148 / 181
あやかしと神様の黄泉がえり
10☆稀代の祈り姫の日記
しおりを挟む
「巫女寮で殺人事件か……」
東親王は中務の宮で考える。
事件と言っても、表(世間)に絶対に出してはいけない事件。
もう、闇に葬られて出しようがないが……
机に肘をつき、顔を支えて直立不動の瑠香を見る。
「瑠香はどう思う?葛葉子がやったと思ってる?」
「いえ……」
決定的な証拠は無い。
葛葉子は自分がやったとはいったけれど…
記憶を覗いた瑠香はそのことも東に報告した。
「なら。やってない事に…しちゃおうか?」
仕方なしにため息を吐いて決定した。
不謹慎だが東も葛葉子が部下として学友として可愛い。
苦しんでいるなら救ってやりたい。
結局は公には出来ないのだから……
むしろ警察も立ち入ってはいけない事件で捕まることはけしてないが葛葉子の処分は陰陽寮を管理する中務の宮である東の決断にかかっている。
粗相をしたなら二度と宮中に近づくなとはいったけれど…
「記憶を覗けば、桔梗という姉巫女の名前は黒御足家だということです」
瑠香は黒御足家の事ももちろん知っている。
黒御足家と知っていたら止めていた。
父はさらによく知っていて苦々しい表情をしていた。
春陽の父が阿倍野を嫌悪していたのは黒御足を受け入れたせいだと知った。
まさか、あの穢れた一族が巫女をやっていたとは思っても見なかったらしい。
結局履歴書もなかった。
どこかの職員が裏で入れたのだと察しがつく…
「履歴もなかったんでしょ?怪しい者に近づけた瑠香の責任でもあるかな?」
にっこり笑って責める。
「も、申し訳ありません…」
ほんっと自分は甘かった……
疑っていたなら近づけなければよかった事なのに…
「黒御足ねぇ…九尾の狐を封印したイズナ一族でもあるんだよね…封印を説いちゃったってところかな?」
眉間にシワを寄せて困って考え悩んでいる表情をしているが、
東は内心楽しんでいる。
と瑠香は感じる。
「それで、葛葉子は九尾の狐になってあの事件という事かな?」
と的中させた。
「そこまで知ることができるとはさすがシラスの……」
「いいえ!私のおかげですわ!」
春子女王は扉をバンッ!と勢い良く開けて手にもった古く分厚いノートを瑠香に突き出す。
「稀代の祈り姫宝子様の日記に今日のことが起こると、書いてありましてよ!」
「そうなのですか!?」
瑠香は驚く。
東は春子の態度にやれやれというしぐさをする。
「大体なことは書いてあってね、瑠香の報告とてらし推測しただけでシラスの能力なんてつかってないよ」
東の力はの瑠香と似ている。
真言や陀羅尼にあわせて皇室に流れる、現れることのある皇祖神の力にのせて竜神をよび隠し、隠れるものを顕にする力だ。
シラスの力はいずれは使うことになるとは思う。
「宝子様も先見の能力をもっていたらしいのです。」
春子は神妙な表情をする。
「黒御足家は古代皇族の導きの神で混じったこともあるかもね。
だから稀代の祈り姫でもあるのかな?」
と、推測してみる。
「その日記にはなんて書かれているのですか?」
今のことが先見されているなんて興味があるし良いことが書いていてほしい…
「白き獣が封印解かれ瑞兆となす…」
それだけですわ。
日記というよりか予言書に近い。
瑞兆とは新しい帝が立たれたときに神が寿ぐ兆しの事だ。
雲の形が龍で現れたり、人の神の姿をしていたり、白き生き物が生まれたり、奇跡なことが起こるそれが瑞兆。
「残念ながら、父に…陛下に…瑞兆はまだ現れていないんだよ……」
東は瑞兆の出現をなに者かに邪魔されたのもあるが、先帝が亡くなるのに瑞兆も不謹慎だと思うと複雑でもある。
だが、もう九ヶ月だし、今回の事件はそういう宿命も持っているかもと思うとワクワクする。
それに、葛葉子は白狐で神だ。
「ですから、葛葉子姉様は瑞兆とになられるのです!」
春子は力強く宣言する。
「もうすぐ、重陽……九の数陽の吉数」
瑠香は、つぶやく。陰陽師の瑠香はハッ!と閃いた。
陰陽では吉数字だ。
陽の気が最大限に強くなる重陽の節句。
九尾の狐といわれる大妖怪も九つ。
九尾とかいて『つづらお』とも読み、葛葉子の葛は『つづら』と読む。
九に繋がる名前だ。
そして、時の帝につけられた九尾の狐の名前は菊。
九つ…つ…と繋がる。
そして重陽の宴は菊の酒を振る舞われ長寿、この世が長く幸せに続くことを願う。
こうも、九が連なると運命的なものを感じるが、吉凶混ざるがこの世の宿命。
運命をあらぬ方向に動かせば予言も変わる…
「九月九日の重陽の節句までに葛葉子が見つかるといいね。」
葛葉子の存在は凶兆ではなく、吉兆だとわかると暗い雰囲気も和らいだ。
「いや、絶対に見つけ出してね?そうしたら、今回の不祥事はお咎め無しにするよ。」
東はニコニコ笑顔でそう言い、瑠香も微笑む。
「はい、かしこまりました!」
もういても立ってもいられない。
阿倍野に一人で乗り込もうと決意する。
「僕も臣もついて行くからね!」
東は目をキラキラさせてそう言った。
ほんっと困ったお方だと思うものの心強かった。
翌日。
東と臣とともに阿倍野屋敷に訪れたがサラ地になっていた…
阿倍野の従兄弟に問いただしてもわからないということだった…
葛葉子の、手がかりはなくなってしまった…
東親王は中務の宮で考える。
事件と言っても、表(世間)に絶対に出してはいけない事件。
もう、闇に葬られて出しようがないが……
机に肘をつき、顔を支えて直立不動の瑠香を見る。
「瑠香はどう思う?葛葉子がやったと思ってる?」
「いえ……」
決定的な証拠は無い。
葛葉子は自分がやったとはいったけれど…
記憶を覗いた瑠香はそのことも東に報告した。
「なら。やってない事に…しちゃおうか?」
仕方なしにため息を吐いて決定した。
不謹慎だが東も葛葉子が部下として学友として可愛い。
苦しんでいるなら救ってやりたい。
結局は公には出来ないのだから……
むしろ警察も立ち入ってはいけない事件で捕まることはけしてないが葛葉子の処分は陰陽寮を管理する中務の宮である東の決断にかかっている。
粗相をしたなら二度と宮中に近づくなとはいったけれど…
「記憶を覗けば、桔梗という姉巫女の名前は黒御足家だということです」
瑠香は黒御足家の事ももちろん知っている。
黒御足家と知っていたら止めていた。
父はさらによく知っていて苦々しい表情をしていた。
春陽の父が阿倍野を嫌悪していたのは黒御足を受け入れたせいだと知った。
まさか、あの穢れた一族が巫女をやっていたとは思っても見なかったらしい。
結局履歴書もなかった。
どこかの職員が裏で入れたのだと察しがつく…
「履歴もなかったんでしょ?怪しい者に近づけた瑠香の責任でもあるかな?」
にっこり笑って責める。
「も、申し訳ありません…」
ほんっと自分は甘かった……
疑っていたなら近づけなければよかった事なのに…
「黒御足ねぇ…九尾の狐を封印したイズナ一族でもあるんだよね…封印を説いちゃったってところかな?」
眉間にシワを寄せて困って考え悩んでいる表情をしているが、
東は内心楽しんでいる。
と瑠香は感じる。
「それで、葛葉子は九尾の狐になってあの事件という事かな?」
と的中させた。
「そこまで知ることができるとはさすがシラスの……」
「いいえ!私のおかげですわ!」
春子女王は扉をバンッ!と勢い良く開けて手にもった古く分厚いノートを瑠香に突き出す。
「稀代の祈り姫宝子様の日記に今日のことが起こると、書いてありましてよ!」
「そうなのですか!?」
瑠香は驚く。
東は春子の態度にやれやれというしぐさをする。
「大体なことは書いてあってね、瑠香の報告とてらし推測しただけでシラスの能力なんてつかってないよ」
東の力はの瑠香と似ている。
真言や陀羅尼にあわせて皇室に流れる、現れることのある皇祖神の力にのせて竜神をよび隠し、隠れるものを顕にする力だ。
シラスの力はいずれは使うことになるとは思う。
「宝子様も先見の能力をもっていたらしいのです。」
春子は神妙な表情をする。
「黒御足家は古代皇族の導きの神で混じったこともあるかもね。
だから稀代の祈り姫でもあるのかな?」
と、推測してみる。
「その日記にはなんて書かれているのですか?」
今のことが先見されているなんて興味があるし良いことが書いていてほしい…
「白き獣が封印解かれ瑞兆となす…」
それだけですわ。
日記というよりか予言書に近い。
瑞兆とは新しい帝が立たれたときに神が寿ぐ兆しの事だ。
雲の形が龍で現れたり、人の神の姿をしていたり、白き生き物が生まれたり、奇跡なことが起こるそれが瑞兆。
「残念ながら、父に…陛下に…瑞兆はまだ現れていないんだよ……」
東は瑞兆の出現をなに者かに邪魔されたのもあるが、先帝が亡くなるのに瑞兆も不謹慎だと思うと複雑でもある。
だが、もう九ヶ月だし、今回の事件はそういう宿命も持っているかもと思うとワクワクする。
それに、葛葉子は白狐で神だ。
「ですから、葛葉子姉様は瑞兆とになられるのです!」
春子は力強く宣言する。
「もうすぐ、重陽……九の数陽の吉数」
瑠香は、つぶやく。陰陽師の瑠香はハッ!と閃いた。
陰陽では吉数字だ。
陽の気が最大限に強くなる重陽の節句。
九尾の狐といわれる大妖怪も九つ。
九尾とかいて『つづらお』とも読み、葛葉子の葛は『つづら』と読む。
九に繋がる名前だ。
そして、時の帝につけられた九尾の狐の名前は菊。
九つ…つ…と繋がる。
そして重陽の宴は菊の酒を振る舞われ長寿、この世が長く幸せに続くことを願う。
こうも、九が連なると運命的なものを感じるが、吉凶混ざるがこの世の宿命。
運命をあらぬ方向に動かせば予言も変わる…
「九月九日の重陽の節句までに葛葉子が見つかるといいね。」
葛葉子の存在は凶兆ではなく、吉兆だとわかると暗い雰囲気も和らいだ。
「いや、絶対に見つけ出してね?そうしたら、今回の不祥事はお咎め無しにするよ。」
東はニコニコ笑顔でそう言い、瑠香も微笑む。
「はい、かしこまりました!」
もういても立ってもいられない。
阿倍野に一人で乗り込もうと決意する。
「僕も臣もついて行くからね!」
東は目をキラキラさせてそう言った。
ほんっと困ったお方だと思うものの心強かった。
翌日。
東と臣とともに阿倍野屋敷に訪れたがサラ地になっていた…
阿倍野の従兄弟に問いただしてもわからないということだった…
葛葉子の、手がかりはなくなってしまった…
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~
紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。
そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。
大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。
しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。
フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。
しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。
「あのときからずっと……お慕いしています」
かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。
ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。
「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、
シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」
あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。
過労薬師です。冷酷無慈悲と噂の騎士様に心配されるようになりました。
黒猫とと
恋愛
王都西区で薬師として働くソフィアは毎日大忙し。かかりつけ薬師として常備薬の準備や急患の対応をたった1人でこなしている。
明るく振舞っているが、完全なるブラック企業と化している。
そんな過労薬師の元には冷徹無慈悲と噂の騎士様が差し入れを持って訪ねてくる。
………何でこんな事になったっけ?
【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました
ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。
名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。
ええ。私は今非常に困惑しております。
私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。
...あの腹黒が現れるまでは。
『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。
個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。
異世界に喚ばれた私は二人の騎士から逃げられない
紅子
恋愛
異世界に召喚された・・・・。そんな馬鹿げた話が自分に起こるとは思わなかった。不可抗力。女性の極めて少ないこの世界で、誰から見ても外見中身とも極上な騎士二人に捕まった私は山も谷もない甘々生活にどっぷりと浸かっている。私を押し退けて自分から飛び込んできたお花畑ちゃんも素敵な人に出会えるといいね・・・・。
完結済み。全19話。
毎日00:00に更新します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる