色々物語

願いをこめて

七夕の夜が、静かに近づいてきた。

天星小学校の校庭には、色とりどりの短冊が揺れる笹の葉が並んでいる。
子どもたちは楽しそうに願いを書き、そっと笹に結んでいく。

もち、そら、さかも、それぞれの家で短冊を手に取った。

そらは机に向かいながら、何度も願いごとを考えていた。
本は好きだけど、今日はまったくページをめくれない。
心はもちと過ごす時間のことばかり。

「もっと元気になって、もちといっぱい遊びたい」

その気持ちが胸にじんわりと広がる。

もちは窓の外を見上げて、そらのことを思っていた。
「そらちゃんが笑っていると、わたしも嬉しい」
そんな思いで、短冊に願いを書いた。

さかは静かな部屋で、ゆっくりと筆を動かす。
「三人がずっと仲良くいられますように」
その言葉に込められた願いは、深くて優しかった。

翌日、三人は校庭の大きな桜の木の下に集まった。
夕焼けの空は茜色に染まり、天の川がくっきりと見えていた。

「願いごとは決まった？」もちが明るく尋ねる。

そらは少し照れくさそうに、でもはっきりと言った。
「わたしは、もちとたくさん遊べるくらい元気になりたい」

さかもそっと短冊を見せる。
「みんながずっと仲良くいられますように」

もちはにっこり笑って、元気に言った。
「そらが元気でいられるように、ずっとそばにいる！」

三人は手をつなぎ、短冊をそっと結び合わせた。
小さなかけらは短冊のそばで、静かに光っている。

「願いが叶うといいな」さかがそっとつぶやく。

空には流れ星が一筋、ふた筋と流れていった。

その瞬間、かけらが温かい光を放ち、三人の胸にじんわりと優しい温もりが広がる。

「きっと叶うよね！」もちが目を輝かせて言う。

そらも笑顔になった。
「うん、これからもずっと一緒だよ」

さかは夜空を見上げ、心の中で願った。
「私たちの心が一つなら、どんな願いも叶う」

その夜、三人は新しい絆と希望を胸に、星空の下で静かに未来を見つめていた。