スローライフに憧れる伝説の王子

74話

**第七十四話：「陽炎終焉と彗星墜撃—砦に迫るリンゴー軍40万」**  

### **砦前の戦場——睨み合う両軍**  

数日後、**リンゴー軍40万**が砦に辿り着いた。  

地平線を埋め尽くす敵軍の圧力に、王国軍の兵士たちは緊張を隠せない。  

城壁の上に立つノブはじっと戦場を見据え、低く呟いた。  

「ついに来たか……。」  

彼の隣には王国軍の将軍たち、アナハイム・バルトの指揮官ゼクスとノックス、魔術師団長の**セシリア**と副団長の**エルザ**が並んでいた。  

**「さぁ、派手にやるわよ。」**  

城壁の上に立つセシリアが、不敵な笑みを浮かべる。  

彼女の手には、燃え盛る魔力が凝縮されていた。  

### **「陽炎終焉」——最強の炎魔法、発動**  

セシリアが詠唱を開始すると、周囲の空気が震え始める。  

**超高密度に圧縮された炎**が彼女の手の中で螺旋状に渦巻き、次第にその熱が限界へと達していく。  

そして——  

「**陽炎終焉！**」  

轟音と共に、**赤々と燃え上がる巨大な火球**が敵軍の先陣へ向かって疾走した。  

爆発の瞬間——  

大地が震え、**灼熱の爆風**が戦場を覆った。  

**リンゴー軍の先陣が崩れ落ちる。**  

「ぐっ……！！」  

火柱が立ち上がり、爆炎が空を赤く染める。  

砦の上から兵士たちの歓声が響く。  

**王国魔術師団、総攻撃開始——**  

「魔術師団、続け！」  

ノブの号令で**魔術師団50名**が一斉に呪文を唱え、攻撃魔法を放つ。  

- **「雷鎖連撃」**——多数の雷撃が放たれ、敵の兵を貫いていく。  
- **「氷槍乱舞」**——鋭い氷の槍が飛び交い、敵陣を貫通する。  
- **「烈風刃嵐」**——風の刃が旋回し、敵兵の陣形を切り裂く。  

### **リンゴー軍、反撃——防御魔法展開**  

「このままでは前線が持たん！**防御結界を展開せよ！**」  

リンゴー軍の魔術師たちが即座に呪文を唱え、**防御魔法を発動**する。  

- **「烈炎障壁」**——炎の障壁を展開し、王国軍の魔法攻撃を遮る。  
- **「蒼壁の守護」**——魔力の壁を広げ、弾幕を緩和する。  
- **「光護結界」**——広範囲の防御結界を展開し、戦線の崩壊を防ぐ。  

しかし、セシリアは冷笑を浮かべながら呟いた。  

「この程度の防御で止められると思ってるの？」  

**王国魔術師団 vs リンゴー軍魔術師団の戦いが始まる。**  

### **「彗星墜撃（すいせいついげき）」——隕石落としの魔法、炸裂**  

セシリアは戦場を見渡しながら、再び魔力を凝縮させる。  

「まだまだ行くわよ。」  

両手を広げ、**大気を揺るがす魔力を空へと放つ。**  

その瞬間、空が暗転し、巨大な魔法陣が形成されていく。  

「**彗星墜撃**！」  

轟音とともに、**大気圏から引き寄せられた魔力の塊が隕石となり、敵軍へと落下**する。  

- **凄まじい衝撃**が戦場を揺らし、リンゴー軍の兵士たちが悲鳴を上げる。  
- **防御魔法を展開した部隊すら、その圧力を抑えきれず崩壊**していく。  
- **地面が砕け、炎と塵が舞い上がり、敵陣が壊滅的な打撃を受ける。**  

「ぐぅ……っ！！」  

リンゴー軍の魔術師たちが必死に防御魔法を強化するが、完全には防ぎきれない。  

### **混乱するリンゴー軍——逃げ惑う兵士たち**  

爆煙が晴れると、リンゴー軍の兵士たちは戦場の異様な光景を目にした。  

巨大な隕石の爆撃跡——**焼け焦げた大地、崩れ落ちた軍列、破壊された戦車**。  

それは、もはや自然の災害ではなく、**悪魔の仕業**にしか見えなかった。  

「……あっ、悪魔だ！」  

一人の兵士が恐怖に震えながら叫んだ。  

「こんなの、人間技じゃない……！！」  

その声を皮切りに、前線の兵士たちの間で**パニックが広がる。**  

「こんな魔法、対処できるわけがない！」  
「俺たちは殺される！撤退だ、撤退しろ！！」  

士官たちが必死に兵を止めようとするが、爆撃の恐怖に呑まれた者たちは次々と逃げ出していく。  

砦の壁の上で、セシリアは微笑みながらノブへ視線を向ける。  

「さぁ、もう一発撃ってもいい？」  

ノブは短く笑い、剣を握り締めた。  

「いや……今は様子を見る。敵はすでに揺らいでいる。」  

リンゴー軍40万のうち、前線の数千が混乱し始めた。  

**戦端が切られた——砦戦、開幕。**  

（続く）