298 / 317
第十三章 ヘタレ教育制度改革
第十九話 酒類は提供していません
しおりを挟むサクラから手渡されたメニューを早速のぞき込む。早くメニューを決めないと……。
……。
一品料理には冷奴に枝豆、漬物、鶏ナンコツ、焼き鳥などの串物、だし巻き玉子などなど純和風の料理というかおつまみが並び、コーンバターやフライドポテト、から揚げ、ソーセージなどの定番もしっかり揃っていた。
もちろん学園内の施設なので酒類の提供はしていないんだが、なんなんだこの居酒屋メニューは。
メインというか定食のページを開くと、そこには前菜とはまた違った日本のファミレスメニューと変わらないほどの豊富なラインナップが揃っている。
「じゃあ俺はミックスグリル定食に……」
「お兄ちゃんミックスグリル定食大好きだよね」
「ハンバーグにチキンステーキ、ソーセージと色々食べられるからな。んでミックスグリル定食にチーズオムレツを追加トッピングして、ライスとサラダのセットにしてくれ。飲み物はオレンジジュースで」
「お兄ちゃんまたチーズオムレツを食べるの? 今朝も食べたよね?」
「好きなんだよ」
「かしこまりましたっ! お飲み物はお先にお持ちしますか?
「エリナたちはどうする?」
「じゃあ先に貰おうかな? ミコトちゃんとエマちゃんは?」
「「さきにのむー」」
「はいっ! すぐにお持ちしますので少々お待ちくださいねっ!」
サクラは俺たちからメニューを受け取ると、ぱたぱたとバックヤードに戻っていく。
俺の頼んだミックスグリル定食は、ライスもしくはパン、サラダ、スープ、ドリンクがついて銅貨五十枚と、日本円で約五百円という価格だ。
追加したチーズオムレツは銅貨十枚なので百円相当。合計銅貨六十枚で日本円換算で六百円相当。
滅茶苦茶安い。
バイト代は民間より少し良い程度の時給設定なので、地代がかかってない分安く抑えられているのだろう。
カフェテリアというかすでに居酒屋風のファミレスといった状態にはなっているが、流行創出のために赤字覚悟の官営ではなく、あくまでも学園の予算を獲得するための施設で、利益を出す必要があるので、この価格設定でもしっかり利益が出ているのだろう。
「そういやエリナたちは何を頼んだんだ?」
「焼き鳥つくね重セット!」
「わたしもー」
「えまもー」
「あっそ」
「ヤマトとムサシが外で食べる用に焼き鳥串とつくね串の単品をお土産で買ったけど、良いよねお兄ちゃん?」
「良いけどさ、あまり鳥に鳥を食わすなよ……」
◇
店内が混んできたので食事を終えるとすぐに席を立ち、明日にでもレストランと名前を変えようと決意しながらカフェテリアをあとにする。
料理は普通に美味しいし値段も安い。少々遠くてもわざわざ足を運んで来る客も多いようだ。
これなら赤字になるようなことはなさそうだ。
「ヤマトおいしい?」
「ピッピッ!」
「はいむさしあーん!」
「ピー!」
店を出ると近くのベンチに腰掛け、早速ミコトとエマがずっとポケットの中で大人しくしていたヤマトとムサシにお土産を与えてはじめた。
串を差し出されたヤマトとムサシは、器用にクイっと串からつくねを抜き取って食べているんだが、なんかムカつくなこいつらの食い方……。
「お兄ちゃん、午後はどこに行くの?」
「工作部だな。火を使ったりするし騒音もあるから、一般部室棟とは離れた場所にあるらしい」
「ミコトちゃんとエマちゃんのランドセルを作ってくれた部だよね? 楽しみ!」
「皮革製品だけじゃなくて、焼き物、木工、鉄工、魔導具なんかも扱ってるらしいけど、学生でそこまでできるんかね」
「アランも窯とか陶器とか色々作ってたからね、大丈夫じゃないかなあ?」
「一号はもう卒業したけど、工作部の中心メンバーはうちの男子チームだと聞いたな」
「へー、あの子たちも器用だからねー」
「家具とか炬燵とか色々な物作って好評だったからな。その事業も引き継いでるみたいだし」
「そうなんだね!」
「「ゲプッ! ピッピ!」」
……どうやらヤマトとムサシの食事が終わったようだ。食事を終えるたびに毎回ゲップをしてるんだけど品がないなこいつら。
「じゃあ工作部に行くか」
「「「うん!」」」
腹がいっぱいになって満足したのか、ヤマトとムサシはいつものミコトとエマの頭の上ではなく、ポケットの中にもぞもぞと入っていく。
工作部だから頭の上でも良いとは思うんだが、まあ流石にそこまでの判断は鳥の頭では無理なのだろう。
構わずミコトとエマを先導に工作部へ歩いていく。
「ミコト、エマ、その角を右に行くみたいだぞ」
「「はーい!」」
ぽてぽてと歩いていると、煙突付きの建物が見えてきた。
「お、あれかな?
学園のパンフレットと見比べながら確認するが、たしかにこの場所で問題がないようだ。
煙突付きの小さめの戸建てに見えるがこれは鍛冶場用の建物で、奥にはまだ他の施設もあるらしい。
随分優遇されてるんだなと思ったが、男子生徒が多く所属する部活動らしく、更なる拡張も考えているらしい。
売上でも貢献してるみたいだしな。
ちょっと楽しみだなと思いつつ、俺たちは工作部の部室棟へと向かうのだった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
本作は小説家になろう、カクヨムでも掲載しております。
よろしければそちらでも応援いただけますと励みになります。
また、小説家になろう版は、序盤から新規に挿絵を大量に追加したうえで、一話当たりの文字数調整、加筆修正、縦読み対応の改稿版となります。
ファンアート、一部重複もありますが、総数で200枚近い挿絵を掲載し、九章以降ではほぼ毎話挿絵を掲載しております。
是非挿絵だけでもご覧くださいませ。
特に十一章の水着回と十三章の制服回は必見です!絵師様の渾身のヒロインたちの水着絵と制服絵を是非ご覧ください!
その際に、小説家になろう版やカクヨム版ヘタレ転移者の方でもブクマ、評価の方を頂けましたら幸いです。
0
あなたにおすすめの小説
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
魔道具は歌う~パーティ追放後に最高ランクになった俺を幼馴染は信じない。後で気づいてももう遅い、今まで支えてくれた人達がいるから~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界転生者シナグルのスキルは傾聴。
音が良く聞こえるだけの取り柄のないものだった、
幼馴染と加入したパーティを追放され、魔道具に出会うまでは。
魔道具の秘密を解き明かしたシナグルは、魔道具職人と冒険者でSSSランクに登り詰めるのだった。
そして再び出会う幼馴染。
彼女は俺がSSSランクだとは信じなかった。
もういい。
密かにやってた支援も打ち切る。
俺以外にも魔道具職人はいるさ。
落ちぶれて行く追放したパーティ。
俺は客とほのぼのとした良い関係を築きながら、成長していくのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる