切なさと君と僕

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永遠の聖母

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君は多分ずっと変わらないまま、俺の中に残るだろう。










大学を卒業して社会人になって、仕事の忙しさという名のすれ違いで、大学の時から付き合っている彼女とは別れた。



2学年下のサークルの後輩の卒業イベントをOBとして見に行く休日は悪くない。青春が甦るようで。



会場につくと、君がいた。
1つ年下の君も、もう社会人なんだもんな、とふと感慨深い。
ただ、君の為にも、俺の為にも、必要以上に接触しない方がいいと思った。


君は、俺のそんな思惑がお見通しのように、俺に軽い挨拶だけして、同期の輪に戻る。



卒業イベントでも、君はOGとしてはりきってマイクを持ち、祝いのメッセージをコミカルに明るく贈る。



変わってないな、と思う。
俺に告白した学生の頃の君を錯覚する。


君は当時俺に彼女がいると知っていて告白したね。
今、彼女と別れた、と言えば君はどんな反応をするだろうか?




後輩の卒業イベントも終わって、映像が写されていたスクリーンをジッと見つめたままの君。
スクリーンには、待機中の真っ青な画面しか写っていないのに。


その横顔が何となく寂しそうで、話しかけたくなったけど、体が動かなかった。



その後も、特に会話もすることなく、俺は帰路についた。




~~~~~



それから、2年程、君の顔は一切見ていなかったのに、



君は昨夜俺の夢に現れた。



光が射す真っ白な部屋、真っ白なカーテン、
白が支配する部屋で
俺は真っ白なベッドの上で、真っ白なシャツと真っ白なパンツを履いて、真っ白なシーツを被りながら寝ていた。


そこまではいたって普通なのに、
気づけば真っ白なワンピースを着た君が俺と向かい合わせになって寝ている。

夢なのに、夢だからこそ、
いやらしさは微塵も感じない。


そして、目をつぶったままの君は、そっと俺の背中に手を伸ばす。
優しく包み込むように。

その後、俺が目をつぶったまま両手で君を優しく抱き締める。


感触はない。








そこで俺は目を覚ましたから、
夢の意味を考えてしまう。



どうして君が?



あんなに会っていないのに。



君のこと、別に好きでもないのに。


付き合ってもいないし、
告白の返事さえさせてもらえなかったのに



気になってしょうがない気持ちがしばらく続いたが、時間を思い出したように日常に戻る。



会社への移動中ふと思う。



告白してきた女の子に対して、
結果はどうであれ俺は基本的に嫌な気はしない。


いつまでも、どこかで俺は君が俺のことを好いているんじゃないかと自意識過剰に思ってしまうのは、その為かもしれない。
それは、願望ではなく、女性に対する男としての憧れや希望に近い。
実際君がそうであれば、重いけれど、非常に勝手甚だしいがこちらだけがそう思う分には何か神聖さが漂う。



だから多分、普段は気付いてないけど、
君は俺の脳内のどこかに必ずいて、
忘れられない存在なんだと思う。



それで、君はこうやって、聖母のように俺の夢に表れるんだろうね。












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