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宝箱は冒険者ギルドを立ち上げる
46 宝箱は100人を率いる
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「お帰りなさいませご主人様。拾い屋の知り合いに話して50人ほど呼んできました」
戻ってきた俺に気付いたシオンが走り寄ってくる。相変わらず残像が見える速度だ。
シオンの後ろにはたくさんの拾い屋。ほとんどが獣人で、稀に人族も混じっている。
俺の目的のためには多くの人手が必要だ。
拾い屋たちのレベルは決して高くない。だが生活のために命がけで迷宮に潜っている彼らの知識は、これからの役に立つだろう。
駆け寄ってきた忠狼シオンがかわいかったので、頭を撫でる。耳をつまむ。やわらかい。温かい。モフモフだな。
今朝までは人族の本能が暴走しそうでモフりたくてもモフれなかったのだが、今は存分に俺の所有物を愛でることが可能だ。素晴らしい。
「うむ、上出来だ。50人も集めるとは。シオンは役に立つな」
「は、はい、ご主人様のおかげです。ありがとうございましゅ!」
噛んだ。シオンは突然撫でられたことに驚いたのか、一瞬尻尾がビクッとなったが、撫でるうちに耳と尻尾がフニャリと溶けていく。かわいい。
シオンは俺に礼を言うが、別に俺は何もしていない。まぁわざわざ指摘するのも無粋か。
「あれ?ご主人様から女の人の匂いがします。それにこの匂いは…」
シオンの形の良い鼻がひくひくと動く。
シオンは白狼種の獣人で【超感覚】のスキルを持つ。シオンは迷族に捕らえられていた。
そのあたりの事情は良く分かっている。気付かないわけはないか。
「うむ。ちょっとな」
「そうですか。お役に立てず申し訳ありません。ご主人様のお役に立ちたいのに、私に魅力がないから…」
尻尾がシュンとなる。かわいい。
「いや、シオンはかわいい。役に立つし、魅力的だ。だがこんなことを所有物のシオンに頼むわけにもいかない。望まないことを強要するのは、所有物の価値を下げることになる」
「そんなことはありません!もし私でよろしければ、その、いつ使っていただいても…」
自分が何を言いかけているか気付き、途中から何も言えなくなるシオン。けなげかわいい。
俺の前世は人間だったし、今も擬態とはいえ人族の身体だ。鈍感でもない。
シオンが俺のことを主人としてではなく、男として好意を抱きつつあるということは理解している。
そういう目的で“使う”かどうかは俺の考え次第ということだ。
まぁ今はスッキリしている。どうするかは人族の身体が求め出した時に考えれば良いだろう。
「それでシオン、拾い屋たちをどんな条件で連れて来た?」
俺は話を戻す。
拾い屋はシオンや奴隷たちとは違って俺の所有物ではない。
あえて言うなら目的のための協力者だ。必要に応じて対価を与える必要がある。
「レベル制限の奴隷紋を解除して迷宮へ潜れるなら、それだけで協力を惜しまないそうです。ただ、人族の決まりに逆らうことになります。それで迷宮へ入ることを禁止されてしまうかもと恐れています」
「なるほど。当然の心配だな。いきなりこんな都合の良い話をされて信じるわけもない」
拾い屋のほとんどは獣人だ。そして迷宮は人族の持ち物である。
他種族が迷宮に潜る場合は、入り口の兵士がレベルアップを妨げる奴隷紋を施す決まりとなっている。
人族以外の種族は、迷宮へ潜っても日々の糧を得ることが精一杯だ。
レベルが上がらないため安全マージンも取れない。
死と隣り合わせで迷宮に潜っている。
拾い屋の獣人は訳ありが多い。
獣人本来の住処である荒野で生きていけないため、人族の領域で細々と生きている。
レベルが高く力のある獣人は、拾い屋の中にはいない。
そんな状況で人族に睨まれるとどうなるか。行く場所もなくなり野垂れ死ぬしかなくなる。
「はい。それでも私がご主人様に救われたことを話したら、多くの方が私たちのことを信用してくれました。その、とても嬉しかったです」
「うむ、シオンは本当に役に立つな。これまでのシオンのがんばりの結果だ」
はい!と嬉しそうに尻尾を振るシオン。そう喜ばれると何度も褒めたくなるな。
シオンという所有物を磨くことは、なんとも言えず楽しい。
かつて途方もなく俺の胸を焦がしていた蒐集欲。
それはオーバード・ボックスになってから落ち着きを見せていた。
だが迷宮から出て、シオンと出会ってから少しずつ、自分の中の価値観が変化しているように感じる。
人族に擬態しているからという理由だけではない。
おそらく、俺自身が変化している。
人間を所有すること。それにより広がる可能性。
人間という所有物の価値。
人間は生きている。価値が高くとも、しゃべることのできない宝とは明らかに異なるもの。
俺の目的は宝の蒐集だ。今までそこに人間は含まれていなかった。
迷宮の外の世界を変革させようとしているのは、あくまでも迷宮深層へ訪れる獲物の数を増やすためだと考えていた。
だが、迷宮深層へ訪れる冒険者が増えるということは、それだけ人間の世界が発展しているということだ。
世界に人間という価値ある存在が増える。
人間は宝を生む。俺が奪う。素晴らしい。良いことづくめだ。
俺はシオンや他の人間に触れ、人間の世界そのものを良くするために動くのも良いのではないかと思い始めていた。
戻ってきた俺に気付いたシオンが走り寄ってくる。相変わらず残像が見える速度だ。
シオンの後ろにはたくさんの拾い屋。ほとんどが獣人で、稀に人族も混じっている。
俺の目的のためには多くの人手が必要だ。
拾い屋たちのレベルは決して高くない。だが生活のために命がけで迷宮に潜っている彼らの知識は、これからの役に立つだろう。
駆け寄ってきた忠狼シオンがかわいかったので、頭を撫でる。耳をつまむ。やわらかい。温かい。モフモフだな。
今朝までは人族の本能が暴走しそうでモフりたくてもモフれなかったのだが、今は存分に俺の所有物を愛でることが可能だ。素晴らしい。
「うむ、上出来だ。50人も集めるとは。シオンは役に立つな」
「は、はい、ご主人様のおかげです。ありがとうございましゅ!」
噛んだ。シオンは突然撫でられたことに驚いたのか、一瞬尻尾がビクッとなったが、撫でるうちに耳と尻尾がフニャリと溶けていく。かわいい。
シオンは俺に礼を言うが、別に俺は何もしていない。まぁわざわざ指摘するのも無粋か。
「あれ?ご主人様から女の人の匂いがします。それにこの匂いは…」
シオンの形の良い鼻がひくひくと動く。
シオンは白狼種の獣人で【超感覚】のスキルを持つ。シオンは迷族に捕らえられていた。
そのあたりの事情は良く分かっている。気付かないわけはないか。
「うむ。ちょっとな」
「そうですか。お役に立てず申し訳ありません。ご主人様のお役に立ちたいのに、私に魅力がないから…」
尻尾がシュンとなる。かわいい。
「いや、シオンはかわいい。役に立つし、魅力的だ。だがこんなことを所有物のシオンに頼むわけにもいかない。望まないことを強要するのは、所有物の価値を下げることになる」
「そんなことはありません!もし私でよろしければ、その、いつ使っていただいても…」
自分が何を言いかけているか気付き、途中から何も言えなくなるシオン。けなげかわいい。
俺の前世は人間だったし、今も擬態とはいえ人族の身体だ。鈍感でもない。
シオンが俺のことを主人としてではなく、男として好意を抱きつつあるということは理解している。
そういう目的で“使う”かどうかは俺の考え次第ということだ。
まぁ今はスッキリしている。どうするかは人族の身体が求め出した時に考えれば良いだろう。
「それでシオン、拾い屋たちをどんな条件で連れて来た?」
俺は話を戻す。
拾い屋はシオンや奴隷たちとは違って俺の所有物ではない。
あえて言うなら目的のための協力者だ。必要に応じて対価を与える必要がある。
「レベル制限の奴隷紋を解除して迷宮へ潜れるなら、それだけで協力を惜しまないそうです。ただ、人族の決まりに逆らうことになります。それで迷宮へ入ることを禁止されてしまうかもと恐れています」
「なるほど。当然の心配だな。いきなりこんな都合の良い話をされて信じるわけもない」
拾い屋のほとんどは獣人だ。そして迷宮は人族の持ち物である。
他種族が迷宮に潜る場合は、入り口の兵士がレベルアップを妨げる奴隷紋を施す決まりとなっている。
人族以外の種族は、迷宮へ潜っても日々の糧を得ることが精一杯だ。
レベルが上がらないため安全マージンも取れない。
死と隣り合わせで迷宮に潜っている。
拾い屋の獣人は訳ありが多い。
獣人本来の住処である荒野で生きていけないため、人族の領域で細々と生きている。
レベルが高く力のある獣人は、拾い屋の中にはいない。
そんな状況で人族に睨まれるとどうなるか。行く場所もなくなり野垂れ死ぬしかなくなる。
「はい。それでも私がご主人様に救われたことを話したら、多くの方が私たちのことを信用してくれました。その、とても嬉しかったです」
「うむ、シオンは本当に役に立つな。これまでのシオンのがんばりの結果だ」
はい!と嬉しそうに尻尾を振るシオン。そう喜ばれると何度も褒めたくなるな。
シオンという所有物を磨くことは、なんとも言えず楽しい。
かつて途方もなく俺の胸を焦がしていた蒐集欲。
それはオーバード・ボックスになってから落ち着きを見せていた。
だが迷宮から出て、シオンと出会ってから少しずつ、自分の中の価値観が変化しているように感じる。
人族に擬態しているからという理由だけではない。
おそらく、俺自身が変化している。
人間を所有すること。それにより広がる可能性。
人間という所有物の価値。
人間は生きている。価値が高くとも、しゃべることのできない宝とは明らかに異なるもの。
俺の目的は宝の蒐集だ。今までそこに人間は含まれていなかった。
迷宮の外の世界を変革させようとしているのは、あくまでも迷宮深層へ訪れる獲物の数を増やすためだと考えていた。
だが、迷宮深層へ訪れる冒険者が増えるということは、それだけ人間の世界が発展しているということだ。
世界に人間という価値ある存在が増える。
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