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5.忠誠と疑念
しおりを挟む「法子殿下と李流さまは、ほんと相思相愛ですわね」
「愛おしいとはこう言うことだと思い知らされてしまいますわね」
年若い侍女たちはキャッキャッとハシャぎながら、法子のベッド身支度を整える。
「李流さまもおっしゃっていましたいたけれど、スマホばかり観ていて、仕事をちゃんとしている感じがしないですけどね……」
冷静に嫌みっぽく言った侍女は新人だ。
その遠慮のない呆れも含んだ言葉を聞いて長年側近侍女を務める、ミヤコとトシコはむっとする。
「貴女・・・トミさんですっけ?里帰りしている吉さんのさんの親戚みたいですけど、法子様のことを信奉しているんですか?」
「信奉しているからこそ仕事をしてほしいと思ったのです。くだらないネットばかり観て、皇室の信頼を落としかねませんよ」
たしかに、ネットを見て杞憂しているなんて一般人からみたら幻滅するかもしれない図星だから何とも言えない。
トシコとミヤコはモヤモヤを抱えながら言葉をつぐむ。
「皇室はとても高貴な所かと思って、楽しみしてたのにしていたのに意外と庶民っぽいですね」
ミヤコとトシコに向けられた笑顔がとても美しいのに何か不気味なものを感じて息をのみ、何も言い返せなかった。
ただ、この日からミヤコとトシコはトミに対して新人苛めをする事を決意し た。
こんな気持ちになるのは祈り姫のスマホを観ての怒りの影響かと思ったりしたけれど、個人的に、直感的に気に入らないのだと思い直すことにした。
トミは深夜、与えられた局をでると、男と逢びきしているのをミヤコは偶然目撃した。
局は廊下で男女別に分かれている。
恋愛はタブーではないけれど、入りたてで恋人ができるのは美人だからなのか…
何かにつけて不審な新人侍女だと法子に忠義を誓うトシコとミヤコは思った。
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