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七瀬行き
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異変に気づいたのは電車が動き出してしばらく経ってからだった。あれ、なんかいつもと違う。そう思って俺はスマホを見ていた顔を上げた。
それは会社から帰るときに乗る、いつもの電車のはずだった。老夫婦、大学生の男、スーツを着た会社員らしい女、皆黙って電車に揺られている。朝も夜も毎日同じ時間に乗るから皆どこかで見たことがあるような顔だ。うんざりするほどに代わり映えのしない生活の一部であるこの電車だが、俺は何かを感じてほぼ無意識に繰り返していたルーティーンから我に返った。
もう駅についてもいい時間なのだ。違和感の正体は、体が覚えていた駅に着くまでの時間とのずれだった。俺は車内を見渡した。電車を乗り間違えたのかも知れない。いつものホームから乗ったつもりだったけど。そう思って俺はドアの上に着いている電光掲示板を見た。「次は 七瀬」それはいつも自分が降りる最寄り駅の名前だった。俺は電車を間違えたわけではないようだった。
俺は時計を確認した。時間はいつも通りだった。あれ、おかしいな。気のせいかな。
俺がそう思っていると、七瀬駅が近づいてきた。電車はスピードを落として止まろうとする。
電車が停止するその瞬間、外の景色が突然変わり電車がまた動き出した。俺は一瞬何が起きたのか分からずに呆然とした。電車が俺の乗った最初の駅に戻っている。車内を見渡して他の乗客の様子を見た。皆いつも通り黙って乗っている。誰も異変に気づいた様子はない。列車が瞬間的に元の駅に戻るはずがない。俺がおかしいのかも知れない。そう思って俺は、もう一度電車が七瀬駅に着くのを待ってみることにした。
しかし七瀬駅に着く直前でまた電車は突然元の駅に戻ってしまった。俺はその後も何度も試してみたが、結果は全部同じだった。列車は決して七瀬駅に着くことはなく、およそ十分あまりの二つの駅の間をいつまでも走り続けていた。
俺は何が起こっているのか全く分からなかったが、とりあえずこのままではいつまでもこの電車から降りられないと思い車掌のいる運転席にいくことにした。しかし、その途中でまたおかしな事が起こった。隣の車両に移ったら、車内の様子が前にいた車両と同じだったのだ。そこには同じ老夫婦、大学生、スーツの女が乗っていた。顔も全く一緒だった。首をかしげてもう一つ先の車両に移動したが、そこにも全く同じ人間が乗っていた。それは心底気味の悪い現象だった。
その時、俺にある恐ろしい考えが浮かんで、鞄に入っていた名刺入れを取り出して席においた。そして、そのまま隣の車両に移動してみた。すると、その車両にはさっきおいて来たはずの名刺入れがおいてあった。やっぱりそうか。俺は思った。信じられないことに、隣の車両に移ったつもりが、なぜか同じ車両に戻ってきているのだ。
車両の境目を行ったり来たりしていろいろ試してみたが、何度やっても気づかないうちに元の車両に戻って来てしまうのだった。俺はどうやらこの電車に閉じ込められたようだった。
しかし混乱して戸惑う俺に比べて、他の乗客は周りに無関心に黙って座っていた。俺は乗客の動きを観察していてあることに気づいた。彼らは電車が元の駅に戻る度に同じ動きを繰り返していたのだ。どうやら、電車の位置がリセットされる度に彼らもまたリセットされているようだった。自分達が何度も同じ駅に戻っていることには気づいていないのだろう。彼らに助けを求めてもおかしな人だと思われるだけだ。
この車両から抜け出す方法はないのか。俺は考えて、外への扉は駅に着かなくても手動で開けられることを思い出した。俺は扉の上に取り付けられたハンドルを回し、扉を開けた。七瀬駅に着く直前の減速したところで飛び降りるんだ。俺はその時を待った。七瀬駅が近づいてくる。今なら行ける。俺は勇気を振り絞って扉から外へ飛び降りた。
しかし、飛び降りた次の瞬間、俺が落ちたのは電車の中だった。まるでたった今反対側の扉から中に飛び込んだみたいだった。目の前にはさっき自分が飛び降りたはずの扉が開いている。次の瞬間電車はまたリセットされて元の駅に戻り、その扉もいつの間にか閉まっていた。クソ、だめか。俺は床をたたいた。
俺は今度は飛び降りずに、電車の上に上ることを試してみた。しかし俺の体が電車から半分ほど出た途端、俺の体は電車の中にドスンと落ちた。窓を割って外に出ようとしたが結果は同じで、いつの間にか電車の中に戻ってきてしまった。俺は困って頭に手をやった。
その時、突然スマホが鳴り始めた。見ると妻からの電話だった。そうか、電車はループしていても外の時間は流れているんだ。俺は一抹の希望を感じながら電話に出た。
「もしもし?あなたこんな時間まで何してるの?今日は早く帰ってご飯作ってくれるって言ったじゃない。」「それなんだが、聞いてくれ。信じられないと思うし、俺も何が起きているのか分からないんだが、今電車の中に閉じ込められて、でられないんだ。七瀬駅に着いたと思ったら元の駅に戻されるし、何をやってもこの車両に戻される。だから頼む。七瀬駅のホームまで来てくれ。君がこの電車に干渉すれば何か変わるかも知れない。頼む、本当なんだ!」妻はまだ俺の話が信じられないようだったが、口調の必死さから何か感じ取ったようで、駅に着いたら連絡するから待っててくれと言って電話を切った。
しばらくすると、また妻から電話がかかってきた。「ねえ、着いたよ。あなたの電車はいつ来るの?」「もうあと5分ほど待っていてくれ。もうすぐ着くはずだ。」また七瀬駅のホームが近づいてきた。しかし、そこには人がおらず、妻の姿はどこにも見当たらない。「今着くところだ。どこにいるんだ?本当に駅に来ているのか?」「来てるよ!そっちこそ電車なんて全然見えないけど?」「そんな...」この電車は現実の世界から切り離されているのか。「ねえ、あなたどうしちゃったの?今日なんだかおかし」その時、スマホのバッテリーが切れてしまった。ここは一体どこだ。どうすればいいんだ?俺は絶望しかけていた。
しかしその時俺は思った。待てよ、それなら、この電車の外の世界に助けを求めればいいんじゃないか?俺は鞄から名刺入れを取り出して、名刺の裏に自分の置かれている状況と、助けを必要としている旨を書いた。これを誰かが拾えば、助けに来てくれるかも知れない。俺はその名刺を開いた扉の向こうに投げた。
その時、後ろで何か落ちる音がした。振り返ると、投げたはずの名刺が床に落ちていた。物であってもこの電車から逃れられないようだった。
俺はそれでも諦めなかった。この電車の扉の状態は突然リセットされる。なら、開けた扉の間に物を置いて放置したらどうなるんだ?リセットされた瞬間扉が閉まった状態に戻るから、おかしな事になるはずだ。何かこの状況を変えられるかも知れない。
実際に鞄を置いて試してみると、リセットされた瞬間鞄は二つに切断された。これを利用すれば上半身だけでも外へ抜け出せるかもな、と思ったのもつかの間、後ろで鞄の、外へ落ちた半分が戻って来て落ちる音がした。
俺はもう考えも尽きてきて、財布から取り出した硬貨で車両の床をひっかき始めていた。ほんの少しずつでも傷を付けて、いつか穴を開けるためだった。この車両自体を破壊すれば、外に出ることも可能じゃないかと思ったのだ。しかし、電車が元の駅に戻った瞬間、付けた傷は消えて元に戻っていた。この電車の外に出るには七瀬駅に着くまでに穴を開けなければいけないのか。そんなの不可能だ。そう思ってから俺は自分の考えを笑った。いや、穴を開けられたところでそこを抜けたらまたこの電車に戻されるかもな。
俺は頭を抱えてうずくまった。もう何も思いつかなかった。もうやれる事は何もない。色々試しているうちは良かったが、やれることがなくなって動きを止めると、途端に息苦しくなった。
俺はどうやったってここから抜けられないのか?それは異変に気づいたときから考えないようにしていたことだった。こう考え始めたとき、茫漠とした恐怖が堰を切ったようにあふれ出した。そう言えば、ここに来てから何も食べていないのにどういう訳か腹が減らない。ここでは何も食べなくても死なないようだった。俺はこの先も死ぬまでずっとここに、何十年も居続けるのだろう。こんな人生のどこに意味があるのだろう。
待てよ。俺はその時考えた。元から俺の人生に意味なんてあっただろうか。来る日も来る日も家と会社の往復。この電車そっくりだ。意味なんて最初から無かった。
意味は自分で付けるものだった。それはあるときは会社のため、あるときは妻のためだったし、自分は仕事を楽しくてやっていると思い込もうとしたこともあった。しかしどれだけごまかしても自分を苛む虚しさは埋められなかった。それでも積み上げてきたものを捨てられない俺にとって、自分の生活を変えることはできそうでいて絶対に不可能なことだった。
そういう意味で今の状況はただ少し極端になっただけで俺の日常と何の変わりもなかった。俺のすることも変わらない、この繰り返しに意味を見いだして受け入れることだ。
「これを繰り返すことは楽しいじゃないか。」「これを繰り返すことで誰かのためになる。」自分でもよく分からない力でループに捕らえられた俺にできることは、そうやって自分をなだめ続けることだけだ。
それは会社から帰るときに乗る、いつもの電車のはずだった。老夫婦、大学生の男、スーツを着た会社員らしい女、皆黙って電車に揺られている。朝も夜も毎日同じ時間に乗るから皆どこかで見たことがあるような顔だ。うんざりするほどに代わり映えのしない生活の一部であるこの電車だが、俺は何かを感じてほぼ無意識に繰り返していたルーティーンから我に返った。
もう駅についてもいい時間なのだ。違和感の正体は、体が覚えていた駅に着くまでの時間とのずれだった。俺は車内を見渡した。電車を乗り間違えたのかも知れない。いつものホームから乗ったつもりだったけど。そう思って俺はドアの上に着いている電光掲示板を見た。「次は 七瀬」それはいつも自分が降りる最寄り駅の名前だった。俺は電車を間違えたわけではないようだった。
俺は時計を確認した。時間はいつも通りだった。あれ、おかしいな。気のせいかな。
俺がそう思っていると、七瀬駅が近づいてきた。電車はスピードを落として止まろうとする。
電車が停止するその瞬間、外の景色が突然変わり電車がまた動き出した。俺は一瞬何が起きたのか分からずに呆然とした。電車が俺の乗った最初の駅に戻っている。車内を見渡して他の乗客の様子を見た。皆いつも通り黙って乗っている。誰も異変に気づいた様子はない。列車が瞬間的に元の駅に戻るはずがない。俺がおかしいのかも知れない。そう思って俺は、もう一度電車が七瀬駅に着くのを待ってみることにした。
しかし七瀬駅に着く直前でまた電車は突然元の駅に戻ってしまった。俺はその後も何度も試してみたが、結果は全部同じだった。列車は決して七瀬駅に着くことはなく、およそ十分あまりの二つの駅の間をいつまでも走り続けていた。
俺は何が起こっているのか全く分からなかったが、とりあえずこのままではいつまでもこの電車から降りられないと思い車掌のいる運転席にいくことにした。しかし、その途中でまたおかしな事が起こった。隣の車両に移ったら、車内の様子が前にいた車両と同じだったのだ。そこには同じ老夫婦、大学生、スーツの女が乗っていた。顔も全く一緒だった。首をかしげてもう一つ先の車両に移動したが、そこにも全く同じ人間が乗っていた。それは心底気味の悪い現象だった。
その時、俺にある恐ろしい考えが浮かんで、鞄に入っていた名刺入れを取り出して席においた。そして、そのまま隣の車両に移動してみた。すると、その車両にはさっきおいて来たはずの名刺入れがおいてあった。やっぱりそうか。俺は思った。信じられないことに、隣の車両に移ったつもりが、なぜか同じ車両に戻ってきているのだ。
車両の境目を行ったり来たりしていろいろ試してみたが、何度やっても気づかないうちに元の車両に戻って来てしまうのだった。俺はどうやらこの電車に閉じ込められたようだった。
しかし混乱して戸惑う俺に比べて、他の乗客は周りに無関心に黙って座っていた。俺は乗客の動きを観察していてあることに気づいた。彼らは電車が元の駅に戻る度に同じ動きを繰り返していたのだ。どうやら、電車の位置がリセットされる度に彼らもまたリセットされているようだった。自分達が何度も同じ駅に戻っていることには気づいていないのだろう。彼らに助けを求めてもおかしな人だと思われるだけだ。
この車両から抜け出す方法はないのか。俺は考えて、外への扉は駅に着かなくても手動で開けられることを思い出した。俺は扉の上に取り付けられたハンドルを回し、扉を開けた。七瀬駅に着く直前の減速したところで飛び降りるんだ。俺はその時を待った。七瀬駅が近づいてくる。今なら行ける。俺は勇気を振り絞って扉から外へ飛び降りた。
しかし、飛び降りた次の瞬間、俺が落ちたのは電車の中だった。まるでたった今反対側の扉から中に飛び込んだみたいだった。目の前にはさっき自分が飛び降りたはずの扉が開いている。次の瞬間電車はまたリセットされて元の駅に戻り、その扉もいつの間にか閉まっていた。クソ、だめか。俺は床をたたいた。
俺は今度は飛び降りずに、電車の上に上ることを試してみた。しかし俺の体が電車から半分ほど出た途端、俺の体は電車の中にドスンと落ちた。窓を割って外に出ようとしたが結果は同じで、いつの間にか電車の中に戻ってきてしまった。俺は困って頭に手をやった。
その時、突然スマホが鳴り始めた。見ると妻からの電話だった。そうか、電車はループしていても外の時間は流れているんだ。俺は一抹の希望を感じながら電話に出た。
「もしもし?あなたこんな時間まで何してるの?今日は早く帰ってご飯作ってくれるって言ったじゃない。」「それなんだが、聞いてくれ。信じられないと思うし、俺も何が起きているのか分からないんだが、今電車の中に閉じ込められて、でられないんだ。七瀬駅に着いたと思ったら元の駅に戻されるし、何をやってもこの車両に戻される。だから頼む。七瀬駅のホームまで来てくれ。君がこの電車に干渉すれば何か変わるかも知れない。頼む、本当なんだ!」妻はまだ俺の話が信じられないようだったが、口調の必死さから何か感じ取ったようで、駅に着いたら連絡するから待っててくれと言って電話を切った。
しばらくすると、また妻から電話がかかってきた。「ねえ、着いたよ。あなたの電車はいつ来るの?」「もうあと5分ほど待っていてくれ。もうすぐ着くはずだ。」また七瀬駅のホームが近づいてきた。しかし、そこには人がおらず、妻の姿はどこにも見当たらない。「今着くところだ。どこにいるんだ?本当に駅に来ているのか?」「来てるよ!そっちこそ電車なんて全然見えないけど?」「そんな...」この電車は現実の世界から切り離されているのか。「ねえ、あなたどうしちゃったの?今日なんだかおかし」その時、スマホのバッテリーが切れてしまった。ここは一体どこだ。どうすればいいんだ?俺は絶望しかけていた。
しかしその時俺は思った。待てよ、それなら、この電車の外の世界に助けを求めればいいんじゃないか?俺は鞄から名刺入れを取り出して、名刺の裏に自分の置かれている状況と、助けを必要としている旨を書いた。これを誰かが拾えば、助けに来てくれるかも知れない。俺はその名刺を開いた扉の向こうに投げた。
その時、後ろで何か落ちる音がした。振り返ると、投げたはずの名刺が床に落ちていた。物であってもこの電車から逃れられないようだった。
俺はそれでも諦めなかった。この電車の扉の状態は突然リセットされる。なら、開けた扉の間に物を置いて放置したらどうなるんだ?リセットされた瞬間扉が閉まった状態に戻るから、おかしな事になるはずだ。何かこの状況を変えられるかも知れない。
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俺はもう考えも尽きてきて、財布から取り出した硬貨で車両の床をひっかき始めていた。ほんの少しずつでも傷を付けて、いつか穴を開けるためだった。この車両自体を破壊すれば、外に出ることも可能じゃないかと思ったのだ。しかし、電車が元の駅に戻った瞬間、付けた傷は消えて元に戻っていた。この電車の外に出るには七瀬駅に着くまでに穴を開けなければいけないのか。そんなの不可能だ。そう思ってから俺は自分の考えを笑った。いや、穴を開けられたところでそこを抜けたらまたこの電車に戻されるかもな。
俺は頭を抱えてうずくまった。もう何も思いつかなかった。もうやれる事は何もない。色々試しているうちは良かったが、やれることがなくなって動きを止めると、途端に息苦しくなった。
俺はどうやったってここから抜けられないのか?それは異変に気づいたときから考えないようにしていたことだった。こう考え始めたとき、茫漠とした恐怖が堰を切ったようにあふれ出した。そう言えば、ここに来てから何も食べていないのにどういう訳か腹が減らない。ここでは何も食べなくても死なないようだった。俺はこの先も死ぬまでずっとここに、何十年も居続けるのだろう。こんな人生のどこに意味があるのだろう。
待てよ。俺はその時考えた。元から俺の人生に意味なんてあっただろうか。来る日も来る日も家と会社の往復。この電車そっくりだ。意味なんて最初から無かった。
意味は自分で付けるものだった。それはあるときは会社のため、あるときは妻のためだったし、自分は仕事を楽しくてやっていると思い込もうとしたこともあった。しかしどれだけごまかしても自分を苛む虚しさは埋められなかった。それでも積み上げてきたものを捨てられない俺にとって、自分の生活を変えることはできそうでいて絶対に不可能なことだった。
そういう意味で今の状況はただ少し極端になっただけで俺の日常と何の変わりもなかった。俺のすることも変わらない、この繰り返しに意味を見いだして受け入れることだ。
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