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42.Bランク試験
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42.Bランク試験
筋肉痛がとれて完全に治るまでに3日ほどかかった、その間は思っていたよりもどっぷりゲームにはまってMMORPGである【彼方のエルゴロン】をずっとプレイしていた。
召喚獣であるゾウガメのごん太にのってフィールドを闊歩し魔物を見つけては倒してレベル上げを行っていた。
大きなゾウガメであるごん太はその見た目通り防御力が高く、動きはそこまで早くないが低レベル帯なら向かうところ敵なしでその大きな顎で魔物を噛み殺していった。
どうやらレアな種族らしいごん太は普通の召喚獣より強いみたいだ、この辺はネットで他の【召喚士】の人の動画をみて確認した。
ごん太という前衛がいるので俺は完全に後衛になる事にしてサブ職業をヒーラーである【白魔導士】にした、ゆくゆくは【黒魔導士】も経験して条件を満たし【賢者】になるつもりでいる。
【賢者】とは何かに特化しない代わりにヒーラーにも魔法アタッカーにもなれる職業だ。
器用貧乏になってしまうが召喚獣に前衛を任せられるなら構わないだろう。
さて、そんな筋肉痛の間にしていたゲームの話しはここまでにして本来の目的であるBランク試験についてだ。
Bランク試験を受けるにはレベルが50以上である事、そしてどこかのクランへと所属している事が条件になる。
レベルに関しては問題ない。
名前:神薙 響 年齢:15
レベル:50 → 53
STR:65 → 83
VIT:28 → 45
AGI:67 → 88
DEX:547 → 573
INT:8
MND:7
≪スキル≫
<ユニーク>【GunSHOP】Lv:4 → 5
<上級>【空間庫】Lv:3 → 4
<スキルリンク>【野営地】Lv:1
<上級>【射撃】Lv:7 → 8
<中級>【銃術】Lv:1 → 2
<上級>【堅忍不抜】Lv:─
<中級>【気配感知】Lv:7 → 9
<中級>【遠目】Lv:─
<スキルリンク>【イーグルアイ】Lv:5 → 6
<ユニーク>【風読み】Lv:─
まずレベルは前回の時点で最低条件である50は超えていた、そこに2丁拳銃でちょっと暴れまわった結果53となっている。
次にステータスはここまで上がるか?ってぐらい上がっていった。流石にまだスキルが生えるほどではないみたいだがここまでステータスが伸びたのはそれだけ今までろくに使っていなかっただろうと思う。
いつも遠距離からズドンでお終いだったからな。
全体的に、INTとMNDは除くが………全体的にステータスが伸びているので余裕があればまた2丁拳銃で訓練するのもいいかもしれない。
次にスキル、全体的に丁度経験値的な物が溜まっていたのかこちらも軒並み上がっていっていた。
まぁ大体がその効果が上昇するものばかりだから今更説明する必要もないとは思うので気になるのは【GunSHOP】だと思う。
【GunSHOP】スキルのレベルが4から5に上がった事で新商品が増えたが正直今のところ使い道のない………というかどこで使えばいいのか分からない微妙な物だったので扱いに困っている。
なので新商品は取り合えず置いておいて今使っている〝アサルトライフルCharlie〟などを最新の物へと入れ替えていった。
一番新しいのはEchoシリーズになる。アサルトライフル、ハンドガン、ショットガン、取り合えず一通り使っている物は全て新しくしておいた。
銃の見た目は新しく知らないものにしてもよかったが今回はやめておいた、これからBランク試験を受けるわけだし、ここで突然使い慣れない形のものにするのはリスクがあると思ったからだ。
そう言うわけでレベルに関しては問題ないので残るはクランへと所属している事の証明だが、これは新井さんへ話してクランに所属していますよ、という書類を用意してもらうだけで済む。
その書類も話しをするとすぐに用意してくれたので残すところはBランク試験の受付だ。
というわけで今回やってきたのは都心にあるダンジョン協会で、ここはいわば支部にあるダンジョンを管理する協会ではなく。探索者全体の事務仕事を統括している役所的な場所だ。
協会内に入り案内に従ってランクアップ試験の受付をしてくれる所へと向かっていく。
こういった役所ではひとつひとつ専門の受付があるというよりは、いくつかの手続きはすべて同じ場所で行う事になる。
なのでその中からランクアップ試験の受付を探すことになるのだが、こういってはなんだがごちゃっとしていてわかりにくい。
なんで役所ってこう分かりにくいのか。
そんなことを思いつつも受付を見つけたので整理券を受け取り自分の番を待つ。
暫くすると呼ばれるのでそのまま案内された椅子へと座っていく。
「はい、どうも。今日はどうしましたか?」
「どうも。Bランク試験を受けたいんですが受付はここで大丈夫ですか?」
正面に座った年寄りのおじいちゃん職員に話しかける。役所ってなぜかこういうお爺ちゃん職員がいるよな………
「あー、はいはい。Bランク試験ね、ここであってるよクラン所属の書類はもってきた?」
「はい、これです」
「はい、ふんふん。うん、これで大丈夫。後はレベルだけどここに指を入れてくれる?」
「はい」
お爺ちゃん職員にクラン所属の書類を渡すとそのまま指紋認証するような、人差し指だけを入れる感じの物をこちらへと差し出してきたのでそこへ指を置く。
「うん、53レベルね。はいはい、それじゃぁちょっとまっててね」
プライバシーもへったくれもない、大きな声で俺のレベルを読み上げるとお爺ちゃん職員はそのまま受付を離れ奥へと行き何かカチャカチャとしている。
突然暇になったがしょうがないのでそのままボーっとする。
「はい、お待たせ。それじゃぁこれに記入してもらえる?」
「はい」
暫くすると戻ってきたお爺ちゃん職員は書類を渡してきたのでそれに記入する。
住所と名前と年齢となんのランク試験を受けるかとか試験日はいつ頃がいいかとか必要そうなのを記入していく。
「うんうん、それとここも書いてね。うん、それでいいよじゃぁこれは控えね。それではお疲れ様でした」
お爺ちゃん職員に言われるがまま書いていきそのまま確認したかと思うと上の紙をびりっと取って下の紙を控えとして渡してきた。
そしていつの間にかこれでもう終わりらしい。
「はい、ありがとうございました」
お爺ちゃん職員にお礼をいって受付を後にする。何ていうか一気に話しが進んでまだ情報の処理が追い付いていない。
何でこの時代でも役所って紙で仕事するんだろうとか色々思う事はある。
役所って不思議な場所だ………
◇ ◇ ◇ ◇
Bランク試験の受付を済ませてから1週間が過ぎた、その間に新井さんの誕生日会をしたりなどをして過ごした。
誕生日会はいつものあのお店【花咲】を貸し切って行った、驚いたのはそこに雪白姉妹がきていたことだ。
俺としては彼女たちとは探索者交流会で一緒になってから関わり合いはなかったが、新井さんはどういう事かあれからも連絡を取り合っていたみたいだ。
雪白姉妹がいる事には驚いたが誕生日会はつつがなく終わった。
神宮寺さんに作ってもらった【召喚士の腕輪】もかなり喜んでもらえた。
魔法で契約を結んでいるので誰に作ってもらったとかは話せなかったが装備としての効果などは話すことが出来るので伝えておいた。
誕生日会以外の日はダンジョンへいって体が鈍らないようにしておいた。動きすぎて筋肉痛にはならないように、かといって適当すぎないように。難しかったがBランク試験へとむけて調整していった。
後は【空間庫】へと食料や不測の事態に備えての準備などを進めていった。
残った時間はゲームをしていた、もちろん【彼方のエルゴロン】だ。
毎日ちょっとだけだけど進めて行って今では初心者ダンジョンをクリアした。
そうしていつの間にか気が付けばBランク試験の日となっていた。
◇ ◇ ◇ ◇
現在地はダンジョン協会支部の会議室、場所は違うが前に探索者交流会で使用したような部屋だ。
事前にBランク試験では2週間ほど日数を使うので仕事か学校へ通っているなら休みを申請するようにと言われていたので俺は学校へ休みの届をだしておいた。
畑については丁度収穫を終えたばかりなので今は暇な期間だ。
「失礼します」
ドアをノックする音が響き、それから女性が入ってきた。
歳は20代前半か後半に入ったぐらいでショートボブの少し青みがかった髪色にメガネをかけていて服装は一般的なものより少し高価そうで性能のよさそうな探索者の装備をしている。
身長は160以下だろうか?ちょっと小さ目でしかしその見た目からきりっとしていて規則に厳しそうな委員長タイプっぽい。
「初めまして、私は今回の試験官をさせていただきます駿河玲といいます。あなたは神薙響さんですね?よろしくお願いします」
「神薙響です、よろしくお願いします」
見た目通り少し硬い挨拶から始まった。
「それでは今回の試験内容を伝えます」
「はい」
「今回、神薙さんに受けてもらうのは【フィルテイシア】と呼ばれるダンジョンで10日間サバイバルをしてもらいます、ただ生き延びてもらうだけでなくこちらが指定した魔物と戦ってもらったりこちらが指定した素材を採取してきてもらいます。私はその間試験官として同行させてもらいます、何か質問はありますか?」
「質問………、【フィルテイシア】はランクいくつのダンジョンですか?」
「Bランクのダンジョンとなります」
「10日間サバイバルとのことですが、食料とかはどうなるんですか?」
「もちろん現地調達です、収納袋があれば事前に用意してもかまいません」
「試験官であるあなたの食料はどうすればいいですか?」
「私の事は気にしないでください、こちらで自分の分は用意しておきますので」
ふむ、つまり自分の分だけでいいのか。
「指定されて倒した魔物や採取した物の取り扱いはどうなりますか?」
「希望するなら持ち帰ってもらっても構いませんし、買取を希望するのでしたら私が預かり帰ってからお支払いする形になります」
ふむ。
「試験官として同行するとのことですが、俺のスキルは隠したいんですが可能ですか?」
「はい、事前に試験中に見聞きした物は他へ伝えないという魔法契約をします」
「ふむ、試験はいつからですか?」
「これからでも構いませんし、準備をする時間が欲しいのでしたら期間をもうけます。ただし3日以内に返事をしない場合は試験失格とします」
「じゃぁ試験はこれからでお願いします」
「かしこまりました、それではこちらの魔法契約書にサインをお願いします。私のは既にサインしてあります」
そういって試験官である駿河さんが魔法契約書を見せてきた。
内容としては大まかに試験期間中に知ったスキル情報は他の人に伝えないって感じだ。
ここで大事なのは伝えないのはスキル情報という事だけ。俺がどういった人物だったなどは報告する必要があるのだろう。だから俺に関する情報全てではなくあくまでスキル情報だけに絞ってある。
もしかしたらスキル情報だけに絞る事で何か抜け道があるのかもしれないがここでダンジョン協会を信じられないならこの先探索者などは出来ないので大人しく魔法契約書にサインする。
サインが終わると契約書が光になりそれぞれ俺と駿河さんに吸い込まれていく、この光景は以前にも神宮寺さんと魔法契約を交わした時に見た物だが何度見ても面白い。
「それでは行きましょうか」
「はい」
椅子から立ち上がり駿河さんについていく。彼女も既に試験を開始する準備は終えていたのだろうその行動に迷いがない。
「所で、こんなことを言うのも失礼なのかもしれませんが」
「はい、何でしょうか」
歩きながら駿河さんと会話する。
「その、試験官が1人で大丈夫ですか?舐めているとかじゃなくて実務的に1人じゃ足り無さそうに見えたので………」
10日間もサバイバルをして多分俺の事を見張る事になるんだろう?1人でって大変じゃないか?
「ふふ、お気遣いありがとうございます。でも大丈夫ですよ。私は普段Aランクパーティで行動していますし、個人としてもBランクでこういったサバイバルを専門にしていますので慣れています。なので安心して任せて下さい」
「はい、わかりました。すいません余計な事いって………」
「いえ、そうやって考えられることは大事です。これは評価に加点ですね」
「お~」
評価に加点って………そういうのって試験を受ける人の前で言ってもいいのか?もしかしてこれをどう受け止めるかも試験なのか………?やばい考え過ぎちゃう。
あー、ちょっと考えすぎないようにしよう。
筋肉痛がとれて完全に治るまでに3日ほどかかった、その間は思っていたよりもどっぷりゲームにはまってMMORPGである【彼方のエルゴロン】をずっとプレイしていた。
召喚獣であるゾウガメのごん太にのってフィールドを闊歩し魔物を見つけては倒してレベル上げを行っていた。
大きなゾウガメであるごん太はその見た目通り防御力が高く、動きはそこまで早くないが低レベル帯なら向かうところ敵なしでその大きな顎で魔物を噛み殺していった。
どうやらレアな種族らしいごん太は普通の召喚獣より強いみたいだ、この辺はネットで他の【召喚士】の人の動画をみて確認した。
ごん太という前衛がいるので俺は完全に後衛になる事にしてサブ職業をヒーラーである【白魔導士】にした、ゆくゆくは【黒魔導士】も経験して条件を満たし【賢者】になるつもりでいる。
【賢者】とは何かに特化しない代わりにヒーラーにも魔法アタッカーにもなれる職業だ。
器用貧乏になってしまうが召喚獣に前衛を任せられるなら構わないだろう。
さて、そんな筋肉痛の間にしていたゲームの話しはここまでにして本来の目的であるBランク試験についてだ。
Bランク試験を受けるにはレベルが50以上である事、そしてどこかのクランへと所属している事が条件になる。
レベルに関しては問題ない。
名前:神薙 響 年齢:15
レベル:50 → 53
STR:65 → 83
VIT:28 → 45
AGI:67 → 88
DEX:547 → 573
INT:8
MND:7
≪スキル≫
<ユニーク>【GunSHOP】Lv:4 → 5
<上級>【空間庫】Lv:3 → 4
<スキルリンク>【野営地】Lv:1
<上級>【射撃】Lv:7 → 8
<中級>【銃術】Lv:1 → 2
<上級>【堅忍不抜】Lv:─
<中級>【気配感知】Lv:7 → 9
<中級>【遠目】Lv:─
<スキルリンク>【イーグルアイ】Lv:5 → 6
<ユニーク>【風読み】Lv:─
まずレベルは前回の時点で最低条件である50は超えていた、そこに2丁拳銃でちょっと暴れまわった結果53となっている。
次にステータスはここまで上がるか?ってぐらい上がっていった。流石にまだスキルが生えるほどではないみたいだがここまでステータスが伸びたのはそれだけ今までろくに使っていなかっただろうと思う。
いつも遠距離からズドンでお終いだったからな。
全体的に、INTとMNDは除くが………全体的にステータスが伸びているので余裕があればまた2丁拳銃で訓練するのもいいかもしれない。
次にスキル、全体的に丁度経験値的な物が溜まっていたのかこちらも軒並み上がっていっていた。
まぁ大体がその効果が上昇するものばかりだから今更説明する必要もないとは思うので気になるのは【GunSHOP】だと思う。
【GunSHOP】スキルのレベルが4から5に上がった事で新商品が増えたが正直今のところ使い道のない………というかどこで使えばいいのか分からない微妙な物だったので扱いに困っている。
なので新商品は取り合えず置いておいて今使っている〝アサルトライフルCharlie〟などを最新の物へと入れ替えていった。
一番新しいのはEchoシリーズになる。アサルトライフル、ハンドガン、ショットガン、取り合えず一通り使っている物は全て新しくしておいた。
銃の見た目は新しく知らないものにしてもよかったが今回はやめておいた、これからBランク試験を受けるわけだし、ここで突然使い慣れない形のものにするのはリスクがあると思ったからだ。
そう言うわけでレベルに関しては問題ないので残るはクランへと所属している事の証明だが、これは新井さんへ話してクランに所属していますよ、という書類を用意してもらうだけで済む。
その書類も話しをするとすぐに用意してくれたので残すところはBランク試験の受付だ。
というわけで今回やってきたのは都心にあるダンジョン協会で、ここはいわば支部にあるダンジョンを管理する協会ではなく。探索者全体の事務仕事を統括している役所的な場所だ。
協会内に入り案内に従ってランクアップ試験の受付をしてくれる所へと向かっていく。
こういった役所ではひとつひとつ専門の受付があるというよりは、いくつかの手続きはすべて同じ場所で行う事になる。
なのでその中からランクアップ試験の受付を探すことになるのだが、こういってはなんだがごちゃっとしていてわかりにくい。
なんで役所ってこう分かりにくいのか。
そんなことを思いつつも受付を見つけたので整理券を受け取り自分の番を待つ。
暫くすると呼ばれるのでそのまま案内された椅子へと座っていく。
「はい、どうも。今日はどうしましたか?」
「どうも。Bランク試験を受けたいんですが受付はここで大丈夫ですか?」
正面に座った年寄りのおじいちゃん職員に話しかける。役所ってなぜかこういうお爺ちゃん職員がいるよな………
「あー、はいはい。Bランク試験ね、ここであってるよクラン所属の書類はもってきた?」
「はい、これです」
「はい、ふんふん。うん、これで大丈夫。後はレベルだけどここに指を入れてくれる?」
「はい」
お爺ちゃん職員にクラン所属の書類を渡すとそのまま指紋認証するような、人差し指だけを入れる感じの物をこちらへと差し出してきたのでそこへ指を置く。
「うん、53レベルね。はいはい、それじゃぁちょっとまっててね」
プライバシーもへったくれもない、大きな声で俺のレベルを読み上げるとお爺ちゃん職員はそのまま受付を離れ奥へと行き何かカチャカチャとしている。
突然暇になったがしょうがないのでそのままボーっとする。
「はい、お待たせ。それじゃぁこれに記入してもらえる?」
「はい」
暫くすると戻ってきたお爺ちゃん職員は書類を渡してきたのでそれに記入する。
住所と名前と年齢となんのランク試験を受けるかとか試験日はいつ頃がいいかとか必要そうなのを記入していく。
「うんうん、それとここも書いてね。うん、それでいいよじゃぁこれは控えね。それではお疲れ様でした」
お爺ちゃん職員に言われるがまま書いていきそのまま確認したかと思うと上の紙をびりっと取って下の紙を控えとして渡してきた。
そしていつの間にかこれでもう終わりらしい。
「はい、ありがとうございました」
お爺ちゃん職員にお礼をいって受付を後にする。何ていうか一気に話しが進んでまだ情報の処理が追い付いていない。
何でこの時代でも役所って紙で仕事するんだろうとか色々思う事はある。
役所って不思議な場所だ………
◇ ◇ ◇ ◇
Bランク試験の受付を済ませてから1週間が過ぎた、その間に新井さんの誕生日会をしたりなどをして過ごした。
誕生日会はいつものあのお店【花咲】を貸し切って行った、驚いたのはそこに雪白姉妹がきていたことだ。
俺としては彼女たちとは探索者交流会で一緒になってから関わり合いはなかったが、新井さんはどういう事かあれからも連絡を取り合っていたみたいだ。
雪白姉妹がいる事には驚いたが誕生日会はつつがなく終わった。
神宮寺さんに作ってもらった【召喚士の腕輪】もかなり喜んでもらえた。
魔法で契約を結んでいるので誰に作ってもらったとかは話せなかったが装備としての効果などは話すことが出来るので伝えておいた。
誕生日会以外の日はダンジョンへいって体が鈍らないようにしておいた。動きすぎて筋肉痛にはならないように、かといって適当すぎないように。難しかったがBランク試験へとむけて調整していった。
後は【空間庫】へと食料や不測の事態に備えての準備などを進めていった。
残った時間はゲームをしていた、もちろん【彼方のエルゴロン】だ。
毎日ちょっとだけだけど進めて行って今では初心者ダンジョンをクリアした。
そうしていつの間にか気が付けばBランク試験の日となっていた。
◇ ◇ ◇ ◇
現在地はダンジョン協会支部の会議室、場所は違うが前に探索者交流会で使用したような部屋だ。
事前にBランク試験では2週間ほど日数を使うので仕事か学校へ通っているなら休みを申請するようにと言われていたので俺は学校へ休みの届をだしておいた。
畑については丁度収穫を終えたばかりなので今は暇な期間だ。
「失礼します」
ドアをノックする音が響き、それから女性が入ってきた。
歳は20代前半か後半に入ったぐらいでショートボブの少し青みがかった髪色にメガネをかけていて服装は一般的なものより少し高価そうで性能のよさそうな探索者の装備をしている。
身長は160以下だろうか?ちょっと小さ目でしかしその見た目からきりっとしていて規則に厳しそうな委員長タイプっぽい。
「初めまして、私は今回の試験官をさせていただきます駿河玲といいます。あなたは神薙響さんですね?よろしくお願いします」
「神薙響です、よろしくお願いします」
見た目通り少し硬い挨拶から始まった。
「それでは今回の試験内容を伝えます」
「はい」
「今回、神薙さんに受けてもらうのは【フィルテイシア】と呼ばれるダンジョンで10日間サバイバルをしてもらいます、ただ生き延びてもらうだけでなくこちらが指定した魔物と戦ってもらったりこちらが指定した素材を採取してきてもらいます。私はその間試験官として同行させてもらいます、何か質問はありますか?」
「質問………、【フィルテイシア】はランクいくつのダンジョンですか?」
「Bランクのダンジョンとなります」
「10日間サバイバルとのことですが、食料とかはどうなるんですか?」
「もちろん現地調達です、収納袋があれば事前に用意してもかまいません」
「試験官であるあなたの食料はどうすればいいですか?」
「私の事は気にしないでください、こちらで自分の分は用意しておきますので」
ふむ、つまり自分の分だけでいいのか。
「指定されて倒した魔物や採取した物の取り扱いはどうなりますか?」
「希望するなら持ち帰ってもらっても構いませんし、買取を希望するのでしたら私が預かり帰ってからお支払いする形になります」
ふむ。
「試験官として同行するとのことですが、俺のスキルは隠したいんですが可能ですか?」
「はい、事前に試験中に見聞きした物は他へ伝えないという魔法契約をします」
「ふむ、試験はいつからですか?」
「これからでも構いませんし、準備をする時間が欲しいのでしたら期間をもうけます。ただし3日以内に返事をしない場合は試験失格とします」
「じゃぁ試験はこれからでお願いします」
「かしこまりました、それではこちらの魔法契約書にサインをお願いします。私のは既にサインしてあります」
そういって試験官である駿河さんが魔法契約書を見せてきた。
内容としては大まかに試験期間中に知ったスキル情報は他の人に伝えないって感じだ。
ここで大事なのは伝えないのはスキル情報という事だけ。俺がどういった人物だったなどは報告する必要があるのだろう。だから俺に関する情報全てではなくあくまでスキル情報だけに絞ってある。
もしかしたらスキル情報だけに絞る事で何か抜け道があるのかもしれないがここでダンジョン協会を信じられないならこの先探索者などは出来ないので大人しく魔法契約書にサインする。
サインが終わると契約書が光になりそれぞれ俺と駿河さんに吸い込まれていく、この光景は以前にも神宮寺さんと魔法契約を交わした時に見た物だが何度見ても面白い。
「それでは行きましょうか」
「はい」
椅子から立ち上がり駿河さんについていく。彼女も既に試験を開始する準備は終えていたのだろうその行動に迷いがない。
「所で、こんなことを言うのも失礼なのかもしれませんが」
「はい、何でしょうか」
歩きながら駿河さんと会話する。
「その、試験官が1人で大丈夫ですか?舐めているとかじゃなくて実務的に1人じゃ足り無さそうに見えたので………」
10日間もサバイバルをして多分俺の事を見張る事になるんだろう?1人でって大変じゃないか?
「ふふ、お気遣いありがとうございます。でも大丈夫ですよ。私は普段Aランクパーティで行動していますし、個人としてもBランクでこういったサバイバルを専門にしていますので慣れています。なので安心して任せて下さい」
「はい、わかりました。すいません余計な事いって………」
「いえ、そうやって考えられることは大事です。これは評価に加点ですね」
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あー、ちょっと考えすぎないようにしよう。
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