ヘタレ転移者 ~孤児院を救うために冒険者をしていたら何故か領地経営をすることになったので、嫁たちとスローライフを送るためにも頑張ります~

茶山大地

文字の大きさ
268 / 317
第十二章 ヘタレ情操教育

第十七話 タンドリーチキンとナン

しおりを挟む

 魔導公園で遊んだ後、そろそろ晩飯の準備をしなければならないので帰宅する。
 ヤマトとムサシは一日中飛び回ったせいか、すっかり疲れ果ててミコトとエマそれぞれの手の中で丸くなっている。


「パパ! きょうのごはんは?」

「バターチキンカレーにタンドリーチキン、ナンがメインだな。鶏肉だらけだけど大丈夫か?」

「? なんで? とりにくおいしーよ? ねエマちゃん?」

「うん! とりにくだいすき!」


 あんま気にしないのかなこの子ら。
 学園に通ってる連中は今まさにヒヨコから鶏を育ててる最中なのだが、チキンメインの晩飯をどう思うかな?
 といって今後は鶏肉を料理に使わないってわけにはいかない。肉類では安い部類だし栄養豊富だからな。
 なので荒療治ってわけじゃないんだが、今日は一号の作ったタンドール窯を有効活用させてもらう。
 そもそもうちのメニューで一番人気があるのがから揚げだしな。

 大事なものを持つように、ヤマトとムサシを両手で包むように持ったミコトとエマを先頭に、ぽてぽてと家に向かって歩いていく。


「兄さま、常備菜もから揚げですからね、今日はチキンパーティーですね」

「やり過ぎかなー。でもあいつらの好きなメニューだしな」

「どうでしょうか? 多分問題ないと思いますが」


 ホビロンみたいな見た目からしてヒヨコを連想してしまう料理ならともかく、今まで食べていた料理なら特に問題ないと思うんだがな。
 などと色々考えながら帰宅すると、すぐにクレアを連れて厨房へ向かう。


「じゃあちゃっちゃと作るか。バターチキンカレーはクレアに任せた」

「はい」

「一応チキンに抵抗出たガキんちょのためにほうれん草のカレーも作っておいたほうが良いかな」

「兄さまは心配性ですね」

「どうせいくら作ってもあいつら食っちゃうから無駄にならないしな。俺はナンとタンドリーチキンを作るから」

「わかりました」


 打ち合わせが終わり、早速クレアと料理にかかる。
 タンドール窯は厨房の勝手口から出てすぐに作られた窯焼き小屋に置かれているので、下拵えしたチキンとナン生地を持って移動だ。
 人数が多いとはいえ、一般家庭にとうとう窯焼き小屋が出来てしまった。アホすぎるだろ。
 そのアホは「今度はもっと大きいピザ窯を作るぜ」とか言ってたが。

 とりあえずそのあたりは気にしないでさっさと調理にかかるんだが、タンドリーチキンもナンも下拵え済みだから簡単だ。
 ヨーグルトなどに浸しておいたチキンに、クレア特製のガラムマサラをまぶして一メートル超の鉄串にどんどん刺していく。
 もちろんこの鉄串も一号が作ってきたものだ。
 これ材料費とかファルケンブルク領持ちなんじゃねえの?
 ピザ窯も領地の資材でつくるんかな。

 下拵えをしたチキンを全て鉄串にさしたらタンドール窯に突き立てるように置く。そしてタンドール窯の内壁にナン生地を水滴形に伸ばして張付けていく。
 とにかく巨大なこのタンドール窯、まさに一号の食欲を象徴しているのだがとにかく使いやすい。でかいし。
 ペタペタとナンを張り付ければあとは焼き上がりを待つだけだ。
 タンドリーチキンの焼き上がりの間に、ナンがどんどん焼きあがるので次々と入れ替えていく。


「兄さま、こちらの料理はできましたよ」


 焼きあがったナンを大量に積み上げていると、窯焼き小屋の入り口からクレアが声をかけてくる。


「こっちももう終わるから先にリビングに持って行ってくれ」

「わかりました」


 最後のナンを回収し、いい具合に焼きあがったタンドリーチキンを鉄串から外し皿に盛る。山のように。
 相変わらずすごい光景だなこれ。

 料理が完成したのでマジックボックスに収納し、リビングに向かう。
 リビングではすでにガキんちょどもが集合し、ミコトとエマの頭に乗ったヤマトとムサシに構っているようだ。
 ミコトとエマに似てヤマトとムサシも愛想が良いんだよな。俺以外には。


「閣下、頼まれていたものをお持ちしましたじゃ」

「お、三人目か。そういや鳥籠を頼んでたんだよな」

「では巣箱の隣に置いておきますでの」

「すまないな。よかったら飯を食って行ってくれ」

「ありがとうございますじゃ!」


 多分この時間を狙ってきたんだろうしな。
 ま、ひとり増えたところで関係ない量があるし。


「お前ら飯だぞー」

「「「はーい!」」」


 すでにクレアが並べてあるカレーや副菜に加えて、ナンとタンドリーチキンをテーブルに置く。


「ナンはこれだけしかないからな! おかわりが欲しければ米を出してやるから言うように!」

「「「はーい!」」」

「チキンが食べられないやつは言えよー」

「「「はーい!」」」

「じゃあ食ってよし!」

「「「いただきまーす!」」」


 とりあえずバターチキンカレーやタンドリーチキンを嫌がるガキんちょはいなさそうだ。
 というかいきなりバリバリ食ってるなこいつら。


「ヤマトのすきなおこめがないね、ヤマト、なにたべたい?」

「むさしもどれをたべる?」

「あ、米出しておいたほうが良かったな。今マジックボックスから出すぞ」


 俺がマジックボックスから炊きたての白米が入ったおひつを出そうとしたところ、ヤマトとムサシがミコトとエマの取り皿に盛られたタンドリーチキンをついばみだした。


「ヤマトはとりにくがすきなんだね!」

「むさしもおにくがすきみたい!」

「……なあ三人目、あいつら鶏肉食ってるけど大丈夫なのか?」

「魔鳥じゃし大丈夫ですじゃ」

「もうお前明日から来なくていいわ」

「えー!」

「だって何の参考にもならないし」

「まあそうですじゃの」

「そのへんは自覚してたのな」


 すごく落ち込んでいる三人目に、週一回ヤマトとムサシの健康診断を頼むとなんとか持ち直す。
 まあ実際には役に立ってなかったとしても、ヤマトとムサシのお医者さんという認識のミコトとエマには安心につながるだろうし。

 そしてバターチキンカレーとナンはガキんちょどもには大好評で、あっという間に食いつくされた。
 やっぱりそのあたりの感覚は現代日本人とは違うのかもな。


―――――――――――――――――――――――――――――――――

本作は小説家になろう、カクヨムでも掲載しております。
よろしければそちらでも応援いただけますと励みになります。

また、小説家になろう版は、序盤から新規に挿絵を大量に追加したうえで、一話当たりの文字数調整、加筆修正、縦読み対応の改稿版となります。
ファンアート、一部重複もありますが、総数で100枚を余裕で超える挿絵を掲載し、九章以降ではほぼ毎話挿絵を掲載しております。
是非挿絵だけでもご覧くださいませ。
特に十一章の水着回は必見です!絵師様の渾身のヒロインたちの水着絵を是非ご覧ください!
その際に、小説家になろう版やカクヨム版ヘタレ転移者の方でもブクマ、評価の方を頂けましたら幸いです。
しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

魔道具は歌う~パーティ追放後に最高ランクになった俺を幼馴染は信じない。後で気づいてももう遅い、今まで支えてくれた人達がいるから~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界転生者シナグルのスキルは傾聴。 音が良く聞こえるだけの取り柄のないものだった、 幼馴染と加入したパーティを追放され、魔道具に出会うまでは。 魔道具の秘密を解き明かしたシナグルは、魔道具職人と冒険者でSSSランクに登り詰めるのだった。 そして再び出会う幼馴染。 彼女は俺がSSSランクだとは信じなかった。 もういい。 密かにやってた支援も打ち切る。 俺以外にも魔道具職人はいるさ。 落ちぶれて行く追放したパーティ。 俺は客とほのぼのとした良い関係を築きながら、成長していくのだった。

処理中です...