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4☆身代わり魔女のオーネ

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 ボースは机に突っ伏して眠っているクララの背に毛布をかけてやる。
 そして、じっと無表情いや、眉間にシワを僅かに寄せてオーネを見つめる。
 オーネは何か怒っていると思い怯み警戒する。
 じーっとボースはオーネを見つめる。
 オーネの外見は魔女っぽくていい。
 だが、オーネは男なので身長が高い。
 魔女ということでクララは気にしない事にしたらしい。
 だけど、去年よりガタイが良くなってるような……。
 オーネと同い年の男に較べれば華奢な方だとも思う。
 まだ、化粧を厚塗りに施さなくても美しさは天性のもので変わらない。
 ボースもオーネの美しさにいつも魅了されてしまうほどに…
 もう、十年一緒に暮らしているがオーネの美の魅力は衰えない、むしろ年々輝きが増しているように感じる。

「本当は君みたいな美しい魔女になることが理想なんだよ…」
 そう言ってオーネの透き通るような肌に触れた。
「だけど、ボクはこれ以上成長しない。僕が魔女として舐められないために身代わり魔女になるには君がふさわしいと思ってたのに……日に日に男らしくなっていくなんて……」
 このごろボースはいつもそういってため息を吐く。

「あら?まだ、アタシ行けると思うけどぉ?」
 オーネは頬に手を当ててしなを作る。
 声が男らしい落ち着いた低音になってる……。
 その声を聞いて、ボースは、はぁ…っとため息を吐く。
 女っぽい口調をして無理やり高めにしているから違和感ある。
 普通の男の格好をして囁かれたら落ちない女は普段はいないだろう。それほどの男としての美声だ。

「……また、薬飲み忘れたでしょ。」
 再び、ジトッとオーネを睨む。
 そのことで怒っているのだとオーネは察した。
「だ、だって突然訪れるから飲み忘れただけよぅっ!
 それに、苦いしマズイし……」
 いつもは嗚咽を吐きながら、きゃくが来る前に声を変える薬を飲み干す。
「ワガママ言うな。」
 ポカリと魔法の杖でオーネの頭を叩く。
「魔女じゃなくて男だとバレたら信用問題なんだから……。」
 ボースは大きなため息を吐いた。
「オーネに魔法が効いたら苦労はなかったんだけど…」
 女性に変身させる魔法をかけさせれば悩むことはなかったが、オーネは特殊な存在で、眷属の証であることボースとの契約以外の魔法以外を跳ねのける力を持つのだ。

 魔法が効かないのはオーネの背中に神の子の祝福でもある十字の紋章を持つためだった。
 それは、オーネが塔に囚われていた事の理由でもあった。
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