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あやかしと神様の愛の契(最終回)
3☆葛葉子の寿命
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阿倍野屋敷にはジジ様の屋敷を通る。
あごひげ禿頭の狐耳で背の低い葛葉子の祖父は神妙な顔で待っていた。
「やっと来おったか。」
「葛葉子のところに連れて行ってください!」
瑠香は急ぐ感じで言う。
それなのにジジ様は歳だからかのんびりしているように感じる。
「もちろん連れていくつもりだが…葛葉子の宿命を知っているか?」
「オレの妻になることが宿命だ!」
瑠香は自信を持ってはっきりと告げる。
ジジ様はそんな瑠香に苦笑する。一ヶ月前と変わらない瑠香の態度だ。
「それも宿命だが、我ら阿倍野の…娘達の宿命というより運命のようなものかな……」
宿命は決まったもので変えられない。運命なら自分の選択で変えられるものだ…
ジジ様は悲しげな顔をして大きくため息を吐くように告白する。
「白狐に助けられた魂は十五年しか残りの寿命がない…」
「……なっ…」
瑠香の頭の中が真っ白になる。
それほどの衝撃と信じたくない言葉だ…
その様子をジジ様は見て悲しげな表情をして
「お前がとても葛葉子の事を愛している事は誰でもわかるが、先に逝ってしまうと知っても愛せる自信あるか?」
辛さのあまり他の女に逃げる男もいる…だが、威津那はそんな不貞はしなかった。
他の女に恋心を抱けば楽だったかもしれないのに…
瑠香は拳をぎゅっと握り、
「ならば今すぐでも離れたくない!葛葉子のそばにいたい!一秒足りとも離れたくない!」
瑠香はそう叫び宣言する。
そばにいられなくて焦る気持ちに辛さが加わるもどかしい気分だ。
瑠香の本気の思いが伝わってきてジジ様は複雑な想いになる。
「葛葉子は幸せ者だの…お前の想いは本来は、そのくらい陛下を…愛するために必要なのではないか?誓違いではないか?」
疑う事をジジ様はわざと言う。
だが瑠香の意見は神誓した時からハッキリしている。
「陛下がいなければその十五年平和に幸せに過ごせないだろ!」
迷うことも自分を疑うこともしない。
陛下を一番に慕うことはそういう事だと自信を持っている。
ルカの神も異論はないらしい。
「たしかに、そのとおりだな。
ワシらの時代は平和というものが揺らいでいた。一番に欲していたものだ……
今の世は戦の気配はないからな…陛下の祈りは歴代一だからの」
今上帝は平和に暮らせるからこそ、平和の実感があるからこそ誠実に神に祈られておられる。
「それを脅かそうとする、革命者や阿倍野殿のようなもの止めるのが神の化身の力を頂いたもの達の役目だ!」
陛下のために全力を尽くそうと思っている。
今だって陛下のために威津那を止めようとここまで来た。
「そのために葛葉子を瑞兆として幸せに暮らしたいんだ!」
ジジ様は瑠香の熱い思いとは真逆で冷静だった。
「瑞兆になるということは葛葉子の宿命は決まってしまうことじゃよ……
陛下に神誓する菊ではなくあやかしの九尾の狐としてならば寿命は長くなる可能性はあるのじゃ……」
「………っ」
瑠香は答えについに詰まる。
瑞兆ではなく、あやかしのままならば…長くともに生きられる…だけど…
瑠香はさっきまでの熱を削がれた思いだ…
ジジ様は瑠香の手を取り、
「しょせんは瑠香君の寿命ではない…命を永らえさせたのは白狐であって選択したのは葛葉子だよ…」
それはそうだった…だけど…
「葛葉子の望みはきっと瑠香君と同じじゃよ…きっとな」
ジジ様は瞳を合わせ勇気づけるように優しく微笑み言う。
思い悩む瑠香の熱を取り戻すために、
「葛葉子が寿命のために他の男と寝るとしたら我慢できるか?」
「できない!絶対に!嫌だ!」
想像しただけで許せないしありえない。
そんなことを許すくらいなら……
「そういうことじゃよ。幸せにしてやってくれい!」
バンバンと尻を叩かれた。
ジジ様の例えでなんとなく府に落ちてしまった…
「とにかく、今は…阿倍野殿を止めることが優先だ…」
案内された廊下の手前でジジ様は手を振り瑠香を見送る。
その後ろでジジ様と同じくらいの背の高さの晴房も瑠香の背を見つめていた。
ジジ様は晴房に気がついて、ひ孫の頭をなでて扉の向こうの様子を一緒に見守ることにした。
あごひげ禿頭の狐耳で背の低い葛葉子の祖父は神妙な顔で待っていた。
「やっと来おったか。」
「葛葉子のところに連れて行ってください!」
瑠香は急ぐ感じで言う。
それなのにジジ様は歳だからかのんびりしているように感じる。
「もちろん連れていくつもりだが…葛葉子の宿命を知っているか?」
「オレの妻になることが宿命だ!」
瑠香は自信を持ってはっきりと告げる。
ジジ様はそんな瑠香に苦笑する。一ヶ月前と変わらない瑠香の態度だ。
「それも宿命だが、我ら阿倍野の…娘達の宿命というより運命のようなものかな……」
宿命は決まったもので変えられない。運命なら自分の選択で変えられるものだ…
ジジ様は悲しげな顔をして大きくため息を吐くように告白する。
「白狐に助けられた魂は十五年しか残りの寿命がない…」
「……なっ…」
瑠香の頭の中が真っ白になる。
それほどの衝撃と信じたくない言葉だ…
その様子をジジ様は見て悲しげな表情をして
「お前がとても葛葉子の事を愛している事は誰でもわかるが、先に逝ってしまうと知っても愛せる自信あるか?」
辛さのあまり他の女に逃げる男もいる…だが、威津那はそんな不貞はしなかった。
他の女に恋心を抱けば楽だったかもしれないのに…
瑠香は拳をぎゅっと握り、
「ならば今すぐでも離れたくない!葛葉子のそばにいたい!一秒足りとも離れたくない!」
瑠香はそう叫び宣言する。
そばにいられなくて焦る気持ちに辛さが加わるもどかしい気分だ。
瑠香の本気の思いが伝わってきてジジ様は複雑な想いになる。
「葛葉子は幸せ者だの…お前の想いは本来は、そのくらい陛下を…愛するために必要なのではないか?誓違いではないか?」
疑う事をジジ様はわざと言う。
だが瑠香の意見は神誓した時からハッキリしている。
「陛下がいなければその十五年平和に幸せに過ごせないだろ!」
迷うことも自分を疑うこともしない。
陛下を一番に慕うことはそういう事だと自信を持っている。
ルカの神も異論はないらしい。
「たしかに、そのとおりだな。
ワシらの時代は平和というものが揺らいでいた。一番に欲していたものだ……
今の世は戦の気配はないからな…陛下の祈りは歴代一だからの」
今上帝は平和に暮らせるからこそ、平和の実感があるからこそ誠実に神に祈られておられる。
「それを脅かそうとする、革命者や阿倍野殿のようなもの止めるのが神の化身の力を頂いたもの達の役目だ!」
陛下のために全力を尽くそうと思っている。
今だって陛下のために威津那を止めようとここまで来た。
「そのために葛葉子を瑞兆として幸せに暮らしたいんだ!」
ジジ様は瑠香の熱い思いとは真逆で冷静だった。
「瑞兆になるということは葛葉子の宿命は決まってしまうことじゃよ……
陛下に神誓する菊ではなくあやかしの九尾の狐としてならば寿命は長くなる可能性はあるのじゃ……」
「………っ」
瑠香は答えについに詰まる。
瑞兆ではなく、あやかしのままならば…長くともに生きられる…だけど…
瑠香はさっきまでの熱を削がれた思いだ…
ジジ様は瑠香の手を取り、
「しょせんは瑠香君の寿命ではない…命を永らえさせたのは白狐であって選択したのは葛葉子だよ…」
それはそうだった…だけど…
「葛葉子の望みはきっと瑠香君と同じじゃよ…きっとな」
ジジ様は瞳を合わせ勇気づけるように優しく微笑み言う。
思い悩む瑠香の熱を取り戻すために、
「葛葉子が寿命のために他の男と寝るとしたら我慢できるか?」
「できない!絶対に!嫌だ!」
想像しただけで許せないしありえない。
そんなことを許すくらいなら……
「そういうことじゃよ。幸せにしてやってくれい!」
バンバンと尻を叩かれた。
ジジ様の例えでなんとなく府に落ちてしまった…
「とにかく、今は…阿倍野殿を止めることが優先だ…」
案内された廊下の手前でジジ様は手を振り瑠香を見送る。
その後ろでジジ様と同じくらいの背の高さの晴房も瑠香の背を見つめていた。
ジジ様は晴房に気がついて、ひ孫の頭をなでて扉の向こうの様子を一緒に見守ることにした。
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