祈り姫

花咲マイコ

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伝統の縁(でんとうのえにし)

19☆蘭陵王

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「……ぷはっ!」
 舞台裏であるテントに入ると、二人は同時にやっと息を吐く。
 李流は今更ながら脚がガクガクする。
 両膝に手を添えて震えを抑える。
 緊張しいの李流は本番には強分気が終わると震えていた。
 その手を薫は取って握って、

「よかったな!今までの練習の成果を、見せられたなっ!」
 まだ体力ある薫は元気にそういう。そして、背中をバンバン叩いて緊張を解いてやる。

「うん。よかった…ほんとに」
 李流はやっと微笑した。頬を紅潮させて可愛いと思う。
 李流はすぐ反省するところがあるから薫は先手で、先に言う事は内緒だが、李流は察しっして反省の言葉を飲みこむ。
 雅楽の演奏と、ふたりの息を合わせることに集中的して舞、なんとか本番をやり遂げたことに感無量だ。
 やっと終わったというよりか、もう終わってしまったという感覚で少し寂しく感じる……

「素晴らしかったよ。二人とも」

 満足気の雅親王殿下は、二人の肩をポンポンと叩く。

「お褒めのお言葉ありがとうございます!」
 二人は身をただし深く礼をする。
「御礼を言いたいのはこっちだよ。若さをもらった感じしたよ。若いっていいね。」
 雅親王は本当にうきうきした気分らしい。
「その分、蘭陵王を疲れずに舞えそうだよ」
 最後の取りは雅親王殿下が蘭陵王を舞わられる。

 蘭陵王の舞は青海波と違い動きが激しくて舞楽の代表の舞と言ってもいいほど有名な舞だ。

 赤い袍のうえにふちが毛になっている裲襠りょうとうを着て五色の雲の柄の入ったくくり袴を履く。
 頭には牟子という帽子をかぶる。
 金のバチを持ち、金の恐ろしい仮面をつけて舞う。
 蘭陵王は左舞。大陸から伝わった物語が舞楽として宮中以外にも舞われている。
 見目美しい王が士気が下がらないために恐ろしい仮面を被り、敵陣深くまで入り敵兵を蹴散らし勇名を誇った。
 そして王が陣頭に立って三軍を叱咤した勇壮活潑な姿を模して作られた。

「君たちの若さのエネルギーを糧に最高の舞をしようかな?」
 雅親王は仮面をかぶって用意をした。
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