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茨の魔女
7☆魔女を愛する同志
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「リネルは狂ってる……魔女だから狂うのか?」
もう、愛した女がわからなくなっているようだった。
所詮は心の弱い人間だとボースは思う。
「それ、魔女の前で言う言葉?」
オーネは瞳は笑わずそう口元を微笑ませていった。
「あ…」
アーサーは失言に気付いて口元を押さえる。
(かという、私は魔女じゃないんだけど……)
アーサーは魔女を愛するのに度胸が足りないと思う。
ボースだって見た目はアレでも人とは違う【魔女】だ。
普通の人とは違う覇気を放つ。
オーネはそんなボースを恐ろしいと思うけど本気で好きだ。
そして、決してボースを男として好きだと告白を言えないしキスもできない。
アーサーは告白して恋人同士になっているけど、魔女を愛する同志だと思ったのに、期待はずれだ。
「……魔女は基本辛い記憶を持ってるんだよ……とても、苦しい生地獄を経験してるんだ…森の精霊が危惧したように昔のきっかけを思い出し狂ってしまったという事だよ」
ボースはオーネの口を借りてそう言う。
口調は女言葉じゃないけれど、真のある言葉だった。
「リネルはきっと、魔女になる前にひどい仕打ちをされたんだろうね……」
知らぬ者がいない、さまざまな魔女の拷問機を思い起こせばリネルがされた辛い事を理解できるだろう。
「精神を狂わせるほど魂を補うために茨の精霊は大好きなリネルに魔女として生きる力になっているんだよ…」
ボースはリネルに関する魔女について考えをまとめる。
彼女は精霊の魔女。
寧ろ人間の頃は巫女と言ってもいいだろう。
【魔女の中の魔女】のガーネットに近い存在。
でもガーネットは忘れられた女神そのものでもあるから、植物や人とは格が違うけど…人の世とは次元が違うことは同じ存在なのかもしれない……とボースは一人考える。
リネルはガーネットに魔女にしてもらった魔女じゃなくても、だいたい魔女の原理は同じだ。
恋心と引き換えに魔女として精霊に生かされている……
リネルは生まれ落ちた時から長い時を生きる植物の精霊の愛し子。
そういう魔女をボースは何度も見たことがある。
普通の魔女とは違い力もある。
悪魔の魔女にも匹敵する。
リネルは昔を思い出し狂ってしまったならば、精霊の自制は効かなくなる。
小鳥のボースはオーネの肩から飛び去るとつむじの風が吹き緑のとんがり帽子とマントを着た少年のような魔女ボースが本物の姿を現した。
オーネを魔女のように見立てても本物の魔女の気配はリネルと似た気配や雰囲気を放っているとアーサーは思った。
見た目は少年みたいな魔女だが覇気は魔女そのものの恐ろしさを身にまとっている。
目の前の美しき長身の魔女とは違う迫力だ。
ボースは金に煌めく瞳をアーサーに定めて人差し指をアーサーを指して宣言する。
「僕は【魔女を裁く魔女】として今すぐにリネルを消す事を約束しよう。
狂ってしまったなら人の世に、魔女たちの、暮らしにも関わる」
ボースが悪しき魔女を裁く事の所以【魔女を裁く魔女】の重大な役目。
「【魔女を裁く魔女】に頼んだってことは、魔女をこの世から消すということよ。」
オーネはボースの存在意義をアーサーに告げる。
「そして、私はボースの魔女を裁く魔女の眷属でありボースの剣なのよ!」
オーネもボースを真似して無意味にびしりと、アーサーを指差してポーズを決めるがポカンとされて恥ずかしさに居た堪れなくなったが、他に言いたいことがオーネにはあった。
その指をアーサーの胸に突き刺して美しい顔を近づけて、
「ボースと私の手にかかって死ぬことがリネルの望みかしら……」
と、つぶやくように真剣な瞳を向けていった。
オーネも魔女のボースに恋をしていてキスをしたいが、キスをする事を躊躇う。
両思いなら魔女は死ぬ。
片思いなら魔女は死なないが自分か悲しい。
辛い……むしろ消えてしまいたいと思う。
それは互いに思うことだろう….…
人の心を確かめるのは何よりも恐ろしいことかもしれない……
(私は真剣にボースのことを愛してるけどそれがボースを消すことになるとしたらどちらとしてもつらい……)
と、いつも悩ましい。
オーネはアーサーの気持ちも痛いほどわかる。
「他人に愛おしい人の命を委ねるくらいなら命をかけて止める事が筋ってものじゃない?」
オーネの言葉は同志のためかアーサーに素直に突き刺さる。
「そうだ…僕は本気でリネルを愛してる……ならば…止められるのは僕しかいないんだ」
己で改めてリネルを止めるしかない…..…
「本気で、彼女を好きなら今すぐに責任取ってきな。」
ボースはそう促すが、声を低くして、
「ただし、責任を取れなかったときにはリネルにもお前にも容赦ないからね……」
殺気に似た魔女のオーラを漂わせて宣言する。
(ヒィー…ボース怖い!なんかボースの怒りの琴線が会話の中にあったのかしら?)
ボースの怒りのオーラはリネルの狂気より、上だとオーネは確信している。
パチンとボースは指を鳴らすとアーサーはボースの森ではなくリネルの住む森に変わっていたことを理解した。
もう、愛した女がわからなくなっているようだった。
所詮は心の弱い人間だとボースは思う。
「それ、魔女の前で言う言葉?」
オーネは瞳は笑わずそう口元を微笑ませていった。
「あ…」
アーサーは失言に気付いて口元を押さえる。
(かという、私は魔女じゃないんだけど……)
アーサーは魔女を愛するのに度胸が足りないと思う。
ボースだって見た目はアレでも人とは違う【魔女】だ。
普通の人とは違う覇気を放つ。
オーネはそんなボースを恐ろしいと思うけど本気で好きだ。
そして、決してボースを男として好きだと告白を言えないしキスもできない。
アーサーは告白して恋人同士になっているけど、魔女を愛する同志だと思ったのに、期待はずれだ。
「……魔女は基本辛い記憶を持ってるんだよ……とても、苦しい生地獄を経験してるんだ…森の精霊が危惧したように昔のきっかけを思い出し狂ってしまったという事だよ」
ボースはオーネの口を借りてそう言う。
口調は女言葉じゃないけれど、真のある言葉だった。
「リネルはきっと、魔女になる前にひどい仕打ちをされたんだろうね……」
知らぬ者がいない、さまざまな魔女の拷問機を思い起こせばリネルがされた辛い事を理解できるだろう。
「精神を狂わせるほど魂を補うために茨の精霊は大好きなリネルに魔女として生きる力になっているんだよ…」
ボースはリネルに関する魔女について考えをまとめる。
彼女は精霊の魔女。
寧ろ人間の頃は巫女と言ってもいいだろう。
【魔女の中の魔女】のガーネットに近い存在。
でもガーネットは忘れられた女神そのものでもあるから、植物や人とは格が違うけど…人の世とは次元が違うことは同じ存在なのかもしれない……とボースは一人考える。
リネルはガーネットに魔女にしてもらった魔女じゃなくても、だいたい魔女の原理は同じだ。
恋心と引き換えに魔女として精霊に生かされている……
リネルは生まれ落ちた時から長い時を生きる植物の精霊の愛し子。
そういう魔女をボースは何度も見たことがある。
普通の魔女とは違い力もある。
悪魔の魔女にも匹敵する。
リネルは昔を思い出し狂ってしまったならば、精霊の自制は効かなくなる。
小鳥のボースはオーネの肩から飛び去るとつむじの風が吹き緑のとんがり帽子とマントを着た少年のような魔女ボースが本物の姿を現した。
オーネを魔女のように見立てても本物の魔女の気配はリネルと似た気配や雰囲気を放っているとアーサーは思った。
見た目は少年みたいな魔女だが覇気は魔女そのものの恐ろしさを身にまとっている。
目の前の美しき長身の魔女とは違う迫力だ。
ボースは金に煌めく瞳をアーサーに定めて人差し指をアーサーを指して宣言する。
「僕は【魔女を裁く魔女】として今すぐにリネルを消す事を約束しよう。
狂ってしまったなら人の世に、魔女たちの、暮らしにも関わる」
ボースが悪しき魔女を裁く事の所以【魔女を裁く魔女】の重大な役目。
「【魔女を裁く魔女】に頼んだってことは、魔女をこの世から消すということよ。」
オーネはボースの存在意義をアーサーに告げる。
「そして、私はボースの魔女を裁く魔女の眷属でありボースの剣なのよ!」
オーネもボースを真似して無意味にびしりと、アーサーを指差してポーズを決めるがポカンとされて恥ずかしさに居た堪れなくなったが、他に言いたいことがオーネにはあった。
その指をアーサーの胸に突き刺して美しい顔を近づけて、
「ボースと私の手にかかって死ぬことがリネルの望みかしら……」
と、つぶやくように真剣な瞳を向けていった。
オーネも魔女のボースに恋をしていてキスをしたいが、キスをする事を躊躇う。
両思いなら魔女は死ぬ。
片思いなら魔女は死なないが自分か悲しい。
辛い……むしろ消えてしまいたいと思う。
それは互いに思うことだろう….…
人の心を確かめるのは何よりも恐ろしいことかもしれない……
(私は真剣にボースのことを愛してるけどそれがボースを消すことになるとしたらどちらとしてもつらい……)
と、いつも悩ましい。
オーネはアーサーの気持ちも痛いほどわかる。
「他人に愛おしい人の命を委ねるくらいなら命をかけて止める事が筋ってものじゃない?」
オーネの言葉は同志のためかアーサーに素直に突き刺さる。
「そうだ…僕は本気でリネルを愛してる……ならば…止められるのは僕しかいないんだ」
己で改めてリネルを止めるしかない…..…
「本気で、彼女を好きなら今すぐに責任取ってきな。」
ボースはそう促すが、声を低くして、
「ただし、責任を取れなかったときにはリネルにもお前にも容赦ないからね……」
殺気に似た魔女のオーラを漂わせて宣言する。
(ヒィー…ボース怖い!なんかボースの怒りの琴線が会話の中にあったのかしら?)
ボースの怒りのオーラはリネルの狂気より、上だとオーネは確信している。
パチンとボースは指を鳴らすとアーサーはボースの森ではなくリネルの住む森に変わっていたことを理解した。
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