算術の秘密

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算数、数学の悪用

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翌朝。
柔らかな光がカーテンの隙間から差し込み、無限数理フォーラムの一室を淡く染めていた。
理世とまりは並んで座り、まだ夢の名残をまぶたに抱えたまま、眠たげに目をこすっている。

その静けさを破るように、扉がきしむ音が響いた。
入ってきたのはかずみだった。腕を組み、呆れを隠そうともせず、冷たい視線を二人に投げかける。

「……理世。昨日の夜、全国が大騒ぎになってたよ」

理世は肩をすくめ、苦笑した。
「ごめん……ちょっとまりに命題について教えてたら、つい……」

かずみの声は低く、冷え切っていた。
「あなたが数学を“悪用”してどうするの。遊び半分でやっていい力じゃないこと、誰よりもわかっているはずでしょう?」

その視線がゆっくりとまりに移る。
「あなたも――学んだ命題を悪用したら、罰を受けてもらうからね」

まりは息をのんだ。
「罰って……虚数世界のこと……?」

その名を口にした瞬間、空気がわずかに張りつめる。
かずみは理世を見据え、鋭く問いただした。
「……理世。あなた、虚数世界のことまで教えてるの?」

理世は一瞬たじろぎ、それでもまりの方へかばうように言った。
「まりはいい子だから大丈夫だよ。小さい頃から色々教えてきたけれど、悪用したことは一度もないんだから」

「……まぁ、確かに今回悪用したのは理世の方だからね」

次の瞬間、かずみは頭を抱えた。

「どうしたの? かずみさん」
まりはそっと近づき、その肩に手を置いた。

理世は深刻な声で告げる。
「算数や数学を、悪用してる人がいるんだ……」

まりの眉がひそまる。
「どういうこと?」

理世はゆっくりと説明した。
「かずみは、このフォーラムを立ち上げてから、ずっと命題を立てている。この国で数学を悪用したら、かずみは頭を痛める――って。そして、その命題を“真”としている」

部屋の空気が一瞬、重く張りつめる。
「だから……私たちは……」

理世の言葉は途切れ、三人は互いの顔を見つめ合った。
外の光は優しく差し込んでいるのに、心の奥の緊張は冷たく重く広がった。
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