スローライフに憧れる伝説の王子

71話

**第七十一話：「蹂躙の戦略—リンゴー軍の圧倒的兵力と増援」**  

**リンゴー軍本陣——**  

リンゴー軍の本陣では、静かに戦略会議が進んでいた。軍幕の中央には広げられた戦略地図があり、王国軍の防衛陣、援軍の到着、そして王国軍第一王子率いる**別動隊の動き**が記されていた。  

戦場の流れが徐々に変わりつつあることは、誰もが理解していた。だが、リンゴー軍の最高指揮官である**グレタ将軍**は、揺るぎない信念をもって戦局を見据えていた。  

「アナハイムとバルトが援軍を送ってきた、か……。」  

副官が息を整えながら報告を続ける。  
「はい、将軍。それぞれ**5万の援軍**を派遣し、王国軍と合流しました。王国軍の総数はこれで**30万**となります。」  

グレタは腕を組み、しばし沈黙する。  

「奴らも分かっている……王国が滅べば、次は自分たちの国だと。」  

副官が神妙な面持ちで頷く。  
「王国が我々に屈すれば、アナハイムとバルトも侵攻の対象になります。彼らはそれを理解した上で、この戦いに加わっています。」  

グレタは唇を歪ませながら地図を見下ろした。  

「つまり、王国は単なる獲物ではなく、奴らにとっての防波堤でもあるわけか……面倒なことになったな。」  

そこへ、斥候が息を切らせて駆け込んできた。  

「報告します！ 王国軍の**第一王子が別動隊へ向かいました！**」  

グレタの眉がわずかに動く。  

「……王国軍7万が、我が別動隊へ向かったというのか？」  

斥候は息を整えながら頷く。  
「はい！ 敵は本陣ではなく、別動隊へ急進しています。独断行動の可能性が高いですが、指揮官は第一王子であることが確認されています！」  

グレタはじっと地図を見つめ、ゆっくりと指を滑らせる。  

「……第一王子の軍が別動隊へ？ 面白い。」  

副官が慎重に口を開く。  
「将軍、もし王国軍が別動隊を叩きに来たのであれば、本陣への進軍は遅れるでしょう。しかし、これほど大胆な動きを見せるとは……。」  

グレタは低く笑った。  

「奴らの戦術などどうでもいい……この戦いは単純だ。**兵力差で圧倒し、蹂躙する**。それだけだ。」  

副官は一瞬言葉を詰まらせた。  
「……つまり、数で押し切ると？」  

グレタは地図の王国領を示しながら冷たく言い放つ。  

「数こそ力だ。王国軍はせいぜい30万。こちらは本軍20万に別動隊20万、**合計40万**。この兵力差こそが勝利への道だ。」  

副官はしばらく考え込むが、やがて納得して頷く。  

「確かに、王国軍がどんな策を練ろうとも、数の前には無力でしょう。特に、こちらが先に圧倒すれば、混乱の中で崩れ去る。」  

グレタは笑みを深める。  

「奴らがどんな策を講じようとも、こちらはひたすら押し潰す。王国軍が戦術に走るなら、こちらは**圧倒的戦力をもって蹂躙する**だけだ。」  

そこへさらに報告が届く。  

「将軍、王国軍に**更なる増援**があるとの情報が入りました！」  

グレタの眉がピクリと動く。  

「……増援？」  

副官が報告書を確認しながら続ける。  
「詳細は不明ですが、**王国の東方の同盟国が動いているとのことです**。彼らはこれまで戦争に関与していませんでしたが、王国の存亡がかかると知り、動き始めたようです。」  

グレタは深く息を吸い込み、戦略地図を睨む。  

「王国軍はしぶといな……。援軍を次々と引き入れて防衛を強化するつもりか。」  

副官が慎重に言葉を選ぶ。  
「現時点では兵力規模は不明ですが、王国軍がさらに増強される可能性があるため、我々の攻勢に影響が出るかもしれません。」  

そこへ更なる報告が届いた。  

「将軍！ 我々の側にも**新たな増援20万**が到着するとのことです！」  

グレタの笑みが一瞬だけ鋭くなる。  

「……20万か。」  

副官が補足する。  
「本国からの支援部隊です。総大将の命令により、王国制圧を確実なものにするため派遣されました。」  

グレタは戦略地図をじっくり見つめた後、低く呟いた。  

「結局、どれほど奴らが抵抗しようとも結果は変わらん。我々の兵力は**60万**——この戦いはすでに決まっている。」  

副官が即座に命令を部隊へ伝え始めた。  

グレタは戦略地図を睨みながら、最後に低く呟いた。  

「王国軍は抵抗を続けるだろうが……勝つのは我々だ。」  

**こうして、リンゴー軍の進軍が始まる——それは、王国を蹂躙するための総力戦の幕開けでもあった。**  

（続く）