超越ミミックの人類調教計画!~迷宮で宝を得るために異世界を変革させます~

二足のわらじ

文字の大きさ
49 / 172
宝箱は冒険者ギルドを立ち上げる

47 宝箱は冒険者ギルドを立ち上げる

しおりを挟む
 俺たちがいるのは冒険者区画にある空き地。
 朝に冒険者ギルドの看板を立てた場所だ。

 そのときは俺とシオンの二人だったが、今は100人もの数が集まっている。

 メインゲートに近く、大商会のテントが連なっていた一帯は広大だ。
 100人が集まったところでまだまだスペースがある。

 よく晴れた空、心地よい気温、広大な地面。このまま運動会でも開けそうだな。

 無限工房から台を取り出し、その上に立つ。
 俺が買ってきた50人の奴隷、シオンが連れて来た50人の拾い屋。その全ての視線がこちらへ向いていることを確認して口を開く。

「俺の名はトシゾウ。お前たちを導く者だ。お前たちの生活を保障する代わりに、俺の目的のために働くことを求める。お前たちにとって俺は主人であったり、単なる協力者だったりと様々だ。無理に俺のことを敬う必要はない。俺のことは好きに呼べ。言葉遣いも好きにすれば良い」

 見回す。ここまで異存はないようだ。
 俺の言葉を聞き逃さないように、言葉を待っている。

「俺たちが今いる場所、ここが俺たちの家となり、拠点となる。ここは“冒険者ギルド”で、今日からお前らは冒険者ギルドに所属するギルドメンバーだ。俺は冒険者ギルドの主だ。呼び方に困ればマスターと呼べ」

 何もない空き地を拠点と言ったことに動揺する者もいるようだ。当然だろう。
 話を聞けないほどではないため続ける。

「ギルドメンバーであるお前たちは平等だ。種族も、立場も、年齢も、性別も、歩んできた人生も、できることもバラバラだ。だがそんなことは関係ない。俺の当面の目的はギルドを発展させることだ。お前たちはそのために働く。ギルドメンバー全員が仲間だ」

 もう一度見回す。表情は様々だが、元々ここにはどん底を体験した奴隷や、長く差別に苦しんできた獣人が多い。おおよそ好意的な感情が返ってくる。

「冒険者ギルドの目的は、全ての人間が自由に迷宮へ潜れるようにすることだ。また、冒険者達が迷宮探索に専念できるように、その補助を行う予定だ」

 拾い屋たちの目の色が変わる。自由な冒険。
 レベルを上げられず迷宮で不自由する彼らが最も求めているものだ。

「やることはシンプルだ。それぞれが冒険者ギルドのために、できることをする。それはお前たち自身の地位と生活の向上につながる。お前たちにやる気がある限り、俺は決してお前たちを見捨てない。人間からはもちろん、邪神が出てきてもお前たちを守ろう」

 まだ俺のことを信用していない者は多い。
 だが俺が本気で言っていることは伝わったのだろう。
 半信半疑ながらも、やる気に満ちた視線を返してくれる。

「理解できたか。それでは具体的にこれからすることを話す。まずはこの場所を生活できるように整える必要がある。テントを張り、食事の用意だ。役割を決め、それぞれに代表者を決める。それが終われば食事にしよう。やることは多い。腹いっぱい食ってしっかり働け!」

 腹いっぱいの食事と聞いて、わっと歓声が上がる。
 こいつらゲンキンだなーとトシゾウは思った。

 俺が自分で言った通り、ここに集まった者たちは様々だ。
 しっかり俺の話を理解し、適切な行動を取ろうと思考する者。
 よくわからないけど飯が食えるならそれで良いという者。

 話を理解できないなら理解できないで問題ない。
 これから時間をかけて叩き込んでいけばいいだけだ。最初にしっかりと所信表明しておくことに意味がある。

 100名のうち半分は俺の所有物、もう半分は俺の話に同意し、俺の用意する飯を食べたことになる。
 つまり、マスターである俺が話を理解しない者は、磨き上げても、そのまま打ち捨てても問題ないということである。

 宝を蒐集するためには迷宮へ潜る冒険者を強くする必要がある。

 冒険者を強くするには人族にはびこる人族至上主義をなんとかする必要がある。

 人族至上主義をなんとかするために、多種族の力を高め差別意識をなくす必要がある。

 冒険者ギルドを設立することで立場の弱い者たちをギルドメンバーとして保護し、奴隷や浮浪者を減らす。

 獣人を中心としたギルドメンバーを鍛え上げ、功績を上げ立場を認めさせる。

 冒険者ギルドで冒険者の支援をすることで人材の流動化を図り、差別意識をなくす。

 冒険者ギルドで各種支援を行うことで、冒険者が効率よく迷宮へ潜れるようにする。

 0からのスタートだ。
 やることは多い。妨害も入るだろう。

 だが、こういうのは悪くない。
 この世界に転生して初めて手に入れた宝。粗末な石槍を手に入れて、それがすごい宝物に感じたことを思い出した。
 なんとなく、あの時の気分だ。

 そう、これは蒐集のための闘争。それが形を変えたものだ。
 ゆえに楽しい。俺の力をもって、この人間社会を変革させてみせよう。

 俺はギルドメンバーに仕事を割り振りながらこっそりと笑みを浮かべた。
しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~

草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。 レアらしくて、成長が異常に早いよ。 せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。 出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

鬼の兵法伝承者、異世界に転世せしむる

書仙凡人
ファンタジー
俺の名は桜木小次郎。 鬼一法眼を祖とする鬼一兵法の令和の伝承者。 だがある時、なぜか突然死してしまったのだ。 その時、自称神様の変なペンギンが現れて、ファンタジー世界の転生を持ちかけられた。 俺はヤケになって転生受け入れたら、とんでもない素性の奴にログインする事になったのである。 ログイン先は滅亡した国の王子で、従者に毒盛られて殺されたばかり。 なにこれ? クーリングオフねぇのかよ!

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

異世界は流されるままに

椎井瑛弥
ファンタジー
 貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。  日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。  しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。  これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...