ワールドクロス

1部 国を助ける決意

1話 支配下

　ゴルという国のトップに立つザガード。銀のロングヘアーの男だ。

　ザガードは、エルザードとダルという国を占領しようと宣戦布告をした。

「この二つの国は、これから俺のものだ。新しい国を作る。もし、納得いかない奴は問答無用に殺す」

　ザガードはそう言いながら、大笑いをしている。

　ザガードが納めるゴルという国は、エルザード、ダルと隣の国だ。その隣の国で戦争が起こっている。

　それを楽しそうに、ザガードは見つめている。

　ザガードの元に連絡が入り、高々と笑った。

「エルザードもダルも、これで俺のものだ！」

　この戦争で、エルザードとダルは壊滅した。それから、瞬く間にエルザードとダルの国の人々は、ゴルの支配下となった。エルザードとダルという名前も消えた。

　エルザードにいた人々とダルにいた人々、ゴルにいる一部の人々は、ザガードの行き過ぎた支配に怯えながら生きていた。また、獣のような形をしたモンスターが街中を破壊しており、自由にすることができなくなった。

　モンスターも知能が高く、歯向かう人々を容赦なく殺害していった。そのため、街は血に染まり、遺体も転がっている状態が当たり前になっていた。

「これじゃ、いつになっても戦争は終わらない」

　赤茶のセミロングヘアーの女性が細剣を握り締めながら、周囲を見回す。あまりの残酷さにため息をついた。彼女の名はシフ。女性にしては、肩幅が広く、競泳選手のような体型だ。

　１時間でどのくらいのモンスターを倒したか。シフは、二度目のため息をついた。ダル出身のシフは、自分の住む国がなくなって、途方に暮れていた。寝る場所もなく、野宿をすることが多くなった。

　モンスターも多くなり、宿屋も休業となって宿泊もできなくなった。正確にいえば、エルザードとダルの出身の人々が、ホームレス状態となっていた。壊滅した国同士が集まっている。なんとか新たな生活をしようと前向きに生きようとしている人たちもいる。

　エルザードの国とダルの国の人々が手を取り合って発展していき、新たな国を作っていければ良い。しかし、今は、ゴルの支配下になっていて、ここも、ゴルの国に含まれている。そのため、トップであるザガードが国を治めている。ザガードに逆らえば、命を落とす。そんな状況だった。

　シフは、やっと一息つけると、細剣を鞘にしまおうとしていた時だった。背後からモンスターが勢いよくシフに向かってくる。

「マジか」

　背後から迫ってくるモンスターに対し、シフは振り返りもせずに、細剣を振った。モンスターは、大きな音を立てて倒れた。これがきっかけになったか、10匹以上のモンスターが押し寄せてくる。

　シフは一気に駆け抜け、細剣を横なぎにして、モンスターを倒していく。

　獣のような形をしたモンスターが、どれだけいるのか。

　シフも疲労がたまってきていて、いい加減に休ませてくれと思う。だが、休ませてくれないらしい。

　度々、モンスターが襲ってくる。シフは、細剣でモンスターを次々と倒していく。

　ところが、あまりの多さに１人では対応が難しくなってきた。なんとか、モンスターを倒していく。それでも、一瞬の隙がシフを追い込んだ。

　モンスターが、シフに襲い掛かり、地面に叩きつけられた。

「！！」

　シフが起き上がろうとしたとき、モンスターが目の前にいた。