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5☆魔女と女神

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 百年前まで魔女狩りが激しい時代だった。
 罪もない女性たちが魔女とされて一神教の神の名のもと拷問の末殺されていった。
 拷問機に架けられて死なない者は魔女。
 血を流さないものは魔女。
 髪の色、瞳の色、ほくろに至るまで魔女に定めて乙女たちは裁判にかけられていった。
 国を守った神に選ばれた女英雄にも魔女の疑いはふりかかった。
 そんなひどい時代が何百年も一神教教を信じ、神を崇める宗教家たちに断罪されていった。
 たしかに魔女と呼ばれる不思議な力を持つ者もいたが、そのような力を持っていれば裁かれる前に逃げることも可能だった。
 それを見逃さない聖職者の目を逃れる事ができればの話だが……。

 だがこの半世紀、魔女狩りは少なくなった。
 人間界で心理学や科学が進み、魔女狩りは宗教の厳しい規律による集団ヒステリーと定め次第に魔女の力を持つ乙女を認めてくれるようになった。
 魔女として商売をするものや、薬師として魔女の知識を活かし人と幸せに暮らすことも許す国まである。
 けれど、何百年も生きた魔女は人間に馴染めない。
 人の罪悪を利用して本物の魔女として人に危害を加えておきながら被害者づらする卑怯者がいる。
 魔や呪いを最大限力をためた魔女もいる。
 そういう魔女は人と馴染めない。 悪の心に染まってしまいそれを糧として魔力に変える恐ろしい力を持つ。
 その力に魅入られた貴族たちが魔女や悪魔を讃え、黒ミサなる血の生贄を快楽に求める闇の組織まで現れる。
 それは公にならないだけで魔女狩りと変わらない。
 所詮人は大きな力の魅力に嫉妬し恐怖し崇めるものなのだ…
 いずれにせよ、魔女の性か、それとも昔追い立てられた恨みの念に駆られて人に害を成す犯罪を犯す。
 それが酷くなれば、寛大に近づいた一神教の国はいずれ取り返しのつかない亀裂が生じる。
 許しを与えず再び魔女という魔女を滅ぼすことだろう。

 そうならないためにも、悪事を働く魔女を裁く使命をボースは負っている。
 いや、【魔女の中の魔女】のガーネットに願いその力を頂いたのだ。
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