44 / 67
40.試験に向けてとアレ
しおりを挟む
40.試験に向けてとアレ
【ジュ〇シックワールド】でレベル上げと観光をして、家へと戻ってきてから色々と【リロード】を試してみた。
ダンジョンで使ったときはマガジンが交換されただけだが機能としてはそれだけなのかが気になったのだ。
まずはマガジンが無く1発ずつ込める必要がある銃の場合。
試した結果は1発ずつ弾が勝手に装填されるという感じだった、正直自分でするのと変わりない。むしろ自分でしたほうが早い。
そもそも1発ずつ装填する場合ってスナイパーとかだし、1発ずつ撃つという事は遠距離で時間があるし【リロード】を使うまでもない。
なのでまぁスナイパーでは使う必要ないかなって所。
次に気になったのは【リロード】を使ってマガジンへの弾込めをできるのかって事。
今はお風呂後の寝る前の時間とかを使ってダンジョンで使い切ったマガジンにちまちまと弾を込めている。
こういう準備って楽しいし嫌いではないんだけれど、たまにめんどくさいなって思う時もあるそういう時に自動で出来たらなぁって考えてた。
一応この弾込め行為も【リロード】と言えるんじゃないかと解釈してみた。
そして早速試してみた、机に空のマガジンと弾を箱から取り出し並べてから【リロード】と唱えてみた。
すると手でひとつひとつ込めていくように弾が独りでに浮き上がりマガジンも同様に浮き上がり自動で弾込めしていった。
スピードはやはり自分でやるのと変わりないが違う点としては取り出しておいて置いたマガジン全てに弾が込められている所だろうか。
これはかなり楽になる、まぁたまには自分の手で弾込め作業もするが………結構好きな作業なのだ。
そしていよいよ大本命を試そうとおもう、アレだ。
まずはいつも使っているハンドガンを取り出す、次に今回の為に購入した追加のハンドガンを取り出す。
そう、アレとは2丁拳銃だ。
【リロード】を覚えたときにすぐに脳裏をよぎったのは2丁拳銃だった。
映画やアニメなどではかっこよく描写されいかにも強く見えてありきたりだが現実ではそう強い物でもない、そもそもハンドガンを片手で扱う以上狙いが定まらない反動などもあるし構え方的にちゃんと狙う事が出来たとしても片方だけになる。
それに1番の問題はリロードだ、両手が塞がっている以上素早いリロードは出来ない。
映画やアニメなどでは現実的でない挙動で無理やりリロードしてたりする。
逆に言えば現実的でない方法ならリロードする事は出来るという事だ。
そして俺は今回現実的でない魔法のようなリロード方法を手に入れてしまった、ならばするしかないだろう2丁拳銃。
そこまで無理して2丁拳銃をしてみなくてもって思うかもしれないが、これは一種の憧れなのだ。
かっこいいからしたい。それだけだ。
◇ ◇ ◇ ◇
「はぁ、はぁ、はぁ………うぇっ」
顔を伝って落ちる汗が気持ち悪い、だが思う存分好きなように動いたので爽快感はある。
なぜこんなにも息を切らしてえずくほど動いているのかというと2丁拳銃を試したからだ、もちろん【リロード】も試した。
【野営地】内に追加でいくつか人型の的を買って置いてそれを目標に動きながら2丁拳銃を試してみたのだ。
結果としてはうまくいったともいえるしダメだなーって部分もあった。
上手くいったのは【リロード】の部分と2丁拳銃時の命中率だ。
そもそも器用値特化の俺のステータスならある程度あてる事は出来ると思っていたが自分が思っているよりもさらに器用だったのか2丁拳銃を振り回し動き回りながら撃った弾はほとんど外れる事なく的に当たっていた、それも狙った場所にだ。
率としては8割から9割ぐらい?の感覚でちゃんと的にあたっていた。この結果には正直驚いた、もっと外すと思っていたからだ。
【リロード】については面白かった、今までは動かない状態か動いたとしても少しだけの状態での【リロード】だったのでこんなもんかぁだったが、激しく動き回りながらの【リロード】は強制力が働くのか、ハンドガンを振り回していても【リロード】を唱えるとマガジンが空を飛び回り最終的にちゃんと【リロード】してくれる。
マガジンの入れる部分が横に向いていようが上に向いていようが関係なくハンドガンに飛んできたマガジンが刺さっていた。
飛んでいたマガジンは何と言うか動き回る俺の腕などを避けてちゃんと刺さるのでその挙動がちょっと面白くて、これは無理だろう!?って動きを試しながら遊んでいた。
ここまでがよかった部分で。
次にダメだった部分は1点だけ、スタミナのなさだ。
命中率はいい、マガジンの交換も【リロード】で何とかなる。だけど問題は本人である俺のスタミナのなさだった。
2丁拳銃を振り回し的あてして遊ぶこと数十分もすれば息切れを起こし30分もたたないうちに汗だくでえずくほどになった。あと脇腹が痛い。
今までは動くと言っても数分だけ、それも敵の攻撃を避けるときだけな感じで残りはずっと遠距離からちまちまするだけだったのがここにきて自分自身のスタミナのなさを露見させていた。
ステータス的にいえばこれでも最初の時よりスタミナは伸びているはずなのだがそれでもあれだけ激しく動けば流石にダメなのか辛い。
「はぁ………これは今後の課題が見つかったと思って喜んでおくべきか」
もっと危機的状況で自分のスタミナのなさに気づくより、今こうして遊んでいてだけど気づけて良かったのかもしれない。
そう思いたい。
◇ ◇ ◇ ◇
「どうするか」
2丁拳銃を試して疲れてしまったのでご飯を食べてお風呂に入って後は寝るだけの状態になった現在、俺は悩んでいた。
考えるのはさっきの2丁拳銃の事もそうだけど、それよりもBランク試験についてだ。
今現在俺のレベルは52、レベルは問題ないし他の条件であるクランへの所属も問題ない。
Bランク試験はその内容がその時々によって変わってくるため何が課題になるのかが分からない。
大体は何々を何匹倒してこいだったり、素材をもってこいだったりするが中には変わった試験をされることもある。
どこどこのダンジョンで何日間サバイバルして生き残れだったり、この依頼を満点で完了させろだったり。
しかも試験は受ける人数でも変わってくる、パーティでだったりソロでだったりとまた違ってくる。
なので試験を受ける前に何がきてもいいようにある程度は万全を期していたい。
一応、試験に落ちたとしてもひと月後にまた再試験を受ける事はできる。
ただこのひと月というのはBランク試験だからだ、Aランク試験なら2~3年は期間を開けないと受けれなくなる。
なぜ再試験するまでに期間が空くのかというと単純に何度も受けられてうかるまで続けられるのがめんどくさいからだ。
試験内容だって準備する必要がある、それを監督する立場の人も用意する必要がある。つまり試験はそう簡単にホイホイとする余裕はダンジョン協会にはない。
Bランク試験の再試験までがひと月なのに対してAランクが2~3年と期間が大きく違うのは、国とダンジョン協会の思惑があるんだと思う。
高ランク探索者がいっぱいほしい、けど何度も試験を受けさせる人手は無い、だけどまぁひと月ぐらいあれば用意できるかな?という考え何だと思う。
Aランク試験が2~3年と期間が長いのはそれだけ上級の探索者がなるべきランクだからだというのがある。生半可な強さではAランクにはなれない。
試験内容もそうだし、そもそもAランク試験を監督できる立場の人を用意するのが難しいってのもある。
ちなみに今更だがランクはもちろんSまである、S~Gという事になる。
パーティでSランク、クランとしてSランクなら世界に23組ある。いや、23組しかないというべきか。それだけSランクの道のりは遠い。
個人でSランクとなるともっと少ない、世界に9人しかいない。
大体は大きな国、アメリカだとか中国だとかにいるが日本にも1人いる。
Sランクにもなるとその強さはもはや個人で世界を相手にできるらしい、レベルも発表されていないから不明だしその強さは想像するしかない。
俺もSランクになってみたいな~って思うが2丁拳銃を数十分振り回しただけで息切れするようでは当分無理だろうな………
話を戻して、俺が今一番近いBランク試験についてだ。
どんな試験内容がくるか分からないが何がきてもいいようにもうちょっとスタミナをつけるべきだろう。
ステータスを上げるにはそれに沿った行動をしてレベルを上げるしかない。
つまり何が言いたいかというと………2丁拳銃でダンジョンへ行ってみよう!
◇ ◇ ◇ ◇
はい、といわけで翌日早速やってきましたダンジョン。
ここは【邪鬼の巣穴】というCランクダンジョンで洞窟型だ。主にはゴブリン、それにコボルトとオークなどが出てくるダンジョンになる。
ゴブリンとオークは言わずもがなだが、コボルトはゴブリンよりちょっと小さいぐらいの犬が二足歩行している感じだ。
犬といっても可愛くはない、歯をむき出しにして常に唸っており目は赤く光りとてもじゃないが可愛いという感想がでるような見た目ではない。
あと毛並みがぼさぼさで汚い。
早速ダンジョン内へ入り敵を探す。
今回は2丁拳銃の試しなのでアサルトライフルは【空間庫】にしまっているがいつでも撃てる状態にはしてある。
さらに今回はハンドガンが2丁という事でホルスターも2つに増やした、前まではふとももに一つだけだったが今はつける場所も変えて左右の腰に1つずつでハンドガンのマガジンも買い足して腰にマガジンポーチをつけてそこにさしている。
左右に5つ、全部で10個ハントガンのマガジンがある。これだけあればある程度敵が多くても平気なはずだ。
「お、来たか」
【気配感知】に敵を捉えた、相手は3匹大きさからしてゴブリンだろう丁度いい。
腰からハンドガンを取り出して2丁拳銃を構える、そしてゴブリンの姿が見えた瞬間に走り出す。
「っしゃ!」
まずは1番左にいたゴブリンを突進した勢いを乗せた回し蹴りで吹き飛ばす、こちらに気づいていて盾を構えていたが関係ない、盾ごと蹴り飛ばす。
蹴り飛ばした左足が前にでた状態で慣性を利用して2丁拳銃を前に構えそのまま何発かゴブリンに撃ちこむ、近距離なので1発で仕留めようとせず確実に倒せるように撃つ。
「ぎゃ!」
蹴りだした左足が地面についたと同時に2丁拳銃をしっかりと構え今度は蹴り飛ばしたゴブリンを狙って撃つ。
「ふぅ、上手くいった」
初めての2丁拳銃を使った実戦だったがイメージしていた通りに体が動いたしうまい事倒せた。
この調子でどんどんいこう。
◇ ◇ ◇ ◇
「ここは………モンスター部屋か」
扉の無い入口に中は広くなっており見える位置、奥の方に宝箱が見える。
明らかに見え見えの罠だし【罠感知の指輪】がびんびんに反応している事からこれはモンスター部屋だ、奥の宝箱に触ると入口がしまり魔物が大量に出てくる。
「どうするか」
多分、恐らくだが問題なくこの部屋をクリアする事は出来ると思う。
それにモンスター部屋の宝箱はいい物が入っていると聞くし気にもなる。
とは言ってもわざわざ危険を犯す必要もない、今のところ順調だしこのままレベルを上げて行けばいい。
「う~ん、まぁ最悪アサルトライフルとかでどうにかするか………」
手榴弾を使ってもいいしな、幸いなことに部屋は十分に広い。
使ってしまったハンドガンのマガジンを、装填済みの物へと交換していき準備を整える。
手榴弾もいくつか買って、スタングレネードもいくつか買っていつでも取り出せるようにしておく。
準備が終わったら部屋の中へ入り宝箱へと近づいていく。
部屋の1番奥へとつき、罠を作動させる前にまずは耳の裏をとんとんっと突き〝展開型フルフェイス防具〟を起動しておく、それから手榴弾とスタングレネードを取り出しておく。
そして宝箱にタッチする。
すると入口がドンッという大きな音を立てて閉まる、石壁で塞がれたようだ。
入口がしまり、次に天井から次々と魔物が落ちてくる。
ゴブリンにコボルトにオークに1番奥にはオーガもいるようだ。見える範囲だけでいっぱい魔物がいるが今俺がいる位置からはちょっと離れている、すくなくともいますぐ手が届く範囲ではない。
落ちてきた衝撃を受け止めているのか魔物達は動きが止まっているのでその隙を見逃さない。
まずはスタングレネードを投げ込み続いて手榴弾も投げ込む、取り合えずは2個ずつ、より魔物が固まっている位置を狙って投げる。
「「「ぎゃぁ!ぎゃぁ!」」」
「うるせぇ!」
スタングレネードと手榴弾の影響か大きな音といくつもの魔物が爆散していき、魔物が同時に大きな声で叫ぶのでものすごくうるさい。
けどここで止まると危険なので急いでハンドガンを取り出し構えて撃ちこみながら走り寄っていく。
手前の近いのから横へ手を広げて撃てるだけ撃ちながら頭の中ではハンドガンの弾丸数を計算する。
そして弾がなくなりそうな瞬間に【リロード】を使う。
「【リロード】!!」
腰から独りでにマガジンが飛び出し、空になったマガジンと交換されていく。
スライドストップされていたのを戻しまた撃ち始める。
「「ぎゃぎゃぎゃっ!」」
スタングレネードと手榴弾の攻撃から体勢を取り戻したのか倒しきっていない魔物が動き出した。
横から近づいてきたゴブリンを肩タックルで吹き飛ばしそのまま撃ち殺す、その隙を狙って攻撃してきたコボルトの攻撃を避けて撃ち殺す。
一瞬魔物と距離があけば好機とばかりに2丁拳銃を撃ちまくる。
「うがぁぁぁぁ!」
「いってぇ!」
油断していたのか、まだこないと勝手に思っていたのか1番奥にいたオーガが他の魔物を蹴り飛ばしながらタックルを仕掛けてきた。
もろに衝撃を受けて吹き飛ばされたが防具のお陰か怪我はしていないみたいだ、もしくは今はアドレナリンがでていて痛くないだけかもしれない。
「【リロード】!!!」
ガチっと音がなりハンドガンがスライドストップするのを見て急いで【リロード】を唱える。
どうしても【リロード】は一瞬では終わらないのでそのあいだ蹴りやハンドガンを持った手で殴り時間を稼ぐ。
「がぁっ!」
「あぶな!」
またもやオーガが他の魔物ごとその手にもった棍棒で殴ってくる、っていうかその武器いつの間に持ってたんだ、少なくともさっきまでは持ってなかったはずだぞ?
攻撃を躱して【リロード】時間を稼ぐ。
「しねぇい!」
【リロード】が終わったのを確認してスライドストップを戻しオーガに弾丸を撃ちこみまくる、確実に殺せるように何発も、それこそマガジンが空になるまで。
「がっ……ぁぁ」
「ふぃー、残りは雑魚だ!【リロード】!!」
1番強かったであろうオーガを倒すと残りはゴブリンなどの小物だけだ、すぐに終わるだろう。
「あー疲れた………」
爆散して焦げた跡、腕が吹きとんでいたり頭が無くなっていたりのゴブリンやコボルトにオーク、体中に穴をあけて死んだオーガなどと自分でやっといてなんだがすごい惨状だ。
ちょっと休憩してからそれぞれをGPに換えていく。
結局アサルトライフルは使わなかったが少し無茶をしたかもしれない、思ったより近距離戦闘ってめんどくさい。
まぁその分楽しかったからいいけど。
死体を全てGPに換えていき残ったのは血だまりだけ、さすがに血はGPにできないので仕方ないが放置だ。
「さて、お宝はなにかなー」
最後にお楽しみの宝箱だ、モンスター部屋のだし期待してしまう。
「これは、手袋?にしてはなんか厚いな」
宝箱から出てきたのは分厚い生地で出来た手袋、鍋掴みみたいだ。
まぁこれは鑑定に出そう。
「うーん、疲れたけどもうちょっといけそうだなーって思ったら帰り時。帰るか」
まだ探索するスタミナはあるが無理はしない。
もうちょっと、その過信が、命取り。ってね。
【ジュ〇シックワールド】でレベル上げと観光をして、家へと戻ってきてから色々と【リロード】を試してみた。
ダンジョンで使ったときはマガジンが交換されただけだが機能としてはそれだけなのかが気になったのだ。
まずはマガジンが無く1発ずつ込める必要がある銃の場合。
試した結果は1発ずつ弾が勝手に装填されるという感じだった、正直自分でするのと変わりない。むしろ自分でしたほうが早い。
そもそも1発ずつ装填する場合ってスナイパーとかだし、1発ずつ撃つという事は遠距離で時間があるし【リロード】を使うまでもない。
なのでまぁスナイパーでは使う必要ないかなって所。
次に気になったのは【リロード】を使ってマガジンへの弾込めをできるのかって事。
今はお風呂後の寝る前の時間とかを使ってダンジョンで使い切ったマガジンにちまちまと弾を込めている。
こういう準備って楽しいし嫌いではないんだけれど、たまにめんどくさいなって思う時もあるそういう時に自動で出来たらなぁって考えてた。
一応この弾込め行為も【リロード】と言えるんじゃないかと解釈してみた。
そして早速試してみた、机に空のマガジンと弾を箱から取り出し並べてから【リロード】と唱えてみた。
すると手でひとつひとつ込めていくように弾が独りでに浮き上がりマガジンも同様に浮き上がり自動で弾込めしていった。
スピードはやはり自分でやるのと変わりないが違う点としては取り出しておいて置いたマガジン全てに弾が込められている所だろうか。
これはかなり楽になる、まぁたまには自分の手で弾込め作業もするが………結構好きな作業なのだ。
そしていよいよ大本命を試そうとおもう、アレだ。
まずはいつも使っているハンドガンを取り出す、次に今回の為に購入した追加のハンドガンを取り出す。
そう、アレとは2丁拳銃だ。
【リロード】を覚えたときにすぐに脳裏をよぎったのは2丁拳銃だった。
映画やアニメなどではかっこよく描写されいかにも強く見えてありきたりだが現実ではそう強い物でもない、そもそもハンドガンを片手で扱う以上狙いが定まらない反動などもあるし構え方的にちゃんと狙う事が出来たとしても片方だけになる。
それに1番の問題はリロードだ、両手が塞がっている以上素早いリロードは出来ない。
映画やアニメなどでは現実的でない挙動で無理やりリロードしてたりする。
逆に言えば現実的でない方法ならリロードする事は出来るという事だ。
そして俺は今回現実的でない魔法のようなリロード方法を手に入れてしまった、ならばするしかないだろう2丁拳銃。
そこまで無理して2丁拳銃をしてみなくてもって思うかもしれないが、これは一種の憧れなのだ。
かっこいいからしたい。それだけだ。
◇ ◇ ◇ ◇
「はぁ、はぁ、はぁ………うぇっ」
顔を伝って落ちる汗が気持ち悪い、だが思う存分好きなように動いたので爽快感はある。
なぜこんなにも息を切らしてえずくほど動いているのかというと2丁拳銃を試したからだ、もちろん【リロード】も試した。
【野営地】内に追加でいくつか人型の的を買って置いてそれを目標に動きながら2丁拳銃を試してみたのだ。
結果としてはうまくいったともいえるしダメだなーって部分もあった。
上手くいったのは【リロード】の部分と2丁拳銃時の命中率だ。
そもそも器用値特化の俺のステータスならある程度あてる事は出来ると思っていたが自分が思っているよりもさらに器用だったのか2丁拳銃を振り回し動き回りながら撃った弾はほとんど外れる事なく的に当たっていた、それも狙った場所にだ。
率としては8割から9割ぐらい?の感覚でちゃんと的にあたっていた。この結果には正直驚いた、もっと外すと思っていたからだ。
【リロード】については面白かった、今までは動かない状態か動いたとしても少しだけの状態での【リロード】だったのでこんなもんかぁだったが、激しく動き回りながらの【リロード】は強制力が働くのか、ハンドガンを振り回していても【リロード】を唱えるとマガジンが空を飛び回り最終的にちゃんと【リロード】してくれる。
マガジンの入れる部分が横に向いていようが上に向いていようが関係なくハンドガンに飛んできたマガジンが刺さっていた。
飛んでいたマガジンは何と言うか動き回る俺の腕などを避けてちゃんと刺さるのでその挙動がちょっと面白くて、これは無理だろう!?って動きを試しながら遊んでいた。
ここまでがよかった部分で。
次にダメだった部分は1点だけ、スタミナのなさだ。
命中率はいい、マガジンの交換も【リロード】で何とかなる。だけど問題は本人である俺のスタミナのなさだった。
2丁拳銃を振り回し的あてして遊ぶこと数十分もすれば息切れを起こし30分もたたないうちに汗だくでえずくほどになった。あと脇腹が痛い。
今までは動くと言っても数分だけ、それも敵の攻撃を避けるときだけな感じで残りはずっと遠距離からちまちまするだけだったのがここにきて自分自身のスタミナのなさを露見させていた。
ステータス的にいえばこれでも最初の時よりスタミナは伸びているはずなのだがそれでもあれだけ激しく動けば流石にダメなのか辛い。
「はぁ………これは今後の課題が見つかったと思って喜んでおくべきか」
もっと危機的状況で自分のスタミナのなさに気づくより、今こうして遊んでいてだけど気づけて良かったのかもしれない。
そう思いたい。
◇ ◇ ◇ ◇
「どうするか」
2丁拳銃を試して疲れてしまったのでご飯を食べてお風呂に入って後は寝るだけの状態になった現在、俺は悩んでいた。
考えるのはさっきの2丁拳銃の事もそうだけど、それよりもBランク試験についてだ。
今現在俺のレベルは52、レベルは問題ないし他の条件であるクランへの所属も問題ない。
Bランク試験はその内容がその時々によって変わってくるため何が課題になるのかが分からない。
大体は何々を何匹倒してこいだったり、素材をもってこいだったりするが中には変わった試験をされることもある。
どこどこのダンジョンで何日間サバイバルして生き残れだったり、この依頼を満点で完了させろだったり。
しかも試験は受ける人数でも変わってくる、パーティでだったりソロでだったりとまた違ってくる。
なので試験を受ける前に何がきてもいいようにある程度は万全を期していたい。
一応、試験に落ちたとしてもひと月後にまた再試験を受ける事はできる。
ただこのひと月というのはBランク試験だからだ、Aランク試験なら2~3年は期間を開けないと受けれなくなる。
なぜ再試験するまでに期間が空くのかというと単純に何度も受けられてうかるまで続けられるのがめんどくさいからだ。
試験内容だって準備する必要がある、それを監督する立場の人も用意する必要がある。つまり試験はそう簡単にホイホイとする余裕はダンジョン協会にはない。
Bランク試験の再試験までがひと月なのに対してAランクが2~3年と期間が大きく違うのは、国とダンジョン協会の思惑があるんだと思う。
高ランク探索者がいっぱいほしい、けど何度も試験を受けさせる人手は無い、だけどまぁひと月ぐらいあれば用意できるかな?という考え何だと思う。
Aランク試験が2~3年と期間が長いのはそれだけ上級の探索者がなるべきランクだからだというのがある。生半可な強さではAランクにはなれない。
試験内容もそうだし、そもそもAランク試験を監督できる立場の人を用意するのが難しいってのもある。
ちなみに今更だがランクはもちろんSまである、S~Gという事になる。
パーティでSランク、クランとしてSランクなら世界に23組ある。いや、23組しかないというべきか。それだけSランクの道のりは遠い。
個人でSランクとなるともっと少ない、世界に9人しかいない。
大体は大きな国、アメリカだとか中国だとかにいるが日本にも1人いる。
Sランクにもなるとその強さはもはや個人で世界を相手にできるらしい、レベルも発表されていないから不明だしその強さは想像するしかない。
俺もSランクになってみたいな~って思うが2丁拳銃を数十分振り回しただけで息切れするようでは当分無理だろうな………
話を戻して、俺が今一番近いBランク試験についてだ。
どんな試験内容がくるか分からないが何がきてもいいようにもうちょっとスタミナをつけるべきだろう。
ステータスを上げるにはそれに沿った行動をしてレベルを上げるしかない。
つまり何が言いたいかというと………2丁拳銃でダンジョンへ行ってみよう!
◇ ◇ ◇ ◇
はい、といわけで翌日早速やってきましたダンジョン。
ここは【邪鬼の巣穴】というCランクダンジョンで洞窟型だ。主にはゴブリン、それにコボルトとオークなどが出てくるダンジョンになる。
ゴブリンとオークは言わずもがなだが、コボルトはゴブリンよりちょっと小さいぐらいの犬が二足歩行している感じだ。
犬といっても可愛くはない、歯をむき出しにして常に唸っており目は赤く光りとてもじゃないが可愛いという感想がでるような見た目ではない。
あと毛並みがぼさぼさで汚い。
早速ダンジョン内へ入り敵を探す。
今回は2丁拳銃の試しなのでアサルトライフルは【空間庫】にしまっているがいつでも撃てる状態にはしてある。
さらに今回はハンドガンが2丁という事でホルスターも2つに増やした、前まではふとももに一つだけだったが今はつける場所も変えて左右の腰に1つずつでハンドガンのマガジンも買い足して腰にマガジンポーチをつけてそこにさしている。
左右に5つ、全部で10個ハントガンのマガジンがある。これだけあればある程度敵が多くても平気なはずだ。
「お、来たか」
【気配感知】に敵を捉えた、相手は3匹大きさからしてゴブリンだろう丁度いい。
腰からハンドガンを取り出して2丁拳銃を構える、そしてゴブリンの姿が見えた瞬間に走り出す。
「っしゃ!」
まずは1番左にいたゴブリンを突進した勢いを乗せた回し蹴りで吹き飛ばす、こちらに気づいていて盾を構えていたが関係ない、盾ごと蹴り飛ばす。
蹴り飛ばした左足が前にでた状態で慣性を利用して2丁拳銃を前に構えそのまま何発かゴブリンに撃ちこむ、近距離なので1発で仕留めようとせず確実に倒せるように撃つ。
「ぎゃ!」
蹴りだした左足が地面についたと同時に2丁拳銃をしっかりと構え今度は蹴り飛ばしたゴブリンを狙って撃つ。
「ふぅ、上手くいった」
初めての2丁拳銃を使った実戦だったがイメージしていた通りに体が動いたしうまい事倒せた。
この調子でどんどんいこう。
◇ ◇ ◇ ◇
「ここは………モンスター部屋か」
扉の無い入口に中は広くなっており見える位置、奥の方に宝箱が見える。
明らかに見え見えの罠だし【罠感知の指輪】がびんびんに反応している事からこれはモンスター部屋だ、奥の宝箱に触ると入口がしまり魔物が大量に出てくる。
「どうするか」
多分、恐らくだが問題なくこの部屋をクリアする事は出来ると思う。
それにモンスター部屋の宝箱はいい物が入っていると聞くし気にもなる。
とは言ってもわざわざ危険を犯す必要もない、今のところ順調だしこのままレベルを上げて行けばいい。
「う~ん、まぁ最悪アサルトライフルとかでどうにかするか………」
手榴弾を使ってもいいしな、幸いなことに部屋は十分に広い。
使ってしまったハンドガンのマガジンを、装填済みの物へと交換していき準備を整える。
手榴弾もいくつか買って、スタングレネードもいくつか買っていつでも取り出せるようにしておく。
準備が終わったら部屋の中へ入り宝箱へと近づいていく。
部屋の1番奥へとつき、罠を作動させる前にまずは耳の裏をとんとんっと突き〝展開型フルフェイス防具〟を起動しておく、それから手榴弾とスタングレネードを取り出しておく。
そして宝箱にタッチする。
すると入口がドンッという大きな音を立てて閉まる、石壁で塞がれたようだ。
入口がしまり、次に天井から次々と魔物が落ちてくる。
ゴブリンにコボルトにオークに1番奥にはオーガもいるようだ。見える範囲だけでいっぱい魔物がいるが今俺がいる位置からはちょっと離れている、すくなくともいますぐ手が届く範囲ではない。
落ちてきた衝撃を受け止めているのか魔物達は動きが止まっているのでその隙を見逃さない。
まずはスタングレネードを投げ込み続いて手榴弾も投げ込む、取り合えずは2個ずつ、より魔物が固まっている位置を狙って投げる。
「「「ぎゃぁ!ぎゃぁ!」」」
「うるせぇ!」
スタングレネードと手榴弾の影響か大きな音といくつもの魔物が爆散していき、魔物が同時に大きな声で叫ぶのでものすごくうるさい。
けどここで止まると危険なので急いでハンドガンを取り出し構えて撃ちこみながら走り寄っていく。
手前の近いのから横へ手を広げて撃てるだけ撃ちながら頭の中ではハンドガンの弾丸数を計算する。
そして弾がなくなりそうな瞬間に【リロード】を使う。
「【リロード】!!」
腰から独りでにマガジンが飛び出し、空になったマガジンと交換されていく。
スライドストップされていたのを戻しまた撃ち始める。
「「ぎゃぎゃぎゃっ!」」
スタングレネードと手榴弾の攻撃から体勢を取り戻したのか倒しきっていない魔物が動き出した。
横から近づいてきたゴブリンを肩タックルで吹き飛ばしそのまま撃ち殺す、その隙を狙って攻撃してきたコボルトの攻撃を避けて撃ち殺す。
一瞬魔物と距離があけば好機とばかりに2丁拳銃を撃ちまくる。
「うがぁぁぁぁ!」
「いってぇ!」
油断していたのか、まだこないと勝手に思っていたのか1番奥にいたオーガが他の魔物を蹴り飛ばしながらタックルを仕掛けてきた。
もろに衝撃を受けて吹き飛ばされたが防具のお陰か怪我はしていないみたいだ、もしくは今はアドレナリンがでていて痛くないだけかもしれない。
「【リロード】!!!」
ガチっと音がなりハンドガンがスライドストップするのを見て急いで【リロード】を唱える。
どうしても【リロード】は一瞬では終わらないのでそのあいだ蹴りやハンドガンを持った手で殴り時間を稼ぐ。
「がぁっ!」
「あぶな!」
またもやオーガが他の魔物ごとその手にもった棍棒で殴ってくる、っていうかその武器いつの間に持ってたんだ、少なくともさっきまでは持ってなかったはずだぞ?
攻撃を躱して【リロード】時間を稼ぐ。
「しねぇい!」
【リロード】が終わったのを確認してスライドストップを戻しオーガに弾丸を撃ちこみまくる、確実に殺せるように何発も、それこそマガジンが空になるまで。
「がっ……ぁぁ」
「ふぃー、残りは雑魚だ!【リロード】!!」
1番強かったであろうオーガを倒すと残りはゴブリンなどの小物だけだ、すぐに終わるだろう。
「あー疲れた………」
爆散して焦げた跡、腕が吹きとんでいたり頭が無くなっていたりのゴブリンやコボルトにオーク、体中に穴をあけて死んだオーガなどと自分でやっといてなんだがすごい惨状だ。
ちょっと休憩してからそれぞれをGPに換えていく。
結局アサルトライフルは使わなかったが少し無茶をしたかもしれない、思ったより近距離戦闘ってめんどくさい。
まぁその分楽しかったからいいけど。
死体を全てGPに換えていき残ったのは血だまりだけ、さすがに血はGPにできないので仕方ないが放置だ。
「さて、お宝はなにかなー」
最後にお楽しみの宝箱だ、モンスター部屋のだし期待してしまう。
「これは、手袋?にしてはなんか厚いな」
宝箱から出てきたのは分厚い生地で出来た手袋、鍋掴みみたいだ。
まぁこれは鑑定に出そう。
「うーん、疲れたけどもうちょっといけそうだなーって思ったら帰り時。帰るか」
まだ探索するスタミナはあるが無理はしない。
もうちょっと、その過信が、命取り。ってね。
0
あなたにおすすめの小説
現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!
おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。
ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。
過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。
ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。
世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。
やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。
至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ
高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。
タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。
ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。
本編完結済み。
外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。
ダンジョン美食倶楽部
双葉 鳴
ファンタジー
長年レストランの下働きとして働いてきた本宝治洋一(30)は突如として現れた新オーナーの物言いにより、職を失った。
身寄りのない洋一は、飲み仲間の藤本要から「一緒にダンチューバーとして組まないか?」と誘われ、配信チャンネル【ダンジョン美食倶楽部】の料理担当兼荷物持ちを任される。
配信で明るみになる、洋一の隠された技能。
素材こそ低級モンスター、調味料も安物なのにその卓越した技術は見る者を虜にし、出来上がった料理はなんとも空腹感を促した。偶然居合わせた探索者に振る舞ったりしていくうちに【ダンジョン美食倶楽部】の名前は徐々に売れていく。
一方で洋一を追放したレストランは、SSSSランク探索者の轟美玲から「味が落ちた」と一蹴され、徐々に落ちぶれていった。
※カクヨム様で先行公開中!
※2024年3月21で第一部完!
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-
すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン]
何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?…
たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。
※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける
縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は……
ゆっくりしていってね!!!
※ 現在書き直し慣行中!!!
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる