あやかしと神様の恋愛成就

花咲マイコ

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あやかしと神様の夏休み(番外編)

4☆ライバル視

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 瑠香に誘われて瑠香の部屋に行く。
 泊まる部屋は真陽の部屋だけどあまりのラブラブに広間から追い出された。

 部屋に入るとさっきの雰囲気を思い出す。
 瑠香は黙って葛葉子と寄りそい肩を抱く。
 葛葉子も黙って瑠香の肩に頭を寄せる。
 それだけでも心が繋がってる気がして幸せだ。
 心がふわふわ、ドキドキと幸せな気分だ。

 瑠香は、いつ、タイミングを見計らって、そういう雰囲気に持って行こうかな…考えていた。

「……キスしていい?」
 葛葉子から言ってきて軽いキスをする。
 春陽に、邪魔される前に戻すように軽いキスを繰り返す。

お互い好きが止まらない……

 今夜こそ、優しく、意地悪しないで、覚悟を決めて、

いい父親になるぞ!


 と思って、ベッドに押し倒したら、

バタン!

「下で皆でババ抜きしよう!」
といって邪魔してきた。

「うん、いいぞ!」
 葛葉子は、照れるように飛び起き、春陽の提案に乗る。
 瑠香は舌打ちしたが、かわいい従兄弟のため遊びについあう。
 家族みんなでやるトランプゲームは楽しかったが、葛葉子は容赦なく負け続けた。
 テレパシーが使える家族にババ抜き勝てるわけがなかった。

 そして、いいところで差し向けたのは、真陽の差金でもあった。
 最後のキスを邪魔された仕返しらしい。


 翌日、二人で阿倍野家の手土産の買物行こうとしたら春陽が割り込む。
 葛葉子は春陽に気を使ってか一緒に買物行くのを承諾してしまう。
 しかも、瑠香の腕をとって邪魔するし、あからさまに葛葉子を敵視する。

 さらに、夜二人きりにさせてはくれない。
 瑠香のそばから離れなくて葛葉子が近寄れない。
 ベッドに座って真ん中に割り込むし。
 そんな態度に葛葉子は、可愛いヤキモチだなと余裕だった。
 自分の子供ができたらこんなことするのかな?

「僕はお前が母親は絶対やだ!」
 敵意むき出しで言い放つ。

 流石に葛葉子のほほが引きつる。
 だけど諦める気はない。
「私は春陽と仲良くしたいよ」
 葛葉子は嫌われてると思うと必死に仲良くしようとする。
 久美ともそれで仲良く出来て今や親友だ。
 仲良くないからこそ仲良くしたい。分かり合いたい。

「むり、ヤダ。」
 ぷんとそっぽを向く。
 春陽は頑なだった。
 葛葉子は困る。
 でも、自分に似てるところがあるからその頑なさを理解してしまう…
 そんな葛葉子は耳が出てたらひしゃげてると瑠香は思う…

「メギツネが香茂に絶対に不幸を呼ぶに決まってるんだ!香茂からお前がでていってよ!」
 それは、心からの叫びで本心だった。

「なんの根拠もないこと言うな……」
 葛葉子に傍観していてくれと言われていた瑠香は注意する。

「父さん言ってた!阿倍野は滅びそうだから不吉だって!近づくなって!」

 葛葉子は思い当たるから言葉に詰まる。
 自分だって帰りたくないほどなんだから…

 葛葉子の瞳に涙が溜まる。
 口がわなないて泣くのをこらえているのを見ると瑠香は怒りが湧く。
 あまりに葛葉子が可哀想で、葛葉子の心の痛いところを突いた春陽は可愛い弟のような従兄弟だが、許せない。

「なら……春陽が出ていけ…」
 瑠香は、つめたく、低い声でいう。
 あまりの葛葉子への侮辱に荒御魂が溢れてる。
 その雰囲気に春陽はおののくが尊崇の眼差しでみる。

(神様が怒ってるのもかっこいい!)
 と純粋に思っている。

「そんなに、みんな、このメギツネがいいの?」

「このメギツネじゃなきゃ、ダメなんだよ…」
 さらに、怒りで声音が低い…

「お前はなんで、葛葉子を敵視するんだ……?
 親から言われたからだけじゃないだろ?」

 葛葉子に恋されるよりマシだから黙っていた。
 けれど、愛しい人が泣かされるのは許せない。
 春陽は瑠香の神の御霊オーラに気圧されながらも、

「…僕がこの家族のお気に入りになるはずだったのにみんな葛葉子のことチヤホヤするのが気にいらない!!」

 その春陽の言葉に葛葉子は、なんの気もなく、

「一人だけが、みんなに好かれるっておかしくないか?」

「え?」
 春陽は目を丸くする。

 そんなふうに考えたことがなかったから。
 この家に遊びに来ているときはみんなチヤホヤしてくれて可愛がってくれたから自分が一番じゃなきゃいけないと思っていたと気づく。
 葛葉子は微笑んで、
「私はこの家族のみんなが好きだよ。
お母さんも陰陽寮長も真陽姉さんも、春陽もすきだよ。」
「僕は嫌ってるのに?」
「かわいいしなんか親近感わくし」
 春陽の目を合わせて言う。
 本心で語ってる。

「…春陽の事は好きにならなくていい。
 好きになっていい男は陛下とオレだけにしろ。」
 他の男を誰であろうと好きだと言われるとイラっとする瑠香だった。

 ……そうだ、一番気に要らなかったのは、葛葉子の心が悪の感情が思いがないから…
 イジメてやろうとか、そうなればいいな!とか自分勝手な思いが無いから…疑ってた。

 香茂家系は、元来意地悪だし、腹黒いところ抱えて付き合ってんのに、葛葉子には無い…

「そこも、好きなところなんだよ…かわいいところだ…」
 瑠香は、春陽の考えを覗いて言った。

 神々しかった顔がゆるんでいる瑠香を見るとやっぱりムカっとする。

 瑠香は憧れる神の化身なのに、緩んだ顔させる葛葉子にムカついていると結論が出た。

「瑠香にいは、僕のあこがれなんだ!
 そんな神様のような瑠香にいがメギツネにとられるのがやなんだ!」
 素直に口に出して葛葉子を責める。
 それがヤキモチだと春陽は理解しない。
 ただ、ムカムカする気持ちを吐き出したくて葛葉子に当たるのだと瑠香は見抜くと、

「オレをそんなに神聖視するな!」

 と、春陽に向かい本気で怒鳴った。
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