色々物語

母と娘

次の日、ミライははるかと一緒に彼女の家へ向かった。
玄関のドアを開けると、はるかのお母さんがすぐに現れて、はるかをぎゅっと抱き寄せた。

「はるか、心配してたのよ。何かあったの？」

はるかは少し照れくさそうにうなずいた。

ミライははるかを優しく笑顔で見つめた。

お母さんは優しい目で、いつもは少し暗い表情のはるかを見つめた。
今日はその顔が、いつもよりも明るく見えた。

お母さんは思った。
はるかが友達とうまくいかず、浮いてしまっているのを見ていたから…
学校でうまくいっていないんだなと感じて、あまり会話できていなかったけれど、
きっとこの子がそんなはるかと仲良くしてくれたのね。

優しい笑顔でお母さんは言った。

「本当にありがとう。」

ミライも笑顔で返した。

「こちらこそ。」

それから二人は「またね」と言い合い、別れた。

はるかは嬉しそうに、ミライのことを話しながら家の中へ入っていった。

「ママ、実はミライは昨日友達になったばかりなんだけど、環境問題について深く考えててね、
それに関連する機械も作っているんだよ。ミライは本当にすごいんだ。」

お母さんは微笑みながら、はるかの頭を優しく撫でた。

「それは素敵な友達ができたのね。」

はるかも嬉しそうに笑い、二人の間に暖かな空気が流れた。

それからミライは電車で家に帰った。はるかとお母さんの様子を考え、過去のことが浮かび上がってきた。

ミライがまだ小さな頃、お母さんはよく言っていた。
「これはね、ミライのために作った特別なロボットよ。ぬいぐるみみたいにいつもそばにいてくれるの」

お母さんが手渡してくれたのは、ぬいぐるみサイズの小さなロボットだった。
つるんと丸くて、目がキラキラ光る。動くと、カタカタと可愛らしい音を立てた。

ミライは目を輝かせて、そのロボットをぎゅっと抱きしめた。
「この子の名前は“ユメ”にする！」と即決した。

「なんでユメって名前にしたの？」
お母さんが微笑みながら尋ねると、ミライは少し照れくさそうに答えた。
「だって、ユメは私を笑顔にしてくれたし、この“ユメ”みたいに、これからみんなが笑顔になるような人になりたいから。それが私の夢だから、“ユメ”って呼ぶの！」

お母さんは優しく微笑み、ミライの頭をそっと撫でた。

その頃から、お母さんもお父さんも仕事が忙しくて、家にはあまりいなかった。
ミライはいつもユメと一緒に遊ぶのが日課になった。

だけどある日、うっかりユメを落としてしまい、小さな部品が壊れてしまった。
直そうと必死に頑張ったけれど、どうしても直せなかった。

それからミライは少しずつ学びながら、ユメを直すために挑戦し続けた。
機械の修理や改良を覚えて、ユメを分解し、また組み立てて、何度も失敗を繰り返した。

けれど、そのたびに「できた！」という喜びがやってきて、ユメに向かって優しく「ありがとう」と話しかける気持ちがどんどん大きくなっていった。

ユメはただの機械じゃなかった。
ミライにとって、それはお母さんとのつながりであり、そしてこれからの未来への希望だった。

今、ミライは新しい夢を抱きながら、ユメと一緒にもっと大きな未来を作り出そうとしている。