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53.愛し子を巡る国と神殿の陰謀(笑) 1
しおりを挟む邸に戻ってすぐ、運よくグリフ様は王宮に呼び出されていなくなったから、七冊目の日誌を開いたわ。
最初の日付は、六冊目から少し時間が経っていた。
愛し子が亡くなって暫くしたら、人々はまた争うようになって、神殿もその戦いに巻き込まれ、仲裁や負傷者の保護で、日誌どころじゃなかったそうよ。
日誌が書かれるようになったのは、また黒い雲が現れたから。
聖女と勇者はすぐに見つかって、愛し子も聖女が見つけて来た。
神殿は愛し子の持つ加護の重要性に気が付いていたから、加護を祈って帰ろうとした愛し子にこの地にとどまってくれるようお願いした。
愛し子は快諾したらしいわ。
ここから愛し子が日記を書き始めてて、この時の愛し子は、加護を与えたり、精霊を使って人を助けることに喜びを感じてたみたい。
一年かけて戻って来た聖女と勇者がこの地に国を興すと、意気揚々と加護やら祝福やらをまき散らして、国を助けたんですって。
で、そのおかげなのか、黒い雲はここから百年ほど現れなかった。
神殿も国も、民も、もうこの平和が愛し子のおかげだって分かったのね。
愛し子はずいぶん大切に扱われたみたい。
でも、愛し子も人なのよね。
ちゃんと年をとる。だんだん弱る愛し子に、みんな不安になった。
もしこのまま愛し子がいなくなればまた争いが起きて、争いが起きれば黒い雲が現れるんじゃないかって。
このころになると女神の宣託ってなくなってたし、民は愛し子が先か、黒い雲が先なのか、そんなことも分からなくなってた。
でも国と神殿は、ちゃんとそれを理解していた。
このまま民の不安にさえせておくと魔があらわれることを。
だから国はそれを隠して、民の心の安定のためにと、愛し子が亡くなると同時に、新たな愛し子探し――――洗礼を始めた。
洗礼は次第に他の国にも波及し、愛し子が亡くなってから生まれた子供たちはほぼ全員、洗礼を受けるようになった。
このころに、洗礼は三歳前後に受けることが決まった。
そして愛し子が亡くなって十年、隣国の神殿で新たな愛し子が見つかった。
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