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人間を手に入れ迷宮を出る
10 宝箱は迷宮を出る
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「コレット、ありがとう。私が私でいられるのはコレットのおかげ。トシゾウ様に恩をお返ししたら、コレットにもお礼をさせて」
「礼なんて不要ですわ。私もシオンのおかげで強くいられたんだもの。本当よ。…シオン、元気でね。恩を返し終わったら、私の所へいらっしゃい。それまでには、きっとあなたを歓迎できるようにしておきますわ」
コレット・レインベルは旅装を整え、帰還の魔石を使用して去っていった。
彼女の家、レインベル伯爵家の領土であるレインベル領へ戻るらしい。
俺は帰還の魔石が放つ魔力の残滓を見つめながら情報を整理する。
コレットからは実に有益な情報を得ることができた。
まだまだ情報は不足しているものの、ここからは実際に迷宮の外で確認していけば良い。
価値ある宝を蒐集することが俺の目的だ。
そして宝を運んでくる冒険者の質の低下の原因を探り、その改善をするのが迷宮主からの依頼だ。
それは俺の目的とも合致する。
コレットと話したことで、冒険者の質や数の減少は確実に進んでいるということがわかった。
戦争や大規模な災害が原因というわけではなく、多くの原因が絡み合い、結果としてジワジワと人類は衰退しているようだ。
冒険者と迷宮の繁栄。
その障害となっているであろうものにもいくつか目星がついた。
原因に目星がついたなら、後はそれが本当か確かめつつ行動していくだけだ。
前世の知識やオーバード・ボックスとしての力を使って、人間の世界を観光がてら改造していこう。
すぐに解決できることばかりではないが、できることから取り掛かるか。
さしあたっては…。
「さて、シオン。お前は一時的とはいえ俺の所有物となった」
「は、はい。トシゾウ様。いただいた恩に報いるまで、がんばってお仕えします。主人に仕えるのは初めてなので、不手際も多いとは思いますが、どうぞよろしくお願いします」
「うむ、俺も人間を所有するのは初めてだ。だが俺は所有物を大切にする。俺にとってお前に価値がある限り、大切に扱うことを約束しよう」
「は、はい!がんばります」
まだ知り合ったばかりではあるが、最初に比べてシオンの態度は柔らかくなった。とはいえまだ俺に心を許してはいないし、レベルも1で、宝として考えればその辺りの石ころと変わらない。
たが、シオンは俺にとって新たなタイプの所有物であり、強力なスキル持ちの白狼種。石ころは石ころでも、シオンは磨く価値のある原石とも言える。
俺は今までずっと迷宮にこもっていた。
その反動か、今はいろいろと試してみたい気分だ。
主目的は宝の蒐集と冒険者の質の向上だが、そのついでに新たに手に入れたこの所有物を磨いてみるのも一興だろう。
「よし。では手始めに服を脱げ」
「え、そ、それは…。うう…。はい。あの、できれば痛くしないでください…」
シオンは纏っているボロ布をゆっくりと手をかける。
何を勘違いしているかは理解できるが、俺にその気はない。
「汚れを落とす。両手を上げてじっとしていろ」
「あ、は、はい…」
シオンは服を脱がされた目的を知り、二重の意味で頰を赤らめた。
俺は懐から水の魔石を取り出し、発動する。
懐は無限工房とつながっているため、人の姿のままでも利用することが可能だ。
魔石から出現した水がシオンを包み込み、汚れを洗い流す。
人族は火魔法を使用できるが、種族的に水魔法を使用できない。
それは人族に擬態している俺にも言えることだが、迷宮から産出される魔石を用いれば、魔石を介して水魔法を発動させることができる。
水がシオンの体についた泥を洗い流し、迷宮の地面へと吸い込まれていく。
「貴重な属性魔石を、体を洗うためだけに…。それにこの魔力の制御…」
シオンが何かぶつぶつと言っているが、別に魔石は貴重品でも何でもない。所有物のメンテに使えるなら使っても問題ない。
「これを身につけろ」
服と最低限の装備を取り出し、シオンに身につけさせる。
「トシゾウ様、準備できました」
「うむ」
汚れを落とし、身なりを整えたコレットはかなりの美少女になった。
豊かな白い髪と尻尾に、ピンと立った犬耳。角度によって色味を変える紫色の瞳。
これは…。少し注意しないとな。
今の俺は人間の姿をしている。
スキル【擬態ノ神】による擬態は、肉体も精神も限りなく擬態対象に近づく。
人間に擬態した場合、腹も減れば睡眠も必要。性欲もある。
さすがに生殖はできないと思うが…。
下手をするとシオンに手を出してしまいかねない。
嫌な命令は拒否できるという契約だが、俺が本気で求めた場合は拒むことは不可能だ。
今はまだ問題ないが、精神が肉体に引っ張られるようなら対応を考える必要があるだろう。
【蒐集ノ神】発動。
シオン
年 齢:14
種 族:獣人(白狼種)
レベル:1
スキル:【超感覚】
装 備:オークの鎧、鉄の短剣、不死鳥の尾羽
状 態:
部位欠損をはじめ、状態異常はすべて治療済みだ。
エリクサーによって【奴隷紋:レベル制限】も削除されている。
服装や装備についてはスキル【無限工房ノ主】を使い、中から適当なものを引っ張り出してきた。
若干チグハグではあるが問題ないだろう。
シオンは一時的とはいえ俺の所有物である。
所有物の管理は持ち主の仕事だ。
絵を額に飾って壁にかけるように、ツボに物を入れたり、磨いて台座の上に乗せるように、武器を敵へ振りかぶるように。
それぞれの宝には最も輝く場所と、適した扱いがある。
何事も派手にやれば良いというわけではない。常識だ。
シオンはレベル1の獣人だ。よって、装備は駆け出し冒険者に毛が生えた程度のものを与えている。
念のために保険をかけてはいるが、基本的には力量に見合った装いと言えるだろう。
足りないものについては店で購入するつもりだ。
「よし、それでは迷宮街の観光に行くとしようか」
「はい」
俺達は【迷宮主の紫水晶】を使用し、迷宮から離脱した。
「礼なんて不要ですわ。私もシオンのおかげで強くいられたんだもの。本当よ。…シオン、元気でね。恩を返し終わったら、私の所へいらっしゃい。それまでには、きっとあなたを歓迎できるようにしておきますわ」
コレット・レインベルは旅装を整え、帰還の魔石を使用して去っていった。
彼女の家、レインベル伯爵家の領土であるレインベル領へ戻るらしい。
俺は帰還の魔石が放つ魔力の残滓を見つめながら情報を整理する。
コレットからは実に有益な情報を得ることができた。
まだまだ情報は不足しているものの、ここからは実際に迷宮の外で確認していけば良い。
価値ある宝を蒐集することが俺の目的だ。
そして宝を運んでくる冒険者の質の低下の原因を探り、その改善をするのが迷宮主からの依頼だ。
それは俺の目的とも合致する。
コレットと話したことで、冒険者の質や数の減少は確実に進んでいるということがわかった。
戦争や大規模な災害が原因というわけではなく、多くの原因が絡み合い、結果としてジワジワと人類は衰退しているようだ。
冒険者と迷宮の繁栄。
その障害となっているであろうものにもいくつか目星がついた。
原因に目星がついたなら、後はそれが本当か確かめつつ行動していくだけだ。
前世の知識やオーバード・ボックスとしての力を使って、人間の世界を観光がてら改造していこう。
すぐに解決できることばかりではないが、できることから取り掛かるか。
さしあたっては…。
「さて、シオン。お前は一時的とはいえ俺の所有物となった」
「は、はい。トシゾウ様。いただいた恩に報いるまで、がんばってお仕えします。主人に仕えるのは初めてなので、不手際も多いとは思いますが、どうぞよろしくお願いします」
「うむ、俺も人間を所有するのは初めてだ。だが俺は所有物を大切にする。俺にとってお前に価値がある限り、大切に扱うことを約束しよう」
「は、はい!がんばります」
まだ知り合ったばかりではあるが、最初に比べてシオンの態度は柔らかくなった。とはいえまだ俺に心を許してはいないし、レベルも1で、宝として考えればその辺りの石ころと変わらない。
たが、シオンは俺にとって新たなタイプの所有物であり、強力なスキル持ちの白狼種。石ころは石ころでも、シオンは磨く価値のある原石とも言える。
俺は今までずっと迷宮にこもっていた。
その反動か、今はいろいろと試してみたい気分だ。
主目的は宝の蒐集と冒険者の質の向上だが、そのついでに新たに手に入れたこの所有物を磨いてみるのも一興だろう。
「よし。では手始めに服を脱げ」
「え、そ、それは…。うう…。はい。あの、できれば痛くしないでください…」
シオンは纏っているボロ布をゆっくりと手をかける。
何を勘違いしているかは理解できるが、俺にその気はない。
「汚れを落とす。両手を上げてじっとしていろ」
「あ、は、はい…」
シオンは服を脱がされた目的を知り、二重の意味で頰を赤らめた。
俺は懐から水の魔石を取り出し、発動する。
懐は無限工房とつながっているため、人の姿のままでも利用することが可能だ。
魔石から出現した水がシオンを包み込み、汚れを洗い流す。
人族は火魔法を使用できるが、種族的に水魔法を使用できない。
それは人族に擬態している俺にも言えることだが、迷宮から産出される魔石を用いれば、魔石を介して水魔法を発動させることができる。
水がシオンの体についた泥を洗い流し、迷宮の地面へと吸い込まれていく。
「貴重な属性魔石を、体を洗うためだけに…。それにこの魔力の制御…」
シオンが何かぶつぶつと言っているが、別に魔石は貴重品でも何でもない。所有物のメンテに使えるなら使っても問題ない。
「これを身につけろ」
服と最低限の装備を取り出し、シオンに身につけさせる。
「トシゾウ様、準備できました」
「うむ」
汚れを落とし、身なりを整えたコレットはかなりの美少女になった。
豊かな白い髪と尻尾に、ピンと立った犬耳。角度によって色味を変える紫色の瞳。
これは…。少し注意しないとな。
今の俺は人間の姿をしている。
スキル【擬態ノ神】による擬態は、肉体も精神も限りなく擬態対象に近づく。
人間に擬態した場合、腹も減れば睡眠も必要。性欲もある。
さすがに生殖はできないと思うが…。
下手をするとシオンに手を出してしまいかねない。
嫌な命令は拒否できるという契約だが、俺が本気で求めた場合は拒むことは不可能だ。
今はまだ問題ないが、精神が肉体に引っ張られるようなら対応を考える必要があるだろう。
【蒐集ノ神】発動。
シオン
年 齢:14
種 族:獣人(白狼種)
レベル:1
スキル:【超感覚】
装 備:オークの鎧、鉄の短剣、不死鳥の尾羽
状 態:
部位欠損をはじめ、状態異常はすべて治療済みだ。
エリクサーによって【奴隷紋:レベル制限】も削除されている。
服装や装備についてはスキル【無限工房ノ主】を使い、中から適当なものを引っ張り出してきた。
若干チグハグではあるが問題ないだろう。
シオンは一時的とはいえ俺の所有物である。
所有物の管理は持ち主の仕事だ。
絵を額に飾って壁にかけるように、ツボに物を入れたり、磨いて台座の上に乗せるように、武器を敵へ振りかぶるように。
それぞれの宝には最も輝く場所と、適した扱いがある。
何事も派手にやれば良いというわけではない。常識だ。
シオンはレベル1の獣人だ。よって、装備は駆け出し冒険者に毛が生えた程度のものを与えている。
念のために保険をかけてはいるが、基本的には力量に見合った装いと言えるだろう。
足りないものについては店で購入するつもりだ。
「よし、それでは迷宮街の観光に行くとしようか」
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