腹ペコ吸血鬼と警察官

花咲マイコ

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2どこがいいの?

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「私のどこがいいんですか?私、人間じゃないんですよ?」
 空腹が無くなって頭が冷静さを取り戻し、健十郎さんに質問する。
「だからなんだ?」
 遅番の警官とシフト交代で勤務は終わりで、普段着の彼は警察官とは見えないパンクファッションとかいう服に着替えている。
 今にも喧嘩を売りに行きそうなほどの格好だ。
 柄が悪すぎる……
 吸血鬼の私にだって好みはある。
 どちらかと言うと警官みたいな硬い仕事をして、真面目な男性が好みだと思う……
 今までの血を頂いた人間だって、きっと真面目で優しい人だけ、選んでいたような……
 貧血が極まると今まで出会ってきた人間のことなど霧の彼方になってしまって忘れる事は常だけど……

 詐欺られた….

 と、後悔してしまう……

「ルイさんはこれ着て、そのままより、こっちの方が目立たないから」
 予備でロッカーに置いてあった黒い上着を私にきさせた。
 ぶかぶかで、膝の辺りまでくるワンピースのようになってしまった。
 髑髏のイラストに赤文字でkillと印字されていて、警官が着てはいけない服装なような気がする。
「交番に彼女、連れ込まないでくださいよ」
 同僚の人の良さそうな警官はそう言って見送ってくれた。
 いつのまに彼女と言うことになっている。
「ああ、おつかれさーん」
 といい、急いで私の手を引っ張り夜の街に連れて行かれた。
「私が…怖くないんですか?」
「俺怖いのと可愛いのが好きなんだよ」
 やっぱり怖いのか……と自分で聞いといてしょんぼりする。

 そんな様子に、顔を赤くして口元をわななかせて、乙女のようにきゅんきゅんポーズを健十郎さんは取っている。
「やっぱり、可愛すぎ!まじで惚れたぁ!」
 健十郎さんは筋肉質の腕で、私の体をホールドして、思わず。「ぐげっ」と声が出てしまって、緩めてもらった。
「す、すまない、つい……」
 見た目のワイルドさと真逆に子犬のようにしゅんとする様子は可愛いと思う。
「結婚するにあたって、十字架は少し苦手感があります。多分戸籍もありません。血をいただいてなんですが、結婚は……」
「結婚できないなら内縁でちゃんとするし、神前なら十字架はないだろ?問題ない」
 迷いなく結婚する気満々だという事が伝わると。
 むしろ私から叶える必要がないような……
 健十郎さんは率先して自ら全てを手入られては願いを叶えることなんて出来ないんではないだろうか?
「俺の奥さんはルイさん一人だけになるのだから、夫婦ができることを最初に叶えてくれ」
 婚姻届もダメなのに最初のことって?
「何をすれば…」
 と困惑してたら、
 人通りの少ない通りに連れて行かれていることに気がついた。
「今日は、ここでいいかな?」
 指さしたところは何やら怪しげなホテルだった。
「ま、まさか………」
 私は顔がサー…と青くなるのを感じる。
「最初にする事はこういう事だっ!」
 健十郎さんは子供のように目をキラキラさせている。
 男女について無頓着な私にもわかる…ここはラブがつくホテルだと。
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