色々物語

この世界を待っていた

薄曇りの午後。
リビングの大型テレビには、特集番組のタイトルが大きく映し出されていた。

> 「特集：ついに到来した機械の時代」


画面が切り替わると、街中の映像が流れる。
農村では、農作業ロボットが黙々と田を耕し、隣で腰の曲がったおじいさんが深々と頭を下げている。
「ありがとうなあ、おかげでまた畑に立てたよ」
その目尻は笑い皺でいっぱいだった。

別のカットでは、病院の廊下。
介護ロボットがゆっくりと車椅子を押し、患者がロボットの手を握って笑顔を見せている。
その後ろでは、白衣の医師が「人手不足はもう過去の話です」と語っていた。

次のシーンでは、老婦人たちが小さなロボット掃除機にお菓子を供えるように置き、手を合わせて拝んでいる。
「この子がいなかったら、足腰を痛めてたわ」と笑う声。

カメラは街頭インタビューに切り替わった。
若い女性が、少し照れくさそうに答える。
「私はZ世代なんですけど……“最後の世代”って呼ばれるの、最初は嫌だったんです。でも、今は分かります。人間の時代は終わったなって。だって、機械たちが頑張ってくれる素敵な時代になったから。」

スタジオのナレーションが締める。

> 「人間と機械が支え合う社会――それは、長い歴史の果てに訪れた、新しい日常です。」



テレビの光が静かに消える。
ソファに座っていたミライは、リモコンをテーブルに置き、隣のハルカを見た。
ハルカは柔らかい笑みを浮かべて言う。　

機械の発展によって、大幅に世界は変わった。
空には輸送ドローンがゆったりと飛び、街角ではロボットが笑顔の人々を手助けしている。
この光景は、ずっと待ち望んでいた世界だった。

すべての業務がロボットによって変わったけれど、私は相変わらず“発明”という宝探しに出かけている。
だって、それが楽しいから。

私は、大切な友達や、これまで作ってきたロボットたちと幸せに暮らしている。
そして今、隣にいる相棒に心から感謝を伝えた。

「ユメ、いつもありがとう。」

ユメは少し俯きながら言った。
「ミライ、私は…ミライのために今まで何もできなかった。」

私は首を横に振って、笑顔を向ける。
「ううん。あなたはいつもずっと私のそばにいてくれた。どんなときでも支えようとしてくれた。あなたがいてくれたからこそ、私は沢山の発明を積み重ねてこれたんだよ。小さい頃からずっと一緒にいてくれて、ありがとうね。」

その瞬間のユメは、まるで人間のように喜び、嬉しさで涙がこぼれているように見えた。
そして私は、ゆっくりと言葉を重ねる。

「あなたは、私の最高傑作だよ…。」

窓の外には、未来を象徴するような輝く街並みが広がっていた。
機械と人間が肩を並べて歩くその光景は、きっとこの先もずっと続いていく――。