主婦と神様の恋愛事情

花咲マイコ

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雪と東殿下と学校七不思議

12☆魔を払う太刀の者

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「聞こえてるんですか!?」
 雪は天の助けだと思い必死に確認する。
『聞こえてるよ、時間かなり経っても二人とも帰ってこないから強行突破しょうかと決めたところで、雪ちゃんに無線機を渡したことを思い出して……ははは……』
 同僚の護衛の人に睨まれて苦笑した感じだ。
 榊さんは少し抜けてるところがある分、話しやすくていい人だ。
 雪は今までの経緯を話して、現し世と同時に窓ガラスを割る作戦を話した。
 学校で問題を起こすことは、宮中に務めるもの汚名になり一大事になる事は確実で大人の護衛たちは唸って悩んだが、東殿下を一番にお守りするのが役目で多少はあやかしの世界の事は知っている。
 二人を助けるためには人ならざるものルールに従わなければならない事も理解していた。
『東殿下を救い出すためならば、どんな汚名でもお受けします。』
 そう無線機で意思の硬い言葉が伝わる。
 東殿下は申し訳なさそうに、頭をかいて、雪から無線機を渡してもらい、
「ごめんね。いつも迷惑かけて……」
『いえ、そばでお守りできなかった私たちの落ち度ですので……』
 本気で守れなかった事を落ち込んでいるようだ。
「お叱りは僕の責任で兄上にたっぷり頂くから心配しないでね」
 東殿下の一番上の兄は、舎人宮、景殿下であられ陛下の近辺宮中の警護を司っておられ、皇位第二位、後に皇太子殿下に御成になる方である。

「……流石に、退魔の太刀の者といえど無理、ムリムリ!……学校のガラスは硬いんだからぁ!」
 二宮くんは少し焦った感じて、余裕がなく女子中学生のようなわがままな口調でいう。
「……できないとでも思ってるの?」
 雪は妖艶に微笑んだ。



 護衛三人は胸元から小刀をとり出す。
 小刀と言っても鋼で打たれた刃はない。
 榊達、太刀の者は東殿下の護衛として物騒な太刀を持ち歩くことはしない。
 むしろ、太刀は小刀の木刀に収められている。
 今回護衛は三人。
 互いに親戚同士で互いの能力を知る。
 明るくドジっ子な榊真のほか、桐島悠きりしまゆうは眼鏡をかけてインテリ風な優男。
 槐寿亞嵐えんじゅあらんはハーフで男らしい体格で余計な事は言わないが、何を考えているか察することが難しい。
 その三人、退魔の木で作られた木刀に生まれついての能力を注ぎ込んで退魔の太刀を露わにするタイプなのだ。
 榊は榊の木。
 桐島は桐の木。
 槐寿は槐の木に念を込めると、煌めく立派な木刀を具現化させた。
 それは負の念や、魔を断ち切る木刀……で使い手の神気が揺らめいて幻想的だ。
 さらに、霊力が上がるために、学校の異界の様子が見えた。
 この能力をさがしていた時に使ってはいたが、雪に連絡する前に異変を感じだ槐寿が察した。
 それは二宮くんが本性を表わしたからだった。
 そして今に至り、異界と繋がっているのならば現し世の窓ガラスを割ることによって東殿下を救えると思う。
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