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例え99人に疑われても
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あの城への呼び出しから数日。
何とか帰ってこられてから、師匠の下に入り浸っていた。
「師匠ー!ついに城から呼び出しが来てしまいましたぁ…。」
「…あんたまた来たのかい。呼び出されることは分かっていたんだから、腹をくくるしかないだろうに。」
「もとはと言えば、師匠が王子様に私たちの活動を教えたせいでもあるのに…。」
「あたしゃあんたたちの活動を宣伝しただけじゃないか。人聞き悪いねぇ。
その話が無かったら、今でもあんたたちは大した依頼もなく腐っていてただろうさ。」
「うぐぐ…。」
私の恨み節にも気に留めず、師匠はいつものように大釜をかき混ぜている。
まさか昔からお世話になっていた薬屋さんが、王宮に薬を卸すようなお店だったとは…。
師匠を魔女だって怖がっていた自分が恥ずかしい。
「…師匠。お城と長年付き合いあるんですよね?
じゃあ依頼をしてきたのがキール王子だって気づいていたんじゃないですか?」
「気づいてたさ。だが気づいてたところで何だって言うんだい?」
「いやその…。私たちに王子からの依頼をテストとして受けさせるなんて、大胆なことしてるなぁって。」
「あたしも薬草が必要だったからね。王子の依頼だから優遇したわけじゃないよ。
第一、あの時点じゃ失敗する可能性だって考えられただろう。
もし失敗しても、王子に何でも思い通りに行くわけじゃないって、社会勉強になったろうさ。」
ヒッヒッヒと笑う師匠に、怖いもの知らずだなぁと苦笑する。
これが経験の違いというやつなのだろうか。…いや師匠の場合は元の度胸からして違うんでしょうね。
「師匠。この話、どうなると思います?」
「…外部委託の件かい?」
「また呼び出されたってことは、何らかの決着がついたってことだと思うんです。
今回の場合は、外部委託の是非、ですよね。」
「ふ~む…。外部委託しないって結果だった場合、その件だけ伝えて終わることになるだろうが…。
問題は外部委託自体は行う方向で、どのような形態で進めていくかだねぇ。」
「…私たちが国の業務を担うなんて、荷が重すぎるというか、実感がわかないというか。」
自信がなさ過ぎて、外部委託の件がなかったことになってほしいとすら思う。
お仕事的に考えれば、お城との繋がりができるなんていいことだとは分かるんだけど…。
「正直、周りから見ていて裏で変なやり取りしているように見えませんかね?これ。」
「お城に取り入りたい輩がいるんだったら、すでに試みてるだろうさ。
良くも悪くも、今の国にそこまで期待しているわけじゃないんだろうねぇ。」
「本当に良いのか悪いのか…。」
やっかみがあるのも困るけど、苦労しか見えない外部委託も受けていいものか。
確かに国のお墨付きともなると、信用度の面で良いこともあるかも。でも風評被害の心配も…。
どうするべきなのかしら…。
「…まぁそんなに考えすぎることもないんじゃないのかい?
結局のところ、あんたたちの信用は、これまでの仕事ぶりを見てきた周りが認めてくれたからあるもんさ。
きっかけとしてあたしも手伝ったが、その後はあんたたち自身で勝ち取ってきたんだ。
そりゃ疑う人間もいるかもしれない。でもそんな人たちばかりじゃないさね。
初めから全員に認めてもらえることばかりじゃないが、少しずつ認めてもらうしかないよ。
今までだったそうだっただろう?」
もし100人いたら、99人に好かれたとしても1人ぐらい死んじまえって思っているかもしれないねぇ。
そう師匠は火加減を見ながら続ける。
全員が仲良くするなんてことは現実的じゃない。お金が絡む商売に関することだったらなおさら。
「だけどねぇ、100人のうち99人に信じてもらえなかったとしても、1人絶対的な味方がいるんだとしたら。
とてもつらいだろうけど何とか踏ん張れることもある。
あんたの場合は…、一緒に動ている3人組にご両親、骨つき肉の人たちに、微力ながらあたしもいる。
何とかなりそうな気がしてこないかい?」
100人のうち、もう10人弱があんたの味方さね、とにやりと笑う。
そうだった、私は1人じゃない。お城に行った時からそう言い聞かせてたじゃない。
そうと決まれば、やることは1つ!
「よーし、師匠!作戦会議です。お知恵をお貸しください!」
「…あんたたち、あたしに頼りすぎじゃないかい?」
何とか帰ってこられてから、師匠の下に入り浸っていた。
「師匠ー!ついに城から呼び出しが来てしまいましたぁ…。」
「…あんたまた来たのかい。呼び出されることは分かっていたんだから、腹をくくるしかないだろうに。」
「もとはと言えば、師匠が王子様に私たちの活動を教えたせいでもあるのに…。」
「あたしゃあんたたちの活動を宣伝しただけじゃないか。人聞き悪いねぇ。
その話が無かったら、今でもあんたたちは大した依頼もなく腐っていてただろうさ。」
「うぐぐ…。」
私の恨み節にも気に留めず、師匠はいつものように大釜をかき混ぜている。
まさか昔からお世話になっていた薬屋さんが、王宮に薬を卸すようなお店だったとは…。
師匠を魔女だって怖がっていた自分が恥ずかしい。
「…師匠。お城と長年付き合いあるんですよね?
じゃあ依頼をしてきたのがキール王子だって気づいていたんじゃないですか?」
「気づいてたさ。だが気づいてたところで何だって言うんだい?」
「いやその…。私たちに王子からの依頼をテストとして受けさせるなんて、大胆なことしてるなぁって。」
「あたしも薬草が必要だったからね。王子の依頼だから優遇したわけじゃないよ。
第一、あの時点じゃ失敗する可能性だって考えられただろう。
もし失敗しても、王子に何でも思い通りに行くわけじゃないって、社会勉強になったろうさ。」
ヒッヒッヒと笑う師匠に、怖いもの知らずだなぁと苦笑する。
これが経験の違いというやつなのだろうか。…いや師匠の場合は元の度胸からして違うんでしょうね。
「師匠。この話、どうなると思います?」
「…外部委託の件かい?」
「また呼び出されたってことは、何らかの決着がついたってことだと思うんです。
今回の場合は、外部委託の是非、ですよね。」
「ふ~む…。外部委託しないって結果だった場合、その件だけ伝えて終わることになるだろうが…。
問題は外部委託自体は行う方向で、どのような形態で進めていくかだねぇ。」
「…私たちが国の業務を担うなんて、荷が重すぎるというか、実感がわかないというか。」
自信がなさ過ぎて、外部委託の件がなかったことになってほしいとすら思う。
お仕事的に考えれば、お城との繋がりができるなんていいことだとは分かるんだけど…。
「正直、周りから見ていて裏で変なやり取りしているように見えませんかね?これ。」
「お城に取り入りたい輩がいるんだったら、すでに試みてるだろうさ。
良くも悪くも、今の国にそこまで期待しているわけじゃないんだろうねぇ。」
「本当に良いのか悪いのか…。」
やっかみがあるのも困るけど、苦労しか見えない外部委託も受けていいものか。
確かに国のお墨付きともなると、信用度の面で良いこともあるかも。でも風評被害の心配も…。
どうするべきなのかしら…。
「…まぁそんなに考えすぎることもないんじゃないのかい?
結局のところ、あんたたちの信用は、これまでの仕事ぶりを見てきた周りが認めてくれたからあるもんさ。
きっかけとしてあたしも手伝ったが、その後はあんたたち自身で勝ち取ってきたんだ。
そりゃ疑う人間もいるかもしれない。でもそんな人たちばかりじゃないさね。
初めから全員に認めてもらえることばかりじゃないが、少しずつ認めてもらうしかないよ。
今までだったそうだっただろう?」
もし100人いたら、99人に好かれたとしても1人ぐらい死んじまえって思っているかもしれないねぇ。
そう師匠は火加減を見ながら続ける。
全員が仲良くするなんてことは現実的じゃない。お金が絡む商売に関することだったらなおさら。
「だけどねぇ、100人のうち99人に信じてもらえなかったとしても、1人絶対的な味方がいるんだとしたら。
とてもつらいだろうけど何とか踏ん張れることもある。
あんたの場合は…、一緒に動ている3人組にご両親、骨つき肉の人たちに、微力ながらあたしもいる。
何とかなりそうな気がしてこないかい?」
100人のうち、もう10人弱があんたの味方さね、とにやりと笑う。
そうだった、私は1人じゃない。お城に行った時からそう言い聞かせてたじゃない。
そうと決まれば、やることは1つ!
「よーし、師匠!作戦会議です。お知恵をお貸しください!」
「…あんたたち、あたしに頼りすぎじゃないかい?」
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