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あやかしと神様の恋縁(こいえにし)
10☆懐かしき場所
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阿倍野家周辺に着くと瑠香は少し懐かしく思う。
確かに遊んだ覚えはある。
「土手を歩いたり、あそこの林で虫取りもしたような…外で姉とよく遊んだような…」
少し歩くと寂れた公園もあった。
「あそこでも遊んだな。懐かしいな」
「そうなのか?私は全く覚えてないよ…」
日和国では伝統を守るために幼い頃から専門職につくための制度がある。
今は学歴重視で少なくなってしまったが、志や伝統を受け継ぐ家系は幼い頃から教育される。
義務教育は修行とともに教えられる。
幅広い年齢に適応されているので、高校卒までの資格はもらえる。
葛葉子は神憑きの家系なので特別枠で八年の修行で内掌典寮(宮中の巫女)に上がった。
瑠香は神の依り代として、神事にも関わり、審神者の能力発揮のため『神誓い』をしてルカの神の化身、依り代になった。
それは、神の化身の晴房のめんどうを見る役目だったことに正直絶望した。
だが、宿命と受け止めて宮中で弟のような晴房の面倒が忙しくて、陰陽の勉強も大変で今に至る。
それでも、懐かしい場所にくれば幼い頃を思い出してくる。
「巫女修行のために衣瀬が一生懸命だったからかな?」
「そういえば祈り姫もそこで修行してたのか?」
「今もしてると思う…恐れ多くも仲良くしてたような…」
葛葉子は今言われて思い出した。正直に今まですっかり忘れていた。
今の『祈り姫』は葛葉子より二歳年下で、あと五年修行らしい。
「すごいな。今度話しを聞かせてくれるか?」
「うんっ!父様の許しもらったら話してあげる!私のことももっといろいろなっ!」
「……布団の中でなら聞いてやるよ」
「ん?いいけど。布団の中は暑いからやだなぁ…」
…全くわかってない。
そういうところも可愛いんだけど…父親に許しをもらう前に言うことではないかと思いつつ、葛葉子の『おまじない』で緊張が緩んだみたいだ。
気がつけば子供の声もしない。
年寄りが一人、二人散歩しているくらいで人の気配は見当たらない。
寂しい場所だと思う。
いまは何もないけれど、昔からある大きな屋敷が数件あって、皆同じような環境で仲よかった友達もどこいったのかわからない。
昔、阿倍野家の近くに香茂の屋敷もあった。
けれど方角が、悪くなったと理由をつけて屋敷を阿倍野のジジ様に譲ったといっていた。
古くなったし、母と姉二人では広すぎる。
そして今の香茂家がある。
男二人は物忌以外帰ってこないのだから、警察も病院もある環境の良い場所に引っ越した。
集まる場所を決めて、親戚はバラバラに暮している。
昔のように大きな屋敷に何人もということはなくなった。
ただそれだけだ。
けれど、月に一度は定例で集まり話し合いはある。
その中で阿倍野家も入るのだが、頭領はあの通りなので、元頭領の使いのものや、ジジ様本人が参加する。
ある程度情報は筒抜けだ。
宮中以外の仕事も占いやら、裏家業やらそれぞれあることも互いに把握済みだ。
宮中に仕えるのは、阿倍野家と香茂のみ。
イズナの一族は香茂と祖先は同じらしいが、武士の時代に将軍側だったらしい。
今は昔のことでそこまで皆、言及しない。
ただ、陛下をよく思わない者たちが阿倍野家の周りに集るという噂は父から聞いた。
そのこともあり父は警戒している。
直接手出ししてこない限り手を出せない宮中の決まり事はもどかしいとも言っていた。
宮中と繋がる裏の者を育てておくべきだったな…と悔いている。
瑠香も葛葉子に宿るのは九尾の狐だと、父や東に話したが大体は想像範囲内だった。
しらなかったのは瑠香と本人のみか?と思ったら、東殿下は謹慎の暇つぶしに調べて知った。
陰陽寮長は祖母が阿倍野家の娘のため聞いたことはあったが信じてなかったらしい。
いま、阿倍野家の本家には葛葉子しか跡取りはいない。
いざというときは、瑠香が婿になるか孫を早く作って跡取りにするか……
とまで考えが至ってしまった。
まだ、一七なのに…
まあ、それほど葛葉子との将来を考えているのだから…
「そろそろつくよ…」
葛葉子の手のほうが冷たくなってると感じる。
瑠香はぎゅっと、さらに握って覚悟を決める。
緊張を紛らわすためか、葛葉子は、
「お義母さんが昔は阿倍野家で私は瑠香とよく遊んでたって言ってたよ」
「うん。それが、覚えてないなぁなんでだろうな…」
すっぽり抜け落ちてる感覚だ。
写真もあるのに覚えてない…
「私もだよ。」
「母同士が子供連れて遊びに来てたみたいだからな。」
葛葉子は、耳が出てたらアイデアを思いついたように、ピクピクと動かしてただろう笑顔で、
「わたしも、子供出来たらママ友できればいいな。」
ママ友というライバルまで作られても困る…
瑠香はずっと自分の方を見て欲しいと思う。
ちょっと緊張がほぐれたところで
「ついた!ココだよ!」
「えっ……」
葛葉子は、指を指す。
芽維持時代に作られた西洋のお屋敷のように大きく立派な建物だった。
お嬢様と言われても過言ではない。
だけど、霊感がある二人にとっては、不気味に思えて仕方がないオーラに満ちていた。
晴天だった夏の空に似つかわしくないどんよりとした雲が屋敷を中心にうずを巻き、カラスがその渦に巻き込まれるような円を描いて狂い飛んでいる。
門前にもカラスが二人を赤い瞳で見つめている。
一言で、カラス屋敷……
どこかのアニメで見た風景だと思った。
確かに遊んだ覚えはある。
「土手を歩いたり、あそこの林で虫取りもしたような…外で姉とよく遊んだような…」
少し歩くと寂れた公園もあった。
「あそこでも遊んだな。懐かしいな」
「そうなのか?私は全く覚えてないよ…」
日和国では伝統を守るために幼い頃から専門職につくための制度がある。
今は学歴重視で少なくなってしまったが、志や伝統を受け継ぐ家系は幼い頃から教育される。
義務教育は修行とともに教えられる。
幅広い年齢に適応されているので、高校卒までの資格はもらえる。
葛葉子は神憑きの家系なので特別枠で八年の修行で内掌典寮(宮中の巫女)に上がった。
瑠香は神の依り代として、神事にも関わり、審神者の能力発揮のため『神誓い』をしてルカの神の化身、依り代になった。
それは、神の化身の晴房のめんどうを見る役目だったことに正直絶望した。
だが、宿命と受け止めて宮中で弟のような晴房の面倒が忙しくて、陰陽の勉強も大変で今に至る。
それでも、懐かしい場所にくれば幼い頃を思い出してくる。
「巫女修行のために衣瀬が一生懸命だったからかな?」
「そういえば祈り姫もそこで修行してたのか?」
「今もしてると思う…恐れ多くも仲良くしてたような…」
葛葉子は今言われて思い出した。正直に今まですっかり忘れていた。
今の『祈り姫』は葛葉子より二歳年下で、あと五年修行らしい。
「すごいな。今度話しを聞かせてくれるか?」
「うんっ!父様の許しもらったら話してあげる!私のことももっといろいろなっ!」
「……布団の中でなら聞いてやるよ」
「ん?いいけど。布団の中は暑いからやだなぁ…」
…全くわかってない。
そういうところも可愛いんだけど…父親に許しをもらう前に言うことではないかと思いつつ、葛葉子の『おまじない』で緊張が緩んだみたいだ。
気がつけば子供の声もしない。
年寄りが一人、二人散歩しているくらいで人の気配は見当たらない。
寂しい場所だと思う。
いまは何もないけれど、昔からある大きな屋敷が数件あって、皆同じような環境で仲よかった友達もどこいったのかわからない。
昔、阿倍野家の近くに香茂の屋敷もあった。
けれど方角が、悪くなったと理由をつけて屋敷を阿倍野のジジ様に譲ったといっていた。
古くなったし、母と姉二人では広すぎる。
そして今の香茂家がある。
男二人は物忌以外帰ってこないのだから、警察も病院もある環境の良い場所に引っ越した。
集まる場所を決めて、親戚はバラバラに暮している。
昔のように大きな屋敷に何人もということはなくなった。
ただそれだけだ。
けれど、月に一度は定例で集まり話し合いはある。
その中で阿倍野家も入るのだが、頭領はあの通りなので、元頭領の使いのものや、ジジ様本人が参加する。
ある程度情報は筒抜けだ。
宮中以外の仕事も占いやら、裏家業やらそれぞれあることも互いに把握済みだ。
宮中に仕えるのは、阿倍野家と香茂のみ。
イズナの一族は香茂と祖先は同じらしいが、武士の時代に将軍側だったらしい。
今は昔のことでそこまで皆、言及しない。
ただ、陛下をよく思わない者たちが阿倍野家の周りに集るという噂は父から聞いた。
そのこともあり父は警戒している。
直接手出ししてこない限り手を出せない宮中の決まり事はもどかしいとも言っていた。
宮中と繋がる裏の者を育てておくべきだったな…と悔いている。
瑠香も葛葉子に宿るのは九尾の狐だと、父や東に話したが大体は想像範囲内だった。
しらなかったのは瑠香と本人のみか?と思ったら、東殿下は謹慎の暇つぶしに調べて知った。
陰陽寮長は祖母が阿倍野家の娘のため聞いたことはあったが信じてなかったらしい。
いま、阿倍野家の本家には葛葉子しか跡取りはいない。
いざというときは、瑠香が婿になるか孫を早く作って跡取りにするか……
とまで考えが至ってしまった。
まだ、一七なのに…
まあ、それほど葛葉子との将来を考えているのだから…
「そろそろつくよ…」
葛葉子の手のほうが冷たくなってると感じる。
瑠香はぎゅっと、さらに握って覚悟を決める。
緊張を紛らわすためか、葛葉子は、
「お義母さんが昔は阿倍野家で私は瑠香とよく遊んでたって言ってたよ」
「うん。それが、覚えてないなぁなんでだろうな…」
すっぽり抜け落ちてる感覚だ。
写真もあるのに覚えてない…
「私もだよ。」
「母同士が子供連れて遊びに来てたみたいだからな。」
葛葉子は、耳が出てたらアイデアを思いついたように、ピクピクと動かしてただろう笑顔で、
「わたしも、子供出来たらママ友できればいいな。」
ママ友というライバルまで作られても困る…
瑠香はずっと自分の方を見て欲しいと思う。
ちょっと緊張がほぐれたところで
「ついた!ココだよ!」
「えっ……」
葛葉子は、指を指す。
芽維持時代に作られた西洋のお屋敷のように大きく立派な建物だった。
お嬢様と言われても過言ではない。
だけど、霊感がある二人にとっては、不気味に思えて仕方がないオーラに満ちていた。
晴天だった夏の空に似つかわしくないどんよりとした雲が屋敷を中心にうずを巻き、カラスがその渦に巻き込まれるような円を描いて狂い飛んでいる。
門前にもカラスが二人を赤い瞳で見つめている。
一言で、カラス屋敷……
どこかのアニメで見た風景だと思った。
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