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秘密の力
しおりを挟む「算数なんて意味ないでしょ」
休み時間の教室で、誰かが笑いながら言った。
「だよね、なんでこんなこと勉強しなきゃいけないんだろ」
周りの生徒もクスクスと笑う。黒板に書かれた計算式は、誰の興味も引かない、ただの文字と数字の羅列に過ぎなかった。
だが、そのころ遠く離れた研究室では、一人の数学者が眉をひそめていた。
彼は黙々と数式を追い、公式を解析し続ける。普通の人々が無意味だと思うもの――算数、数学――に、恐るべき秘密が隠されていることを、彼だけが知っていたのだ。
日々の研究の末、数学者は衝撃的な真理を発見する。
「数学は、ただの計算ではない――これはーー」
その瞬間から世界は変わった。
数学者は震える手で報告書をまとめ、政治家や官僚たちに直訴した。
「この力は、人々が気軽に扱うにはあまりにも危険です。算数や数学を学ぶ時間は、道徳や倫理に変えなければなりません」
こうして、かつて無意味だと笑われていた数学は、現実に直接作用する恐ろしい力として一時的に封印された。
「まり、お母さんの友達が遊びに来たわよ」
お母さんの声に、真理はぴょんと跳ねながら返事をした。
部屋の奥で積み木やパズルを並べて遊んでいる真理のもとに、女性がにこやかに入ってきた。
「まぁ、真理ったら、相変わらず真面目に遊んでるのね」
女性の目は、真理が手に取るおもちゃをじっと見つめていた。
「それにしても…どれも時間が経っているはずなのに、ほとんど傷がないわね。色あせもしていない…すごいわ」
真理は首をかしげながらも、楽しそうに積み木を並べ続けた。
女性はにこりと微笑むと、小さなノートとペンを取り出し、さりげなく言った。
「折角だから、面白いことを見せてあげるわね」
その瞬間、積み木が自然に動き出し、ぬいぐるみがふわりと跳ね、砂時計の砂が逆流する。
真理は目を丸くして息を呑んだ。
「なんで…どうして…?」
女性はやさしく微笑んだまま、静かに告げる。
「この力は内緒にしてね。そして、本当に困っている人のためにだけ使うのよ」
真理は小さく頷き、心の中で決意した――
女性はふわりと去っていき、部屋の中に残ったのは、少し不思議な空気と、真理の小さな決意だけだった。
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