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運命と宿命の縁
11★プロポーズ
しおりを挟む「柔らかい唇をしておるのぉ……」
李流は晴房の声で現実に引き戻った。
ハルの頭元に移動させられて座っていた李流は 夢と現実の間で知らずに晴房と唇を重ねていた。
「私もビックリして完全目覚めたぞ……」
晴房の頬を赤らめる仕草はわざとらしかった。
李流は青ざめて信じられないという顔をして、
「オレの……っファーストキスがぁぁあ!」
李流は叫ばすにいられなかった。
口づけをなかったかの如くに激しく拭う。
「どーせ目を覚めるなら雪にキスしてもらいたかったな!」
不服そうな言い方は本心だ。
「李流っ!他の方に迷惑でしょう!」
突然の叫び声に、雪は慌てて病室に戻り、息子を叱る。
「ごめん……つい……っ」
李流は涙目で母に謝る。
「もう…どうしたの?」
「は、ハル様が……」
その続きは口に出しては言えなかった。
「晴房さん?」
雪は上半身を起こしてこちらを見ている晴房をみて、ホッとした途端、涙がブワッ!と溢れた。
「良かった!目が覚めたのね……」
雪は晴房の顔をよく見るために近づいて、抱きしめた。
晴房も心底申し訳ない顔をして雪の頭を愛おしそうに撫でる。
「心配かけてすまぬな。雪……」
そう言うと、ズボンのポケットを探って、紺色のベルベットの小箱を開けると、適度に細く繊細な枝に葉がつたシルバーにダイアモンドが埋め込まれた指輪を雪に見せる。
「ずっと、傍にいられないけれど、生涯、雪だけを愛することを神にかけて誓う……わたしの妻になってもらえますか?」
雪はじっと、晴房をと指輪を見つめてる……
驚いているのだろうか、それとも疑っているのだろうか?
李流が予め考えた言葉は、 どこか、自分の言葉や本心ではない感じがして、自分の言葉で改めようと思った。
「……私の仕事上、常に雪の傍にいる事は難しい。
だか、誰にも雪を取られたくない。
夫になって雪を占領したい……
子供たち……李流も含めて家族としてありたい…ロマンチックではないが、これが私の心からの言霊だ。」
晴房は李流の父にもなりたいとも思っていた。
だから李流の顔も見ると、驚いたような顔をしていた。
李流は見られてると思ったのか、照れるように腕で顔をかくす。その頬には涙が一筋流れていたのを確認した。
晴房は李流のことまで責任を取ろうと本気で思っていた事に不意に胸を打たれたからだ……
そして、じっと、雪の表情を見つめる。
無表情だった雪は、頬を紅くして微笑んで、やはり李流と同じく涙を一筋零れている。
その涙を晴房は優しく指で拭う。
雪は拭ってくれた手を両手をかさねて、
「私で良ければ……喜んで……」
幸せの涙か溢れて止まらない。
晴房は雪の左手の薬指に指輪をはめた。
雪は指輪を見て微笑む、
「やっと、まともなプロポーズくれたわね……。晴房さん?」
「ん?いつも真剣にプロポーズしていたが?」
首をかしげて、悪気がない晴房の様子に李流は、母を口説いていたという言葉が気になった。
「今までどんなプロポーズされてたの?」
まともにプロポーズ出来てないだろうなと思って事前に李流がプロポーズのセリフを教えたけれど……
雪は目は笑ってない微笑みで晴房をみて、
「私と子供を作ろう!私の子供を孕んでくれ、第二の李流を作ろう……って。」
「セクハラじゃないか!」
李流は反射的に怒鳴る。
いつもは怒ることなんて滅多にない自分にこんな怒りを沸かせされるのはハル様しかいない……
けれど、己の性か諦めのため息を吐いて怒りを沈める。
改めて、晴房の即実行力は恐ろしいとおもった。
「私は、雪にしか言わぬし、雪以外と子供を作ろうとも思わないよ」
真剣に、愛を告白してる様に言う。
「そーゆー問題じゃなくて……」
李流と雪は声を重ねてそう言って、
ぷっと笑う。
「そういう晴房さんを好きになったのよ。」
微笑む母はお腹を無意識に優しくさすりながら晴房にそう告げた。
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