色々物語

文字の大きさ
74 / 81

ふたりと小さな奇跡

しおりを挟む
それから一週間ほどたったある日の夕方。ミライが新しい発明のアイディアを考えながら、いつものようにゆっくり散歩して家へ帰ると、自分の家の前で、はるかがにこにこと立っていた。

「はるか、どうしたの?」とミライが声をかけると、はるかは満面の笑みで手を広げた。

その手の中には、小さなミニチュアロボットがぎゅっと握られていた。

「見て!動画サイトで調べて、ミライの真似して作ってみたんだ!」

はるかは得意げに笑う。

ミライは嬉しそうにその小さなロボットを手に取り、じっと見つめながら言った。

「わあ、かわいいね!すごくよくできてる。」

「うん、ちょっとユメみたいでしょ?」

「かもね~!」

ミライはふとひらめいたように言った。

「よかったら、ユメみたいな機械、一緒に作ってみる?」

「いいね!今度はうさぎのロボットにしたいな!」

---

目を開けると、二人は静かな森の中にいた。
柔らかな木漏れ日が、葉の隙間からゆらりと揺れている。

「今日の宝箱はどこにあるんだろうね?」
ミライが小声でつぶやく。

はるかは少しわくわくした顔で周囲を見回し、歩き始めた。
そのとき、ふわりと小さな影が揺れた。

たくさんの可愛いうさぎたちが、二人の前に姿を現した。
まるで二人を歓迎するかのように、うさぎたちはぴょんぴょん跳ねながら、そっと先へ進み始める。

ミライが笑顔で言った。
「うさぎたちが宝箱まで案内してくれているみたいだね。」

はるかも嬉しそうに頷き、二人はうさぎたちの後ろを追いかけた。

森の奥へと続く小道を抜けると、古い木の根元に、ほこりをかぶった宝箱が静かに佇んでいた。

---

「できたよ!」ミライが笑顔で声をあげた。
作業台の上に、真っ白で丸みを帯びたうさぎ型ロボットが静かに立っている。

「こんにちは!わたしの名前はルナ。よろしくね。」
優しい声でルナが話しかけた。

はるかは目を見開き、顔いっぱいに笑みを浮かべながらルナを抱きしめた。
「かわいい!ルナって名前、ぴったりだね。」

はるかは嬉しそうにミライに尋ねた。
「ねえ、このロボット、持って帰ってもいい?」

ミライはにっこりと頷いて答えた。
「もちろん、いいよ。」

ルナを抱きしめたまま、はるかは軽やかな足取りで家に向かって歩き出した。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫から「用済み」と言われ追い出されましたけれども

神々廻
恋愛
2人でいつも通り朝食をとっていたら、「お前はもう用済みだ。門の前に最低限の荷物をまとめさせた。朝食をとったら出ていけ」 と言われてしまいました。夫とは恋愛結婚だと思っていたのですが違ったようです。 大人しく出ていきますが、後悔しないで下さいね。 文字数が少ないのでサクッと読めます。お気に入り登録、コメントください!

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた

しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。 すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。 早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。 この案に王太子の返事は?   王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

【本編,番外編完結】私、殺されちゃったの? 婚約者に懸想した王女に殺された侯爵令嬢は巻き戻った世界で殺されないように策を練る

金峯蓮華
恋愛
侯爵令嬢のベルティーユは婚約者に懸想した王女に嫌がらせをされたあげく殺された。 ちょっと待ってよ。なんで私が殺されなきゃならないの? お父様、ジェフリー様、私は死にたくないから婚約を解消してって言ったよね。 ジェフリー様、必ず守るから少し待ってほしいって言ったよね。 少し待っている間に殺されちゃったじゃないの。 どうしてくれるのよ。 ちょっと神様! やり直させなさいよ! 何で私が殺されなきゃならないのよ! 腹立つわ〜。 舞台は独自の世界です。 ご都合主義です。 緩いお話なので気楽にお読みいただけると嬉しいです。

王妃様は死にました~今さら後悔しても遅いです~

由良
恋愛
クリスティーナは四歳の頃、王子だったラファエルと婚約を結んだ。 両親が事故に遭い亡くなったあとも、国王が大病を患い隠居したときも、ラファエルはクリスティーナだけが自分の妻になるのだと言って、彼女を守ってきた。 そんなラファエルをクリスティーナは愛し、生涯を共にすると誓った。 王妃となったあとも、ただラファエルのためだけに生きていた。 ――彼が愛する女性を連れてくるまでは。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...