腹ペコ吸血鬼と警察官

花咲マイコ

文字の大きさ
15 / 19

15☆告白言霊これからも…

しおりを挟む
 二人の住所と電話番号を聴き無事見送って、ミミさんは警察庁にある公安の非公式の怪異科という報告しに行った。
 二人には薬の事と経過観察のために、また見に行くと告げていた。
 妖怪の私達をもう、ビビらないし、肝は座ってしまっているからとのことだった。
 それに薬を盛られて無事に人間に戻れたのは果世さんがまだ発見して一人目だからだ。
 私のことは健十郎さんが結婚謙監視するということで話はまとまった。
「じゃ、帰ろうか?」
 健十郎さんは私に微笑んで肩をだいて言った。
「どこにですか?」
 私には家がなかった事を思い出し不安に思ったが、
「俺の嫁になるなら、家はルイさんの家になるだろ?」
「ほ、ほんとですか?」
「ほんと。それが夫婦ってもんだ」
「夫婦……」
 夫婦といえば夜の営み……という連想をしてしまって顔が赤くなる。
 健十郎さんとは血を吸ってしまった約束があるし…あの続きをする妄想も不安とドキドに胸が一杯になる。
「抱いて帰っちゃおうかな?かっこいいところ見せられなかったしさ……」
 頭を掻いて照れる。
「いえ、健十郎さんは、かっこいいと思います。優しいですし……」
 私は人間の健十郎さんは、かっこいいと思う。少し、秘密主義ぽいけれど…それは他人を気遣うためだと感じる。
「俺の人間の姿の外見のこと?」
「はい……狼さんの姿もかっこいいですし、それにワンコ姿も可愛いです」
 私は突然恥ずかしくなってうつむく。
「じゃ、ルイさんは、俺の事を好みのタイプってことでいいの?俺のこと好き…?」
 健十郎さんは前のめりになって少しドキドキ、不安顔で聞いてきた。
「……は、はい。も、もっと、健十郎さんのこと、し、知りたいです……」
 まるで告白する感じで私は更に顔が赤くなる。胸の動機も激しくなる。
 これって恋のドキドキなの…?
 正直わからない……
「正直、ルイさんを調査するつもりでもあって……突然、好きでもない男、狼な男に迫られても、ルイは困るかも…とか……」
 シュンとした子犬のような顔をする。
「ホントは全然、俺を好きなんかじゃなくて契約だから俺の事を好きなだけとかとか冷静に考えて悪いことしてるのかな…とも、思ってた…」
 と、健十郎さんはそう内心を、改めて告白した。
「……そういう、気を使ってくださるところが一番好きです」
 私は弱気な健十郎さんの一瞬金にきらめく瞳を見て言った。
 感じたことを言霊に出してしまえば、私も納得した。
 私は健十郎さんのことを嫌いじゃない…知らないことが多すぎる…自分のことすらわからないのに……
 健十郎さんのことを知りたいと思うのは確かだ…
 私の本心を察して、健十郎さんは微笑んだ。
「これから……もっともっと、俺のことを知ってほしい…俺もルイさんのことを、知って、好きになって生涯愛していくから……」
 そう言って、頬に優しく触れておでこにキスをした。
 ドキドキが止まらない……止まらなくなってくらくらして、足に力が入らない……
 そんな様子の私をお姫様抱っこすると狼男の能力で屋根に飛び跳ねて行き、家路についた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

処理中です...