を徹底しましょう」

「……えぇぇ……また基礎……?」

「焦りは禁物ですよ、勇者殿?」

「ぐぬぬ……!」

アルヴァさんは微笑んでいたが、俺はその裏に“絶対に手を抜かせてくれない”という確信を得たのだった――。
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