あやかしと神様の恋愛成就

花咲マイコ

文字の大きさ
137 / 181
あやかしと神様と祈り姫

7☆誠意と悪意☆エンド☆

しおりを挟む
 その夜、祈り姫の春子の仲介で内掌典と和解した。
 和解したというよりか、心のわだかまりが解けた感じだった。

「ソナタに何も気遣いできなくてもうしわけなかった…」
「お顔をおあげください!もういいですから!」
 年老いた内掌典は畳に指をつき深々と葛葉子に謝る。
 葛葉子が宮中神殿の巫女として上がった時からそばで仕えてきた葛葉子は慌てて顔を上げさせる。

「房菊と同じような不幸に合わせてしまった…申し訳ない…」
 内掌典に手を強く握られてさらに謝られた。
「房菊は宿命だったとはいえ…ソナタにも辛い思いをさせて、このような姿にさせてしまった…」
 耳を触り悲しげな表情をみると、葛葉子も申し訳なくなる…

 お互い苦しんでいた…
 和解できなくて…
 不浄だと思われていて、自分も不浄なものだと卑下していた。

 神に仕える巫女故に…

 謝られて心が開放された気がした。
 気にしてなかったのに……
 しょうがない事だと思っていたのに…
 謝られて、心が開放されたならば、自分は恨んでいたんだと思った…
 父様と同じように…

 だけどそれはもう過去のことだ。
 もう今、私は瑠香とともに未来を歩きたい。
 巫女ではなくなったのだから夫婦にもなれるのだから…

「いえ、これも宿命だったのです…そして、今はとても幸せです!」
 へへっ!とした笑顔で内掌典に微笑んだ。

「そうかそうか。」
 その素直な笑顔は誰にでも好かれて心軽くなる。
 内掌典は微笑み、

「これから宮中の祭りで陰陽寮とも連携することも多い。
つなぎ役をやってもらえると助かる。」

「はいっ!がんばります。」
 と勢い良く答えたものの、自分の耳と尻尾を触る。

「だけど、今はあやかしの身なので夜にしか出動できないのです。」
「なぁに、日和国は夜に日が変わるのだよ。陛下の神事も夜行われるのだ。深夜〇時が翌日なんて西洋の概念ぞ。
 あやかしの身のソナタは役に立っだろう。」

「神事は本来電気の光も使えない神聖なる炎が闇を照らすものなのだよ。」

「炎が神聖…」
 もし穢されたらどうなるのだろうか…
 と、暗い考えを思うと、胸がワクワクとさざめくのを葛葉子は感じて戸惑う。

(やめて!そんな考えしたくない……!)
 無意識に、襟元をギュっ!と掴む。

「葛葉子や?どうした?」
 苦しそうに胸元を掴み無表情で瞳をあやかしのように光らせて葛藤している葛葉子を心配する。
 本当は、細かいところまで気がつく方なのだ…
 何らかの理由…いや神のお告げで葛葉子に近づかなかった。

「あ、いいえ…なんでもないです…」

(あれ?何を考えてた?私…)

 そちらのほうが気になってさざめきを忘れてしまった…

 ただ、とくとくと、胸のあたりが苦しい…ジクジクとし気持ち悪い。

「それと、桔梗が帰ってくると文が届いた。」
 内掌典は葛葉子が喜ぶだろうと思い告げたが、

「ききょう…?桔梗…」
 首を傾げて思い出そうとする。
 ハッ!として思い出した!

「桔梗姉さまが!?」

 ☆

「どうした?そんなに浮かれて…」
 掌典寮に行った葛葉子が心配で寮の前の廊下で瑠香は待っていた。
 そんな瑠香にぎゅっと抱きつきて、
「春子様がいらしてからいいことづくしだよ!」
 満面の笑顔を瑠香に向ける。
 見つめ合うと葛葉子が可愛くてオデコにキスをする。

「内掌典さまと和解できたし、
桔梗姉様が帰ってくるんだ!」
 そのことが一番嬉しいらしい。

「この間言ってた?葛葉子の世話してくれた巫女か?」
「うん!巫女仲間みんなのあこがれで、霊力高くて宝子サマの再来とまで囁かれてたんだよ。知らない?」
「巫女仲間だけの話じゃないのか?」
「かもしれない……でもすっごく美人で優しいお姉さまで私のこと可愛がってくれたんだよっ!」
 自分の事のように自慢して言う。
「それなのに忘れてたのか?大して心に残ってないほどの存在だったんだろ…」
 葛葉子は耳をひしゃげて瑠香を睨む。
「うーっ!どうして意地悪言うの?」
「女でもオレ以外に好きだとか言われると意地悪したくなる。許せない」
 瑠香はフンッ!とわざとそっぽを向く。

「ヤキモチ妬きめ!」
「ヤキモチやかすな。」
「ヤキモチはどうすればなくなる?」
「お前を思う存分味わえたらなヤキモチしない…」
「………スケベめっ!……んっ」
 そう言って深いキスを繰り返す。
 キスだけなのがやはりもどかしい…物足りない。
 餅のように柔らかな胸を触りたい…
(……ってほんっと考えたことがスケベだ…オヤジ臭い…)
 そう思うと瑠香は空にわななかす手をやめた。
 そんな瑠香に葛葉子は上目目線で少し照れて、
「……胸枕してほしい?」
「うん…」
 瑠香も照れて頷いた。
 そんな瑠香が可愛いとギュっと抱きしめた。
 この幸せがずっと続けばいいのに……
 と思わずにいられない二人だった。


 それにしても、葛葉子が思い出せなかった巫女の名前は、

『桔梗』というのか。

 一応調べてみよう…
 どうしても、ひっかかっていたのだから…
 
 秋の空に赤いトンボが飛んでいる。

 巫女装束の美しい女性がをビルに囲まれた宮中宮殿を仰ぎザリッと砂利を踏みしめた。

「新しい御代になっても、清々しさはかわらないですわね……」

 クスクスと小袖で口元を女性らしく抑えて笑う。

 ねっとりと皇居を見つめて、

「穢しがいがあるというものですわ…」

 ねぇ…
 威津那叔父様……
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~

紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。 そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。 大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。 しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。 フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。 しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。 「あのときからずっと……お慕いしています」 かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。 ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。 「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、 シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」 あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

過労薬師です。冷酷無慈悲と噂の騎士様に心配されるようになりました。

黒猫とと
恋愛
王都西区で薬師として働くソフィアは毎日大忙し。かかりつけ薬師として常備薬の準備や急患の対応をたった1人でこなしている。 明るく振舞っているが、完全なるブラック企業と化している。 そんな過労薬師の元には冷徹無慈悲と噂の騎士様が差し入れを持って訪ねてくる。 ………何でこんな事になったっけ?

【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました

ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。 名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。 ええ。私は今非常に困惑しております。 私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。 ...あの腹黒が現れるまでは。 『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。 個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。

異世界に喚ばれた私は二人の騎士から逃げられない

紅子
恋愛
異世界に召喚された・・・・。そんな馬鹿げた話が自分に起こるとは思わなかった。不可抗力。女性の極めて少ないこの世界で、誰から見ても外見中身とも極上な騎士二人に捕まった私は山も谷もない甘々生活にどっぷりと浸かっている。私を押し退けて自分から飛び込んできたお花畑ちゃんも素敵な人に出会えるといいね・・・・。 完結済み。全19話。 毎日00:00に更新します。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

処理中です...