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「では、もう行きます。ありがとうございました」
そう告げると、目の前の騎士が「ちょっと待ってください」と引き留めた。なんでも、彼の上司が私に聞きたいことがあるらしい。
私には騎士の知り合いなどいない。普段からこのアンスリー地区に出入りすることもないのだから、聞かれることに心当たりは一切ない。
「あの……、私に騎士様の知り合いもいませんし、今回の事ももう終わったのでしょう?他に何が……」
そこまで言うと、部屋の扉が開いて一人の男性が入ってきた。
周囲の騎士たちの様子からおそらく上司なのだろう。年齢は私より少し上くらいで金髪の偉丈夫だ。だが、その顔を見ても覚えもなく…というか、こんな顔なら一度観たら忘れることはない。うん。断言できる。
「引き留めてしまってすまない。私はここアンスリーの駐留部隊の隊長をしているアーサー・フォン・ウッドリーだ」
「私は、エレミアと申します。この子は息子のレイモンドです。あの…私に聞きたいことがあると言うのは、隊長さんですか?」
このアーサーという人はウッドリー伯爵家の令息らしく、アンスリーの部隊に配属されて3年目らしい。
今31歳で、結婚してから王都からここに引っ越してきたらしい。だが、それが私に何の関係があるのだろう。
そして、なぜか矢継ぎ早に出身地や家族構成、夫の事など質問される。完全なプライベートな内容だ。「失礼だが、」と前置きしていたが、そう思うなら聞くなと言いたい。でも、貴族相手に喧嘩をする訳にはいかずおとなしく聞いて答えられる質問にだけ答えた。
「出身は北部の方で、ここへは7年前に引っ越してきました。王都へ行ったことはありますが…何か……関係があるのですか?結婚や父親のことなどプライベートなことです」
気分が悪い。なぜここまで聞かれなければならないのか。幸い、レイモンドは彼の部下相手をしてもらっているからこの会話は聞いていない。
「気を悪くさせてすまない。実は、その子供によく似た友人を知っているんだ」
「友人……ですか?」
「ああ、王都の騎士団の時の同僚なんだが、彼はまだ結婚もしていないし、浮いたうわさも聞いたこともない。だが、その子の瞳の色……黒い瞳で光を受けると赤く光るその色は、彼の家門の特徴に似ているんだ」
「それって、貴族の方……ですか?」
「ティール公爵家のカイルというんだが…」
「カイ…ル……」
そう告げると、目の前の騎士が「ちょっと待ってください」と引き留めた。なんでも、彼の上司が私に聞きたいことがあるらしい。
私には騎士の知り合いなどいない。普段からこのアンスリー地区に出入りすることもないのだから、聞かれることに心当たりは一切ない。
「あの……、私に騎士様の知り合いもいませんし、今回の事ももう終わったのでしょう?他に何が……」
そこまで言うと、部屋の扉が開いて一人の男性が入ってきた。
周囲の騎士たちの様子からおそらく上司なのだろう。年齢は私より少し上くらいで金髪の偉丈夫だ。だが、その顔を見ても覚えもなく…というか、こんな顔なら一度観たら忘れることはない。うん。断言できる。
「引き留めてしまってすまない。私はここアンスリーの駐留部隊の隊長をしているアーサー・フォン・ウッドリーだ」
「私は、エレミアと申します。この子は息子のレイモンドです。あの…私に聞きたいことがあると言うのは、隊長さんですか?」
このアーサーという人はウッドリー伯爵家の令息らしく、アンスリーの部隊に配属されて3年目らしい。
今31歳で、結婚してから王都からここに引っ越してきたらしい。だが、それが私に何の関係があるのだろう。
そして、なぜか矢継ぎ早に出身地や家族構成、夫の事など質問される。完全なプライベートな内容だ。「失礼だが、」と前置きしていたが、そう思うなら聞くなと言いたい。でも、貴族相手に喧嘩をする訳にはいかずおとなしく聞いて答えられる質問にだけ答えた。
「出身は北部の方で、ここへは7年前に引っ越してきました。王都へ行ったことはありますが…何か……関係があるのですか?結婚や父親のことなどプライベートなことです」
気分が悪い。なぜここまで聞かれなければならないのか。幸い、レイモンドは彼の部下相手をしてもらっているからこの会話は聞いていない。
「気を悪くさせてすまない。実は、その子供によく似た友人を知っているんだ」
「友人……ですか?」
「ああ、王都の騎士団の時の同僚なんだが、彼はまだ結婚もしていないし、浮いたうわさも聞いたこともない。だが、その子の瞳の色……黒い瞳で光を受けると赤く光るその色は、彼の家門の特徴に似ているんだ」
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