【完結】SS級の冒険者の私は身分を隠してのんびり過ごします

稲垣桜

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「リサ、君に聞きたかったんだが…」

「何?何を聞きたいの?」


 机の上に広げた行程が書かれた地図を仕舞いながらラリーがそう質問してきた。


「君は若いのにどうして冒険者をしているんだ?」


 まあ、切羽詰まって冒険者をやっている人は多いが、リサの姿や振る舞い、それにギルド長からの信頼は一朝一夕では手に入らないものだ。その余裕を感じさせる態度がラリーは気になったのだ。

 確かに、ラリーにしてもギルド長にしても迫力があると言えばそうだ。そんな大柄な男性を目の前にして気にすることなくお茶を飲みながら話をしているのだからそう思われても仕方ないだろう。


「うーん。合ってるからかな?それに、前は仲間がいたから楽しかったのよね」

「仲間?パーティを組んでたのか?」

「そう。今は別々にやりたいことをしてるの。まあ休息って意味合いかな?」


 リサのパーティは知る人ぞ知る……というか、知らない人はいない『黎明の羅針盤アウローラコンパス』なのだが、そのことはこの町ではギルマスしか知らない。まあ本人も言うつもりも更々ないのだが。
 

「これから必要なものを揃えに行くがリサも一緒に行こうか」

「私も?どうして?」

「まあ、早く慣れる為なのと、服装とか小物とか夫婦らしく合わせた方がいいからな」


 そう言われると断ることもないかと考えて二人でギルドを後にした。

 馬車の調達は早々にできていたようで、あとは万が一の野宿の用意だろうか。中継地点の町に日が暮れるまで辿り着けるように行程は組まれていたが、途中に何があるかわからないのだから用意するに越したことはない。  

 いくつかの店を回ったが、ラリーのことをリサの彼氏だと思われていたらしいことが最後に寄った店で判明した。まあ、仲良く店を回りお揃いの品などを購入すればそんな話も出るだろう。ここはそこまで大きな町ではないのだし。
 そしてリサは「帰ってきたらきちんと説明しよう」と心に決めて、この日は家に戻り、当日の朝を待った。



 ラリーの依頼は、王都から遠く離れた地域を中心に不正を働いているとの密告があった町へと向かい、順次調査を行うというものだった。

 目的地はいくつかあるようで、契約の終了期間は決まってなかった。
 その調査も、簡単な裏取りで済むものから潜入の必要があるものまで多岐にわたるようで、好奇心が強いリサからすると期間が決まっていないこともその内容も特段気にすることでもなかった。

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