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曽祖父祖父母の話
橘の手料理
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威津那は目の前に置かれた赤黒いどろどろとした物体に喉を鳴らす。
橘はエプロン姿の狐耳だ。
とても可愛くて萌える。
けれど、出された物はおどろおどろしい何か……
「なんの…呪物?むしろ何の生き物をヤったの?」
人が食べられるような色ではない何かを威津那のテーブルの前に差し出されて大いに困り冷や汗が出る。
「チ、チョコレート?ケーキ?みたいな?」
「なに、その疑問形……」
「うーっ、カラスをイメージして、ラズベリーとチョコレートをとかして鳥の形に流し込むだけで作れるって。雪女さんにも冷すの手伝ってもらって、持ってきたらこうなったの」
橘は耳と尻尾を下げてしゅんとする。
「溶けちゃっただけ…かな?」
溶けてない黒いチョコレート部分のカラスが血みどろになった感じなのかな?」
一応食べられる素材のようだ。
「私も威津那に毒を食べさせるわけには行かないから味見ちゃんとしたわよ?すごく美味しかったし、大丈夫!これ二回目の作品だし!」
「二回目………」
元々こういう斬新なデザインなのだろうか?と疑う。
「ねぇ。初めて作ったの……食べて…かーさまにも、味はいいって言われてるし…」
うるうる瞳で強請られると断れないというか、橘のお願いは断ったことはない。
お義母さんにも食べさせた代物……
ラズベリーとチョコレートとケーキクッションだと思えば…食べられなくはないと思うと考えていたら、
「食べたくないならいらない言えばいいじゃない…絶対、絶対に美味しいのに…」
涙を浮かべる橘に焦る。
「ごめん!ちょっと考え事してただけで!食べるよ!パクっ…」
威津那は慌ててカラスの首ぽい所を切って口に入れる。
「……………」
「どう?おいし?おいし?」
「美味しい…っ!」
威津那は瞳を煌めかせた。
「ねっ!おいしいでしょ?」
「うん、本当美味しい!ほっぺた落ちちゃいそう…!」
威津那は一人でカラス形のチョコラズベリーケーキを平らげた。
それに味をしめた橘は白いなにかや、真っ赤なケーキやら、とんでもない見た目のものを作るが味は絶品だった。
「桂は橘にも似ているのかもな。」
桂は青い色したクッキーにラズベリーのソースをかけた物をジジ様と一緒に食べる。
「ジジ様だけだよ、僕のケーキ食べてくれるの。美味しいのに…」
今回はクッキー味のメロンソーダみたいな独特な味だった。
「桂は天才じゃ、さすが我がひ孫じゃて!ひゃっひゃっ」
ジジ様と桂はすごく仲良しだった。
ジジ様は桂のグロテクスな、独特な感性の料理を率先して食べてくれる優しい曽祖父。
呪術も占いも教えてくれるし。
かわいがってくれる。
「おばあちゃんやおじいちゃんのお話たくさん聞きたい!ジジ様のお話も!」
「桂はみんなのいい所を受け継いで優秀じゃの。」
ジジ様は満足気に桂とおやつを食べながら、残りわずかな余生を楽しむのだった。
橘はエプロン姿の狐耳だ。
とても可愛くて萌える。
けれど、出された物はおどろおどろしい何か……
「なんの…呪物?むしろ何の生き物をヤったの?」
人が食べられるような色ではない何かを威津那のテーブルの前に差し出されて大いに困り冷や汗が出る。
「チ、チョコレート?ケーキ?みたいな?」
「なに、その疑問形……」
「うーっ、カラスをイメージして、ラズベリーとチョコレートをとかして鳥の形に流し込むだけで作れるって。雪女さんにも冷すの手伝ってもらって、持ってきたらこうなったの」
橘は耳と尻尾を下げてしゅんとする。
「溶けちゃっただけ…かな?」
溶けてない黒いチョコレート部分のカラスが血みどろになった感じなのかな?」
一応食べられる素材のようだ。
「私も威津那に毒を食べさせるわけには行かないから味見ちゃんとしたわよ?すごく美味しかったし、大丈夫!これ二回目の作品だし!」
「二回目………」
元々こういう斬新なデザインなのだろうか?と疑う。
「ねぇ。初めて作ったの……食べて…かーさまにも、味はいいって言われてるし…」
うるうる瞳で強請られると断れないというか、橘のお願いは断ったことはない。
お義母さんにも食べさせた代物……
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「食べたくないならいらない言えばいいじゃない…絶対、絶対に美味しいのに…」
涙を浮かべる橘に焦る。
「ごめん!ちょっと考え事してただけで!食べるよ!パクっ…」
威津那は慌ててカラスの首ぽい所を切って口に入れる。
「……………」
「どう?おいし?おいし?」
「美味しい…っ!」
威津那は瞳を煌めかせた。
「ねっ!おいしいでしょ?」
「うん、本当美味しい!ほっぺた落ちちゃいそう…!」
威津那は一人でカラス形のチョコラズベリーケーキを平らげた。
それに味をしめた橘は白いなにかや、真っ赤なケーキやら、とんでもない見た目のものを作るが味は絶品だった。
「桂は橘にも似ているのかもな。」
桂は青い色したクッキーにラズベリーのソースをかけた物をジジ様と一緒に食べる。
「ジジ様だけだよ、僕のケーキ食べてくれるの。美味しいのに…」
今回はクッキー味のメロンソーダみたいな独特な味だった。
「桂は天才じゃ、さすが我がひ孫じゃて!ひゃっひゃっ」
ジジ様と桂はすごく仲良しだった。
ジジ様は桂のグロテクスな、独特な感性の料理を率先して食べてくれる優しい曽祖父。
呪術も占いも教えてくれるし。
かわいがってくれる。
「おばあちゃんやおじいちゃんのお話たくさん聞きたい!ジジ様のお話も!」
「桂はみんなのいい所を受け継いで優秀じゃの。」
ジジ様は満足気に桂とおやつを食べながら、残りわずかな余生を楽しむのだった。
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