あやかしと神様の恋愛成就

花咲マイコ

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あやかしと神様の過去のこと

5☆あまいひととき

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 晴房は瑠香の書棚の奥から文庫を取り出した。
 カバーは外されているが、タイトルがヤバかった。

【聖女な人妻】

 人妻ってだけであやしいし、卑猥ものだと、葛葉子は警戒するし、倦厭する。
 そんな本を晴房は選んで葛葉子に読んで上げようと思っていた。
 別にこれっといったものを選んだのだのではなくて、子供の晴房にとって小説はめずらしいおおきさだったからだった。
 葛葉子は真っ赤な顔して苦笑いをして本を取り上げる。

「ちょっとまって!
これ、小説で、晴房に早いから!」
 子供扱いされてムッとした表情を晴房はすると

「ハルも読めるぞ!バカにするな!」
 葛葉子から本を奪い返す。
 そして適当なページを開き読みはじめた。
 しかも、大声を出して…

「いやがるおんなをいじめるのはそそるんだ。ほら、おまえもうれしいんだろう。こうされることが。いや、やめて。いやがることばとうらはらにからだはしよう……」

バッ!

 上から瑠香に本を乱暴に取り上げられた。

「はぁるぅふぅさぁぁぁあ!」
 瑠香は顔を真っ赤にしてきりりとしたまゆを更に、釣り上げ眉間にシワを寄せこめかみに血管が浮び瞳が猫のように縦に瞳孔を閃かせ睨む。
 晴房はふるえあがる。

「本を葛葉子に読ませただけだぞ!いたずらしてないし!」
「うるさいっ!!」
 頭にげんこつが落ちると同時に気絶した。

「可哀想だろ!何も悪いことしてないのに!
 …ただ、瑠香がスケベな小説読んでるのが悪いんだ!」
 葛葉子は、晴房の代弁と少しの卑猥ものを読んでる瑠香に反論を混ぜた。
 瑠香はその事に本気でムッとして

「読んで何が悪い!これはオレの趣味だ!文句言われたくない!」
 つい恥ずかしさと、趣味を貶されて感情的になったが、葛葉子は冷静だった。

「……その本読んで私にスケベな事試そうとしなければ悪くないよ……」
 葛葉子は顔が赤い。
 そっぽをむく。

「う……」
 瑠香は、言葉に詰まる。
 影響はないとは言えない…
 というか、そんなことを言うとは

「葛葉子もこれ読んだのか?」
「パラパラと…好きな人の本は読んでみたいし…」
 お互い顔が赤くなる。
「じゃあ、どんなことだといいんだ?」
 わざと意地悪で言う…

「優しくして、無理やりしないで、恥ずかしいいじわるしないで…」
「じゃあどうすればいいんだ?」
 瑠香は本気でわかってないのか?それとも言わせたいいじわる?
 意地悪ならそこなんだけど…と思いつ葛葉子もどうしてほしいのか分からない…うーんと悩んで隣の部屋にある数少ない私物から少女漫画を取り出してきて、

「久美からもらった少女漫画だと、
「好きなのは、お前だけだ」
 といって、優しくキスをするの…」

 でも、いつもしてないか?
 と思ったり…
 でも…まぁいい……実家では意地悪な事をしてた気がするから…
 葛葉子がそれを望むならそうしてあげたい…

「むり、オレが一番好きなのは陛下だから」
 まずは神誓いの言霊からだ…
「私だって陛下だ!」
 葛葉子はムキになって言う。

「陛下の次に好きだ。」
「私だって……」
 見つめて、床に押し倒して、頬にキスをして、指を絡めて唇に優しくキスをする。

「やればできるじゃないか……」
「もっといじわるしたい……」
 ホントは意地悪やらイタズラじゃなくて、アレ以上なことをしたくてたまらない…愛し合いたい…激しく…メチャクチャにしたいほど…

「意地悪はイヤ…それにジジ様になっていいのなら…」
「なら、やめる」 
 今は素直に諦めるしかない。

 お互い心がフワフワして、おでこをぶつけて微笑み合う。

 もう一度キスをする。
 そんな幸せなひとときだった。
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