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新章
172 邪神の卵と侵入者
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「それは…、【邪神の卵】ですか」
トシゾウが取り出した黒色の卵を見つめるシオン。
邪神の卵は手に入れた時と変わらずほのかに熱を放ち規則的に脈動している。
「ああ、これはおそらく迷宮を出てから手に入れた宝の中では最も価値のあるものの一つだろう。だがその活用の仕方が未だ不明なのだ」
「コレットと迷宮で大きな蛇を倒した時のドロップですね。ご主人様にもわからないことがあるのですね」
自分の主人は全知全能ではなかったのかと真顔で言ってくるシオンに苦笑するトシゾウ。
「もちろんだ。わからないことだらけだ」
分からないことがあるのは分かろうとしていないからというのが原因の大半であるのだが、それをわざわざ言うトシゾウでもない。
スキル【蒐集ノ神】を本気で発動させれば対象に宿る情報を根こそぎ攫うことが可能だからだ。
その情報源はトシゾウ本人にも不明であり、時に前世はどこのアカシックなレコードかと突っ込みたくなるような情報まで引っ張り出すことができる。
とはいえ探る情報の深度を深めるほどにかかる負担も加速度的に増えていくので、それを面倒がるトシゾウは滅多にその深さまでスキルを発動させることはない。
【~ノ神】にまで至ったスキルは、それまでのスキルとは一線を画している。
だが、そんなトシゾウにとって【邪神の卵】はかつてないイレギュラーな宝であった。
相当な力をつぎ込んで【蒐集ノ神】を発動させても、わかるのはそれが邪神由来の素材であるということのみ。
トシゾウが討ち倒した特殊区画のボス、テンペスト・サーペントは、おそらくは邪神の関与により本来の性能よりも大きく強化されていた。
その結果として手に入れた【邪神の卵】は相応の価値があるに違いないというのに、それは依然沈黙を保っていた。
トシゾウは卵という名前からしてただ飾るだけの芸術品でないことは確かだろうと考えた。
中には生き物が入っているのかと考え、卵を孵すべく温めてみたり【邪神の天秤】を発動して瘴気を注いだりしてみたこともある。
【邪神の卵】というからには、中には邪神が入っているのだろうと。
ニワトリを育てて食べるように、育てた邪神と戦って素材を手に入れればさぞ貴重な宝になると考えたのだ。
しかしトシゾウの努力に反して【邪神の卵】は沈黙を保っていた。
トシゾウは鑑定と経験から、おそらく何か鍵となる素材のようなものが必要なのだろうと考えている。
モノがモノなので迷宮主やシロにはまだ相談していない。
迷宮を成長させ邪神へと至り、邪神を殺すことが迷宮の目的だという話は覚えているので、下手をすると迷宮主と争いが起こりかねないからだ。
自分の育った家の大屋さんには一定の配慮をする。
トシゾウは常識人なのである。
たとえそれが宝を前にすれば吹き飛ぶ程度のものであっても、場合によっては敵対覚悟で【邪神の卵】について聞き出す用意があるとしても、今は配慮しているのである。
とはいえ、トシゾウもこの件に関してはさほど急ぎでもないため隅に置いているのが現状だった。
「大きいから卵焼きにしたらたくさん食べられそうです」
「黒いから腐ってそうですわ。生きていても、脈動する卵とか食べる気にはなれないわね」
「ウチの料理班長やったら調理できそうやけどなぁ」
黒く脈動する卵を前にトシゾウの所有物たちが所見を述べている。
「ふむ、おもしろいな、食べるという発想はなかった。さすがはシオンだ」
トシゾウは食いしんぼうのシオンから飛び出た思わぬ意見にひょうたんから駒が出た思いだった。
宝を食べる…。宝を食べる、か。
【邪神の卵】が卵だとするのなら、たしかに食材として利用するのも一つの形なのか。
全ての宝には、その宝に相応しい輝ける場所がある。
それは額に収まり壁を彩る絵画でも、魔物の攻撃から身を守り砕ける盾でも同じことだ。
それならば、極上の料理となり腹に収まる【邪神の卵】というのもそれは一つの宝の勝ちではないのだろうか。
どう見ても生きているのに【無限工房】に収納できたり、いろいろと謎の多い【邪神の卵】だが…いっそ砕いて食べれば良いのではなかろうか。
産まれぬなら、喰ってしまうぞ、邪神の卵。
記憶は曖昧だが、前世の偉い武将もそれに近いことを言っていた気がする。
「…食ってみるのも一興か」
「えぇ、トシゾウはん本気で言っとるんか?」
「トシゾウ様、さすがにそれはお腹を壊しますわよ?」
「…卵焼きが美味しいと思います」
食欲スイッチが入りかけたシオンであったが、反対票が2票入ったこともあり結局は保留となった。
トクン、トクン
トシゾウは【邪神の卵】の脈動のペースが心なしか不安定なように感じた。
☆
ザザ…
「――閣下、こちらコウエン、応答願います」
「む、コウエンか。どうした」
トシゾウ達が雑談に興じていたとき、突如その場にいないはずのコウエンの緊迫した声が部屋に響く。
トシゾウは迷宮主から渡された通話・転移機能を持つ【迷宮主の紫水晶】を解析し、魔力を動力とする通話用の魔道具を開発し主要なギルドメンバーに配布している。
コウエンがその魔道具を使用して通信をしてきたようだった。
「報告いたします。現在、冒険者ギルド内、トシゾウギャラリー周辺に賊が侵入。賊の練度高く苦戦中の模様。救援を要請され応援に向かっているのですが…。侵入者の中に角を持つ小柄な者が混じっているようです。レベルの測定が不可能であり、おそらくはただの獣人ではありません。万が一に備えシオン殿もしくは閣下に応援を要請します」
「…わかった、すぐに向かおう」
通信を切り、行動を開始する。コウエンが警戒するほどの相手。これは明確に異常事態だ。
「ご主人様」
「うむ、どうやら我がギャラリーに賊が侵入しているらしい。応援に向かうぞ」
「はい」
当然、万が一に備えて戦闘班にものろし程度の魔道具や高位の通信装置をいくつか回しているが、コウエンから上、つまりトシゾウへ救援要請が回ってくるのはトシゾウにとっても少々予想外のことだった。
コウエンと、コウエンが直接率いる戦闘部隊の練度は戦闘班内でも頭一つ抜けている。
その力を結集すれば王城へ侵入して宝物庫から宝を奪うくらいはできるし、一線級の冒険者と共に迷宮を歩けるし、シオンと戦っても数分は持ちこたえることができるほどだ。
十把一絡げの賊程度ではどれだけ束になっても敵わない。
その規模の戦力を擁する組織は限られているし、それだけの戦力で侵入場所する場所がトシゾウギャラリーだというのは疑問がある。
トシゾウギャラリーにはたしかに金目の品も多いが、言い方を換えればそれだけだ。
コウエンが苦戦するような戦力とは、本来なら敵対組織の壊滅か、いっそ革命を狙うような戦力だ。
角を持つ賊、理屈に合わない侵入者…。この感覚、どこかで…。
装備を整え素早くトシゾウの近くへ駆け寄るシオンとコレットを横目に考える。
トシゾウはビッチ、もとい艶淵狐クラリッサとユーカクで再会した時のことをなんとなく思い出す。
同じ敷地内とはいえ、ギルド長室からトシゾウギャラリーまでは少々距離がある。
【転移の紫水晶】で転移の用意を進めつつ、敵の気配を探った。
ギルドの中はトシゾウの能力の範囲内だ。
スキル【蒐集ノ神】を使用すれば一定範囲内にある宝とその価値を測定することができるし、【転移の紫水晶】にも迷宮の領域内に存在する生物の検索をすることができる。
トシゾウは侵入者の一人が知っている相手であることに気付いた。
「そういえばあいつも迷宮から出ていたのだったか。…本当にこの世界は面白い。飽きる暇がないな」
迷宮から出たことは間違いではないと繰り返し教えてくれる。
「…コウエン、おそらく相手はお前より格上だ。だが良い機会だ。後顧の憂いなく全力で挑め」
「承知しました、閣下」
魔道具越しに聞こえる頼もしい返事に満足する。
さぁ、次はどんな出来事が待っているのか。
待つばかりの退屈な日々はすでに遠い過去のものだ。
蒐集のための日々はこれからも続く。
トシゾウが止まらない限りその日々の騒動が収まることはないだろう。
トシゾウの目的は価値ある宝を集めること。そのための過程を楽しむこと。
迷宮から出たのも、最初は迷宮の中で宝を集められるようにすることが目的だった。
最初は外の世界になど興味はなかったのだ。
だがトシゾウはいつしかこの世界そのものに楽しみと価値を見出しつつあった。
トシゾウの変化と世界との関わり。
それが世界にとってとても幸運なことであったと、後に世界は知ることとなる。
もし世界を闇が覆えば、トシゾウは宝が集まらなくなることを懸念し闇を祓うことに忠力するだろう。
迷宮へ潜る冒険者の環境を変えようとしたように、世界を変えようとするだろう。
トシゾウが迷宮を出て一年足らず。
冒険者の力が増し、人間は緩やかに結束しつつある。
一見安定しつつあるように見える世界。
しかし、トシゾウとトシゾウの築いたものの力が必要とされる時代がすぐそこまで来ていた。
「ほんまトシゾウはんといると飽きへんなぁ」
トシゾウはギャラリーで激しく動き回る二つの点を認識しつつ、手を振るベルに見送られ転移を発動した。
ドォォ……ン
転移が発動したのと、目的地の方向から冒険者ギルド全体を揺るがすような爆音が轟いたのはほとんど同時であった。
瞬く間に移り変わっていく世界の中、トシゾウはその音が新たな競争を始める始まりの鐘の音のように感じていた。
――――――
作者より 書き溜め期間を頂きます。ストックは40話分くらいありますが、より良い作品にしたく、完結の目途がついてから再投稿を行いますのでご了承ください。
進捗状況は【小説家になろう】の方で活動報告を行います。
トシゾウが取り出した黒色の卵を見つめるシオン。
邪神の卵は手に入れた時と変わらずほのかに熱を放ち規則的に脈動している。
「ああ、これはおそらく迷宮を出てから手に入れた宝の中では最も価値のあるものの一つだろう。だがその活用の仕方が未だ不明なのだ」
「コレットと迷宮で大きな蛇を倒した時のドロップですね。ご主人様にもわからないことがあるのですね」
自分の主人は全知全能ではなかったのかと真顔で言ってくるシオンに苦笑するトシゾウ。
「もちろんだ。わからないことだらけだ」
分からないことがあるのは分かろうとしていないからというのが原因の大半であるのだが、それをわざわざ言うトシゾウでもない。
スキル【蒐集ノ神】を本気で発動させれば対象に宿る情報を根こそぎ攫うことが可能だからだ。
その情報源はトシゾウ本人にも不明であり、時に前世はどこのアカシックなレコードかと突っ込みたくなるような情報まで引っ張り出すことができる。
とはいえ探る情報の深度を深めるほどにかかる負担も加速度的に増えていくので、それを面倒がるトシゾウは滅多にその深さまでスキルを発動させることはない。
【~ノ神】にまで至ったスキルは、それまでのスキルとは一線を画している。
だが、そんなトシゾウにとって【邪神の卵】はかつてないイレギュラーな宝であった。
相当な力をつぎ込んで【蒐集ノ神】を発動させても、わかるのはそれが邪神由来の素材であるということのみ。
トシゾウが討ち倒した特殊区画のボス、テンペスト・サーペントは、おそらくは邪神の関与により本来の性能よりも大きく強化されていた。
その結果として手に入れた【邪神の卵】は相応の価値があるに違いないというのに、それは依然沈黙を保っていた。
トシゾウは卵という名前からしてただ飾るだけの芸術品でないことは確かだろうと考えた。
中には生き物が入っているのかと考え、卵を孵すべく温めてみたり【邪神の天秤】を発動して瘴気を注いだりしてみたこともある。
【邪神の卵】というからには、中には邪神が入っているのだろうと。
ニワトリを育てて食べるように、育てた邪神と戦って素材を手に入れればさぞ貴重な宝になると考えたのだ。
しかしトシゾウの努力に反して【邪神の卵】は沈黙を保っていた。
トシゾウは鑑定と経験から、おそらく何か鍵となる素材のようなものが必要なのだろうと考えている。
モノがモノなので迷宮主やシロにはまだ相談していない。
迷宮を成長させ邪神へと至り、邪神を殺すことが迷宮の目的だという話は覚えているので、下手をすると迷宮主と争いが起こりかねないからだ。
自分の育った家の大屋さんには一定の配慮をする。
トシゾウは常識人なのである。
たとえそれが宝を前にすれば吹き飛ぶ程度のものであっても、場合によっては敵対覚悟で【邪神の卵】について聞き出す用意があるとしても、今は配慮しているのである。
とはいえ、トシゾウもこの件に関してはさほど急ぎでもないため隅に置いているのが現状だった。
「大きいから卵焼きにしたらたくさん食べられそうです」
「黒いから腐ってそうですわ。生きていても、脈動する卵とか食べる気にはなれないわね」
「ウチの料理班長やったら調理できそうやけどなぁ」
黒く脈動する卵を前にトシゾウの所有物たちが所見を述べている。
「ふむ、おもしろいな、食べるという発想はなかった。さすがはシオンだ」
トシゾウは食いしんぼうのシオンから飛び出た思わぬ意見にひょうたんから駒が出た思いだった。
宝を食べる…。宝を食べる、か。
【邪神の卵】が卵だとするのなら、たしかに食材として利用するのも一つの形なのか。
全ての宝には、その宝に相応しい輝ける場所がある。
それは額に収まり壁を彩る絵画でも、魔物の攻撃から身を守り砕ける盾でも同じことだ。
それならば、極上の料理となり腹に収まる【邪神の卵】というのもそれは一つの宝の勝ちではないのだろうか。
どう見ても生きているのに【無限工房】に収納できたり、いろいろと謎の多い【邪神の卵】だが…いっそ砕いて食べれば良いのではなかろうか。
産まれぬなら、喰ってしまうぞ、邪神の卵。
記憶は曖昧だが、前世の偉い武将もそれに近いことを言っていた気がする。
「…食ってみるのも一興か」
「えぇ、トシゾウはん本気で言っとるんか?」
「トシゾウ様、さすがにそれはお腹を壊しますわよ?」
「…卵焼きが美味しいと思います」
食欲スイッチが入りかけたシオンであったが、反対票が2票入ったこともあり結局は保留となった。
トクン、トクン
トシゾウは【邪神の卵】の脈動のペースが心なしか不安定なように感じた。
☆
ザザ…
「――閣下、こちらコウエン、応答願います」
「む、コウエンか。どうした」
トシゾウ達が雑談に興じていたとき、突如その場にいないはずのコウエンの緊迫した声が部屋に響く。
トシゾウは迷宮主から渡された通話・転移機能を持つ【迷宮主の紫水晶】を解析し、魔力を動力とする通話用の魔道具を開発し主要なギルドメンバーに配布している。
コウエンがその魔道具を使用して通信をしてきたようだった。
「報告いたします。現在、冒険者ギルド内、トシゾウギャラリー周辺に賊が侵入。賊の練度高く苦戦中の模様。救援を要請され応援に向かっているのですが…。侵入者の中に角を持つ小柄な者が混じっているようです。レベルの測定が不可能であり、おそらくはただの獣人ではありません。万が一に備えシオン殿もしくは閣下に応援を要請します」
「…わかった、すぐに向かおう」
通信を切り、行動を開始する。コウエンが警戒するほどの相手。これは明確に異常事態だ。
「ご主人様」
「うむ、どうやら我がギャラリーに賊が侵入しているらしい。応援に向かうぞ」
「はい」
当然、万が一に備えて戦闘班にものろし程度の魔道具や高位の通信装置をいくつか回しているが、コウエンから上、つまりトシゾウへ救援要請が回ってくるのはトシゾウにとっても少々予想外のことだった。
コウエンと、コウエンが直接率いる戦闘部隊の練度は戦闘班内でも頭一つ抜けている。
その力を結集すれば王城へ侵入して宝物庫から宝を奪うくらいはできるし、一線級の冒険者と共に迷宮を歩けるし、シオンと戦っても数分は持ちこたえることができるほどだ。
十把一絡げの賊程度ではどれだけ束になっても敵わない。
その規模の戦力を擁する組織は限られているし、それだけの戦力で侵入場所する場所がトシゾウギャラリーだというのは疑問がある。
トシゾウギャラリーにはたしかに金目の品も多いが、言い方を換えればそれだけだ。
コウエンが苦戦するような戦力とは、本来なら敵対組織の壊滅か、いっそ革命を狙うような戦力だ。
角を持つ賊、理屈に合わない侵入者…。この感覚、どこかで…。
装備を整え素早くトシゾウの近くへ駆け寄るシオンとコレットを横目に考える。
トシゾウはビッチ、もとい艶淵狐クラリッサとユーカクで再会した時のことをなんとなく思い出す。
同じ敷地内とはいえ、ギルド長室からトシゾウギャラリーまでは少々距離がある。
【転移の紫水晶】で転移の用意を進めつつ、敵の気配を探った。
ギルドの中はトシゾウの能力の範囲内だ。
スキル【蒐集ノ神】を使用すれば一定範囲内にある宝とその価値を測定することができるし、【転移の紫水晶】にも迷宮の領域内に存在する生物の検索をすることができる。
トシゾウは侵入者の一人が知っている相手であることに気付いた。
「そういえばあいつも迷宮から出ていたのだったか。…本当にこの世界は面白い。飽きる暇がないな」
迷宮から出たことは間違いではないと繰り返し教えてくれる。
「…コウエン、おそらく相手はお前より格上だ。だが良い機会だ。後顧の憂いなく全力で挑め」
「承知しました、閣下」
魔道具越しに聞こえる頼もしい返事に満足する。
さぁ、次はどんな出来事が待っているのか。
待つばかりの退屈な日々はすでに遠い過去のものだ。
蒐集のための日々はこれからも続く。
トシゾウが止まらない限りその日々の騒動が収まることはないだろう。
トシゾウの目的は価値ある宝を集めること。そのための過程を楽しむこと。
迷宮から出たのも、最初は迷宮の中で宝を集められるようにすることが目的だった。
最初は外の世界になど興味はなかったのだ。
だがトシゾウはいつしかこの世界そのものに楽しみと価値を見出しつつあった。
トシゾウの変化と世界との関わり。
それが世界にとってとても幸運なことであったと、後に世界は知ることとなる。
もし世界を闇が覆えば、トシゾウは宝が集まらなくなることを懸念し闇を祓うことに忠力するだろう。
迷宮へ潜る冒険者の環境を変えようとしたように、世界を変えようとするだろう。
トシゾウが迷宮を出て一年足らず。
冒険者の力が増し、人間は緩やかに結束しつつある。
一見安定しつつあるように見える世界。
しかし、トシゾウとトシゾウの築いたものの力が必要とされる時代がすぐそこまで来ていた。
「ほんまトシゾウはんといると飽きへんなぁ」
トシゾウはギャラリーで激しく動き回る二つの点を認識しつつ、手を振るベルに見送られ転移を発動した。
ドォォ……ン
転移が発動したのと、目的地の方向から冒険者ギルド全体を揺るがすような爆音が轟いたのはほとんど同時であった。
瞬く間に移り変わっていく世界の中、トシゾウはその音が新たな競争を始める始まりの鐘の音のように感じていた。
――――――
作者より 書き溜め期間を頂きます。ストックは40話分くらいありますが、より良い作品にしたく、完結の目途がついてから再投稿を行いますのでご了承ください。
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まだ続くんですね。よかったです。
内政が続くのは仕方ないです。むしろ、長く続けるには、こういった内政=基盤がしっかりとしていないと出来ないと思います。
これからも更新を楽しみにまってます。
あ、これは返事書かなくてもいいよ!
単純な感想ですから(*´∀`)
(`・ω・´)ゞ(=゚ω゚)ノ
そろそろエンディング近いですかね?雰囲気的に。終わっちゃうの?なんかなごりおしい
名残惜しいって言ってもらえるのすごい嬉しい(*'ω'*)
なお書き溜め10万字…まだ続きます!
ひとまず区切りではあるので、しばらくは内政メインになるかもしれませんが、引き続きよろしくお願いしますー。