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雪と東殿下と学校七不思議
11☆神の依代
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目が覚めると鏡の中は同じ校舎の中だが窓ガラスには人の負の念が張り付いているように見える。
赤い血が滲んだ文字で
「出たい……」「早くここから出たい……」「つまらない……」
「なにか面白いことないかなぁ……」「七不思議でみんなと同じことを共感したい……」
など、願いが鏡の世界に貼り付けられている。
「鏡の世界ということは、二宮くんの御神体は鏡ということなのかな?」
東殿下はそう推理する。
「鏡、『かがみ』から、我『が』をとり神『かみ』となる所を、我を得て穢れた神になっちゃたのかもね」
「土地神と言えど、御神体を祀られた社だったからね……」
二宮くんは少し悲しげな表情で言った。
足は真っ暗な地面から木のように生えたようになっている。
この地と学校と同化した神を具現化した感じだ。
「若い生命力のある複雑な思いの詰まった念は大人よりも未来を見つめ作る力が強いぶん強い力を持っている……それを神は寿ぎ力を貸す……どんな些細なことだって……だから、僕は叶えてあげるんだ……この学校から解放されたい……願いを……刺激的な学校生活を叶えてあげなきゃ……」
いろんな願いが、念が溜まりすぎて矛盾な思いを穢れた神は口にする。
それは辛そうで助けを求めているようにも感じる。
「この念を消すにはあなたを叩き斬ればいいのかしら?」
雪は刀をしまう袋から太刀を取り出しそう二宮くんをにらむ。
この太刀本来の穢れた神を断ち切るための刀でもある。
壊されたいというのが、二宮くん…この神の願いでもあるなら……今すぐ叶える為に鞘を抜いて切先を二宮くんに向けた。
雪の瞳は刀の刃を思わせるほど冷たい。
太刀の神の依代と一体化した雪は二宮くんと似たような存在だ。
二宮くんは雪を見て苦笑しながら、
「……そう簡単にはいかないよ…僕を…本体を切ったとしても現世の世界を割らなきゃ思いの念は解放されないよ…君たちも僕の世界に閉じ込められたまま死ぬよ……そして、本当に七不思議になるんだよ……けけけけけけけけ……!」
と鏡の世界に二宮くんの不気味な笑い声と共に、念が唸るように学校の窓ガラスから風邪に耐える古びた窓ガラスのように震えが起きる。
少しの衝撃で割れそうな窓ガラスのような不安定差がある。
それはまだ未熟な心を持つ生徒達の思いを具現化したものだろうと東殿下は感じた。
東殿下は前世の阿闍梨の記憶を持っているために純粋な十代よりは多少の老猾さを持っているためにそう見抜く。
「【割る】ってことは割れるものの事だよな、二宮より、窓ガラスを割れってことだよな?」
今まで黙っていた本太は窓ガラスをじっくりと見つめてヒントのように呟いた。
「本太君は流石だね……だけど、この世界だけを割るだけじゃ出られないよ……現し世と同時に割らなきゃね……無理だよねぇ、諦めようよ……ふふふふ」
「最終手段しようか?」
東殿下は真剣な顔で仰る。
龍を呼びシラスの力を使えば何とかなると考えるが、
「この世界はこのあやかしになった神の異界……ルールは絶対だ。
余計なことは厄介なことになるぞ」
本太は印を組んで呪をを唱えようとした東殿下を制した。
「君、よく知ってるね。もしかして君も人じゃないの?」
東殿下は瞳に光を輝かせて尋ねる。
「無事この世界から出られたらお話しましょう……」
本太は苦笑してそう言った。
そして、閉じ込められた異界の綻びを探すように真剣に見つめる。
やはり、瞳は金に閃かせている所を見ると人ではないのだろうと確信し本太に興味が湧く。
結局身動きが出来ない……と悶々と雪はしていたが、胸ポケットが微かに振動するのを感じ、忘れていた小型無線機をとりだすと、
『き…ちゃん、雪ちゃん、無事?』
「榊さん!?」
皇室の無線機は性能が良く聞こえる。
さらに、現し世とも繋がることの出来るほどの性能に感心した。
赤い血が滲んだ文字で
「出たい……」「早くここから出たい……」「つまらない……」
「なにか面白いことないかなぁ……」「七不思議でみんなと同じことを共感したい……」
など、願いが鏡の世界に貼り付けられている。
「鏡の世界ということは、二宮くんの御神体は鏡ということなのかな?」
東殿下はそう推理する。
「鏡、『かがみ』から、我『が』をとり神『かみ』となる所を、我を得て穢れた神になっちゃたのかもね」
「土地神と言えど、御神体を祀られた社だったからね……」
二宮くんは少し悲しげな表情で言った。
足は真っ暗な地面から木のように生えたようになっている。
この地と学校と同化した神を具現化した感じだ。
「若い生命力のある複雑な思いの詰まった念は大人よりも未来を見つめ作る力が強いぶん強い力を持っている……それを神は寿ぎ力を貸す……どんな些細なことだって……だから、僕は叶えてあげるんだ……この学校から解放されたい……願いを……刺激的な学校生活を叶えてあげなきゃ……」
いろんな願いが、念が溜まりすぎて矛盾な思いを穢れた神は口にする。
それは辛そうで助けを求めているようにも感じる。
「この念を消すにはあなたを叩き斬ればいいのかしら?」
雪は刀をしまう袋から太刀を取り出しそう二宮くんをにらむ。
この太刀本来の穢れた神を断ち切るための刀でもある。
壊されたいというのが、二宮くん…この神の願いでもあるなら……今すぐ叶える為に鞘を抜いて切先を二宮くんに向けた。
雪の瞳は刀の刃を思わせるほど冷たい。
太刀の神の依代と一体化した雪は二宮くんと似たような存在だ。
二宮くんは雪を見て苦笑しながら、
「……そう簡単にはいかないよ…僕を…本体を切ったとしても現世の世界を割らなきゃ思いの念は解放されないよ…君たちも僕の世界に閉じ込められたまま死ぬよ……そして、本当に七不思議になるんだよ……けけけけけけけけ……!」
と鏡の世界に二宮くんの不気味な笑い声と共に、念が唸るように学校の窓ガラスから風邪に耐える古びた窓ガラスのように震えが起きる。
少しの衝撃で割れそうな窓ガラスのような不安定差がある。
それはまだ未熟な心を持つ生徒達の思いを具現化したものだろうと東殿下は感じた。
東殿下は前世の阿闍梨の記憶を持っているために純粋な十代よりは多少の老猾さを持っているためにそう見抜く。
「【割る】ってことは割れるものの事だよな、二宮より、窓ガラスを割れってことだよな?」
今まで黙っていた本太は窓ガラスをじっくりと見つめてヒントのように呟いた。
「本太君は流石だね……だけど、この世界だけを割るだけじゃ出られないよ……現し世と同時に割らなきゃね……無理だよねぇ、諦めようよ……ふふふふ」
「最終手段しようか?」
東殿下は真剣な顔で仰る。
龍を呼びシラスの力を使えば何とかなると考えるが、
「この世界はこのあやかしになった神の異界……ルールは絶対だ。
余計なことは厄介なことになるぞ」
本太は印を組んで呪をを唱えようとした東殿下を制した。
「君、よく知ってるね。もしかして君も人じゃないの?」
東殿下は瞳に光を輝かせて尋ねる。
「無事この世界から出られたらお話しましょう……」
本太は苦笑してそう言った。
そして、閉じ込められた異界の綻びを探すように真剣に見つめる。
やはり、瞳は金に閃かせている所を見ると人ではないのだろうと確信し本太に興味が湧く。
結局身動きが出来ない……と悶々と雪はしていたが、胸ポケットが微かに振動するのを感じ、忘れていた小型無線機をとりだすと、
『き…ちゃん、雪ちゃん、無事?』
「榊さん!?」
皇室の無線機は性能が良く聞こえる。
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