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44.【フィルテイシア】 #2日目
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44.【フィルテイシア】 #2日目
初めは戸惑っていた駿河さんも暫く経って【野営地】内を一通り見回ってからは慣れたのかテントを張って準備を進めていた。
家の中で寝ればいいのにとは思ったがウキウキでテントを建てているのを見ると駿河さんはこういったキャンプ的な事が好きなようでむしろテントを張って寝たいって感じだった。
焚火台をだして椅子を取り出して、ちっちゃな机も出して傍から見るとこの状況をとても楽しんでいるように見える。
取り合えず俺も椅子を出して駿河さんに許可を取ってから焚火を囲むように座る。
「とても便利なスキルですね、契約が無ければ私達のパーティに誘いたいぐらいです」
「契約ってなんですか?」
「私のような試験官を担当する人は必然的にこれから伸びるであろう探索者にも、そうでもない探索者にも同時に出会う事になります。私達だって普段はパーティで行動していますしどうしても有能な人材は優先的に確保したくなるものです」
「まぁ、そうかも?」
「私のような立場の人間が優先的に将来性のある人材に出会えてスカウトする事が出来るのはずるいとおもいませんか?」
「思うかも?」
「そういった人達がいるので事前に契約を結んでいるんです、試験官は担当した探索者をスカウトする事を禁止するって言う風にね」
「なるほど」
魔法契約でスキルの内容が話せないと言っても知識として覚える事は出来るわけだしな、自分達のパーティに足りないスキルを持っている人を見つければそら誘いたくもなるか。
パーティに入ってしまえばおのずとスキルを使う事にはなるだろうしスキルを話せないという契約内容には違反しない。
試験官っていうのも大変なんだな。
「まぁそうはいっても、パーティに誘えないだけで知り合いにはなれるわけだしね?試験官っていうのも悪くはないわよ」
「そういうものですか」
「そういうものよ」
話しながらも駿河さんは炭に火をつけコーヒーを沸かしと手際がいい、かなりやり慣れているんだな。
「駿河さんの分の晩御飯は用意したほうがいいんですか?」
「いえ、事前に行って合った通り私の事は気にしないでいいですよ。ちゃんと10日間の食料は持って来ていますので」
そういって駿河さんは収納袋をぽんぽんっと叩いて見せてくる。
まぁ言われてみればその通りか、俺が試験官である彼女の食事まで用意するとまた話しが変わってくるしな。
そうするとこうやって話すのもどうなんだろ?流石にそこまで厳しくはないのかな?注意されたら止めればいいか。
暫くそうやってまったりと話してから晩御飯の用意をし始めた。
駿河さんは普通に収納袋から食材を出して料理を作り始めたので俺も少し離れたところで同じ様に炭で火を起こして用意する。
準備する食材はもちろん『一角兎』だ、動画を見て見様見真似で解体をやったので不格好だが食べるのには問題ないはずだ。
一応『一角兎』は3匹ほど確保していて、その他のは全部GPに換えておいた。
今のところGPは消費先があまりなくたまる一方なので30万GPほどある。このままたまる一方なのかこの先突然消費先が増えてがっつり減るのか予想ができず大きく使えていないのが現状だ。
大きく使えていないと言っても手榴弾を買ったりはしているのでそれなりには消費している、だけれどもそれ以上にGPが溜まるので減ってはいかないかんじだ。
と、まぁGPの事はここまでにして晩御飯に戻ろう。
『一角兎』だが今回はモモ肉の香草焼きにしようと思う、解体したお肉を食べやすい大きさに切り塩コショウをして香草をちぎって乗せて網の上で炭火で焼いていく。
シンプルだが取り合えず初めてだしこれがいいだろう。
網の上に乗せられた『一角兎』のお肉から油が出てきてそれが熱い炭に落ちてジュワッと音を立てる。
炭火で焼かれた美味しそうなお肉の匂いが煙にのって運ばれてくる。
たまにひっくり返して焼く事数分、ちょっと焦げ目がついたぐらいで焼くのを止めておく。
網の上から焼き終わったお肉を取ってそこへ次は野菜を焼いていく、玉ねぎにカボチャに人参にキャベツをちょっとずつ。
野菜を焼いている間に焼き終わった『一角兎』のモモ肉を食べる事にする。
「うんまぁ」
プリッとした噛み応えにジュワッとあふれる肉汁、少し甘味もありかなり美味しい。
お肉は熟成させると美味しくなると聞くがとれたてでもそれはそれで美味しい。
お肉を食べ終わったら焼けていた野菜も順次食べていきお腹が満足したところで椅子に背中を預けて休憩する。
駿河さんの方を見るとあっちも食べ終わったのか食後のコーヒー的なのを沸かしている。
お互いに一緒に食事をとる事は無いが何となくキャンプ仲間な感じでちょっと面白い。
こういうのも楽しいな。
◇ ◇ ◇ ◇
2日目、いつも通りに起きて軽く食事をしてから動き出す。朝にお腹いっぱい食べると動くのがつらいのでほどほどにしておく。
俺が起きる頃には駿河さんは既に起きておりまったりと休憩していた。
「おはようございます」
「はい、おはようございます」
「後10分ぐらいしたら出るので準備しといてください」
「わかりました、その前に少しお時間もらえますか?こちらが指定して倒してほしい魔物の話しをしたいのですが」
「それって試験前に言ってたやつの事ですか?」
「はい、試験の一環としてこちらが指定する魔物を倒す力があるかどうか調べさせてもらいます」
「了解です、何を倒すんですか?」
「あなたに今回倒してもらうのは『ワイバーン』です」
「あいつかぁ、1匹だけ?」
「倒す方法は任せますので最低でも3体『ワイバーン』を倒してください」
「わかりました」
『ワイバーン』を3体か、どうやって倒そうかな?
◇ ◇ ◇ ◇
『ワイバーン』を倒すにあたってまずはその行動を調査してみた。
この間見たときは空高く飛んでいたので見つけるのはそこまで難しくはないとおもう、幸いなことに【遠目】と【イーグルアイ】のスキルで遠くにいる敵でもすぐに発見できるようになったからだ。
次に問題なのは攻撃手段、これはもうスナイパーライフルしかないと思う。アサルトライフルやハンドガンではどうやっても届かないだろう。
後はロケランっていう手もあるが、それだと素材をダメにしそうなので却下だ。
最後に倒す場所が問題だ、俺が今いる現在地は上層で『ワイバーン』は上層下層関係なく飛んでいる。なので倒す場所が悪ければ回収不可能な位置に落ちる可能性もある。
というわけで、まずは『ワイバーン』を見つけてその行動を見張ってみたいと思う。
遠く、スキルを使わなければかすかにしか見えない程度の距離に『ワイバーン』が見える。
【イーグルアイ】を使ってみてみると視界がぎゅんっと一気に『ワイバーン』へと近づきその姿が昨日よりもハッキリと見える。
青みがかった肌に翼の先からにょきっと爪が生えている形になった手、長い首に長い尻尾。
全体的にひょろ長い印象を受けるがその大きさは10メートルほどにもなる。
よく空を飛ぶ系の魔物は小さい物なら自分の力、筋肉で飛んでいて。大きな魔物なら魔法の力を補助に使い飛んでいたりするが『ワイバーン』はどちらかというと普段は地力で飛んでいる。
戦闘行動に入った時などに魔法を使い飛ぶスピードを上げたりするみたいだ。
あの巨体でなぜ飛べているのかというと、その筋肉が凄いらしいのと骨が軽く丈夫だからという事が研究によって分かっている。
そのせいか知らないが『ワイバーン』のお肉はとてもじゃないが食べれない感じらしい筋張っていて嚙み切れないし肉食なので肉の味も悪いとか。
その代わり筋肉を支える筋などが弓の弦に使えると聞く、強靭でしなやかで扱いやすいみたいだが詳しくないのでよく知らない。
骨については色んな使い道があり最近では宝石にするのが流行っていると最近テレビでみた。
『ワイバーン』だけでなく他の魔物でも骨から宝石が作る事が出来る。
魔物によって宝石の色が変わるみたいだが俺からすれば何がいいのかよくわからないから興味がない、素材として売れるならそれでいい。
「はぁ………疲れた」
時刻はもうすぐお昼を迎えるぐらいのタイミング、なのに既に昨日より疲れている。
原因は『ワイバーン』を見失わないように追いかけるのがつらいという事だ。
朝に『ワイバーン』を見つけてから既に何時間も飛んだままだが未だにスタミナが尽きないのかずっと飛んでいる。
その間もちろん移動するわけだから地上にいる他の魔物に出会う事になる。
『ワイバーン』を見失わないように常に気をつけながら【気配感知】を使い地上も気を付けて、避けれない場合はすぐに倒して回収してまた移動して。
正直かなり疲れる。
最初『ワイバーン』の討伐と聞いたときはいつも通り遠くから倒してお終いだろうって思っていたが飛んで逃げる相手がここまで倒しにくいとは思っていなかった。
「はぁこりゃダメだな、ちょっと考えよう」
お昼だし流石に疲れたので一旦追跡はここまでにして休憩する事にする。
【野営地】スキルを開いてっと………
「あ、忘れてた。駿河さん、休憩するんですが一緒に行きますか?」
【野営地】内に入る直前にそういえば試験官の駿河さんがいるんだと思い出した。彼女は移動中や戦闘中も完全に何もせず何かスキルも使っているのか普段から気配が希薄な気がする。
そのためその存在を時々本気で忘れてしまう。
「はい、お願いします」
木の陰からスッと現れた駿河さんは疲れた様子もなく元気な様子だ。
それを見てちょっと落ち込む、追いかける対象が俺という事で多少楽かもしれないがそれでも長時間追いかけていたはずなのに疲れた様子がないからだ。
これが高ランクの探索者の実力なのか。
駿河さんを連れて【野営地】内に入っていく、入口はもちろん万が一がないように消しておく。
あそこから突然魔物が入ってくるとかごめんだからな………
【野営地】内には昨日建てたままのテントなどがそのまま置いてある。片づける必要もないのでしていない感じだ。
出しっぱなしにしてあるキャンプ用の椅子に座り【空間庫】から飲み物を取り出して考える。
「どうしようかなぁ、うーん」
追いかけるのは今のステータスでは辛い所がある、なら罠を仕掛けて待っているとか?でも空を飛んでいる相手にどうやって罠を仕掛ければいいのか。
悩みどころだ。
初めは戸惑っていた駿河さんも暫く経って【野営地】内を一通り見回ってからは慣れたのかテントを張って準備を進めていた。
家の中で寝ればいいのにとは思ったがウキウキでテントを建てているのを見ると駿河さんはこういったキャンプ的な事が好きなようでむしろテントを張って寝たいって感じだった。
焚火台をだして椅子を取り出して、ちっちゃな机も出して傍から見るとこの状況をとても楽しんでいるように見える。
取り合えず俺も椅子を出して駿河さんに許可を取ってから焚火を囲むように座る。
「とても便利なスキルですね、契約が無ければ私達のパーティに誘いたいぐらいです」
「契約ってなんですか?」
「私のような試験官を担当する人は必然的にこれから伸びるであろう探索者にも、そうでもない探索者にも同時に出会う事になります。私達だって普段はパーティで行動していますしどうしても有能な人材は優先的に確保したくなるものです」
「まぁ、そうかも?」
「私のような立場の人間が優先的に将来性のある人材に出会えてスカウトする事が出来るのはずるいとおもいませんか?」
「思うかも?」
「そういった人達がいるので事前に契約を結んでいるんです、試験官は担当した探索者をスカウトする事を禁止するって言う風にね」
「なるほど」
魔法契約でスキルの内容が話せないと言っても知識として覚える事は出来るわけだしな、自分達のパーティに足りないスキルを持っている人を見つければそら誘いたくもなるか。
パーティに入ってしまえばおのずとスキルを使う事にはなるだろうしスキルを話せないという契約内容には違反しない。
試験官っていうのも大変なんだな。
「まぁそうはいっても、パーティに誘えないだけで知り合いにはなれるわけだしね?試験官っていうのも悪くはないわよ」
「そういうものですか」
「そういうものよ」
話しながらも駿河さんは炭に火をつけコーヒーを沸かしと手際がいい、かなりやり慣れているんだな。
「駿河さんの分の晩御飯は用意したほうがいいんですか?」
「いえ、事前に行って合った通り私の事は気にしないでいいですよ。ちゃんと10日間の食料は持って来ていますので」
そういって駿河さんは収納袋をぽんぽんっと叩いて見せてくる。
まぁ言われてみればその通りか、俺が試験官である彼女の食事まで用意するとまた話しが変わってくるしな。
そうするとこうやって話すのもどうなんだろ?流石にそこまで厳しくはないのかな?注意されたら止めればいいか。
暫くそうやってまったりと話してから晩御飯の用意をし始めた。
駿河さんは普通に収納袋から食材を出して料理を作り始めたので俺も少し離れたところで同じ様に炭で火を起こして用意する。
準備する食材はもちろん『一角兎』だ、動画を見て見様見真似で解体をやったので不格好だが食べるのには問題ないはずだ。
一応『一角兎』は3匹ほど確保していて、その他のは全部GPに換えておいた。
今のところGPは消費先があまりなくたまる一方なので30万GPほどある。このままたまる一方なのかこの先突然消費先が増えてがっつり減るのか予想ができず大きく使えていないのが現状だ。
大きく使えていないと言っても手榴弾を買ったりはしているのでそれなりには消費している、だけれどもそれ以上にGPが溜まるので減ってはいかないかんじだ。
と、まぁGPの事はここまでにして晩御飯に戻ろう。
『一角兎』だが今回はモモ肉の香草焼きにしようと思う、解体したお肉を食べやすい大きさに切り塩コショウをして香草をちぎって乗せて網の上で炭火で焼いていく。
シンプルだが取り合えず初めてだしこれがいいだろう。
網の上に乗せられた『一角兎』のお肉から油が出てきてそれが熱い炭に落ちてジュワッと音を立てる。
炭火で焼かれた美味しそうなお肉の匂いが煙にのって運ばれてくる。
たまにひっくり返して焼く事数分、ちょっと焦げ目がついたぐらいで焼くのを止めておく。
網の上から焼き終わったお肉を取ってそこへ次は野菜を焼いていく、玉ねぎにカボチャに人参にキャベツをちょっとずつ。
野菜を焼いている間に焼き終わった『一角兎』のモモ肉を食べる事にする。
「うんまぁ」
プリッとした噛み応えにジュワッとあふれる肉汁、少し甘味もありかなり美味しい。
お肉は熟成させると美味しくなると聞くがとれたてでもそれはそれで美味しい。
お肉を食べ終わったら焼けていた野菜も順次食べていきお腹が満足したところで椅子に背中を預けて休憩する。
駿河さんの方を見るとあっちも食べ終わったのか食後のコーヒー的なのを沸かしている。
お互いに一緒に食事をとる事は無いが何となくキャンプ仲間な感じでちょっと面白い。
こういうのも楽しいな。
◇ ◇ ◇ ◇
2日目、いつも通りに起きて軽く食事をしてから動き出す。朝にお腹いっぱい食べると動くのがつらいのでほどほどにしておく。
俺が起きる頃には駿河さんは既に起きておりまったりと休憩していた。
「おはようございます」
「はい、おはようございます」
「後10分ぐらいしたら出るので準備しといてください」
「わかりました、その前に少しお時間もらえますか?こちらが指定して倒してほしい魔物の話しをしたいのですが」
「それって試験前に言ってたやつの事ですか?」
「はい、試験の一環としてこちらが指定する魔物を倒す力があるかどうか調べさせてもらいます」
「了解です、何を倒すんですか?」
「あなたに今回倒してもらうのは『ワイバーン』です」
「あいつかぁ、1匹だけ?」
「倒す方法は任せますので最低でも3体『ワイバーン』を倒してください」
「わかりました」
『ワイバーン』を3体か、どうやって倒そうかな?
◇ ◇ ◇ ◇
『ワイバーン』を倒すにあたってまずはその行動を調査してみた。
この間見たときは空高く飛んでいたので見つけるのはそこまで難しくはないとおもう、幸いなことに【遠目】と【イーグルアイ】のスキルで遠くにいる敵でもすぐに発見できるようになったからだ。
次に問題なのは攻撃手段、これはもうスナイパーライフルしかないと思う。アサルトライフルやハンドガンではどうやっても届かないだろう。
後はロケランっていう手もあるが、それだと素材をダメにしそうなので却下だ。
最後に倒す場所が問題だ、俺が今いる現在地は上層で『ワイバーン』は上層下層関係なく飛んでいる。なので倒す場所が悪ければ回収不可能な位置に落ちる可能性もある。
というわけで、まずは『ワイバーン』を見つけてその行動を見張ってみたいと思う。
遠く、スキルを使わなければかすかにしか見えない程度の距離に『ワイバーン』が見える。
【イーグルアイ】を使ってみてみると視界がぎゅんっと一気に『ワイバーン』へと近づきその姿が昨日よりもハッキリと見える。
青みがかった肌に翼の先からにょきっと爪が生えている形になった手、長い首に長い尻尾。
全体的にひょろ長い印象を受けるがその大きさは10メートルほどにもなる。
よく空を飛ぶ系の魔物は小さい物なら自分の力、筋肉で飛んでいて。大きな魔物なら魔法の力を補助に使い飛んでいたりするが『ワイバーン』はどちらかというと普段は地力で飛んでいる。
戦闘行動に入った時などに魔法を使い飛ぶスピードを上げたりするみたいだ。
あの巨体でなぜ飛べているのかというと、その筋肉が凄いらしいのと骨が軽く丈夫だからという事が研究によって分かっている。
そのせいか知らないが『ワイバーン』のお肉はとてもじゃないが食べれない感じらしい筋張っていて嚙み切れないし肉食なので肉の味も悪いとか。
その代わり筋肉を支える筋などが弓の弦に使えると聞く、強靭でしなやかで扱いやすいみたいだが詳しくないのでよく知らない。
骨については色んな使い道があり最近では宝石にするのが流行っていると最近テレビでみた。
『ワイバーン』だけでなく他の魔物でも骨から宝石が作る事が出来る。
魔物によって宝石の色が変わるみたいだが俺からすれば何がいいのかよくわからないから興味がない、素材として売れるならそれでいい。
「はぁ………疲れた」
時刻はもうすぐお昼を迎えるぐらいのタイミング、なのに既に昨日より疲れている。
原因は『ワイバーン』を見失わないように追いかけるのがつらいという事だ。
朝に『ワイバーン』を見つけてから既に何時間も飛んだままだが未だにスタミナが尽きないのかずっと飛んでいる。
その間もちろん移動するわけだから地上にいる他の魔物に出会う事になる。
『ワイバーン』を見失わないように常に気をつけながら【気配感知】を使い地上も気を付けて、避けれない場合はすぐに倒して回収してまた移動して。
正直かなり疲れる。
最初『ワイバーン』の討伐と聞いたときはいつも通り遠くから倒してお終いだろうって思っていたが飛んで逃げる相手がここまで倒しにくいとは思っていなかった。
「はぁこりゃダメだな、ちょっと考えよう」
お昼だし流石に疲れたので一旦追跡はここまでにして休憩する事にする。
【野営地】スキルを開いてっと………
「あ、忘れてた。駿河さん、休憩するんですが一緒に行きますか?」
【野営地】内に入る直前にそういえば試験官の駿河さんがいるんだと思い出した。彼女は移動中や戦闘中も完全に何もせず何かスキルも使っているのか普段から気配が希薄な気がする。
そのためその存在を時々本気で忘れてしまう。
「はい、お願いします」
木の陰からスッと現れた駿河さんは疲れた様子もなく元気な様子だ。
それを見てちょっと落ち込む、追いかける対象が俺という事で多少楽かもしれないがそれでも長時間追いかけていたはずなのに疲れた様子がないからだ。
これが高ランクの探索者の実力なのか。
駿河さんを連れて【野営地】内に入っていく、入口はもちろん万が一がないように消しておく。
あそこから突然魔物が入ってくるとかごめんだからな………
【野営地】内には昨日建てたままのテントなどがそのまま置いてある。片づける必要もないのでしていない感じだ。
出しっぱなしにしてあるキャンプ用の椅子に座り【空間庫】から飲み物を取り出して考える。
「どうしようかなぁ、うーん」
追いかけるのは今のステータスでは辛い所がある、なら罠を仕掛けて待っているとか?でも空を飛んでいる相手にどうやって罠を仕掛ければいいのか。
悩みどころだ。
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