26 / 53
死後の世界と真紅のドラゴン
ダンジョン攻略してみようぜ!
しおりを挟む
「俺はその先輩に陥れられたんだ。学年があがり、飛鳥君と敦也が高校に入ってきて先輩は飛鳥君、君に目をつけたんだ。好意を抱いたんだ。でも、先輩はどこから手に入れたのか飛鳥君は敦也が好きという情報を持っていた。実際俺も敦也がよく飛鳥君の話を中学のときしていてもしやとは思っていたが」
「……なんでそんな情報が」
飛鳥が敦也のことを好きというのに気づいたのは昨日だし、飛鳥が敦也を好きだと思える人物なんてそうはいないはずだ。
「知らないよ、それは本人に聞いてくれ。で、先輩は敦也を飛鳥君から離そうとした。どんな手を使ってでも。そして、俺を使ったんだ。先輩は最初ただ痛めつけるだけでいいと言っていた、しかし日がますにつれて先輩からの命令は過度になっていった。そして昨日殺せと言われた。さすがに俺は断ろうとした。でも、断ったら俺の身内をすべて殺すと毎回脅され断れなかった」
矢沢先輩も誰かを脅されてきていたのか。
「それで、その先輩は」
「傘山御門。生徒会副会長兼バスケ部部長。御曹司であり、イケメン。俺と違いすべてを持っていた」
「傘山先輩が……」
「飛鳥君は俺を恨んでいるかい?」
「恨んではいないと言ったら嘘だと思います。あなたに事情があったとしても、わたしの大切な人を殺した、何があっても許せません」
飛鳥は敦也を殺した矢沢先輩に命令した犯人の正体を知り強い衝撃を受けた。仮説通りだったことが逆に嫌だった。違うことを少しでも祈っていた。
でも、そうだとすると傘山先輩が敦也を殺そうとした理由って。
「わたしが悪いんだ」
面会時間があっという間に終わり、飛鳥は帰路をおぼつかない足どりでたどった。
家に着くや、飛鳥は一枚の手紙用の紙を取りだし書き始めた。自分ののすべての想いを伝えるために。
※
翌日。敦也は凜に案内されギルドのあちこちを巡り巡った。
そこには見たことのないものから、懐かしいものまであり閉ざされた世界を楽しんでいた。
「かなり歩いたな凜」
坂道を歩きながら敦也は前を歩く凜に訊ねた。
「そろそろですよ」
そう言って凜は歩く歩調を速める。
時刻はもう夕方だろうか。敦也と凜はいま坂道を歩いていた。塔よりは低いがかなり高い山のようだった。
「着きましたよ先輩」
坂道を登り終えた敦也を待っていたのは最高の景色だった。
空が綺麗に赤く染まり、赤い光が領土のいたるところを照らし出していた。下の景色を一望していた。
「ここはわたしのお気に入りの場所なんです。落ち込んだ日とかはよくここに来ます」
凜が『閉ざされた世界』に来たのもまだ最近のことだ、敦也と同じでまだ理解できていないことだってたくさんあるだろう。
「わたしも祐希さんや夜鶴さんみたいに強くなりたいんです」
「俺は無理に強くならなくてもいいと思う。自分が出来ないことは誰かに頼ればいい、誰かが出来ないことは自分が手伝えばいい。凜は自分がしたいことをすればいいんじゃないか」
「わたしがしたいことは強くなることなの」
「強くなってどうしたいんだ、その先は何があるんだ?」
凜は考えだした。自分が何をしたいのかを。
「もちろん【鍵の在処】を目指すためだけど、でも他に仲間を守るためにわたしは強くなりたい」
「俺もだよ。いまいる夢猫のメンバーで【鍵の在処】に着きたいな」
敦也と凜は沈んでいく夕日を眺めているとテレパシーが脳に流れた。
『祐希、広太、空、リンリン、敦也は至急咲夜の部屋まで来るように』
「ほら行くぞリンリン」
「先輩がリンリン言わないでください!」
咲夜の部屋に着くと部屋には呼ばれたメンバーと咲夜と京子さんがいた。
祐希はいつもの紫陽花模様の着物で寝癖か跳ねていた。さっきまで寝ていたのだろう。広太は特訓後にシャワーでも浴びてきたのだろうか髪は潰れていた。空は短パンに白いTシャツだった。
「全員揃ったね、今回みんなに来てもらったのは他でもない。ある作戦を実行してもらうためだよ」
奥の椅子に座る咲夜が毅然とした様子で話し出した。
「お、何ですかギルドの外に冒険ですか」
空がテンション上げて目を輝かせる。広太は疲れた表情のままだった。祐希はあくびしてまだ眠り足りなそうだった。
咲夜は敦也たちを一瞥してから、机を突ついてホロ画面を写し出した。
「ダンジョン攻略だ!」
ホロ画面に大きくダンジョン攻略と文字が写し出される。
「俺はその先輩に陥れられたんだ。学年があがり、飛鳥君と敦也が高校に入ってきて先輩は飛鳥君、君に目をつけたんだ。好意を抱いたんだ。でも、先輩はどこから手に入れたのか飛鳥君は敦也が好きという情報を持っていた。実際俺も敦也がよく飛鳥君の話を中学のときしていてもしやとは思っていたが」
「……なんでそんな情報が」
飛鳥が敦也のことを好きというのに気づいたのは昨日だし、飛鳥が敦也を好きだと思える人物なんてそうはいないはずだ。
「知らないよ、それは本人に聞いてくれ。で、先輩は敦也を飛鳥君から離そうとした。どんな手を使ってでも。そして、俺を使ったんだ。先輩は最初ただ痛めつけるだけでいいと言っていた、しかし日がますにつれて先輩からの命令は過度になっていった。そして昨日殺せと言われた。さすがに俺は断ろうとした。でも、断ったら俺の身内をすべて殺すと毎回脅され断れなかった」
矢沢先輩も誰かを脅されてきていたのか。
「それで、その先輩は」
「傘山御門。生徒会副会長兼バスケ部部長。御曹司であり、イケメン。俺と違いすべてを持っていた」
「傘山先輩が……」
「飛鳥君は俺を恨んでいるかい?」
「恨んではいないと言ったら嘘だと思います。あなたに事情があったとしても、わたしの大切な人を殺した、何があっても許せません」
飛鳥は敦也を殺した矢沢先輩に命令した犯人の正体を知り強い衝撃を受けた。仮説通りだったことが逆に嫌だった。違うことを少しでも祈っていた。
でも、そうだとすると傘山先輩が敦也を殺そうとした理由って。
「わたしが悪いんだ」
面会時間があっという間に終わり、飛鳥は帰路をおぼつかない足どりでたどった。
家に着くや、飛鳥は一枚の手紙用の紙を取りだし書き始めた。自分ののすべての想いを伝えるために。
※
翌日。敦也は凜に案内されギルドのあちこちを巡り巡った。
そこには見たことのないものから、懐かしいものまであり閉ざされた世界を楽しんでいた。
「かなり歩いたな凜」
坂道を歩きながら敦也は前を歩く凜に訊ねた。
「そろそろですよ」
そう言って凜は歩く歩調を速める。
時刻はもう夕方だろうか。敦也と凜はいま坂道を歩いていた。塔よりは低いがかなり高い山のようだった。
「着きましたよ先輩」
坂道を登り終えた敦也を待っていたのは最高の景色だった。
空が綺麗に赤く染まり、赤い光が領土のいたるところを照らし出していた。下の景色を一望していた。
「ここはわたしのお気に入りの場所なんです。落ち込んだ日とかはよくここに来ます」
凜が『閉ざされた世界』に来たのもまだ最近のことだ、敦也と同じでまだ理解できていないことだってたくさんあるだろう。
「わたしも祐希さんや夜鶴さんみたいに強くなりたいんです」
「俺は無理に強くならなくてもいいと思う。自分が出来ないことは誰かに頼ればいい、誰かが出来ないことは自分が手伝えばいい。凜は自分がしたいことをすればいいんじゃないか」
「わたしがしたいことは強くなることなの」
「強くなってどうしたいんだ、その先は何があるんだ?」
凜は考えだした。自分が何をしたいのかを。
「もちろん【鍵の在処】を目指すためだけど、でも他に仲間を守るためにわたしは強くなりたい」
「俺もだよ。いまいる夢猫のメンバーで【鍵の在処】に着きたいな」
敦也と凜は沈んでいく夕日を眺めているとテレパシーが脳に流れた。
『祐希、広太、空、リンリン、敦也は至急咲夜の部屋まで来るように』
「ほら行くぞリンリン」
「先輩がリンリン言わないでください!」
咲夜の部屋に着くと部屋には呼ばれたメンバーと咲夜と京子さんがいた。
祐希はいつもの紫陽花模様の着物で寝癖か跳ねていた。さっきまで寝ていたのだろう。広太は特訓後にシャワーでも浴びてきたのだろうか髪は潰れていた。空は短パンに白いTシャツだった。
「全員揃ったね、今回みんなに来てもらったのは他でもない。ある作戦を実行してもらうためだよ」
奥の椅子に座る咲夜が毅然とした様子で話し出した。
「お、何ですかギルドの外に冒険ですか」
空がテンション上げて目を輝かせる。広太は疲れた表情のままだった。祐希はあくびしてまだ眠り足りなそうだった。
咲夜は敦也たちを一瞥してから、机を突ついてホロ画面を写し出した。
「ダンジョン攻略だ!」
ホロ画面に大きくダンジョン攻略と文字が写し出される。
「ダンジョン攻略って、あの神器やらがあってモンスターがいる場所か」
「ん、そうだよ敦也くん。それを君たち五人に攻略して来てもらいたいんだ。ちなみにリーダーは広太だよ」
「はい、広太じゃ頼りないと思います!」
空が広太を見ながら挙手する。
「ん、撃ち殺すぞ」
広太が空を睨み返す。火花がバチバチと散る。仲が悪いのだろうかこの二人は。
「はいはい、いきなり喧嘩しないの。リーダーについての異論は聞かないからね」
京子さんが二人の喧嘩を止めにかかる。
「何で俺なんだ。夜鶴や雲竜寺さんがいるんじゃないか?」
「彼らと瀬尾先輩は別の任務で二日後からいないんだよ」
「でも、他に戦える人はいるよな」
「敦也くん具合が悪いのかい?」
咲夜は不思議そうに訊ねる。
「え、いや普通だけど」
「ギルドのみんなは敦也くんには期待してるんだよ、だから敦也くんには経験を積んでほしいんだ。チャンスが目の前にあるんだよ。目を逸らしてはいけない。チャンスが欲しくても現れない人間だっているんだ。敦也くんはやるべきだ」
本当に期待されているなんて、久しぶりに敦也は思った。
「マスター命令だ、拒否権はないよ!」
俺は強くなる。そして生き返るんだ。そのためには、
「なんだってやるさ、断る理由がないよ!」
敦也の答えを聞いた咲夜は満足そうににやりと笑い広太に目を配った。
「よし、お前ら絶体にダンジョンクリアするぞ!」
「ぼくがいればどうにかなるよ」
祐希があくびしながら言うと、
「祐希は本当にピンチの時しか能力と神器使っちゃダメだからね」
咲夜に言われがっかりした。
「さぁ、みんなダンジョン攻略の準備開始だ!」
咲夜の高らかなダンジョン攻略準備開始宣言が発表されたが、敦也は何をしていいのか解らなかった。
「準備って何をすればいいんだ?」
「ん、テキトーに特訓してればいいんじゃない。祐希はいつも通りの準備お願いね」
咲夜は敦也たちを見ないで、本当に適当にあくびしながら答えた。
「解ってるよマスター。氷道姉と打ち合わせしなきゃ」
「祐希、氷道姉って誰だ?」
「わたしも知らない人です」
「そっか、敦也くんも凜ちゃんも会ったことないね。普段引きこもりだからね~」
「引きこもり!?」
「問題児なのか?」
「いや、問題児ではなくて天才児かな~?」
「いや、美崎は馬鹿だよ。音楽馬鹿だよ」
「「音楽馬鹿!?」」
そんな音楽馬鹿な氷道美崎とはどんな人物なのだろうか。
「ま、敦也と凜は氷道のことより特訓の話だな。夜鶴さんや雲竜寺さんにも手伝ってもらうか。空はまぁ適当に」
「了解であります」
可愛らしく敬礼する空を無視して、
「明日から特訓だ。今日は早めに寝ろよ」
※
「なぁ、どこに行くんだよ」
「祐希さんが体育館に来てだって」
「体育館?」
昨日のギルド案内で行った場所の一つだ。ただし、中には入らないで目の前を通過するだけで終わったのだ。しかも、場所が遠いのであまり行きたくはないと思った。
「体育館で特訓するのか?」
「どうでしょう。祐希さんに呼ばれる時点で、なんだか怪しいですけど」
敦也と凜はそんな他愛のない会話をしながら、体育館へ向かった。
体育館に窓はなく、固いドアだけが中に入る入り口だった。
敦也と凜は祐希に会うつもりで中に入ると、聞いたことのある音が聴覚を刺激した。聴いたことのある音が聴覚を揺らす。
「……なんでそんな情報が」
飛鳥が敦也のことを好きというのに気づいたのは昨日だし、飛鳥が敦也を好きだと思える人物なんてそうはいないはずだ。
「知らないよ、それは本人に聞いてくれ。で、先輩は敦也を飛鳥君から離そうとした。どんな手を使ってでも。そして、俺を使ったんだ。先輩は最初ただ痛めつけるだけでいいと言っていた、しかし日がますにつれて先輩からの命令は過度になっていった。そして昨日殺せと言われた。さすがに俺は断ろうとした。でも、断ったら俺の身内をすべて殺すと毎回脅され断れなかった」
矢沢先輩も誰かを脅されてきていたのか。
「それで、その先輩は」
「傘山御門。生徒会副会長兼バスケ部部長。御曹司であり、イケメン。俺と違いすべてを持っていた」
「傘山先輩が……」
「飛鳥君は俺を恨んでいるかい?」
「恨んではいないと言ったら嘘だと思います。あなたに事情があったとしても、わたしの大切な人を殺した、何があっても許せません」
飛鳥は敦也を殺した矢沢先輩に命令した犯人の正体を知り強い衝撃を受けた。仮説通りだったことが逆に嫌だった。違うことを少しでも祈っていた。
でも、そうだとすると傘山先輩が敦也を殺そうとした理由って。
「わたしが悪いんだ」
面会時間があっという間に終わり、飛鳥は帰路をおぼつかない足どりでたどった。
家に着くや、飛鳥は一枚の手紙用の紙を取りだし書き始めた。自分ののすべての想いを伝えるために。
※
翌日。敦也は凜に案内されギルドのあちこちを巡り巡った。
そこには見たことのないものから、懐かしいものまであり閉ざされた世界を楽しんでいた。
「かなり歩いたな凜」
坂道を歩きながら敦也は前を歩く凜に訊ねた。
「そろそろですよ」
そう言って凜は歩く歩調を速める。
時刻はもう夕方だろうか。敦也と凜はいま坂道を歩いていた。塔よりは低いがかなり高い山のようだった。
「着きましたよ先輩」
坂道を登り終えた敦也を待っていたのは最高の景色だった。
空が綺麗に赤く染まり、赤い光が領土のいたるところを照らし出していた。下の景色を一望していた。
「ここはわたしのお気に入りの場所なんです。落ち込んだ日とかはよくここに来ます」
凜が『閉ざされた世界』に来たのもまだ最近のことだ、敦也と同じでまだ理解できていないことだってたくさんあるだろう。
「わたしも祐希さんや夜鶴さんみたいに強くなりたいんです」
「俺は無理に強くならなくてもいいと思う。自分が出来ないことは誰かに頼ればいい、誰かが出来ないことは自分が手伝えばいい。凜は自分がしたいことをすればいいんじゃないか」
「わたしがしたいことは強くなることなの」
「強くなってどうしたいんだ、その先は何があるんだ?」
凜は考えだした。自分が何をしたいのかを。
「もちろん【鍵の在処】を目指すためだけど、でも他に仲間を守るためにわたしは強くなりたい」
「俺もだよ。いまいる夢猫のメンバーで【鍵の在処】に着きたいな」
敦也と凜は沈んでいく夕日を眺めているとテレパシーが脳に流れた。
『祐希、広太、空、リンリン、敦也は至急咲夜の部屋まで来るように』
「ほら行くぞリンリン」
「先輩がリンリン言わないでください!」
咲夜の部屋に着くと部屋には呼ばれたメンバーと咲夜と京子さんがいた。
祐希はいつもの紫陽花模様の着物で寝癖か跳ねていた。さっきまで寝ていたのだろう。広太は特訓後にシャワーでも浴びてきたのだろうか髪は潰れていた。空は短パンに白いTシャツだった。
「全員揃ったね、今回みんなに来てもらったのは他でもない。ある作戦を実行してもらうためだよ」
奥の椅子に座る咲夜が毅然とした様子で話し出した。
「お、何ですかギルドの外に冒険ですか」
空がテンション上げて目を輝かせる。広太は疲れた表情のままだった。祐希はあくびしてまだ眠り足りなそうだった。
咲夜は敦也たちを一瞥してから、机を突ついてホロ画面を写し出した。
「ダンジョン攻略だ!」
ホロ画面に大きくダンジョン攻略と文字が写し出される。
「俺はその先輩に陥れられたんだ。学年があがり、飛鳥君と敦也が高校に入ってきて先輩は飛鳥君、君に目をつけたんだ。好意を抱いたんだ。でも、先輩はどこから手に入れたのか飛鳥君は敦也が好きという情報を持っていた。実際俺も敦也がよく飛鳥君の話を中学のときしていてもしやとは思っていたが」
「……なんでそんな情報が」
飛鳥が敦也のことを好きというのに気づいたのは昨日だし、飛鳥が敦也を好きだと思える人物なんてそうはいないはずだ。
「知らないよ、それは本人に聞いてくれ。で、先輩は敦也を飛鳥君から離そうとした。どんな手を使ってでも。そして、俺を使ったんだ。先輩は最初ただ痛めつけるだけでいいと言っていた、しかし日がますにつれて先輩からの命令は過度になっていった。そして昨日殺せと言われた。さすがに俺は断ろうとした。でも、断ったら俺の身内をすべて殺すと毎回脅され断れなかった」
矢沢先輩も誰かを脅されてきていたのか。
「それで、その先輩は」
「傘山御門。生徒会副会長兼バスケ部部長。御曹司であり、イケメン。俺と違いすべてを持っていた」
「傘山先輩が……」
「飛鳥君は俺を恨んでいるかい?」
「恨んではいないと言ったら嘘だと思います。あなたに事情があったとしても、わたしの大切な人を殺した、何があっても許せません」
飛鳥は敦也を殺した矢沢先輩に命令した犯人の正体を知り強い衝撃を受けた。仮説通りだったことが逆に嫌だった。違うことを少しでも祈っていた。
でも、そうだとすると傘山先輩が敦也を殺そうとした理由って。
「わたしが悪いんだ」
面会時間があっという間に終わり、飛鳥は帰路をおぼつかない足どりでたどった。
家に着くや、飛鳥は一枚の手紙用の紙を取りだし書き始めた。自分ののすべての想いを伝えるために。
※
翌日。敦也は凜に案内されギルドのあちこちを巡り巡った。
そこには見たことのないものから、懐かしいものまであり閉ざされた世界を楽しんでいた。
「かなり歩いたな凜」
坂道を歩きながら敦也は前を歩く凜に訊ねた。
「そろそろですよ」
そう言って凜は歩く歩調を速める。
時刻はもう夕方だろうか。敦也と凜はいま坂道を歩いていた。塔よりは低いがかなり高い山のようだった。
「着きましたよ先輩」
坂道を登り終えた敦也を待っていたのは最高の景色だった。
空が綺麗に赤く染まり、赤い光が領土のいたるところを照らし出していた。下の景色を一望していた。
「ここはわたしのお気に入りの場所なんです。落ち込んだ日とかはよくここに来ます」
凜が『閉ざされた世界』に来たのもまだ最近のことだ、敦也と同じでまだ理解できていないことだってたくさんあるだろう。
「わたしも祐希さんや夜鶴さんみたいに強くなりたいんです」
「俺は無理に強くならなくてもいいと思う。自分が出来ないことは誰かに頼ればいい、誰かが出来ないことは自分が手伝えばいい。凜は自分がしたいことをすればいいんじゃないか」
「わたしがしたいことは強くなることなの」
「強くなってどうしたいんだ、その先は何があるんだ?」
凜は考えだした。自分が何をしたいのかを。
「もちろん【鍵の在処】を目指すためだけど、でも他に仲間を守るためにわたしは強くなりたい」
「俺もだよ。いまいる夢猫のメンバーで【鍵の在処】に着きたいな」
敦也と凜は沈んでいく夕日を眺めているとテレパシーが脳に流れた。
『祐希、広太、空、リンリン、敦也は至急咲夜の部屋まで来るように』
「ほら行くぞリンリン」
「先輩がリンリン言わないでください!」
咲夜の部屋に着くと部屋には呼ばれたメンバーと咲夜と京子さんがいた。
祐希はいつもの紫陽花模様の着物で寝癖か跳ねていた。さっきまで寝ていたのだろう。広太は特訓後にシャワーでも浴びてきたのだろうか髪は潰れていた。空は短パンに白いTシャツだった。
「全員揃ったね、今回みんなに来てもらったのは他でもない。ある作戦を実行してもらうためだよ」
奥の椅子に座る咲夜が毅然とした様子で話し出した。
「お、何ですかギルドの外に冒険ですか」
空がテンション上げて目を輝かせる。広太は疲れた表情のままだった。祐希はあくびしてまだ眠り足りなそうだった。
咲夜は敦也たちを一瞥してから、机を突ついてホロ画面を写し出した。
「ダンジョン攻略だ!」
ホロ画面に大きくダンジョン攻略と文字が写し出される。
「ダンジョン攻略って、あの神器やらがあってモンスターがいる場所か」
「ん、そうだよ敦也くん。それを君たち五人に攻略して来てもらいたいんだ。ちなみにリーダーは広太だよ」
「はい、広太じゃ頼りないと思います!」
空が広太を見ながら挙手する。
「ん、撃ち殺すぞ」
広太が空を睨み返す。火花がバチバチと散る。仲が悪いのだろうかこの二人は。
「はいはい、いきなり喧嘩しないの。リーダーについての異論は聞かないからね」
京子さんが二人の喧嘩を止めにかかる。
「何で俺なんだ。夜鶴や雲竜寺さんがいるんじゃないか?」
「彼らと瀬尾先輩は別の任務で二日後からいないんだよ」
「でも、他に戦える人はいるよな」
「敦也くん具合が悪いのかい?」
咲夜は不思議そうに訊ねる。
「え、いや普通だけど」
「ギルドのみんなは敦也くんには期待してるんだよ、だから敦也くんには経験を積んでほしいんだ。チャンスが目の前にあるんだよ。目を逸らしてはいけない。チャンスが欲しくても現れない人間だっているんだ。敦也くんはやるべきだ」
本当に期待されているなんて、久しぶりに敦也は思った。
「マスター命令だ、拒否権はないよ!」
俺は強くなる。そして生き返るんだ。そのためには、
「なんだってやるさ、断る理由がないよ!」
敦也の答えを聞いた咲夜は満足そうににやりと笑い広太に目を配った。
「よし、お前ら絶体にダンジョンクリアするぞ!」
「ぼくがいればどうにかなるよ」
祐希があくびしながら言うと、
「祐希は本当にピンチの時しか能力と神器使っちゃダメだからね」
咲夜に言われがっかりした。
「さぁ、みんなダンジョン攻略の準備開始だ!」
咲夜の高らかなダンジョン攻略準備開始宣言が発表されたが、敦也は何をしていいのか解らなかった。
「準備って何をすればいいんだ?」
「ん、テキトーに特訓してればいいんじゃない。祐希はいつも通りの準備お願いね」
咲夜は敦也たちを見ないで、本当に適当にあくびしながら答えた。
「解ってるよマスター。氷道姉と打ち合わせしなきゃ」
「祐希、氷道姉って誰だ?」
「わたしも知らない人です」
「そっか、敦也くんも凜ちゃんも会ったことないね。普段引きこもりだからね~」
「引きこもり!?」
「問題児なのか?」
「いや、問題児ではなくて天才児かな~?」
「いや、美崎は馬鹿だよ。音楽馬鹿だよ」
「「音楽馬鹿!?」」
そんな音楽馬鹿な氷道美崎とはどんな人物なのだろうか。
「ま、敦也と凜は氷道のことより特訓の話だな。夜鶴さんや雲竜寺さんにも手伝ってもらうか。空はまぁ適当に」
「了解であります」
可愛らしく敬礼する空を無視して、
「明日から特訓だ。今日は早めに寝ろよ」
※
「なぁ、どこに行くんだよ」
「祐希さんが体育館に来てだって」
「体育館?」
昨日のギルド案内で行った場所の一つだ。ただし、中には入らないで目の前を通過するだけで終わったのだ。しかも、場所が遠いのであまり行きたくはないと思った。
「体育館で特訓するのか?」
「どうでしょう。祐希さんに呼ばれる時点で、なんだか怪しいですけど」
敦也と凜はそんな他愛のない会話をしながら、体育館へ向かった。
体育館に窓はなく、固いドアだけが中に入る入り口だった。
敦也と凜は祐希に会うつもりで中に入ると、聞いたことのある音が聴覚を刺激した。聴いたことのある音が聴覚を揺らす。
0
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。
しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。
私たち夫婦には娘が1人。
愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。
だけど娘が選んだのは夫の方だった。
失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。
事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。
再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる